大腸がんにおけるRAS及びBRAF遺伝子変異を同時に検出する診断薬(MEBGEN RASKET-Bキット)の製造承認取得について

平成 29 年 12 月 11 日

各 位



会 社 名 株式会社 医学生物学研究所
代表者名 代表取締役社長 山田 公政
(JASDAQ・コード4557)
問合せ先 総務部 東 成見
TEL:052-238-1901
FAX:052-238-1440
E-mail:kouhou@mbl.co.jp

大腸がんにおける RAS 及び BRAF 遺伝子変異を同時に検出する診断薬
(MEBGENTM RASKET-B キット)の製造承認取得について

株式会社 医学生物学研究所(本社:名古屋市中区、代表取締役社長 山田 公政、以下「当社」)は、
当社子会社の G&G サイエンス株式会社(本社:福島県福島市、代表取締役 阿部 由紀子)と共同で開
発した、大腸がんにおける RAS 及び BRAF 遺伝子変異を同時検出するキット(製品名:MEBGENTM
RASKET-B キット、以下「本キット」)について、体外診断用医薬品の製造販売承認を 12 月5日付で取得
しましたのでお知らせします。
大腸がん治療における診断補助の検査薬として当社が現在販売しております「MEBGENTM RASKET キ
ット」と比較して適用範囲が拡大し、患者様へ最適な治療法の提供や医療費の適正化に、より一層貢献
するものと期待されます。

MEBGENTM RASKET-B キットについて
本キットは 48 種類の RAS 遺伝子変異※1及び BRAF 遺伝子(V600E)※2変異を同時に検出する、3 つの
使用目的からなる体外診断用医薬品です。
※1:RAS (KRAS 及び NRAS )遺伝子のエキソン 2、エキソン 3、エキソン 4(計 6 領域のエキソン)に存在する 48 種類のア
ミノ酸の変化を引き起こす遺伝子変異
※2:BRAF タンパク質の 600 番目のアミノ酸がバリンからグルタミン酸に変化する遺伝子変異

① 抗 EGFR 抗体薬の投薬判断補助:RAS 遺伝子変異の検出
RAS 遺伝子変異は、大腸がんの約 50%に認められます。当社が販売し、既に広く臨床で使用されてお
ります MEBGENTM RASKET キットと同様に、切除不能な進行・再発の大腸がんに対するセツキシマブ及
びパニツムマブ(以下、抗 EGFR 抗体薬)の投薬判断に必要な RAS 遺伝子変異が検出可能です。

② 切除不能な進行・再発の大腸がんにおける治療選択の補助:BRAF 遺伝子変異の検出
BRAF 遺伝子変異は、国内における大腸がんの 5-6%程度に認められ、化学療法の治療成績が極め
て悪く予後が不良です。近年の研究で新たな治療法※3 の有効性が示されref.1, 2、国内のガイドラインでは、
切除不能な進行・再発の大腸がんに対する化学療法開始前の BRAF 遺伝子検査が推奨されています。
※3:大腸がんの化学療法の1つで殺細胞性薬剤であるフルオロウラシル+ロイコボリン+オキサリプラチン+イリノテカン
に、分子標的薬であるベバシズマブを併用した治療法(FOLFOXIRI+ベバシズマブ療法)

③ リンチ症候群の診断補助:BRAF 遺伝子変異の検出
大腸がんの中には、大腸がんや子宮内膜がんをはじめとするさまざまながんを若年から発症する遺伝
性のリンチ症候群が数%程度存在します。リンチ症候群の診断には特殊な検査 ※4が必要で、その検査が
陽性の場合は、腫瘍組織の BRAF 遺伝子変異(V600E)検査※5を実施することが国内のガイドラインref.1, 3
に記載されています。
※4:マイクロサテライト不安定性や免疫染色によるミスマッチ修復遺伝子タンパク質の消失を確認する検査
※5:リンチ症候群においてそのほとんどは、BRAF 遺伝子変異が陰性


本キットの使用目的と大腸がんにおける RAS 及び BRAF 遺伝子変異頻度

このように本キットは、切除不能な進行・再発の大腸がんの治療療法開始前に RAS 及び BRAF 遺伝子
変異を確認し、各遺伝子変異の有無に応じた最適な治療法の選択を可能とします。また、BRAF 遺伝子
変異(V600E)を検出することで、大腸がんにおけるリンチ症候群の診断補助としても有用であり、個別化
医療に貢献します。

当社は、患者数の多い少ないにかかわらず、医療に役立つ、新しい検査薬を創出し、「先端診断分野
で存在感のあるグローバルニッチ企業として価値を創出する」企業として社会に貢献していきます。

【参考文献】
1. 「大腸がん診療における遺伝子関連検査のガイダンス(第 3 版、2016 年 11 月)」日本臨床腫瘍学会
2. 「大腸癌治療ガイドライン 医師用 2016 年版」大腸癌研究会
3. 「遺伝性大腸癌診療ガイドライン 2016 年版」大腸癌研究会

【株式会社 医学生物学研究所について】
医学生物学研究所は、昭和 44 年に日本で最初の抗体メーカーとして設立され、現在では、免疫学的
領域のみならず、遺伝子診断、細胞間情報伝達関連などの領域にも事業を拡大して、臨床検査薬及び
基礎研究用試薬の研究・開発・製造・販売を行っています。
臨床検査薬事業では、自己免疫疾患、がん、代謝異常疾患等の検査薬の開発・販売を行っています。
自己抗体診断分野では日本国内トップメーカーとして製品ラインナップの充実を図り、難治性疾患の多い
当該分野の医療に貢献しています。がん診断分野では医薬品の効果を予測するコンパニオン診断薬を
開発し、個別化医療に貢献しています。
LSTR(Life Science Translational Research)事業(従来の基礎研究用試薬事業)では、約 4,500 種類の
抗体や、MHC テトラマー試薬、エクソソーム濃縮キットなど数多くの基礎研究用試薬をグローバルマーケ
ットに向けて販売し、蛍光タンパク質を応用した創薬支援ツールの導出も行っております。また将来の臨
床検査薬化を指向した研究用試薬の開発も注力しております。
細胞診事業では、子宮頸がん検査のためのスライド標本作製システム、原因とされるウイルスの検出・
判定試薬、および細胞採取ブラシ等を販売しています。

【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社 医学生物学研究所 総務部 担当:東
TEL:052-238-1901
FAX:052-238-1440
E-mail:kouhou@mbl.co.jp
以 上


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