Kudanの視点-半導体と融合する人工知覚(SLAM)の未来-を公開

News Release
2024 年 3 月 7 日
Kudan株式会社




Kudan の視点~半導体と融合する人工知覚(SLAM)の未来~を公開



高度な SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術で世界をリードするKudan株式
会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 CEO:項 大雨、以下 Kudan)は、この度、『Kudan の視
点~半導体と融合する人工知覚(SLAM)の未来~』と題した記事を別紙にて公開しましたのでお知
らせいたします。


この記事では、Kudan の事業環境や将来予測、その中における経営戦略などの解説を行ってまいり
ますが、今回は、世界中で注目が高まっている半導体産業と Kudan が有する人工知覚(SLAM)技
術との関係や今後の展望について解説しています。




【Kudan株式会社について】
Kudan は、人工知覚(AP)のアルゴリズムを専門とする Deep Tech(ディープテック)の研究開発
企業です。人工知覚(AP)は、人工知能(AI)と相互補完する技術として、機械を自律的に機能す
る方向に進化させるものです。現在、Kudan は高度な技術イノベーションによって幅広い産業にイ
ンパクトを与える Deep Tech に特化した独自のマイルストーンモデルに基づいた事業展開を推進し
ています。
詳細な情報は、Kudan のウェブサイト(https://www.kudan.io/jp/)をご参照ください。


■会社概要
会 社 名: Kudan株式会社
証券コード: 4425(東証グロース)
代 表 者: 代表取締役 CEO 項 大雨


■お問い合わせ先はこちら





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Kudan の視点~半導体と融合する人工知覚(SLAM)の未来~
半導体産業が今ひとつの黄金時代を迎え、その中で注目を浴びるのが人工知能との相乗効果
です。AI チップと呼ばれる半導体は、生成 AI の台頭により飛躍的な需要増を見せていま
す。この現象は、単なる経済的なトレンドに留まるものではなく、新たな時代に突入した証
と言えるでしょう。




ソフトウェアとハードウェアの相互依存性


では、なぜ人工知能と半導体の関係がこれほどまでに重要なのでしょうか。その理由を探る
ために、まずは人工知能と半導体の本質に触れてみましょう。人工知能は、ソフトウェアで
あるアルゴリズムによって構成されています。これらはハードウェア的な実体を持たず、
「情報処理の設計書」として、純粋なソフトウェアとして機能しています。



一方、半導体は情報処理を行う回路です。その極めて微細な回路上で、膨大な情報を電気信
号として効率的に処理することが可能です。このソフトウェアとハードウェアの組み合わせ
は、表面的には異なるものが組み合わさっているというとなりますが、技術的には密接に関
連しています。両者は相互に最適化され、融合する形でより効率的な処理が実現されるので
す。



例えば、8×7 という計算をするソフトウェアがあり、足し算の回路だけを持つ半導体チップ
を使うと、その回路を 7 回動作させることで 8+8+8+8+8+8+8=56 という答えが出ま

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す。一方で、もし掛け算の回路を持つ半導体チップを使えば、8×7 は 8 に 7 をかける動作を
一回だけ回路にかけるだけで、わずか 1/7 の労力で答えが出せます。



これは、ソフトウェアの処理内容をより効率的に処理できる回路が半導体チップに準備され
ているため、処理能力が飛躍的に向上します。極論としては、特定の目的を果たす「情報処
理の設計書」を丸ごと一つの回路として物理的に作れば、複雑な四則演算をしなくても入力
から出力まで一気に演算できます。例えるならば、特定の複雑な方程式を解くボタンがつい
た関数電卓があり、その方程式ならボタンひとつで解けるようなものです。これは、ソフト
ウェアをハードウェア化して半導体チップに回路として取り組むことを意味します。



逆に、ハードウェアに合わせてソフトウェアも形を変えて最適化できます。例えば、すでに
半導体に効率的な回路が用意されている場合、ソフトウェア開発者はその回路を最大限活用
するように情報処理方法を調整し、効果的に利用しようとします。




