「(株)日本ベル投資研究所の鈴木氏によるアナリストレポート」発行のお知らせ

2020 年 12 月 18 日
株式会社チェンジ
(コード番号:3962 東証第一部)




「㈱日本ベル投資研究所の鈴木氏によるアナリストレポート」発行のお知らせ




投資家の皆様へ


㈱日本ベル投資研究所 鈴木行生氏より弊社のアナリストレポートが発行されましたので、お知らせいたしま
す。




本件の問い合わせ先:
株式会社チェンジ
東京都港区虎ノ門 3-17-1
Control & Management 担当
メール:ir_info@change-jp.com
(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート




3962 チェンジ
~NEW-IT でビジネスフロントを革新し、パブリテックで成長を加速~

2020 年 12 月 18 日 東証 1 部
ポイント
・コロナショックを契機にして、わが国における DX(デジタルトランスフォーメーション)
の推進に弾みがついている。当社にとっても、DX 人材の育成、公共分野における DX の活用
が需要の拡大に結びついている。


・10 月に子会社トラストバンク(TB)の持株比率を 70%から 100%に引き上げて、完全子会
社とした。株式交換方式なので、のれん償却などの追加コストは発生しない。TB の利益が
フルに連結に反映されるので、2021 年 9 月期の連結純利益は一段と拡大しよう。


・ふるさと納税サイトで No.1 のトラストバンク(TB)は、全国の自治体に圧倒的なネット
ワークを有する。ここをベースにパブリテック(パブリックセクターの New-IT)を推進し
ている。ふるさとチョイスは順調に拡大しており、利益貢献を圧倒的に高めている。パブリ
テックの LoGo チャット、LoGo フォームなども新たに成長軌道に入りつつある。


・新型コロナ対応では、DX のコンサルをリモートワークやオンライン IT 人材研修などへ切
り替え、顧客ポートフォリオも運輸、小売、製造業から公共、情報通信、金融に入れ替えて、
ビジネスを取りに行っている。


・ふるさと納税が新しい制度で正常化する中、業界のリーダーとしての成果が顕在化してい
る。日本の生産性の向上と地方創生への貢献が当社の ESG、SDGs である。


・長期ビジョンのもと、中期 3 ヵ年計画を推進しており、日本の DX 市場においてリーダー
の地位を確立することを掲げている。第 1 フェーズとして 2022 年 9 月期に営業利益 47 億
円(売上高営業利益率 25%)を目指しているが、1 年前倒しで達成できよう。


・次の中期計画が 2 月頃に公表されよう。DX 人材の育成、ふるさと納税の付加価値向上、
LoGo シリーズへの課金、公共フィンテック事業の推進、地域再生エネルギー事業の立上げ、
などを軸として、営業利益で 100 億円をめざすことになろう。その達成は十分射程にある。
次の M&A も視野にある。人材も集まっており、成長基盤は強い。企業価値の一層の向上が見
込めるので、引き続き注目したい。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。


(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


目 次
1.特色 New-IT トランスフォーメーションからパブリテックへ展開
2.強み 独自のフラッグシップモデルでブランドを高める
3.M&A トラストバンクを軸に、パブリテックが急拡大
4.中期経営計画 コロナショックに即応~DX で日本のリーダーを目指す
5.当面の業績 急成長を持続しよう
6.企業評価 次の M&A にも注目


企業レーティング A
株価(2020 年 12 月 17 日) 7940 円 時価総額 2664 億円(33.55 百万株)
PBR 34.4 倍 ROE 35.5% PER 85.9 倍 配当利回り 0.0%
(百万円、円)
決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 EPS 配当
2015.9 1400 134 137 82 3.9 0
2016.9 1550 186 175 118 5.3 0
2017.9 1980 331 325 229 9.0 0
2018.9 2604 513 513 343 12.9 0
2019.9 7054 1081 959 378 13.1 0
2020.9 11692 3626 3632 1547 49.1 0
2021.9(予) 16000 5000 5000 3100 92.4 0
2022.9(予) 19000 7000 7000 4400 131.1 0
(2020.9 ベース)
総資産 16386 百万円 純資産 8733 百万円 自己資本比率 44.4%
BPS 230.6 円
(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想。2016 年 7 月末 1:300、2018 年 6 月末 1:2、2018 年
12 月末 1:2、2020 年 8 月末で 1:2 の株式分割を実施。それ以前の EPS は修正ベース。
2020 年 12 月末に 1:2 の株式分割を予定。2018.9 期までは単体、2019 年 9 月期より連結
ベース(旧日本基準)。2020 年 10 月にトラストバンク 100%子会社のために 198.4 万株の
新株を発行。2021.9 期から IFRS 採用予定(今回の予想は新日本基準ベース)。
担当アナリスト 鈴木行生(日本ベル投資研究所 主席アナリスト)


企業レーティングの定義:当該企業の、①経営者の経営力、②事業の成長力、③業績下方修正に
対するリスクマネジメント、④ESG から見た持続力、という点から定性評価している。
A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、
という 4 段階で示す。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


1.特色 New-IT トランスフォーメーションからパブリテックへ展開


IT による生産性革命を目指す~鍵はデジタル生産性
日本の人口は 2015 年の 1.25 億人が 2055 年には 9200 万人へ減少すると予測されている。
このうち生産年齢人口(15~64 歳)は 7600 万人が 4700 万人へ大幅に減少する。
人口減少社会の日本にあって、日本企業の生産性革新は急務であるという認識の下、生産
性を上げ、顧客企業の価値向上に貢献しようとしている。国富を高めるには生産性の向上が
必須である。ヒトや組織の生産性を向上させるには、IT の活用が求められる。
しかし、どの産業、企業においても、IT の活用は不十分であり、
「攻めの IT」によるビジ
ネスモデルの変革は遅れている。労働生産性、資本生産性に加えて、デジタル生産性が問わ
れている。ここにフォーカスしている。


チェンジがミッション ~「人」×「技術」
チェンジのミッション(企業としての使命)は、人々(People)を変え、仕事(Business)
を変え、日本(Japan)を変えることにある。
当社の志は、社名「チェンジ」に表現されている。当社のロゴは、3 本の縦線をベース
にそれが 3 つある。3 本の矢の例えのように、3 つのモードで変化を作り出そうとしてい
る。1)人を変え、2)仕事を変えて、3)日本を変える。同時に、新しい IT で、①IT インフ
ラを変え、②業務を変え、③ビジネスモデルを変える、という意味である。
日本の衰退を防ぐには、人(人材育成)×技術(New IT)によって生産性を大幅に高める
ことである。このチェンジをリードするというのが当社のミッションである。


コンサルからスタート
チェンジは、2003 年創業、2016 年 9 月に上場して 4 年が過ぎたところである。この間、
大きな成長を遂げ、業績は断層的に拡大している。
アクセンチュア出身者がコンサルのサポートから創業し、IT 教育事業を本格化させた。
PM(プロジェクトマネジャー)や SE(システムエンジニア)の教育に力を入れた。顧客は大手
の SI 企業である。人材教育に自社だけでは手が回らないと、専門家にアウトソーシングし
た。この事業は、IT エンジニア不足を反映して、今も活況である。しかも、ここで育った人
材が各企業にいるので、当社にとってはビジネスのつながりを作る上で大いに役立ってい
る。
現在の役員には、アンダーセンコンサルティング(現在のアクセンチュア)出身が多い。
神保会長がアンダーセンから独立して、中堅企業のコンサルをしている頃に、福留社長が加
わり、更に、伊藤副社長(モバイル&センシングアプリケーション担当)、金田執行役員(エン
タープライズセキュリティ&インフラストラクチャー担当) 石原執行役員(R&D、
、 ネクストラ

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


ーニングエクスペリエンスフィールド担当)がチェンジの設立構想に参画し、今の会社を立
ち上げた。
設立後、1 年以内に全員がアンダーセンから移ってきて創業期のメンバーとなった。それ
からおよそ 2 年遅れて、高橋執行役員(アナリティックス&IoT 担当)が入ってきた。アンダ
ーセン当時、神保氏は福留氏の直接の上司であった。また、高橋氏は福留氏の下にいたとい
うような仲間であった。山田取締役 CFO は、神保会長の同級生で税理士でもあり、当初から
会計事務所で当社を担当していたが、およそ 4 年後に移ってきた。上場までの 13 年間、今
のマネジメントがコアメンバーとして当社をリードしてきた。
また、2007 年 4 月に新卒として入社した野田執行役員(ネクストラーニングエクスペリ
エンスフィールド担当)が 2019 年 12 月にその任に就き、木澤執行役員(パブリテック事業
担当)も 2020 年 12 月にその任に就くなど、内部人材も順調に育ってきている。


セグメント別業績
(百万円)
2017.9 (単体) 2018.9 (単体) 2019.9 (連結) 2020.9 (連結)


NEW-ITトランスフォーメーション
売上高 1980 2447 2742 2984
 利益 ー 790 786 602
投資事業
売上高 ー 157 450 0
 利益 ー 76 288 -20
パブリテック
売上高 ー ー 3867 8713
 利益 ー ー 875 4190


  調整額 ー -352 -868 -1145
合計
売上高 1980 2604 7054 11692
営業利益 331 513 1081 3626
(注)利益はセグメント利益、調整額は全社の一般管理費。
2019.9期はTB(トラストバンク)の 10か月分を含む。




新たなフェーズに入る
2003 年に創業し、2016 年 9 月に東証マザーズに上場、2018 年 9 月に東証 1 部に指定替
えとなった。まずコンサル事業で会社を立ち上げ、次に IT 事業会社の人材育成にビジネ
スを広げた。そして、SE 教育から IT 事業へシフトしている。SE の教育だけでは、本当の
生産性向上には貢献できないと、自ら IT 事業へ参入し、それを New-IT トランスフォーメ
ーションと名付けた。New-IT を推進するという意味である。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


さらに、2018 年 11 月に大型の M&A を実行した。ふるさと納税総合サイト「ふるさとチ
ョイス」を運営するトラストバンク(TB)を買収した。現在は、M&A による成長領域の拡大
という点で、新たなフェーズに入っている。


セグメントは 3 つ
Old-IT に比べて、New-IT の特長は、①導入対象がフロントエンドであること、②構築
維持コストが安いこと、③使い勝手がよいこと、④導入時間が短いことである。現場で IT
を直接使い、便利で安く、早く使いこなしていく。
買収した TB(トラストバンク)はパブリテック事業に入っている。New-IT トランスフォー
メーション事業から、従来このセグメントにあったパブリテック関係を、TB に人材とも移
した。投資事業は、本業とのつながりの中から、ベンチャー型企業に少額投資する IPO アク
セラレーターで、株式を売却してキャピタルゲインを得るビジネスである。


New-ITトランスフォーメーション
~4つのサービスライン~



MSA(Mobile & Sensing Application)
モバイルデバイスの活用とセンサーなどを用
いた自動データ確保の仕組み構築と運用を
行うライン

ESI(Enterprise Security & Infrastructure)
クラウドなどを用いたITインフラの刷新及び
セキュリティツールの選定や導入を行うライ


A&I (Analytics & IoT )
IoTを活用したオペレーションやビジネスモデ



NLX(Next Learning eXperience)
IT事業者のNew-IT化支援及びNew-ITを実
現する人材育成の次世代学習プログラムの
提供




New-IT のサービスライン
チェンジ本体は 4 つのサービスラインを持つ。
MSA(モバイル&センシングアプリケーション)は、アップルの iPhone や iPad などモバ
イルデバイスを活用するとともに、センサーなどを用いた自動データ収集の仕組み構築と
運用を行う事業である。
ESI(エンタープライズセキュリティ&インフラストラクチャー)は、クラウドなどを用

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


いた IT インフラの刷新やセキュリティツールの選定導入を行う事業である。クラウドの普
及率はまだ低い。IT インフラを軽くしていくことに貢献する。
A&I(アナリティックス&IoT)では、IoT を活用したオペレーションやビジネスモデルの
再構築、ビックデータの解析や活用を行う。企業や組織の中にデータが溜まっている。その
活用を具体化する。
NLX(ネクストラーニングエクスペアリエンス)は、New-IT 化の支援及びそれを実行する
人材を育てるための学習プログラムを提供する。
ビジネス好調の要因は、AI、RPA(ロボテック・プロセス・オートメーション)による業
務自動化プロジェクト、音声 AI スピーカーの活用プロジェクト、VR を利用した地方創生、
AI 人材、データサイエンティストなどの人材育成、といった新しい領域が急速に伸びてい
ることにある。
New-ITのサービスライン毎の売上構成と収益性のイメージ

2016.9(推) 2017.9(推) 2018.9(推) 2019.9(推)
(%) (%) (%) (%)
MSA(Mobile & Sensing Application) 30 ○ 25 ○ 20 ○ 20 ◎
モバイルデバイスの活用とセンサーなどを用いた
自動データ確保の仕組み構築と運用を行うライン

ESI(Enterprise Security & Infrastructure) 20 ○ 25 ◎ 25 ◎ 25 ◎
クラウドなどを用いたITインフラの刷新及びセキュ
リティツールの選定や導入を行うライン

