当社BTK阻害薬の研究成果に関する学術雑誌「Journal of Medicinal Chemistry」への掲載のお知らせ
平成30年9月20日
各 位
会 社 名 カルナバイオサイエンス株式会社
代表者名 代表取締役社長 吉野 公一郎
(コード番号:4572)
問合せ先 取締役経営管理本部長 山本 詠美
(TEL: 078-302-7075)
当社BTK阻害薬の研究成果に関する
学術雑誌「Journal of Medicinal Chemistry」への掲載のお知らせ
当社のBTK阻害薬に関する研究成果が、アメリカ化学会(American Chemical Society)が発行する
学術雑誌「Journal of Medicinal Chemistry」に掲載されましたのでお知らせいたします。
当社は、キナーゼを標的とした低分子の分子標的薬の創製を目指して、がんや免疫炎症疾患等のアン
メット・メディカルニーズが高い疾患を中心とした新規性の高い薬剤の研究開発を行っております。こ
の度、ブルトン型チロシンキナーゼ(Bruton's tyrosine kinase、BTK)を標的とした阻害薬の創製に関
する研究成果が、医薬品化学(メディシナル・ケミストリー)分野における最高峰の雑誌の一つである、
国際的創薬化学専門誌「Journal of Medicinal Chemistry」に掲載されました。当社は、現在、2つの選
択的BTK阻害薬を、自己免疫炎症疾患やがんなどを対象として前臨床研究を実施しており、本論文はその
発見につながった重要な成果を報告するものです。
論文の概要
BTKは、非受容体型チロシンキナーゼの1種であり、B細胞上に存在するB細胞抗原受容体(BCR)やマク
ロファージ、マスト細胞の高親和性IgE受容体(FcεRI)のシグナル伝達に重要な役割をしていることか
ら、血液がんや自己免疫疾患の重要な治療標的として認識されています(図1) すでにFDAで承認されて
。
いる共有結合型BTK阻害薬であるイブルチニブは、白血病の治療薬として使用され、その高い治療効果が
示されています。現在、いくつかの共有結合型BTK阻害剤が開発されていますが、これらのほとんどは共
有結合型阻害薬であり、がん以外へ応用するために非共有結合型のBTK阻害剤の開発が非常に望まれてい
ます。またイブルチニブはBTK以外にも他のキナーゼを阻害することが知られており、副作用の少ない薬
を開発するうえで、キナーゼ選択性の向上も重要な要素となっています。
今回、非共有結合型で高キナーゼ選択的なBTK阻害薬を創出するために、活性型BTKおよび不活性型BTK
を用いた新しいキナーゼ創薬技術を開発いたしました(図2)
。本創薬技術を用いてBTK阻害剤の探索を
開始したところ、活性型BTKに比べて、不活性型BTKをより強く阻害するリード化合物を見出すことがで
きました(図3)
。本リード化合物を基にして、構造最適化研究を実施した結果、非共有結合型でありな
がら、BTKを強く阻害し、さらに非常に高いキナーゼ選択性を示す化合物を見出すことに成功いたしまし
た。当該化合物は、細胞内のBCRシグナルを強く阻害し、さらにいくつかのin vivoモデルにおいて優れ
た薬効を示したことから、臨床候補化合物として選択し、現在、前臨床研究が進められています。
図1.BTK阻害剤の抗免疫作用
図2.不活性型キナーゼを用いた新規スクリーニング法
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図3.リード化合物とBTKの複合体結晶構造
発表論文
雑誌名: Journal of Medicinal Chemistry
タイトル: Design and Synthesis of Novel Amino-triazine Analogs as Selective Bruton’s Tyrosine Kinase
Inhibitors for Treatment of Rheumatoid Arthritis
著者: Wataru Kawahata, Tokiko Asami, Takao Kiyoi, Takayuki Irie, Haruka Taniguchi, Yuko Asamitsu,
Tomoko Inoue, Takahiro Miyake, Masaaki Sawa
DOI: 10.1021/acs.jmedchem.8b01147
以 上
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