ソフトウェアとハードウェアの相互最適化のイメージ




半導体との融合は深層アルゴリズムの王道


こうした技術的な背景を踏まえると、AI チップの盛り上がりは、ソフトウェア(人工知
能)とハードウェア(半導体)の密接な関係によって支えられていることが理解できます。
人工知能は情報処理が膨大にかかるため、処理速度の向上が重要です。そのため、半導体メ
ーカーはよく使われる AI ソフトウェアで行われる情報処理のパターンを、半導体チップの
電気回路としてハードウェアに直接組み込むことで、AI の処理を効率化しています。これ
により、AI 半導体チップが広く使われるようになると、それに適合するソフトウェアも一
緒に利用されやすくなります。



重要なのは、技術の普及において、ハードウェアとソフトウェアは互いに近づき、影響し合
うことです。これはアルゴリズム層の深層技術としては非常に一般的な現象であり、ある意
味、技術普及のための王道となります。そして、人工知能と似て非なる技術ではあります



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が、同じくアルゴリズム層にある Kudan が取り組む人工知覚(SLAM)も当然、半導体と
相互に融合していきます。



(ちなみに、これは技術の深層部分であるアルゴリズム層にのみ起こる現象です。他方で、
一般的なソフトウェアの多くは表層的であり、例えばスマホアプリや SaaS アプリなどは、
複雑なソフトウェアの積み重ねで構成されています。そのため、これらのソフトウェアをハ
ードウェアの回路としてまとめて直接組み入れることは半導体チップの用途を著しく制限す
るものとなってしまうため実用ではなくなります。半導体のユーザーと、半導体の技術パー
トナーの本質的な違いです。)




人工知能よりも深く幅広く半導体と融合する可能性


Kudan の人工知覚技術(SLAM)が普及すれば、需要がある限り、半導体チップに Kudan
の技術が取り込まれ、融合していくことは必然です。ただし、昨今の AI チップとは異なる
点もあります。



一つ目は、人工知覚(SLAM)が人工知能よりもはるかに複雑なソフトウェアであることで
す。これにより、人工知覚(SLAM)の方が半導体との統合が深くなります。例えば、人工
知能の根幹のアルゴリズム自体では数百行であることが一般的ですが、人工知覚(SLAM)
のアルゴリズムは数十万行にも及ぶことがあります。そのため、人工知覚(SLAM)のソフ
トウェア最適化、ソフトウェアのハードウェア化といった領域で、半導体との融合が深ま
り、高速化によるメリットも大きくなります。



二つ目は、人工知覚(SLAM)の方が人工知能よりも幅広い種類の半導体と統合できること
です。例えば、人工知能は比較的単純なプログラムを膨大に処理することが重要となるた
め、それに適した GPU とよばれる並列処理回路(重い情報処理に適した回路)に特化した
半導体と主に相互最適化して、いわゆる AI チップとなっています。



他方、人工知覚(SLAM)は比較的複雑なプログラムの中に様々な特性の情報処理パターン
を持ち合わせており、それぞれ異なる特性の種類の半導体とバランスよく組み合わせて融合
することができます。たとえば、近年見られる半導体の製品パッケージは、情報処理の司令
塔となる CPU、重い情報処理に特化した GPU、その中間の特性を持つ DSP や VPU、ニッ
チな需要に合わせてプログラム可能な FPGA、カメラに付属している ISP 等、複数のプロ
セッサから構成されますが、それぞれの半導体の特性に合わせて人工知覚(SLAM)の要素
を融合することができます。このように幅広く半導体と融合できれば、飛躍的に高性能化の
メリットを享受することが可能になります。





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半導体産業との連携


Kudan は人工知覚(SLAM)に取り組み続けてきましたが、Intel 社のプラットフォームにて
世界初となる商用 SLAM パッケージを達成するなど、これまで半導体企業との幅広い協業
を行い、実績を重ねています。今後、Kudan が半導体産業に貢献する役割は、人工知覚
(SLAM)技術を通じて半導体とソフトウェアの融合を深め、効率的な情報処理を実現する
ことにあります。



人工知能と比較すると、人工知覚(SLAM)はまだ普及前夜ではありますが、これから見据
えるのは、まさしく人工知能がたどってきた道のりであり、そのために Kudan の取り組み
は半導体産業にとって重要な意味を持つことになると考えています。



(画像:パートナーの一覧を Kudan HP より抜粋)





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