A&I (Analytics & IoT ) 10 ○ 15 ○ 20 ◎ 25 ◎
IoTを活用したオペレーションやビジネスモデル
NLX(Next Learning eXperience) 40 ◎ 35 ◎ 35 ◎ 30 ◎
IT事業者のNew-IT化支援及びNew-ITを実現する
人材育成の次世代学習プログラムの提供
(注)○は収益性、◎は収益性高い。売上構成比、収益性ともアナリストの推定




パブリテック(公共テック)の展開
事例として、熊本市の市職員向けに AI の活用研修を実施した。AI の活用に熊本市は先進
的であり、AI チャットボットの検証を行った。問い合せに自動で答えてくれる仕組みは他
の自治体にも横展開できる。奈良市の RPA の導入による業務効率の改善では、業務プロセス
を明らかにして、効率化を検証した。これらを積極的な自治体からスタートさせ、今や広が
りを見せている。
自治体の仕事の中身をみると、例えば、PC に向かって非定形なデータを入力して作業を
している。まず仕事の中身を分析する(BPR)
、次に自動化を検討する(RPA の検証)、そし
て、ツールを入れて実装する。このような作業は自治体でも企業でも山のようにある。今や
人手は足らない。自動化できるものは人手をかけないようにして、人材は別に活用しようと
いう動きが今後一段と活発化しよう。
JAXA の宇宙ロケットの打ち上げ基地のある町(鹿児島県肝付町)で、VR を利用した宇宙

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


ミュージアムを作った。VR(仮想現実)を利用したバーチャル公営美術館などへも展開でき
よう。コンテンツ中心で、大規模な建物はいらない。2)業務において起こりうる事故、災
害などを VR の教育コンテンツとしてサービスし、人材育成に活かす。実際のハザードと同
じような内容を VR で体験できるので、教育効果は大きい。


New Business Creation ユニットとして投資事業を立ち上げ
2018 年 9 月期に、New Business Creation ユニットを立ち上げた。会計上は、固定資産に
ある投資有価証券を、流動資産の「営業投資有価証券」に計上し直した。
ベンチャー企業に投資をして、IPO などによって持っている株式を売却すれば、それが売
上に立つ。営業投資有価証券は、メーカーでいえば在庫のようなものである。売却損益は通
常の営業利益に入ってくる。本業なので、そういう会計処理(日本基準)になる。今後、こう
した投資事業からの利益貢献も高まってこよう。
すでに展開していた IPO アクセラレーション プログラムを正式の投資事業と位置付け、

当社の成長戦略に関連する企業に投資を行い、事業上のシナジーを出すとともに、投資によ
るリターンも獲得していく。
実際 AI を活用した不動産テックに強みをもつ GA technologies が 2018 年 7 月に東証マ
ザーズに上場した。これによって、当社の投資額に対して一定の含み益が発生した。これを
2019 年 9 月期の 2Q で売却した。投資事業セグメントに売上高(売却額)
、営業利益(売却
益-投資事業部門コスト)が計上された。
日本の会計基準では、評価益は P/L には反映されない。B/S 上で評価益は主に純資産の中
で「その他有価証券差額金」として表示される。事業投資は本業であるから、実現したキャ
ピタルゲインはセグメントの営業利益に入ってくる。これがもし、本業でない有価証券投資
であれば、実現損益は営業外収支で計上される。ここが違う。


チームワークとコーポレートガバナンス
この 10 数年苦労をともにしてきたので、マネジメントのチームプレーはよい。神保会長
が内部のマネジメント、福留社長が顧客とのエンゲージメントという役割分担である。
監査役設置会社として、3 名の監査役は、2 名がソニーグループの出身、1 名は銀行出身
である。2017 年 12 月の株主総会で、藤原洋氏(ブロードバンドタワーCEO)が社外取締役
に入った。インターネット関連の経営者で有能な方である。2018 年 9 月に東証 1 部に市場
変更となり、2019 年 12 月開催の定時株主総会で弁護士の林依利子氏が社外取締役に就任し
た。女性活用のダイバーシティが進み、ガバナンスの強化がなされた。
また、業績目標連動型のストックオプションを導入した。全社員、役員に対して、単体ベ
ースで会社全体の業績目標が達成できた場合に、
権利行使が出来る。2018 年 9 月期から 2020
年 9 月期までの 3 カ年で、累計営業利益が 10 億円を超過した場合に 50%の行使が可能、同

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


30 億円超過した場合には 100%行使可能という内容である。


ESG も本格化
チェンジの ESG の取り組みはどうか。ビジョンに掲げる「生産性の革新」は、持続可能な
日本を創るためであり、それには ①DX と②地域創生が不可欠である。当社はこの二大テー
マに取り組んでいる。
E(環境)では、電力の地産地消、再生可能電力の寄付による流通に向けて、
「えねちょ」に
よる寄付を図っていく。
S(社会)との関わりでは。地域社会の課題解決に向けて、寄付によるクラウドファンディ
ングを行っている。沖縄の首里城再建支援、地震・豪雨などの災害支援寄付など、これまで
の寄付総額は 82 億円を突破している。
G(統治)では、コーポレートガバナンスコードに関して、これまで時期尚早と Explain(説
明)していた項目について、今期中に Comply(実行)していく。①英文開示、②後継者選任基
準、③業績連動報酬、④取締役会の実効性評価などである。
現在、外人持株比率は 12%である。時価総額 1000 億円を超えてから海外投資家とミーテ
ィングが急増している。時価総額が一気に 2000 億円を超えてきた。株主構成も、役員持株
比率は別にして、個人、国内機関投資家、海外機関投資家で 3 分の 1 ずつを目指していく。
そのためには、ESG のあるべき姿を織り込んだビジネスモデルが求められる。マネジメント
は、ここもスピード感を持って実践していく方針である。




2.強み 独自のフラッグシップモデルでブランドを高める


企画提案力とナレッジマネジメント
マネジメント層はコンサル出身なので、企画提案力が身に付いている。よって、ユースケ
ース開発力もある。つまり、課題を抽出して、どういう技術を応用していくかを通してソリ
ューションを作り出す力がある。
一方、業務が拡大してきた時に、人材の質は確保していけるのか。これに対しては課題と
テクノロジーのマップを作り、絶えず更新している。これを社内のライブラリとして立ち上
げてあり、ナレッジマネジメントを実行している。文字、動画でマニュアル化して、いつで
も使えるようにしてある。


4 つの特長~価値創造のビジネスモデル
New-IT には新しいテクノロジーがどんどん入ってくる。それを取り入れて、事業の拡大
を図っていく。当社の経営における特長は 4 つある。①経営スピードの速さ、②フラッグシ

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


ップモデル戦略、③パートナー戦略、④ユースケース開発力である。
第 1 の経営のスピードでいえば、大手企業において企画してから実現まで 3 カ月かかる
ものでも、当社は 1 日で決断できる。新しい技術の導入に対して、大手においては経営会議
にかけるまで時間をとり、それでもリスクをとらないというケースもある。当社はトップ自
ら確認して、行けると思ったらまず走らせてみる。大企業の意思決定の遅さを当社がサポー
トし、推進力を生むようにする。
第 2 のフラッグシップモデル戦略は、各業界最大手をまず顧客化して、それを大手→準大
手→中堅中小へと広げていく。そのパートナーやサプライヤーにも横展開していく。これを
フラッグシップモデルと名付けている。
第 3 のパートナー戦略は、当社が既存の SI 企業に教育を提供したり、また導入ソフトの
販売パートナーとなってもらったりしている。つまり、大手と競合するのではなく、大手と
組んで仲間となり、面でマーケットを攻めていく。
第 4 のユースケースの開発力では、業界が抱える構造的課題に正面から取り組み、真に役
に立つ事例作りを実践していく。つまり、用途を開発する力を広げていく。




New-IT トランスフォーメーションの実践~ワンストップのソリューションを提供
当社の強みは、New-IT トランスフォーメーションの実践にある。顧客の経営課題にそ
って新しいテクノロジーを使い、包括的にソリューションを提供するので、個別のプロダ
クト・サービスを提供している企業より早く、課題形成の段階から入り込むことが多い。
また、現場(LOB:Line of Business)の課題解決を、現場の予算を用いて図ることが多
いことから、企業の情報システム部門の予算で課題解決を行う他社とは異なり、競合しづら
い構造になっている。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


人材の育成と技術の活用~グローバルに IT のパートナーを開拓
事業の発展過程では、福留社長と伊藤副社長が新規事業を立ち上げて、それを執行役員が
大きくしてきた。当社の発展の原動力は、1)人材の育成と、2)技術の活用にある。
コンサルからスタートしたので、業務改革に軸足をおいた。これを具体化するところで、
IT をツールとして活用した。その IT に、常に新しい技術を取り入れて効果を上げてきた。
モバイル、セキュリティ、ビックデータ(BD)、IoT などに広がっている。
当社はベンチャー企業なので、小回りが利く。大きな組織では、すぐに実行しにくいこと
に取り組んで、具体的な成果をだしている。
また、当社のユニークさは、グローバルに IT のパートナーを開拓していることにある。
新しい IT 技術は海外のスピードの方が早い。日本は 3~5 年程度現場への普及が遅れてい
る。とりわけ、米国の動きが早いので、海外の技術を取り入れることに力を入れている。




業界の最大手から攻めていく
常に業界の最大手から攻めていく。業界トップを粘り強く、攻めていく。ハードルは高い
が、そこで一目おかれ、ビジネスを作ることができなければ、大きなマーケットにはならな
いし、本物の競争力も身につかないとマネジメントは考えている。
顧客には 3 つのパターンがある。第 1 は、ティーチャーカスタマー。当社が学ぶことので
きる顧客で、トップの自動車会社やトップの証券会社はそういう存在である。要求水準は高
く、細かいことをいろいろ言う。しかし、新しいことをきちんと仕上げるカルチャーを持っ
ているので、あまり儲からなくてもビジネスモデルのプロトタイプ作りには役立つ。
第 2 が、リードカスタマー。当社の提供するソリューションの価値が分かって、商品化、
サービス化まで、しっかり取り入れる会社である。これは、当社にも収益面で貢献する。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


第 3 がモンスターカスタマーである。いろいろわがままなことをいい、評論はするが、社
内での実行力が伴わない客である。無理に付き合っていると徒労に終わるので、早目に手を
引く必要がある。こうした点を踏まえながら、顧客開拓に成功している。


新しいテクノロジーを使う
新しいテクノロジーを表面的に使おうとするのではなく、顧客のビジネスに真に役立つ
ところまでもっていく。ビジネス上の目的を明確にして、顧客がクリエイティブになるよう
なソリューションを提供する。世の中にテクノロジーは山のようにある。単に利用するので
はなく、実際のユースケース(実用例)として評価されるところまで仕上げる。顧客の目線
で、技術を活用する力に優れているといえよう。
これと同じことをやる同業他社はほとんどない。経営コンサル、 コンサル、
IT モバイル、
セキュリティ、IoT など、類似の会社はあっても、現場レベルで具体的なユースケースを作
り込んでいくという競合会社はない。つまり、仕事をとる時点で、コンペ(競争入札)にな
るという例はほとんどない。


「ライブラリ」が競争力の源泉
提供するソリューションの部品となるべきもの、ノウハウやテクノロジー、実例などは、
社内で共有できる仕組みを作っている。これをライブラリと称しており、自分の仕事を通し
て、部品(パーツ)となるものについてはライブラリに納めていく。これをやることが、人
事評価にもつながるというインセンティブシステムを取り入れている。
New-IT トランスフォーメーションのライブラリの充実が進んでいる。1)データ流通基盤
構築支援サービス、2)データアナリテックスによるエンゲージメントサービス、3)バイタ
ルデータとスマホを利用した健康経営サービスの提供などが相次いでいる。


ストック型ビジネスが 6 割を占める
ストック型のビジネスモデル(BM)という点では、自動継続課金型モデルをベースに、その
売上比率を現在の 6 割を 8 割まで上げていく方針である。6 割のうち、ソフトウェアのメー
タリング(月額使用料、年額使用料など) 2 割、
が リピートユース(ソフトのメンテナンス、
バージョンアップなど)が 4 割である。また、ストック型 BM の中の製品は、半分が自社開
発で、半分が他社製品という割合である。


積み上がる事例
・商社の働き方改革
伊藤忠商事は、働き方改革の中で、仕事のモビリティを高めている。どこででも働けるよ
うにした。社内のいる時と同じような IT 環境をしっかり作った。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


