LAMP法を使用した「先天性シャーガス病(経胎盤感染)新生児の早期治療のための簡便診断法の実用化に向けて」がグローバルヘルス技術振興基金から研究資金を獲得

News Release
‘栄研’
2021 年 5 月 21 日


各 位
会 社 名 栄 研 化 学 株 式 会 社
代 表 者 名 代表執行役社長 和田 守史
コ ー ド 番 号 4549 東証1部



LAMP法を使用した「先天性シャーガス病(経胎盤感染)新生児の早期治療のための簡
便診断法(ポイントオブケア試験)の実用化に向けて」がグローバルヘルス技術振興基金
(GHIT Fund)から研究資金を獲得


栄研化学株式会社(本社:東京都台東区、以下 栄研化学)は、スペインISGlobal*1、長崎大学熱
帯医学研究所を含む8組織共同で提案しておりました、LAMP法を使用した「先天性シャーガス病
(経胎盤感染)新生児の早期治療のための簡便診断法(ポイントオブケア試験)の実用化に向け
(以下 本事業)が、このたび、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)*2
て」
から研究資金を獲得いたしましたのでお知らせいたします。
今後、これら研究機関と連携を図りながら、同疾患が実際に流行している3か国(アルゼンチ
ン、ボリビア、パラグアイ)で栄研化学がプロトタイプとして開発したクルーズトリパノソーマ
原虫検出用LAMP試薬(シャーガスLAMP)の臨床評価を行う事で本事業を進めてまいります。


現在、シャーガス病の検査は、慢性患者を対象とした血清学的検査(抗体検出法)により行わ
れており、母子垂直感染に伴う先天性シャーガス病の新生児検査は、様々な制約により十分には
行われておりません。しかしながら、新生児の先天性感染を地方の病院で簡易に診断し、できる
だけ早期治療を開始することは、新規感染児の慢性化を防ぎ治癒率の向上に貢献すると共に、将
来的なシャーガス病の撲滅において極めて重要です。
そのため本事業では、まず同疾病流行地域の産科病院で約16,000人の妊婦を対象にRDT法*3で
慢性患者を選別し、その患者から生まれた乳児の先天性感染の有無をシャーガスLAMP法にて検
出することで、その実用面を含む有用性を検証いたします。また、これに併せて、新たな診断薬
の使用を促進するための現地ヘルスワーカー等への教育や効果的な検査体制構築に向けたアドボ
カシー活動*4も行われます。


栄研化学は、結核やマラリアといった世界三大感染症に関するLAMP試薬の発展途上国への
普及を行う事によりグローバルヘルスに貢献してまいりました。それらに加え、今後は、本事業
等を通じて顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases:NTDs)対策への貢献も視野に入
れた開発を進めることにより、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献してまいります。


以上


【用語解説】

*1
ISGlobal(バルセロナ・グローバルヘルス研究所)
ISGlobalは、学術機関および政府機関との連携により誕生した、グローバルヘルスの課題
解決に貢献する組織です。
詳細:https://www.isglobal.org/en/home

*2
公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)
GHIT Fundは、マラリア、結核、顧みられない熱帯病のための、 治療薬、ワクチン、診
断薬の開発を推進する日本発の国際的な官民ファンドです。 日本の製薬企業、大学、研究機
関の製品開発への参画と、海外の機関との連携を促進しています。
詳細:https://www.ghitfund.org/jp

*3
RDT法
迅速診断検査。本試験では、イムノクロマトグラフィー法を用いた抗体検査キットです。

*4
アドボカシー活動
様々な社会の課題を解決するために、政治を動かすための提言をする活動です。


シャーガス病
クルーズトリパノソーマ原虫が寄生することで引き起こされる疾患であり、原虫はサシガ
メ類昆虫の糞便中に存在し、サシガメの刺創や擦創から原虫がヒトに感染します。また、輸
血、垂直感染(母子感染)、臓器移植、実験室事故でも感染が報告されています。
感染者は全世界で700万人いますが、その大部分はメキシコ、中央および南アメリカ地域
で発生している風土病であり、顧みられない熱帯病の一つとなっています。日本において
は、献血会場において中南米諸国への滞在歴等をご申告いただくなど、安全対策が講じられ
ています。
感染後、早期に治療を開始すれば、ほぼ100%治癒しますが、ほとんどが無症状か軽度で
あり、持続感染者は心筋障害が進行し、突然死や心不全を来すことがあります。このため特
に、感染した母親から生まれた新生児のスクリーニング検査が重要であり、生後2~3週間
以内に検査を行うことが推奨されています。




【本件に関するお問い合わせ先】
栄研化学株式会社 サステナビリティ推進部
TEL: 03(5846)3379 、e-mail: koho@eiken.co.jp
ホームページ https://www.eiken.co.jp


5948