タンパク質間相互作用を標的とした革新的な創薬探索技術の確立を目指してp53 Laboratory (A*STAR, Biomedical Sciences Institutes)との共同研究を開始

平成 29 年 5 月 22 日
各 位



会 社 名 株式会社 医学生物学研究所
代表者名 代表取締役社長 山田 公政
(JASDAQ・コード4557)
問合せ先 総務部 東 成見
TEL:052-238-1901
FAX:052-238-1440
E-mail:kouhou@mbl.co.jp

タンパク質間相互作用を標的とした革新的な創薬探索技術の確立を目指して
p53 Laboratory (A*STAR , Biomedical Sciences Institutes)との共同研究を開始

株式会社 医学生物学研究所 (本社:名古屋市中区、 代表取締役社長:山田 公政、 以下「当社」 は、

このたび p53 Laboratory (A*STAR, Biomedical Sciences Institutes、Singapore) と、革新的な創薬
探索技術の確立に関する共同研究契約を締結しましたので、お知らせいたします。

<共同研究概要>
本共同研究では、 当社が蛍光タンパク質を利用して開発したタンパク質間相互作用※1 (以下 「PPI」

を可視化する技術 Fluoppi™(フロッピー)を用いて、p53 Laboratory が保有する細胞内 PPI を標的
とした医薬候補ペプチドの細胞膜透過性と PPI 阻害効果を同時に検証するプロジェクトを実施します。
これにより、近年注目を集める PPI 標的薬・ペプチド医薬分野の創薬を加速する技術の確立を目指し
ます。
※1 生体内の情報伝達で重要な役割を果たし、この機能を調整することで、特定の疾患の治療法が開発可能です。

<背景>
細胞内 PPI を「可視化」し、 「モニタリング」するユニークな技術 FluoppiTM
当社は、PPI の有無をリアルタイムに可視化できる技術 Fluoppi™を開発し、現在製薬企業を中心
としたお客様に創薬探索用途にご利用いただいております。PPI を阻害する為には、比較的大きな分
子量の薬剤が必要であると言われていますが、その様な薬剤は細胞の膜をいかに通過させるかが課題
となります。当社が開発した Fluoppi™は、候補薬剤が生きた細胞内に到達したか否かを、また、細
胞内に到達した薬剤が PPI を阻害するか否かをリアルタイムに 「可視化」
・「モニタリング」できる為、
お客様から高い評価をいただいております。
Fluoppi™技術の詳細は、以下をご覧ください。
http://ruo.mbl.co.jp/bio/product/flprotein/fluoppi.html

本共同研究により、FluoppiTM 技術が最先端の創薬研究現場で最適化され、その実用性がさらに高
まることで、既存の医薬品では治療が難しかった疾患に対する革新的な PPI 標的薬の創出に繋がるこ
とが期待されます。
PPI 有り PPI 無し




図 Fluoppi™を用いた PPI の可視化


新薬への期待が高まる PPI 創薬
近年、新規創薬標的の枯渇が懸念される中、新たに PPI を標的とした創薬への関心が高まっていま
す。 既存の創薬標的は、 ヒト体内の全タンパク質の 2 割程度に留まると見積もられています。そこで、
PPI を標的とすることで、残りの 8 割を占める未開の地に足を踏み入れることができるとの期待から、
新薬の創出に向けて多くの製薬企業が PPI 創薬に取り組み始めています。
これまで、標的の PPI には化合物が入り込むための深いポケットが少なく、薬の活性を高めること
が難しいとされてきました。しかしながら、近年スクリーニング技術や計算科学が発展し、低分子に
加えて、 ペプチド・タンパク質・抗体医薬など医薬品になる物質がより多様化してきたことから、 PPI
を標的とした創薬が実現可能となってきました。

ペプチド医薬品で細胞内 PPI を標的に
ペプチド医薬品は、抗体医薬に匹敵する高い特異性を有し、かつ抗体医薬では狙えない細胞内タン
パク質を標的とすることができるため、世界中で開発競争が繰り広げられています。その市場規模は
全世界で 175 億米ドル(2015)と推定されています*2。通常のペプチドは細胞内 PPI を標的として
医薬品に利用するには、血液中での安定性や細胞膜をいかに通過させるかといった課題があり、様々
な取り組みによって課題の解消が試みられています。その中で、p53 Laboratory は直鎖状のペプチド
を環状化し、 安定性や細胞膜を通過させるのに優れたステープルペプチド*3 へ加工する技術を保有し、
細胞内 PPI を標的とした新たな医薬候補ペプチドを生み出しています。
※2 SABYASACHI GHOSH, (2016) Peptide therapeutics market: forecast and analysis 2015-2025. Oligos &
Peptides - Chimica Oggi - Chemistry Today - vol. 34(2), 5-7
※3 ペプチド上の任意のアミノ酸側鎖 2 か所を炭化水素で連結し、環状化したペプチド。プロテアーゼ耐性や細胞膜
透過性の向上が期待されています。


【p53 Laboratory について】
p53 Laboratory はシンガポール A*STAR の Biomedical Sciences Institutes 内にあり、Sir David
Lane 教授が運営する研究室です。 がん抑制遺伝子 p53 の発見者として著名な Sir David Lane 教授は、
これまでに 350 以上の論文を発表しており、数々の国際的な受賞歴を有します。同研究室では、基礎
研究から新規治療・診断戦略開発まで、 p53 pathway を中心とした包括的な研究開発を行っています。

【株式会社 医学生物学研究所について】
医学生物学研究所は、昭和 44 年に日本で最初の抗体メーカーとして設立され、現在では、免疫学的
領域のみならず、遺伝子診断、細胞間情報伝達関連などの領域にも事業を拡大して、臨床検査薬及び
基礎研究用試薬の研究・開発・製造・販売を行っています。
臨床検査薬事業では、自己免疫疾患、がん、代謝異常疾患等の検査薬の開発・販売を行っています。
自己抗体診断分野では日本国内トップメーカーとして製品ラインナップの充実を図り、難治性疾患の
多い当該分野の医療に貢献しています。がん診断分野では医薬品の効果を予測するコンパニオン診断
薬を開発し、個別化医療に貢献しています。
LSTR(Life Science Translational Research)事業(従来の基礎研究用試薬事業)では、5,000 種
類以上の抗体や、MHC テトラマー試薬、エクソソーム濃縮キットなど数多くの基礎研究用試薬をグロ
ーバルマーケットに向けて販売し、蛍光タンパク質を応用した創薬支援ツールの導出も行っておりま
す。また将来の臨床検査薬化を指向した研究用試薬の開発に注力しております。
細胞診事業では、子宮頸がん検査のためのスライド標本作製システム、原因とされるウイルスの検
出・判定試薬、および細胞採取ブラシ等を販売しています。

【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社 医学生物学研究所 総務部 担当:東
TEL:052-238-1901
FAX:052-238-1440
E-mail:kouhou@mbl.co.jp

以 上



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