多くの企業では、セキュリティの制約が強くかかるので、社外では、社内にいる時と同じ
ように IT は使えない。それを、当社は、米国で最もセキュリティが高いシステムをいち早
く取り込み、これを応用して、手元の端末でもデータの使い易さを確保するようにした。
この仕組みをまずトップマネジメントに使ってもらい、その効果を体験してもらった上
で、会社全体に広げる方向となった。決め手は、トップダウンである。POC(Proof of Concept、
概念実証)を行った上で、一気に適用することとなった。
・地方公共団体の政策立案サポート~リーサスの活用
鹿児島県を始めいくつかの県や市で、地方創生、地域活性化の政策立案をするにあたって
は、思い込みではなく、データを活用してエビデンス(科学的根拠)を積み上げていく必要
がある。内閣府のリーサス(RESAS、地域経済分析システム)には経済データが詰まってい
るが、これを地元の地域おこしにどう活用するか。このビックデータの活用に当たって、当
社が課題分析や政策形成を支援していく。この仕事が次々にとれている。
・BD(ビッグデータ)の分析トレーニング
浜松市の職員を対象に、データ分析能力の向上のためのトレーニングを提供した。浜松市
の主力産業である製造業でのデータ活用、産学官連携によるデータサイエンティストに育
成などにも力を入れている。自治体が第 4 次産業革命をサポートしていくには、自らの人材
育成も不可欠である。この分野も全国に広がる可能性をもっているので、有望なマーケット
であろう。
・データサイエンスおよび AI 講座が経産省で認定 1 号
経産省の「第 4 次産業革命スキル習得講座」に認定された。高度な専門性を身につけて、
キャリアップを図るためのもので、国が支援する。当社の IT 教育スキルがそのまま活きて
いる。この人材育成ビジネスは、①IT 事業者(大手 IT 企業)の教育、②官公庁や大企業の
デジタル組織のコンサルと教育、③スキルアップ人材の教育といった領域で展開しており、
ニーズと需要は飛躍的に高まっている。




3. M&A トラストバンクを軸に、パブリテックが急拡大


トラストバンク(TB)の 100%子会社化~もう一段の飛躍へ
8 月にトラストバンク(TB)を 100%子会社化することを決定した。連結業績の純利益に
は 2020 年 10 月より反映している。2021 年 9 月期にはフルに反映してくる。これまで 70%
の持分であったが、それが 100%へアップする。EPS に及ぼす効果は大きい。
TB は 2018 年 11 月に買収し、持分を 60%とした。2019 年 8 月に追加出資でこれを 70%
に上げていたが、今回 100%とした。
完全子会社化したことで、グループの一体経営が一段とやりやすくなる。チェンジグルー

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


プの一事業部門として、意思決定のスピードを上げ、本体の優秀な人材を必要に応じて投入
しやすくなる。ふるさと納税以外のパブリテックビジネスが一段と加速することになろう。
管理部門の効率化を図ることもできる。
当初の 60%所有の時は、TB の企業価値を 80 億円と算定して、その 60%(48 億円)をキャ
ッシュで買収した。今回算定した TB の企業価値は 300 億円、その 30%(90 億円)をチェン
ジの上場株と株式交換した。
TB の少数株主(創業時の株主)は、チェンジ株 198.4 万株(8 月の分割後ベース)を受け取
った。新株発行の株式数が 198.4 万株で、これは全体の 6.3%に相当する。チェンジ 1 株を
9000 円(分割前ベース)と評価して株式交換された。この分の希薄化(ダイリューション)が
おきるが、企業価値の実質的向上からみて全く問題ない。
TB の株式を現金で買収(60%)した時は、のれん代(商標権を含む)が 46 億円発生し、
これを 10 年間で償却しているが、この分は有税となっている。今回の株式交換は、チェン
ジの株式 6.3%活用しただけで、バランスシート上ののれん代などは発生しない。 の既存
TB
株主もチェンジの株主となって、企業価値向上に一緒に取り組んでいく。まさに、win‐win
の 100%子会社化と高く評価できる。


トラストバンク(TB)は「ふるさとチョイス」を企画・運営
TB は、ふるさと納税の取り扱い規模で圧倒的№1 である。寄付金額ベースでシェア 4 割
強を有する。当社のサイトのおかげで、ふるさと納税に関わるサービスが一元的に使えるよ
うになり、選択肢が増え、利用しやすくなった。
TB は、ふるさとチョイス以外にも、全国の生産者事業者を支援する「たのもし」サイト、
ふるさと探しを手伝う「ローカル日和」サイト、日本の魅力と課題を伝えるメディア「Area
Japan」
、自治体ポイントが使える新スタイル通販サイト「めいぶつチョイス」などを運営し
ている。
ふるさとチョイスは、返礼のデータを 1 つのサイトにまとめて、決済できるようにした。
ワンストップのふるさと納税の仕組みが画期的である。
現在 1500 を超える自治体と契約し、
返礼品の掲載数は 20 万点超に及ぶ。TB は、ICT を通じて地域とシニアを元気にすることを
目指し、日本最大のふるさと納税プラットフォームビジネスを築いてきた。
一方、チェンジ本体は AI や RPA など New-IT を用いて自治体の業務改革に取り組んでお
り、パブリックセクター向けのサービスが事業の柱に育っていた。チェンジの福留社長と TB
の須永珠代会長兼ファウンダーは、この自治体向けのビジネスで知り合って、一緒に仕事を
することも増えていた。その中で、TB の M&A の話が出てきた時に、競合企業よりもチェン
ジと組んだ方が互いのミッションを共有して、事業が発展できると認識した。
当社からみると、TB は全国 1500 を超える自治体にネットワークをもっている。これらの
自治体の IT 活用に、従来と比べものにならないくらいの速いスピードで入っていける。地

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


域振興、自治体のサービス、生産性の向上というパブリテック(公共セクターのテクノロジ
ー革新)を推進していく。さらには、インバウンド関連、デジタル決済も視野においている。


地方自治体へのネットワークを活かす
自治体は変化に対して一般に保守的である。ところが、ふるさとチョイスについては、参
加した自治体がみな目を見張っている。このプラットフォームを活かして、自治体のサービ
ス改革をさらに進めることができる。これがビジネスになる。
全国 1788 の自治体の業務をみると、かなり共通のものが多いはずなのに、それをサポー
トするシステムは別々にできている。このためのシステムに 6400 億円が投資されているが、
これを共通化して、新しい仕組みにしていくことで、コストが下がり、サービスの生産性が
上がっていく。サービスを受ける住民にとっても、オンラインで手続きができるようになれ
ば、今までよりは手間が省け、時間もかからなくなる。


TB の New-IT~パブリテックの展開
チェンジは、ふるさと納税事業を伸ばしたいだけで TB を買収したわけではない。ふるさ
と納税の利益を合算して企業規模を大きくするというのが第一の目的でもない。もちろん、
ふるさと納税関連事業にこれからも力を入れていく。
チェンジは、本体のパブリックの事業、人材を TB に移した。ここで新しいパブリック事
業を伸ばしている。その時、ふるさと納税事業を通して、地域の自治体とつながっているこ
とが大きな強みになる。自治体のサービスを New-IT の導入によって一新するというのが、
最大のねらいである。
ふるさと納税事業では、2 つの課題があった。1 つは、自治体によって、ふるさと納税の
本来の趣旨を逸脱して、 (納税資金)
お金 を集めているところがあった。返礼率を高くして、
しかもふるさとの物産を活かして地域振興を図るという対応をせず、単に金を集めればよ
いという姿勢が見られた。総務省はここに規制を加えた。
もう 1 つは、ふるさと納税のプラットフォームを提供する中での手数料率にある。これは
ポジティブな効果をもたらしている。この手数料率は、TB(ふるさとチョイス)の場合従来
2%であった。これが競合他社では 9%~12%である。この手数料をサービスの改善を取り入れ
ながら上げることは競争条件からみて十分可能であった。トラストバンクはふるさとチョ
イスというふるさと納税プラットフォームを運営しており、プラットフォーム運営は固定
費型ビジネスであり、売上増加分が収益に直結するので、収益性は大幅に改善する。
パブリテック事業では、New-IT で新しい可能性がある。 は 1500 を超える自治体と取引
TB
があるが、全国の自治体は既存の IT に 6000 億円のお金を使っている。この従来型のシス
テムは、各自治体がバラバラに構築し、それを富士通、NEC など大手が担ってきた。
この牙城を崩して、効率化を進めるというねらいである。新しい IT、AI、RPA を使ってい

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


けば、そして自治体に共通の仕組みをプラットフォーム化すれば、6000 億円が 3000 億円で
済むと福留社長はみている。ここにチェンジのチャンスがある。
また、地域経済を上手く回すには、地域のエコシステムを活用して、地域共創を図ってい
く必要もある。例えば、ふるさとチョイスのほかに、めいぶつチョイスなどにも活かせる。
ここに自治体ポイントを導入する。地域の中でお金をまわすが重要である。外国人にも来て
もらって、
デジタル決済ができるようにする。
このようなところで New-IT を活用していく。
実現性の高いストーリーである。


TB の PMI は成功~持分利益の貢献度も上昇
TB は、2020 年 1 月に新体制となった。須永珠代氏(前代表取締役)が会長兼ファウンダ
ーへ、川村憲一氏が代表取締役に就任した。TB の PMI(買収後の経営統合)は問題なく成功
している。次はパブリテックを担うコアカンパニーとして、ふるさとチョイスのネットワー
ク基盤を活用しながら、本来の事業拡張目的である自治体向け New-IT のビジネスを一気に
拡大することである。
TB に足らないのは、システム開発のエンジニアであった。当社はここに強みをもつ。自
治体向けのクラウドシステムを作って、共通に利用してもらうことを推進する方向である。
本体からは福留社長と山田 CFO、自治体担当の 3 名が入って、全体のコントロールに向けて
連携している。
TB はエストニアにオフィスを置く。電子政府で先端を行くエストニアをウォッチしてい
る。TB の LoGo チャットは香川県にあるパワリコのデータセンターの STNeT を使っている。


TB のマネジメント
チェンジ本体と TB のマネジメントは、今のところ別々に運営されている。ただ、TB は従
来のふるさと納税ビジネスから広義のパブリテックに舵を切っており、ふるさと納税以外
のパブリテック事業も大きな伸びが見込める。グループ経営の強化、マネジメント体制の深
化も一段と図られることになろう。
TB のビジョンは、
「自立した持続可能な地域をつくる」ことにある。ヒト、モノ、お金、
情報を地域に届け、域内で循環させることが、地域が自立し、持続可能な(サステナブルな)
状態に近づくという考え方である。
ふるさと納税事業も単なる返礼品による納税見合いの寄付集めとは考えていない。①ふ
るさとチョイスを軸としながら、②寄付金の使途を明確にしたガバメントクラウドファン
ディング、③ふるさと納税を活用した災害支援活動に広げている。これも、自立した地域作
るためである。
また、ふるさと納税以外にも、1)自治体ポイントが利用できる「めいぶつチョイス」
(EC
事業) 2)
、 地域内のお金を循環させる「地域通貨事業」 3)
、 自治体の仕事の効率化を支援し、

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


住民サービスの付加価値を高めるパブリテック事業(LoGo チャット)、4)エネルギーの地
産地消を推進する「エネルギー事業」
(えねちょ) 5)
、 自治体と企業をマッチングさせる「企
業版ふるさと納税」などに取り組んでいる。とりわけ、地域通貨やエネルギーの地産地消は
新しい展開が期待できよう。




4.中期経営計画 コロナショックに即応~DX で日本のリーダーを目指す


新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルスの影響については、1)プラス面として、地域経済におけるコロナ対
策への支援によってパブリテック事業が大きく伸びている。2)マイナス面としては、デジ
タル人材の育成事業で、集合研修が中止・延期となって落ち込んだ。現在はオンラインに切
り替えて挽回している。3)また、DX 投資の抑制が、運輸、小売り、製造業において大きく
出た。ここも、公共、金融、情報通信にシフトして、顧客を見直している。トータルでは、
プラスの効果が圧倒的に大きかったので、ピーク利益の更新を順調に続けている。
コロナショックのピンチをみて、すぐに新しいモードへ手を打った。この戦略の切り換え
のスピードが当社のモットーである。3 月末から全面在宅勤務に切り替えた。従来からそう
したシステムは作り上げていたので、何ら問題はなかった。
コロナショックは、社会、生活、企業に不可逆的な構造転換をもたらす。そこで、1)財
務の安全性を重視して、M&A は抑制してキャッシュを持つ、2)リモートでのサービス提供
体制に切り替える、3)顧客と商材のポートフォリオを見直して、官公庁マーケットを取り
にいく、という方針に舵を切った。
具体的には、①リモートによるオンライン研修のビジネスを次々に受注、②パブリテック
では、LoGo チャット、LoGo フォームを拡大、③検討していた大型 M&A は 3 月に一旦中断し
た、という動きをみせた。その後、M&A は再び検討に入っている。
企業や官公庁において、①リモートワークの環境整備、②在宅でのデジタルラーニングな
どの案件が急増している。もともと、当社が得意とするサービスなので、すぐに対応できて
いる。また、TB のふるさとチョイスが、コロナ対応をサポートする純粋の寄付活動で評価
を高めており、パブリテックの事業が大きく伸びるベースをサポートしている。


今後の事業戦略
コロナショックを契機に、事業戦略をすばやく見直した。中期経営計画の重点施策を切り
替えて、成長カーブを前倒しで実現できるようにした。
実行戦略は 3 つある。第 1 は、コロナ対応のワークスタイルが、きちんと生産性の向上に
結び付くようにすることである。多くの上場企業や自治体にとって、緊急避難的な在宅勤務

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


やリモートワークは、働く IT 環境が整っていないので、
生産性は低下していることが多い。
これでは、事態は改善しない。
第 2 は、重点ターゲットのフレキシブルな組み替えである。コロナショックで業績が大き
く落ち込む小売り、運輸、グローバル製造業から、政府官公庁、自治体などの公共関連にシ
フトする。官民に提供するサービスも、①人材育成サービスのデジタル化や、②テレワーク
支援パッケージなど、ニーズに合致したものに仕立て直している。
第 3 は、TB のパブリテックが急成長ステージに入っているので、ここにリソースの集中
投入を行う。本体のチェンジから TB への出向を増やしており、TB での中途採用や外部の委
託先も大幅に増やしている。


テレワーク環境の DX 化
テレワーク環境の DX 化では、第一波からに気づきをベースに、第二波への備えをワンス
トップで提供するサービスを整えた。
第一波の気づきでは、1)テレワークができない仕事、2)端末の配備、3)セキュリティ
の不備、4)自己アクセスの速度などが課題となった。
そこで、第二波へのラインアップとして、①Box+Zoom+direct などによる UI の向上、
②ブラックベリー+Awingu によるセキュアなリモートアクセス。③WorkSpace によるデジ
タル著作権の保護。④非接触サービスや丸ごとサポートを用意した。
また、テレワークに生産性測定に向けたデータ解析サービスを開始した。商工リサーチに
よると、テレワークは全国 1.8 万社の企業の 56%、大企業の 83%で実施されているが、そ
の実績をどのように評価するかが課題となっている。
当社は、既に実績のあるビックデータ解析サービスをテレワークに応用し、情報通信業界
に向けたサービスを開始した。従来小売業の店舗型ビジネスを対象としていた生産性測定
をテレワークの他業界に応用していく。成果の測定や生産性の評価に利用して、一人ひとり
の働きを見える化していく。


IT 人材の実態調査
チェンジは IPA(独立行政法人情報処理推進機構)からの受託で「DX 推進に向けた企業と
IT 人材の実態調査」報告書をまとめた。1 つの特徴は、IT 人材の勉強不足である。新しい
スキルを習得しても活かす場がない、IT スキルを活かして転職する意識も低い、という傾
向もみられた。
DX に取り組んでいても、トップの危機感や 10 年後のビジョンに差があり、それを担う IT
人材が不足している。新しい人材はもちろん、既存の IT 人材も学び直しが一段と要請され
ている。ここの教育・研修ニーズは極めて大きい。


本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


集合からオンラインへ~デジタル人材育成ビジネス
人材育成に向けて、2020 年 9 月より「デジタル人材育成サービス統合パッケージ」のサ
ービスを開始した。各企業の社内の人材育成を、基本スキルから実践まで 4 つの人材タイプ
別や、全社員のデジタルリテラシーを高める e ラーニングで行う。マネジメント層、企業の
現場、システム部門など、それぞれのレベルで学ぶことができる。
また、同年 11 月より DX 支援型会員制プログラム「デジテリ」を開始した。デジテリとは
デジタルとインテリジェンスを掛け合わせた当社のネーミングである。 ラーニング、 セ
e DX
ミナー・AI 利活用ワークショップ、DX コンシェルジュサービス、オープンイノベーション
コミュニティなどの 4 つのメニューから成る。これも月額課金型である。
デジタル人材の育成では、集合研修からオンライン研修に一気にシフトしている。「はじ
めて学び 5G の基礎」「DX 人材育成コンサルティングパッケージ」など E ラーニングによる

コンテンツを充実させている。


集合研修を全面オンラインへ移行するためのソリューション提供
企業の集合研修は大半が三密(密集、密接、密閉)の環境で実施されてきた。企業向け研
修サービスは 5000 億円を超える市場で、うち 3000 億円は集合研修と想定される。当社は、
新型コロナウイルス対応として、デジタル人材教育のための e ラーニングコンテンツの無
償提供を進めてきた。
この経験をベースに、集合型からオンライン型の研修へシフトするための支援サービス
を一括で行う。IT ツールの選定、調達(ストレージ、ビデオ、チャット)、カリキュラム設
計、定着支援までをまとめてサービスする。企業の教育担当者や教育事業者向けサービスと
して提供する。


在宅勤務立ち上げ統合パッケージ
テレワークの普及を急ぐ企業が増えてきた。当社はこれまで、モバイル導入プロジェクト
を多数リードして、テレワークを実現する基盤を大企業向けに構築してきた。新しいワーク
スタイルを効果的に実行するには、①技術ラインインフラ、②人材育成、③社内ルールを整
える必要がある。
「在宅勤務立ち上げ統合パッケージ」では、1)社会保険労務士事務所と連携して、助成
金申請からルールの策定までを支援する、2)社内のコミュニケーションインフラを最新の
ものにする。3)人材育成まで踏み込んで、生産性が向上するようにサービスを提供する。


非接触型の PC 配備「ゼロタッチ・キッティング」
テレワーク用の業務端末(PC、タブレット、スマホ)を完全非接触型で配備する方式を提
案し、実行している。業務端末を設定するキッティング作業を、人手を介さずにスムーズに

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


行う。Apple 端末を統合管理する Jamf Pro を活用して、企業の新入社員宅に直接配送した
ものを本番利用できるようにした。フルリモートで配備を完了させた。


自治体向け LoGo シリーズの立上げ
自治体向け LoGo シリーズでは、第 1 弾の LoGo チャットが 2019 年 9 月からトライアルを
開始し、1 月からモバイルアプリの提供を開始した。これは各自治体内の紙や電話による連
絡の代わりに、そのチャットをアプリとして使うものである。
第 2 弾の LoGo フォームも今年 3 月からスタートした。LoGo フォームは、行政専用のネッ
トワーク(LGWAN)を使って、各自治体が取り扱っているアンケート、申し込みフォームを
簡単に作成し、集計できる自治体専用 WEB フォーム作成ツールである。
LoGo フォームは、例えば政策立案のためのアンケートを作って実施したい時に、自治体
の職員が自分で簡単に作れ、回収した後のデータ分析もすぐにできる。


LoGo チャットの効果と課金化に向けて
LoGo チャットは 4 月に 261 自治体、15.7 万ライセンスであったものが、コロナショック
を経て、10 月には 549 自治体、27.4 万ライセンスまで増加した。今は件数を増やすことよ
りも、いかに質をよくして効果的に使ってもらうかに力をいれている。
LoGo チャットは、自治体の統合行政ネットワーク LGWAN で使える国内初の自治体専用ビ
ジネスチャットで、1)庁内、課内の情報共有、2)意思決定の迅速化、3)全国の自治体と
つながるコミュニティ、4)地域内事業者との密な連携で効果を発揮している。コロナ対応
として、この Logo チャットの有効性が認識されている。
TB の 2020 年 6 月のサーベイによると、自治体 1300 名のアンケートに基づいて、①1 人
当たり 1 日 25 分・年間 98 時間の業務削減、②報告や日程調整の時間の 2 割削減、③1 人当
たり年間 480 枚(約 4000 円)のペーパーレス化が図れるという結果が出ている。
実際、泉大津市(大阪府)では、市長から職員のテレワーク推進の号令が出たが、LoGo チ
ャットを活用したテレワーク導入で、1 週間で対応できるようになった。
深谷市(埼玉県)では、4 月に実証実験をし、コミュニケーションの円滑化で職員の時間
節約が顕著に見込めた。日程調整、電話対応、メール対応、会議資料の事前準備などで、時
間もコスト(人件費)も削減できることがはっきりした。全国 1560 自治体、自治体の職員
92 万人に向けてさらに広がりが期待される。
LoGo チャットは、ベンチャービジネスでいうキャズム(chasm:トップになるために越え
なければならない一線)をクリアしつつある。課金型ビジネスなので、今後アカウント 400
円/月、25 万アカウントとすれば、年商 10 億円を超えてこよう。2021 年 4 月より課金化を
開始する予定である。


本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


LoGo フォームの活用
LoGo フォームも 3 月にスタートして、10 月には 129 自治体で使われるようになった。
LoGo フォームの活用では、 月に石川県の加賀市で、
8 ハンコに頼らない電子申請を全国初で
スタートさせた。これは、対面、紙、ハンコに頼らず、マイナンバーカードによる個人認証
で、行政手続きをオンラインで完結する。いつでも、どこでも、スマホから行政サービスを
申請できる。LoGo フォーム電子申請として大いに注目できよう。
浜松市では 10 万円給付金の振込データ作成業務の効率化に利用した。これは職員に高度
な IT 知識がいらずに、自ら管理画面 1 つで、簡単に Web フォームを作れる。
10 万円の早期特別申請は、特に経済的に困っている市民に 1 日でも早く給付金を届ける
ものであった。手書きの申請書のデータを入力しなおさなければならないが、これを LoGo
フォームで管理するようにして、①給付金額の自動計算、②二重給付防止チェック、③全銀
協対応の入力制御など、給付金振込データ作成を一本化した。これを 4 日で実稼働させた。
ミスも大幅になくなった。


LoGo フォームとデジタル ID の連携~エストニアのノウハウを活用
TB と blockhive(ブロックハイブ)が 5 月に業務提携した。 の LoGo フォームと blockhive
TB
が開発したデジタル ID アプリ「xID」を組み合わせて、窓口、紙、ハンコに頼らないオンラ
イン完結の行政申請フォームを自治体職員がすばやく簡単に作成できるようにしている。
blockhive は日本の会社であるが、行政申請の 99%がオンライン化されたエストニアで
の経験やノウハウを活かして、デジタル ID や BC(ブロックチェーン)関連のソリューション
を提供している。blockhive は、すでに加賀市(石川県)と行政サービスのオンライン化を
進めている。


デジタル地域通貨プラットフォームサービス「チーカ(chiica)」
TB の自治体向けデジタル地域通貨プラットフォームサービス「チーカ(chiica)
」が埼玉
県深谷市の子育て世帯の支援事業に採用された。8 月からスタートしている。子供 1 人当た
り 5000negi(ネギー=地域通貨の名称)を支給する。5000 円に相当する。対象世帯に negi
カードを送付し、市内の地域通貨加盟店で使える。コロナ対応へのサポートである。紙ベー
スの金券に比べて、コストが 6 割も安くなる。


日本の政策 Society 5.0 の実現に向けて~ど真ん中で勝負
Society 5.0 とは、①狩猟社会、②農耕社会、③工業社会、④情報社会、の次にくる成長
フロンティアをイメージしている。そこでは、IoT、BD(ビックデータ)
、AI、ロボットなど
の第 4 次産業革命の先端技術を、あらゆる産業と社会生活に導入していく。それを通して、
さまざまな社会課題の解決に向けて、イノベーション(革新的な仕組みづくり)を活かして、

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


一人一人のニーズに合わせたサービスを提供しようというものである。
高齢者への対応、働き方改革、サプライチェーンの進化、人材力の強化、行政手続きや規
制の見直し、フィンテックの活用など取り組もうとしている。①健康寿命の延伸、②移動革
命の実現、③サプライチェーンの次世代化、④快適なインフラ・まちづくり、⑤Fintech、
⑥データ活用基盤の構築などに力を入れている。
人手不足には、AI やロボットによって自動化が進む。工場だけでなく、オフィスでも、
町でも、家庭でも利便性は上がってこよう。今まで、使われていなかったデータを収集、分
析、活用することで、新しいサプライチェーンが作られる。医療・介護、農産品、観光、行
政においてもサービスのあり方が大きく変質してこよう。
人材を活かす制度も 2 つの面で変化していく。国の政策としては、女性、高齢者、障害者、
外国人などがより活躍できるように舵取りをしていく。民間でも、大企業、中堅中小企業と
も、必要な人材の中身が変わってくるので、いい人材に来てもらえるような働き方の魅力を
備えていかなければならない。双方において、人材の教育は必須である。


経営環境に対する認識~人材育成×New-IT
政府の方針においても、①Society 5.0 、②働き方改革実行計画、③デジタルガバメント
実効計画、④キャッシュレス・ビジョンなどが次々と打ち出されており、これらを推進しよ
うとしている。
そこに、チェンジのミッションが合致する。つまり、労働生産性の向上に貢献すべくビジ
ネスを展開する。生産性の向上=人×技術=人材育成×New-IT である。人手不足を自動化
で補い、人々には新しい仕事についてもらう。新しい産業で必要となる新しい人材の育成も
不可欠である。
New-IT 領域の投資は活発である。ここでは、3 つの領域が注目できる。第 1 に、DX(デジ
タルトランスフォーメーション)の動きが全ての産業で盛り上がっている。 2 は、 (事
第 LOB
業部門の現場)における IT 投資が新規に拡大している。第 3 に、働き方改革に向けて、生
産性向上のための新しい IT 活用が不可欠になっている。これらが、当社の事業拡大に直接
結びついている。


New-IT トランスフォーメーションの市場
当社が New-IT トランスフォーメーションとして取り組む市場は 3 つある。1 つは、経営
レベルのビジネスモデル変革のための IT、2 つ目は、LOB(事業ライン)レベルの業務革新
のための IT、3 つ目は、従来型 IT 部門におけるインフラとしての IT である。
インフラとしての IT は 14 兆円市場であるが、これは New-IT に代替していく可能性があ
る。一方で、LOB(Line of Business)はまさに業務の現場であり、生産、販売、マーケテ
ィングなど、ここで IT が新ビジネス作りに貢献する。ビジネスモデルの革新も IT がそれ

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


を支えるようになっていく。
当社は、LOB をメインターゲットとして、マネジメントレベルにも入っていく。そして必
要ならば大手の SI と組んで、IT インフラのところにも取り組んでいくという方針である。
当社は大手の SI 企業と競合するのではなく、そこと組んで新しいマーケットを作ってい
く。その意味ではパートナーとなっている。大手がもっていないテクノロジーやノウハウ
を活かして、連帯して新しいマーケットを作り、そちらへのシフトを誘導していく。




長期ビジョン~Digitize & Digitalize Japan
中期 3 カ年計画を 1 つのフェーズとして、全体は 15 カ年の長期ビジョンである。そのコ
ンセプトは「日本のデジタル時代を創る、主役になる」ということである。
それを“Digitize & Digitalize Japan”と名付けている。3 年×5 フェーズの 15 年で、
日本の DX 市場においてリーダーの地位を確立することを掲げている。
第 1 フェーズの中期 3 カ年計画では、 のリーダーを目指して、
DX 現在の 3 つの事業(NEW-
IT トランスフォーメーション事業、投資事業、パブリテック事業)の拡大を図る。
財務指標としては、 年後の 2022 年 9 月期で、
3 売上高 190 億円(2019 年 9 月期比 2.7 倍)、
営業利益 47 億円(同 4.3 倍)、従業員 250 人(同 2.0 倍)を目指す。
チェンジ本体のビジネスでは、顧客数×客単価、従業員数×1 人当たり売上高を KPI とす
る。TB では、取扱額×テイクレート(手数料率)を KPI とする。
NEW-IT トランスフォーメーション事業では、顧客数×客単価で成長を図る。2019.9 期の
顧客数 249 社×13.4 百万円(1 社当たり取引額)を、2021.9 期は 360 社×18.4 百万円に高

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


める計画だ。この間の従業員数と 1 人当たり売上高は、2019.9 期の 123 人×27.2 百万円を、
2022.9 期には 250 人×26.5 百万円へもっていく。


中期経営計画の骨子



コンセプト Digitize & Digitalize Japan (Phase 1)


長期目標 3年×5フェーズの15年で、日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)市場
において、リーダーの地位を確立する


戦略 1.顧客獲得戦略 ・フラッグシップモデルの拡大
・既存SIerとの連携
・M&Aによる業界の短期席巻


2.顧客単価アップ戦略 ・クロスセルによる単価アップ
・多様な部署への直接提案


3.既存事業の強化 ・サービス強化、高付加価値化
・取扱高の増加


4.新規事業の創造 ・めいぶつチョイス
・自治体ポイント


〔2019.9期〕 〔2022.9期〕
評価指標 ① 顧客数×客単価 249社×13.4百万円 → 360社×18.4百万円


② 従業員数×1人当たり売上高 123人×27.2百万円 → 250人×26.5百万円


③ 取扱高×テイクレート 1500億円×2~3% → 2000億円×4~5%




ふるさとチョイスのシェアは、規制前の駆け込み需要を追いかけなかったという点では、
一時 40%を割り込んだが、今は 40%超に戻っている。テイクレート(フィー)は、業界が
9~12%に対して当社はこれまで 2%であったが、これを 3%に上げたが、さらに 4~5%までサ
ービスの高付加価値に見合って上げていく。
中計の達成に向けた戦略としては、①フラッグショップモデルによる顧客獲得、②既存 SI
企業との連携による顧客獲得、③M&A による顧客獲得、④クロスセルによる顧客単価アップ、
⑤顧客の多様な部署への直接提案のよる顧客単価アップ、⑥サービスの高付加価値化とテ
イクレートの改善、⑦モノからコトに向けた取扱高の増加を実行する。
まだ中計に入れていない内容としては、 パブリックにおける自治体向けデジタル化や、
1)

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


2)地域通貨を利用した地域経済圏の発展サポートなどがある。ふるさとチョイスは 2000 億
円の取扱高を 3000 億円にもっていくことも十分可能であろう。


中期3ヵ年計画の財務目標
(百万円)
2019.9 2020.9(計画) 2021.9(計画) 2022.9(計画)
(実績) (当初) (実績) (当初) (修正) (当初)
売上高 (旧日本基準) 7054 9352 11692 14639 18631~19131 18986
(新日本基準) 15781~16281
営業利益 1081 1300 3626 3400 4700~5200 4700
経常利益 959 1281 3632
親会社に帰属する利益 378 520 1547




次期中期計画の方向
2021 年 9 月期の 1Q を発表する 2 月に、次期中期計画(2022 年 9 月期~2024 年 9 月期)
も公表する予定である。今期の営業利益計画は 47~52 億円であるが、これに対して 3 年後
の 2024 年 9 月期の営業利益は 100~120 億円をターゲットとする。ここには M&A も含んで
いる。
成長領域としては、1)デジタル人材育成で№1 を目指す、2)パブリテックで LoGo シリ
ーズの課金をスタートさせる、 ふるさとチョイスの SCM(サプライチェーンマネジメント)
3)
で物流事業をアライアンスで本格化させる、4)発電と蓄電の再生エネルギー事業を立ち上
げる。蓄電池ではテスラのものを利用する。
営業利益の増加分+50 億円は、人材で+20 億円、LoGo で+10 億円、ふるさと納税で+20 億
円、エネルギーで+10 億円の 60 億円をベースに、その中で達成していく方針である。
その内容として、1)New-IT 部門では DX 人材の育成が大きく貢献すると見込んでいる。
DX 人材は日本中で不足している。多くの企業には再教育すれば、DX を担うことのできる人
材は数多くいる。ここにフォーカスしていく。
2)パブリック事業における LoGo シリーズへの課金はこれから始まろうとしている。一番
重要なことは、この分野でデファクトスタンダードの位置をとることである。自治体におけ
る使い勝手のよいツールは LoGo であるということになれば、課金はいずれできている。今
は競合がいないが、潜在的な競合も想定されるので、シェアを高めることが優先されよう。
3)ふるさと納税ビジネスの収益性はどう考えるか。経営方針としては、第 1 に、ふるさ
とチョイスの利便性をより高めるよう付加サービスに充実に力を入れる。
その 1 つとして、
返礼品の物流コストヤマト運輸と組んで効率化を図っいく。自治体や地元の産業企業にと
って物流コストが安くなるようにしていく。結果として、当社の付加サービスの対価も上が
ってくることが見込める。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


第 2 は、テイクレートを上げることだが、これは当面考えていない。競合のテイクレート
はは 10%前後で、TB は 5%であるので、競争優位は明らかであるが、ここはビジネス上のア
ローアンスとしてとっておく。
第 3 は、市場がどこまで大きくなるかという見通しである。ふるさと納税の意義は地方創
生にある。そこに寄与していると実感されればよいが、再び返礼品にのみフォーカスされて、
それによって市場にゆがみが出るのであれば、規制が強化されよう。健全で適度な発展を前
提としており、市場の急拡大は見込んでいない。
4)エネルギー事業については、地域における再生エネルギーの利用を具体化する。大手や
ベンチャーにはできない地元密着型の開発である。しかも、その電力を病院など地域のイン
フラを強くするようなところに蓄電できるようにしていく。ここは一定の投資を必要とし
よう。
チェンジが推進する新技術の市場化ステージ



4thステージ 販売・技術パートナーとビジネスをレバレッジ
市場拡大


市 3rdステージ 同業・類似業界へ横展開し、ノウハウを蓄積
場 サービスの横展開

模 2ndステージ フラッグシップユーザーに導入
事業性評価


1stステージ 米国新技術
技術研究





新技術の市場化戦略
チェンジでは、新技術の市場化ステージを 4 段階で捉えている。1)第 1 ステージ〈技術
研究〉~自社で技術を研究し活用を順次検証していく。2)第 2 ステージ〈事業性評価〉~
それが事業になるかどうかをフラッグシップユーザー1社に導入してパイロットプロジェ
クトを実行する。3)第 3 ステージ〈サービスの横展開〉~先行事例をもとに、それを同一
業界や類似業界へ横展開してノウハウを蓄積する。4)第 4 ステージ〈市場拡大〉~販売パ
ートナー、技術パートナーと組んでビジネスを一気に伸ばす。


提携戦略と IT 技術の導入
IT 技術の導入に当たっては、ガートナー社の技術評価を利用しており、日本に未進出の
テクノロジーで有望なものをいち早く取り込んでいる。米国の企業は、アジアではシンガポ
ールや香港にアクセスしても、日本へのリーチは必ずしも早くない。日本は英語のバリアが

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


あり、ビジネスのピッチも遅いので、そこに当社がうまく仲介できる余地がある。
提携戦略では、新しい IT 商材を取り入れて使いこなすようにしている。実際、米国
SimpliVity 社のハイパーコンバージド・インストラクチャー製品は、有力なその 1 つであ
る。これをライブラリに入れた。従来なら IT 機器を幾つも組み合わせて、全体のシステム
を作り上げていくが、いろいろな機能を超(ハイパー)集約(コンバージェンス)して、 イ
IT
ンフラを構成していく。米国ではすでに使われ始めており、日本ではこれからである。安く、
早く、拡張性の高いシステムを今後ビジネスに活かしていく。


IPO アクセラレーション・プログラム~ビービット社と連携
2020 年 9 月期の 3Q に、UX デザインコンサルティングのビービット社に出資した。同社
は、UX(ユーザーエスクペリエンス)のコンサルにおいて優れた実績を内外で有している。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進には、企業が提供するプロダクトやサービ
スだけでなく、その体験(エスクペリエンス)こそがカギを握る。
ビービット社は、日本、上海、台湾にてこうしたコンサルを行ってきたが、ここにきて、
日本の大企業に本格的なプラットフォームサービスを行うことにした。今回のファイナン
スは経営共創基盤のリード役にするが、チェンジの福留社長はビービット社の遠藤社長を
20 年来よく知っており、チェンジとしても連携を組むことにした。
チェンジは、大企業の New-IT トランスフォーメーション(いわゆる DX)のコンサルをビ
ジネスとするが、UX については、ビービット社と連携することが優位性を高めることにな
ると判断した。いずれ上場すればキャピタルゲインも得られるが、本業における連携効果を
主眼にしている。
IPO アクセラレーション・プログラムでは、IPO 直前の新興企業と資本業務提供して、IT
系の新しい技術サービスを当社がサポートしていく。先方にとっては、上場後のビジネス拡
大余地が広がるのでメリットが大きい。当社も New-IT 分野で顧客を増やすと同時に、サポ
ートの対価として株式を通したキャピタルゲインも得ていく。
その 1 号案として Phone Appli 社と資本・業務提供した。Phone Appli 社は、ウェブの電
話帳で強みを有しており、ここに投資して事業拡大をサポートする。IPO 支援プログラムと
して投資した Phone Appli 社は、クラウド web 電話帳アプリで、国内シェア№1を有し、ユ
ニファイド・コミュニケーションソリューションの開発、販売に力を入れている。この会社
を売却した。当社としては営業投資有価証券の売却益が、2018 年 9 月期の業績に貢献した。
第 2 号は GA technologies への投資で、ここは不動産関連の AI を活用したリノベーショ
ンアプリの開発運用や、不動産投資アプリの開発運用を手掛けている。IPO アクセラレーシ
ョンの投資先は、エンタープライズ IT に特化していく。当社の目利き力を活かして、成長
できるかどうかが判断できるうえ、シナジーも十分読めるからである。この会社も 2019 年
9 月期の 2Q に売却した。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


ヒューマノイドアプリ開発のヘッドウォータース社に投資した。ヒトの形をしたロボッ
トで AI スピーカーの活用を展開していこうとしている。9 月に IPO された。
ヘッドウォータースとの資本・業務提携にみられるように、アクセラレーション・プログ
ラムでは、1)当社のネットワークにいろんなベンチャー企業の情報が入ってくる。2)その
中から双方の事業の相性をみて、事業面でサポートできることを確認する。3)その上で、
資本も 10%前後で提供する。この投資業務、事業育成業務を当社の本業とする。すでに定款
も変更している。
また、5 番目の事業投資として、AI Cross(旧 AOS モバイル)の株式の一部を取得した。
この会社は AI ベースのビジネスチャットソリューション「In Circle」やスマホ利用の法人
向け SMS ソリューション「AOSSMS」など手掛けている。B to B のモバイルコミュニケーシ
ョンをサービスする。こうしたツールを自治体向けサービスに応用していく方向にある。


投資事業~IPOアクセラレーションプログラム


投資先 投資期 事 業 ねらい 出資後
Phone Appli 2017.4 クラウドweb、電話帳アプリ 共同マーケティング 2018.8
NTTコミュニケーションズに売却
GA technologies 2017.12 AI不動テック AIシナジー 2018.7にマザーズ上場
2019.9期の2Qに売却
ヘッドウォーターズ 2018.4 ロボット用AI 共同マーケティング 2020.9にマザーズ上場、保有
ボイスタート 2018.7 シニア向けAIスピーカーサービス 地域創生事業 解散、NTTデータに譲渡
AI CROSS 2018.7 AIビジネスチャット パブリテック推進 2019.10にマザーズ上場、保有
識学 2018.9 組織マネジメント 共同マーケティング 2019.2Qにマザーズ上場
2019.4Qに売却
GAUSS 2019.7 AI予測汎用エンジン 法人向けAI市場開拓 保有
エアロネクスト 2019.8 ドローンアーキテクチャー 産業用ドローン推進 保有
ビービット 2019.6 UX(ユーザーエクスペリエンス) DXシナジー 保有
デザイン




6 件目の識学は 2 月に東証マザーズに上場した。新規上場は 2 件目である。この識学と連
携して、社員の生産性を可視化するためのデータ分析サービスを開始した。
当社は大企業に強く、識学は中堅企業への営業力が強い。小売業や飲食業において、アル
バイトも含めて 1 人 1 人の生産性をどうやって測るか。それを人事管理、人事評価にいか
に活かしていくか。
この時、様々なデータを BD(ビックデータ)として分析し、生産性に関わる重標指標を
見出していく。このコンサルを当社が担う。ここのノウハウを蓄積し、識学はその活用法を
自社のビジネスに活かす。識学は 2019 年 9 月期 4Q に売却した。
昨年 7 月には、GAUSS に投資した。数千万円で数%保有するというタイプである。AI を使
って予測システムを作り上げる独自の AI アルゴリズム(マシーンラーニング、ディープラ

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


ーニング)を得意とする会社である。GAUSS との協業によって予測・画像認識、自然言語処
理・音声解析などの分野でユースケースの開発を目指している。
産業ドローンの本格的社会実装を目指して、ドローンを用いた業務生産性の向上で多数
の実証研究を進めている。どのような技術が重要なのか。安全基準、メンテナンス基準など
について、普及のインフラを創っていく。そのコアのメンバーになろうとしている。
業務提携しているエアロネクストへ 8 番目の出資を行った。次世代ドローンの活用を目
指して、Dass(Drone as a Service)のドローンサービスプラットフォームの開発を行って
いるエアロネクストをトータルサポートする。
エアロネクストの独自技術である重心制御技術「4DGRAVITY○」は画期的で、360°VR 撮
R

影、水平輸送、ピンポイントランディング、宅配ドローンなどに応用範囲が広い。中国の深
圳にも進出している。このドローンを屋内外の施設・設備苑件、地形調査、在庫管理など、
業務特性に合った活用でサポートする。
また、ドローンの活用では、長崎県の平戸市で、地域課題の解決に向けて、漁業、観光、
教育分野で開始した。密漁監視、観光サービス、スクール立ち上げなどが手始めである。


最近の動向~ノウハウのビジネス展開が本格化
・XR の活用
VR(仮想現実)
、AR(拡張現実)
、MR(複合現実)などの技術の総称が XR である。XR 技術
を用いて、観光地へ外国人観光客を集客するサービスを立ち上げた。これまで、個別のサー
ビスをプロジェクトで手掛けてきたが、どの地域、どの企業や官公庁でも一般的に使えるよ
うな IT 活用のサービスを開始した。これもユースケースの一般化である。
・人材育成のラーニング分野
チェンジはデータサイエンステイストの教育学習をリードしているが、この分野で当社
独自の資格制度を作り、その普及を通して、人材育成に貢献しようとしている。CDSB(チェ
ンジデータサイエンティストベーシック)の資格取得に加えて、上位資格としての CDSA
(チ
ェンジデータサイエンティストアドバンス)の認定も増加している。こうした資格制度を通
して、ラーニングの認知度を上げようとしている。
また、定額制のラーニング「RETOMO」(レトモ)の提供を開始した。デジタル技術を学ぶ
ことは、今やシステム部門だけでなく、あらゆる現場で求められている。DX(デジタルトラ
ンスフォーメーション)が現場でおきているからである。そこで、デジタル技術を学ぶコン
テンツを見放題にする定額制サービスを始めた。自由にオンライン学習ができる。
RETOMO は Rex(恐竜)To Mouse(ねずみ)を意味し、環境の激変を生き抜いて繁栄できるよ
うにという意味を込めている。
・BOX ベストソリューション
BOX での活用では、当社がそのサポートで業界をリードしてきた。そのサービスを汎用化

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


した。BOX はビジネス文書のファイル共有、コラボのためのクラウドサービスである。BOX
を利用したクラウド・コンテンツ・マネジメントは、生産性向上に大いに寄与するが、これ
が日本企業においてはまだ十分でない。顧客に合ったコンテンツの一元管理がスピーディ
にできる。
BOX ベストソリューションでは、第 1 弾マニュアル探すくん(2019 年 11 月)、第 2 弾情報
まとめくん(2020 年 1 月)、第 3 弾点検すすむくんへと展開している。
「マニュアル探すくん for Box」は、BOX ベストソリューションの第 1 弾で、現場のトラ
ブルを最短で解決する台帳管理ソリューションである。現場で機器、機材などにトラブルが
発生した時、誰に聞く、どこに連絡する、マニュアルはどこかなどについて、機材についた
QR コードを専用アプリで読み取るだけで、誰でもすぐに対応ができる。情報のメンテナン
スも BOX に格納されたエクセル管理台帳と連動しているので、更新も簡単である。月額課金
型の利用方式をとる。
「情報まとめくん」は、メールの仕分け、転記、見逃しなどを、自動転記、自動通知し、
BOX フォルダ内のエクセル台帳にまとめる。ここにアクセスすれば、すべて対応できる。こ
れも月額課金型の利用方式をとる。
・BYOD のセキュリティ診断サービス
世の中をみると、個人で所有する情報端末(スマホ、タブレット、PC)を利用して一部業
務を行っている人々は多い。組織によっては一切禁止されて、会社専用のデバイスを支給さ
れているところもあるが、個人のものと組織のものを現場や自宅で使い分けるのは面倒で
ある。一方で、セキュリティは絶対に確保する必要がある。
BYOD(Bring Your Own Device)は、許可を得ずに管理されていないデバイスを逆にきち
んとコントロールして、業務に効果的に利用しようとする。官庁、自治体向けのパブリテッ
クの推進において、こうした活用に当たってのセキュリティについて診断し、今後の対応を
推進しようという内容である。
・Fintech のシンフォニーと開発パートナー契約
米国のシンフォニーコミュニケーションサービス社と提携した。シンフォニー社は金融
機関向けコラボレーションプラットフォーム「Symphony」でビジネスを展開し。米国中心に
内外 400 社の有力金融機関で採用されている。高いセキュリティとコンプライアンスが要
求される金融機関にあって、法人向けチャット・ツールとして使われている。チェンジでは、
シンフォニーをプラットフォームにして、日本の金融機関にチャットボット型のコミュニ
ケーションで革新を働きかけていく。インサイダー情報、重要情報をきっちり守りながら、
会話していく仕組みはまさに有効である。
・ファーストラインワーカーの生産性向上支援
当社は日本マイクロソフトと連携している。オフィスワーカーに対して、現場で働く人材
をファーストラインワーカーとマイクロソフトでは呼ぶが、ファーストラインワーカー向

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


けの製品、サービスを日本マイクロソフトはいろいろ提供しようとしている。その時、 で
IT
現場に強いのはチェンジであると知り、現場のニーズと連携することが重要であると判断
し、当社に声をかけた。当社のコンサルの強みが活かされることになろう。
・パナソニックへオンラインでの働き方研修を提供
人材育成では、パナソニックのインダストリアルソリューション社で、オンラインでの働
き方研修を提供した。社員が 1 万人いる中で、大人数にスピーディに研修を行うには当社の
内容と方式が合っていると評価された。
・DX 人材のアセスメントの提供
DX 人材のアセスメントの提供も行っている。同じ DX 人材といっても、①デジタル技術を
新たなるビジネス創造に活かす人、②既存ビジネスの業務効率改善に活かす人、 2 つのタ

イプがありうる。この適性を見極めることも重要で、そのサービスを提供している。
・コンサルへ DX プラットフォームを提供
ヘッドウォータース社と連携して、東京海上日動リスクコンサルティングへ DX プラット
フォームを開発し提供した。コンサル業務は様々なデータを使うわりに、業務の個別性が高
く、システム化が十分でなかった。ここに業務の効率化が図れるように、クラウドベースの
プラットフォームを開発し提供した。
・地方銀行向けに DX 支援
地方銀行向けに DX 支援を本格展開していく。TB はふるさと納税の業務を通して、全国の
地銀とネットワークを張っている。個別の地銀向けにクラウドファンディングや EC、D to
C(Direct to Consumer)の仕組みに結び付けていく。地銀にとっては、本来周辺ビジネス
の拡大につながろう。
・サイバーセキュリティでサイバーコン社とパートナー契約
サイバーセキュリティが一段と重要になっている。米国の Cyber Reconnaissance(サイバ
ーコン)社パートナー契約を結んで日本でのサービスを開始する。サイバーコンは、独自の
AI アルゴリズムで、ハッカーの行動を分析し、企業へのサイバー攻撃を予測し、順位付け
できる唯一のプラットフォームを提供する。これをセキュリティに利用していく。
・地域通貨でトヨタファイナンスと業務提携
TB は、トヨタファイナンスと業務提携した。TB が有するデジタル地域通貨プラットフォ
ームサービス「chiica(チーカ)」と、トヨタファイナンスが有する各地域の加盟店網、キャ
ッシュレス精算スキームにより、自治体の地域通貨導入と運用の効率化を図ろうとするも
のである。将来はチーカが MaaS(移動の総合 IT サービス)に結びつくことが想定される。


ふるさと納税の寄付市場
2019 年度(2019 年 4 月~2020 年 3 月)のふるさと納税の受入額は 4875 億円(前年度比
-4.9%)となった。受入件数は 23345 件(同+0.5%)であった。これは、ふるさと納税の制

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


度改正(2019 年 6 月)を前にして、制度活用について抑制と混乱があったことによる。
2019 年 6 月からの新規制で対象外となった自治体は、大阪府泉佐野市(2018 年納税額 287
億円、前年比 2.7 倍)、静岡県小山町(同 106 億円、同 4.4 倍)、和歌山県高野町(同 85 億
円、同 4.6 倍)
、佐賀県みやき町(同 139 億円、同 3 割増)などであった。
返礼品は、寄付額の 3 割以下、地場産品に限るとなったが、そうでない寄付額が、2018 年
度では 1112 億円ほどあった。全体の 2 割に相当し、特定の自治体に集中していた。
2020 年度は新しい制度のもとで、順調に推移しているとみられるので、2020 年 10~12 月
がカギであるが、寄付額は 2 桁の伸びが見込めよう。


ふるさと納税の寄附
(億円、万件、万人)
寄附金受入額 受入件数 適用者数
2015.3 388 191 44
2016.3 1652 726 130
2017.3 2844 1271 227
2018.3 3653 1730 296
2019.3 5127 2322 395
2020.3 4875 2333 406
(注)適用者は住民税控除適用者



寄付の中身~社会貢献も含めて
ふるさとチョイスでは、7月の豪雨に対するふるさと納税の寄付金がかなり集まった。被
災地以外の自治体が寄付の代行業務を担う「代理寄付」も機能した。こうした寄付に返礼品
はない。もちろん TB も手数料をとらない。こうした活動がしっかり根付いている。
また、コロナ給付金のプラットフォームも提供している。コロナ給付金寄付実行委員会
(公益財団法人パブリックソース財団、ヤフー、 は、
TB) 「コロナ給付金寄付プロジェクト」
を実行し、寄付金を募集したが、その寄付金の助成先として、企業、団体、個人を選び応援
している。医療、福祉、教育子供、文化芸術スポーツ、中小企業などである。


市場規模の見方と当社へのインパクト~ふるさとチョイス
2019 年度については、総額としては 5000 億円を下回ったが、ふるさとチョイスは問題あ
る自治体とはいち早く手を切っていた。
今後 3 年間については、5000 億円を上回る需要が想定されるが、6000 億円の取扱額で平
均テイクレート 5%とすれば、シェア 5 割として、150 億円の収入が入ることになろう。
ふるさと納税については、1)自治体への応援という本来の主旨と、1)税収の奪い合いと
いう副次的な作用もある。過度の返礼品には規制が入っており、ふるさと納税を運営するポ
ータルサイトについても、利用者を本来の主旨と違う方向へあおったり、誘導したりすれば

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


規制が入ることもありうる。当社は業界トップの企業として、この点は十分わきまえて運営
に当たっている。当局ともよく意見交換をしている。
テイクレートは、2020 年 9 月期上期(10~3 月)の 3%に対して、下期(4~9 月)は 5%と
した。3%というのは、8%、5%、1%、定額といういくつかのタイプの平均であったが 4 月
からは、一律 5%にした。上がった自治体もあれば、下がった自治体もある。5%に一本化
したことに対しては問題なく受け入れられた。


企業版ふるさと納税もチャンス
政府は企業のふるさと納税も拡張する方針だ。2018 年度の寄付額は 34 億円にとどまって
いる。税の優待度合いを高めて、地方創生につなげる政策を強化しようとしている。ふるさ
とチョイスではこの企業版ふるさと納税でもプラットフォームとしてのサポートを検討し
ていく。さらに、パブリックとしては、自治体と企業をうまく結びつけて、これを事業化し
ていくことも有効となろう。


パブリテック事業の広がり~公共フィンテックへの展開
パブリテック事業については、ふるさと納税を軸に一気に周辺事業への広がりを目指す。
自治体向け決済サービスを開拓している。公金の決済のサポートを開始しており、その取り
扱い収入が、パブリック事業の 7~8%を占めている。これは、TB の買収後始めたサービス
である。公共フィンテックのスタートともいえよう。その一環として、 を子会社化した。
Orb
コミュニティ通貨のアイデアはいろいろありうる。国の円と同じものにはなりえないが、
使い勝手の工夫はできる。
例えば、ジェネリック医薬品の利用率が低い市町村がある。ここに、コミュニティ通貨で
インセンティブを与える。市町村がそのインセンティブ分を負担する。ポイントのように地
域で使える通貨をインセンティブとしてスマホにチャージする。
そうすると、利用者はインセンティブがもらえ、市町村はジェネリックの利用率アップで、
自ら負担する医療費を削減できる。つまり、財政負担の軽減に役立つ。このようなアイデア
を次々と実行していく方針である。公共サービスの効率化を、フィンテックを使って推進し
ようというもので、これは画期的である。


Orb の買収
2020 年 2 月、TB は Orb(オーブ)を買収した。同社は、ブロックチェーン関連技術に高い
ノウハウを有する。独自の分散型台帳技術「Orb DLT」を活用して、コミュニティを活性化
する決済ソリューションを強化できる。
Orb の業績は、2019 年 1 月期で売上高 32 百万円、営業利益-194 百万円、純資産 47 百万
円、総資産 157 百万円であった。いい技術をもっているが、ビジネスは十分でなかった。こ

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


れまでの主要株主はベンチャー投資会社であったが、今回 TB が 150 百万円を出資して、持
株比率を 71.76%とした。フィンテックの Orb DLT への出資は、地域通貨への布石である。
プレミアム商品券を地域で自由に使えるように工夫していく。


バランスシート
(百万円、%)
2017.9 2018.9 2019.9 2020.9
流動資産 1238 2103 5774 11327
現預金 978 1055 3814 7629
売掛金 230 478 1526 2920
営業投資有価証券    ー 500 136 541
固定資産 190 165 5101 5045
有形固定資産 49 54 211 180
無形固定資産 45 27 4593 4617
のれん ー ー 3318 3117
投資その他 96 83 296 248
資産合計 1429 2268 10898 16386
流動負債 282 493 1574 5046
買掛金 52 90 242 120
短期借入金 38 45 392 380
未払金 34 55 154 924
固定負債 58 118 3055 2605
長期借入金 39 93 2611 2231
純資産 1088 1655 6267 8733
有利子負債 77 139 3003 2761
有利子負債比率 5.4 6.1 27.6 16.8
自己資本比率 75.9 72.8 50.9 44.4



公募増資によるファイナンスを実施
2019 年 5 月の公募増資公表後、一時株価はかなり下げた。希薄化(ダイリューション)を
織り込むにしても、その下げ幅は大きかった。成長企業にとって公募増資によるファイナン
スは有効な手段であり、その資金を活用する成長ストーリーが重要である。当社の場合、そ
のストーリーは明快であった。
B/S では、M&A 直後は借り入れを行い、自己資本比率は 2019 年 9 月期 1Q 末で 13.9%まで
低下したが、今回の公募増資で、2019 年 9 月末の自己資本比率は 50.9%まで向上した。
昨年 5 月に公募増資は 160 万株で、既存発行済株式の 11.4%に相当した。発行価格は 2764
円/株で、振込金額は 42.6 億円となった。3 月末の純資産が 23.0 億円であったから、自己
資本の充実に寄与した。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


資金の使途は、①人材(人件費)5 億円、②新規事業開発(ソフトウェア、R&D)10 億円、
③資本業務提携 10 億円、④借入金返済(M&A)17 億円であった。
内外の投資家に販売されたが、国内は個人投資家、海外は機関投資家であった。注目すべ
きは全体の 40%強が海外投資家の保有となった。外人持株比率が 12%を超えたことになる。
TB の買収は 48 億円であった。みずほ銀行より 50 億円を借り入れた。その後公募増資で
42 億円を調達した。2019 年 9 月末の借入金は 30 億円であるが、これを現状ペースであれ
ば年間 4 億円ほどを返済していく。内部留保の活用で全く問題ない。


キャッシュ・フロー
(百万円)
2017.9 2018.9 2019.9 2020.9
営業キャッシュ・フロー 326 245 -10 4434
税引後利益 259 387 340 3354
減価償却 13 26 221 376
のれん 301 374
売上債権 399 -1392
未払い金 -856 682
預り金等 -519
営業投資有価証券     ー 28 63 -202
投資キャッシュ・フロー -110 -243 -3048 -269
有形固定資産 -11 -17 -192 -26
無形固定資産 -41 -11 -185 -254
子会社株式の取得 -2823 -36
投資有価証券 -45 -211 0 0
財務キャッシュ・フロー 10 75 5787 -348
長期借入金 3 61 2740 -392
株式発行 5 15 4256 45
現預金期末残高 978 1055 3784 7599



IFRS(国際会計基準) への移行
2020 年 9 月期は日本基準であったが、同時に IFRS での有報も公表する。2021 年 9 月期
からは、IFRS での決算となる。1)ネットでの収益認識(仕入販売は粗利が売上へ)、2)の
れんの非償却、3)借入金の手数料の期間按分などが影響してくるが、大きいのはのれんの
償却分である。
のれんは償却しないので、営業利益はその分が増えてくる。投資事業は時価評価(未上場
分も含めて)される。短期所有の有価証券(営業投資有価証券)も時価評価され、その損失
が P/L に反映されるなどの変化が出よう。


本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


5.当面の業績 急成長を持続しよう


2018 年 9 月期までは単体~7 期連続でピーク利益を更新
2018 年 9 月期は、売上高 2604 百万円(前年度比+31.5%)
、営業利益 513 百万円(同+
55.0%)
、経常利益 513 百万円(同+57.7%)
、純利益 343 百万円(同+49.5%)と極めて好調
であった。音声認識や AI の活用、デジタル人材の育成が大きく伸びたことによる。
売上高原価率は 61.1% 同 59.8%)
( とやや上がったが、
売上高販管費比率は 19.2% 同 23.5%)

とかなり改善した。よって、売上高営業利益率は 19.7%(同 16.7%)へ向上した。
New-IT トランスフォーメーション事業では、①AI 人材やデータサイエンステイストなど
の高度人材育成サービス、②AI スピーカー関連プロジェクト、③働き方改革関連プロジェ
クトが計画を上回った。投資事業では、4Q に Phone Appli の売却益が入った。一方で、東
証 1 部上場のための準備費用が発生したが、これはクリアした。
売上の内訳をみると、AI、IoT、New-IT の関連プロジェクト、ライセンスの提供が 7 割、
IT 人材育成教育が 3 割というイメージであった。


セグメント別業績
(百万円)
2017.9 (単体) 2018.9 (単体) 2019.9 (連結) 2020.9 (連結)


NEW-ITトランスフォーメーション
売上高 1980 2447 2742 2984
 利益 ー 790 786 602
投資事業
売上高 ー 157 450 0
 利益 ー 76 288 -20
パブリテック
売上高 ー ー 3867 8713
 利益 ー ー 875 4190


  調整額 ー -352 -868 -1145
合計
売上高 1980 2604 7054 11692
営業利益 331 513 1081 3626
(注)利益はセグメント利益、調整額は全社の一般管理費。
2019.9期はTB(トラストバンク)の 10か月分を含む。




2019 年 9 月期から連結へ~TB が 10 か月分寄与
2019 年 9 月期は、売上高 7054 百万円(前年同期 2604 百万円) 営業利益 1081 百万円(同

513 百万円)
、経常利益 959 百万円(同 513 百万円)
、純利益 378 百万円(同 343 百万円)と
なった。当期より連結決算を開始している。前期の単体決算に比べると、TB(トラストバン

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


ク)を連結したことで、業績は大幅に伸びた。TB の売上、営業利益が 10 カ月分入った。
但し、当初の計画は未達に終わった。営業利益で 1448 百万円、純利益で 766 百万円を計
画していたので、そこには届かなかった。要因は 3 つある。
1 つは、TB のふるさと納税で、6 月の新しい規制前の駆け込み納税を取り込む自治体が出
た。当社はふるさと納税の本来の主旨から、それらの自治体を取り扱わないことにした。こ
れによって、ふるさと納税からの収益が数億円単位で見込みを下回った。
第 2 は、パブリック部門の強化に向けて、TB に本体からパブリックの人材を移し、次の
ビジネス展開に向けて人材を投入した。この分野は立ち上げには 2 年を要するので、最初の
年としては、その分従来のビジネスが減少した。
第 3 は、パブリックに人材を移した分くらいは、主力の New-IT 部門で十分カバーできる
と想定していたが、この分野の民需は難度の高い個別案件が増えており、順調に伸びてはい
るが、パブリテックの分をカバーするまでには至らなかった。仕事の引き合いは十分あった
が、人材をまわしきれなかったことによる。
ふるさと納税の健全化に対して、当社は駆け込み的な需要を追うことなく、新しい仕組み
(30%返礼)に対応したビジネスをいち早く展開した。顧客も様子見となったので、一部の
ビジネスで機会損失を招いたが、そのことをネガティブにみる必要はない。あるべき方向に
適切に対応した結果である。
IPO アクセラレーターでは主要なところで 8 社に投資していたが、2Q に GA Technologies
の株をすべて売却、4Q に識学の株をすべて売却してキャピタルゲインを得た。投資では、2
月に識学が、10 月に AI CROSS が東証マザーズに上場した。新規投資家では、7 月に GAUSS
へ、8 月にエアロネクストへ出資した。
営業外費用には M&A に伴う資金調達費用が 125 百万円入っている。当期純利益は 562 百
万円であったが、ここから TB の非支配株主に帰属する純利益 184 百万円(TB の利益の 40%
分)が引かれたので、親会社の株主に帰属する純利益は 378 百万円となった。


四半期別業績の推移
(百万円)
1Q 2Q 3Q 4Q
売上高 営業利益 売上高 営業利益 売上高 営業利益 売上高 営業利益


2017.9(単体) 465 36 467 120 628 166 420 9


2018.9(単体) 392 25 767 176 702 165 743 147


2019.9(連結) 2035 439 1630 132 1664 270 1725 240


2020.9(連結) 4512 2570 1673 40 2577 676 2930 340



本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


ふるさと納税の季節性
ふるさと納税は、1Q(10~12 月)がピークで、2Q(1~3 月)が少なく、3Q(4~6 月)と
4Q(7~9 月)と徐々に増えていく。この変動が今は大きいが、ユーザーが慣れてくるにし
たがって、季節性は次第に平準化してこよう。
この季節的拡大は、1Q 末(12 月末)のバランスシートに端的に表れる。2019 年 12 月の
売掛金が 4836 百万円 月末比+3309 百万円) 負債サイドの預かり金 1995 百万円
(9 、 (+1632
百万円)となった。これが 2Q 末(3 月末)にはかなり平準化してくる。


2020 年 9 月期は大幅増益となった
2020 年 9 月期は、売上高 11692 百万円(前年度比+65.8%)
、営業利益 3626 百万円(同
+235.2%)
、経常利益 3632 百万円(同+278.5%)、純利益 1547 百万円(同+309.5%)と急拡大
をみせた。
New-IT 部門は、DX 人材の育成がコロナ前とは一変し、対面での研修、セミナーから Web
での対応にシフトした。この間、戦略の転換をベースに速やかに Web に移行したが、3Q は
コロナショックの影響を受けた。4Q は新しい方向で走った。同時に、テレワークの環境整
備がビジネスとしてかなり伸びた。
パブリテックは、ふるさと納税の新制度への対応でビジネスを巻き返すとともに、新しい
分野として、公共部門の IT を推進する LoGo シリーズのサービスが立ち上がってきた。こ
こへの重点投資を進めた。
この期は、4Q を中心に 5.1 億円の投資を先行させた。その内訳としては、①TB の認知向
上に向けた広告宣伝(+2.2 億円)、②新サービスの開発(+1.5 億円)、③人材採用費(+0.8
億円)、④TB の完全子会社化や IFRS への準備(+0.3 億円)、⑤企業版ふるさと納税の率先利
用(+0.3 億円)があった。これらは当期の費用増となったが、翌期以降にプラスに寄与し
てこよう。


コロナショックへの対応
コロナショックへの対応では、第 1 に、顧客のポートフォリオを入れ替え、リモートワー
クへシフトした。第 2 は、TB を 100%子会社にしてコア事業として位置づけを明確にして、
自治体への支援を全面的に開始した。第 3 に、IFRS への移行を準備し、海外 IR の強化と次
の M&A への本格化に力を入れた。
New-IT 事業では、顧客にとって DX が喫緊の課題となったので、リモート完結型のサービ
スにもっていくようにした。顧客ポートも公共、IT、金融に重点シフトした。デジタル人材
は日本において圧倒的に不足しているので、ここは大きなマーケットとして高度人材の育
成でリードしていく。
パブリックでは、GCF(ガバメントクラウドファンディング)のプロジェクトが多数立ち

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


上がった。医療支援、地場産業支援、地域サービス支援など助け合いの寄付文化にふるさと
納税プラットフォームを利用している。
LoGo シリーズは、10 月末で LoGo チャットが 549 自治体、27.4 万アカウント、LoGo フォ
ームが 129 自治体に入っており、弾みがつきつつある。
投資分野では、AICROSS が 2019 年 10 月に、ヘッドウォータースが 2020 年 9 月に東証マ
ザーズに上場した。また、6 月にビービット(beBit)へ新規投資を行った。
IPO アクセラレーション・プログラムは、会社の業績計画には織り込んでいないが、常に
成果を出していく方針である。ただ、三井物産との共同出資で作ったボイスタートは、その
業務を NTT データに譲渡して、事業は解散した。ここは数千万円の赤となった。
オフィスの縮小を進めている。リモートワーク主体なので、自社のスペースで余剰のもの
は閉鎖し、コワーキングスペースの利用にシフトしていく。


四半期別セグメント業績の推移
(百万円)
1Q 2Q 3Q 4Q
売上高 営業利益 売上高 営業利益 売上高 営業利益 売上高 営業利益


2019.9 NEW-IT 425 83 687 210 880 289 748 202
投資事業 0 -2 354 233 5 -5 91 58
パブリテック 1610 535 556 -102 781 194 886 238
調整 -177 -223 -209 -258
合計 2035 439 1630 132 1663 269 1724 240


2020.9 NEW-IT 618 115 794 148 731 186 841 153
投資事業 0 -5 0 -5 0 -5 0 -5
パブリテック 3893 2735 879 126 1851 787 2090 542
調整 -275 -230 -291 -349
合計 4512 2570 1673 40 2577 676 2930 340




日本基準の新旧の違い~収益認識の違い
IFRS になると、大きな項目としてのれんの非償却のほか、借入金の手数料の期間配分(一
括計上ではなく)などが、税前利益にプラスが働いてくる。2021 年 9 月期より IFRS での決
算となるが、今回の予想は新日本基準をベースにする。前期までは旧日本基準である。
日本基準の新旧の違いは、収益認識の違いにあり、新日本基準の収益認識は IFRS とほぼ
同じである。簡単にいうと、何らかのモノやサービスを仕入れて販売した場合、従来は仕入
れ、売上の双方とも P/L に計上した。しかし、それが会社の収益を生む実態的活動である
か、という点が問われた。販売から仕入を差し引いた、従来でいう粗利に近いものが、実態
の収入であるという認識である。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


今期の会社計画の売上は、新基準で 162 億円(幅のある計画の上限でみて)であるが、旧
基準では 191 億円となる。
この差の 29 億円は収益認識の違いからくるもので、セグメントでみると、New-IT では米
国から仕入れてライセンス販売しているソフトウェアの売上差が 10 億円前後ある。
パブリテックでは、TB がふるさとチョイスに関連して、一旦受け取った電子決済の手数
料や証明書代を、そのまま関連業者に支払っているので、新基準としては売上計上されない。
この分が 20 億円前後ある。
前期についても同じ基準で開示されてくる。営業利益の水準や増減をみる時にはほとん
ど影響してこないので、収益の実態を判断するという点においては影響しない。


2021 年 9 月期の会社計画~3 ヵ年計画の目標を 1 年前倒しで達成
2021 年 9 月期の会社計画は、売上高 15781~16281 百万円、営業利益 4700~5200 百万円、
経常利益 4683~5183 百万円、純利益 2928~3255 百万円と幅をもった予想となっている。こ
れは新日本基準ベースである。
前期比では、売上高+59.4%~+63.6%、営業利益+29.6%~43.3%、純利益+89.2%~+110.3%、
と純利益の伸びが高い。 を 100%子会社としたので、
TB 従来は 70%の持分であったものが 100%
で寄与してくることによる。
IFRS 基準では、営業利益でみるとのれんの償却 386 百万円がオンしてくるので、その分
がプラスに働こう。
2021 年 9 月期は、①コロナ禍での DX ニーズを大きく取り込み、②既存事業をしっかり伸
ばすとともに、③M&A を含めた次の中期計画への土台を整備する年と位置付けている。今期
の採用計画は 30~40 人である。
セグメント別業績予想
(百万円)
2018.9 2019.9 2020.9 2021.9(予) 2022.9(予)
売上高 利益 売上高 利益 売上高 利益 売上高 利益 売上高 利益
New-IT トランス
フォーメーション事業 2447 790 2742 786 2984 602 4000 1000 5000 1300


投資事業 157 76 450 288 0 -20 200 100 200 100


パブリテック事業   ー   ー 3867 875 8713 4190 11800 5400 13800 7400


 全社費用(一般管理費) -352 -868 -1145 -1500 -1800


合計 2604 513 7054 1081 11692 3626 16000 5000 19000 7000
(注)利益はセグメント利益。-は区分なし。投資事業は2018.9期3Qより区分。パブリテックのTBは2019.9期2Qより連結。




本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


ふるさと納税の効果
ふるさと納税市場は 5000 億円とみているが、うまくいくと 6000 億円もありえよう。テ
イクレートは 2020 年 9 月期の上期は 3%、下期は 5%であったが、今期はフルに 5%となろ
う。
ふるさとチョイスの SCM(サプライチェーンマネジメント)では、人材をスカウトして物流
チームを作っている。1100 万個の取り扱いで、1個 150 円の手数料とすると 16.5 億円の収
入となる。こうした効果がいずれオンしてこよう。


LoGo シリーズへの課金~サブスク型ビジネスの立ち上げ
LoGo シリーズの課金は、2021 年 4 月以降少しずつ進めていく。この期の予算にまだ入っ
ていない。本格化は 2022 年 9 月期からになろう。
LoGo シリーズでは、LoGo SNS で自治体の広報を行うことや、税の滞納通知、公金決済の
仕組みなども対象となろう。
LoGo アカウントの対象となる自治体の一般行政人員は 90 万人いる。その 5 割のシェアは
とりたい意向である。また、1788 の自治体のうち、1000 自治体には参入したいという目標
を持っている。
業績予想
(百万円、%)
2017.9 2018.9 2019.9 2020.9 2021.9(予) 2022.9(予)
売上高 1980 2604 7054 11692 16000 19000


原価 1183 1591 2643 3947 5400 6000
売上高原価率 59.8 61.1 37.5 33.8 33.8 31.6


粗利益 796 1013 4410 7745 10600 13000
売上高粗利益率 40.2 38.9 62.5 66.2 66.3 68.4


販管費 465 499 3329 4118 5600 6000
売上高販管費率 23.5 19.2 47.2 35.2 35.0 31.6


営業利益 331 513 1081 3626 5000 7000
売上高営業利益率 16.7 19.7 15.3 31.0 31.3 36.8


経常利益 325 513 959 3632 5000 7000
純利益 229 343 378 1547 3100 4400
(注)2018.9期までは単体、2019.9期より連結(旧日本基準)。
   2021.9期よりIFRS(国際会計基準)へ移行予定ながら、今回は新日本基準ベース。




本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


今後の方向性
次の中期 3 ヵ年計画では、営業利益で 100 億円を目指すものとなろうが、その達成の確
度は高い。パブリテック事業の中のふるさと納税以外のビジネスは、現在売上高の 10%前
後である。これを 4~5 年で 50 億円、利益率 30~40%に持っていくのが 1 つの目標であろ
う。
今後 5 年で見ると、売上高 500 億円、営業利益 200 億円というのが 1 つにターゲットに
なろう。そうすると、時価総額 5000 億円が見えてこよう。内部成長で売上高 400 億円は狙
えるので、この間に M&A によってどのような投資を行うのかに注目したい。カギは DX で日
本のリーダーを目指すというイノベーションへの布石である。
M&A については、常に検討しているが、3 月頃に検討していた案件はコロナショックで一
旦ストップした。現在は、新たな方針のもとで M&A にも積極的に取り組んでいる。
ふるさと納税は、現在市場が 5000 億円であるが。健全に発展させることができれば、1~
2 兆円に持っていくことも十分できよう。業界のリーダーである当社の運営力にかかってい
る。大義として地方創生に真に資するかどうかである。これが貫かれるならば、マーケット
は大きく広がろう。もし 1 兆円になるならば、この事業だけで 150~200 億円のセグメント
利益を出すこともできよう。
2020 年 9 月期の P/L では、売上原価率 33.8%、売上粗利率 66.2%、
売上販管費率 35.2%、
売上営業利益率 31.0%であった。これが 3 年後には原価率 30%、粗利率 70%、販管費率
30%で、営業利益率 40%になるというのが基本形であると予想する。実際、売上高営業利
益率については、35~40%を安定して出す方向にもっていけよう。




6.企業評価 次の M&A にも注目


3 つの重点課題
当面の重点課題として、福留社長は 3 つあげる。①DX 人材の育成、②自治体 IT の推進に
おいて、LoGo シリーズに次いで、公金決済への展開、③グループ全体の組織力の向上であ
る。チェンジは急成長している。組織体制をさらにレベルアップするために、経営人材の育
成や組織運営のあり方についても今後強化されていこう。


M&A は常に検討
M&A では、3 つのパターンを想定している。第 1 は、経営資源の獲得で、人材や顧客基盤
を得る。TB はそのパターンであった。第 2 は、経営人材の育成で、スタートアップ企業や
赤字企業を担当させて、事業開発力を育てる。第 3 は、DX の先進事例を作っていく。M&A し
た企業に当社のノウハウを持ち込んで新しいビジネスモデルを作り、それでリードしてい

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


く。但し、M&A をやるにしても、既存事業の利益計画を大幅に食ってしまうような案件は想
定していない、と福留社長は強調する。


人材開発は順調
成長のための開発リソースについて、人材面での採用には特にこまっていない。新しい成
長企業としての認知度が上がっているので、いい人材は次々と採れている。TB へはチェン
ジ本体から約 10 名出向させている。
チェンジ本体は 110 人、TB は正社員 100 人に委託業者 100 人を加えて、200 人体制とな
っている。1 年前に比べれば、倍増ペースで一気に業務の拡大を図っている。
創業メンバー以外の経営人材も育ちつつある。2007 年入社の新卒が執行役員になってお
り、中途入社の人材が TB に出向し、マネジメントに当たっている。


ふるさと納税のリーダーとして
ふるさと納税では、業界のリーダーとして、趣旨に反する返礼品を取り扱う自治体との契
約解除、感染支援・災害支援プロジェクト、GCF(ガバメントクラウドファンディング)プ
ロジェクトなどに力を入れて、信認を高めている。 プロイジェクト数は、
GCF 2016 年 66 件、
2017 年 111 件、2018 年 226 件、2019 年 241 件と拡大している。


パブリテックとのシナジーは大きい
中期計画の進捗は、営業利益面では 1 年早く達成する。TB を買収して、ふるさと納税の
事業利益が急拡大している。これは M&A 後の PMI の成果である。この買収は大成功といえ
る。さらに、New-IT トランスフォーメーション事業も高成長路線に復帰しよう。ふるさと
納税以外のパブリテック事業では、地域通貨関連が公共フィンテックとして伸びそうであ
る。新規事業としての次の M&A 案件も狙っている。
マネジメントは、M&A を通して SI 業界に再編をリードし、新しいビジネスモデルを創っ
ていくことに時間を投じていこうとしている。TB(トラストバンク)とのシナジー効果が大
いに期待できよう。


事業ポートフォリオの目指す方向
現在、New-IT トランスフォーメーションとパブリテック(ふるさと納税)の利益構成は
1:7 であるが、これをふるさと納税以外のビジネスを伸ばして、New-IT トランスフォーメ
ーション+ふるさと納税以外のパブリテックの利益構成を上げていくことが目標である。
事業ポートフォリオの利益構成の動きをみると、TB のふるさとチョイスが入ったことで、
ここの収益が安定的に拡大する。これに対して、New-IT をいかに伸ばすか。これを含めて、
営業利益で 200 億円を目指すというのが次の中長期的目標となろう。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


パブリテックの新分野 50 億円は視野にある。New-IT がこのレベルを目指すには、大型
M&A がほしいところで、福留社長はそこを狙って検討を進めている。
業績は、従来に比べて断層的に伸びてくる。新分野は横展開が本格化すると、売上げの拡
大ピッチは上がり、しかも利益率が上がってくる。投資事業も成果が大きく出る可能性があ
る。ROE も 30%台へ向上してこよう。
攻めの DX 分野で確固たるビジネスモデルを構築しており、今後の新規市場開拓の余地も
大きい。収益基盤は安定しており、収益性の向上も十分見込める。よって、企業評価はAと
する。
(企業評価の基準については 2 頁目を参照)


株主重視の姿勢~新しい IR
3Q の決算発表日(8/12)の夜、19:00 より株主・投資家説明会を Zoom で行った。21:30
まで 2 時間半という長さであった。4Q の時も同じ姿勢であった。個人株主・投資家のチャ
ットに基本的に全て答えるという福留社長の熱意は素晴らしい。約 100 件の質問に丁寧に
答えた。100 本ノックである。こうした株主説明会、個人投資家説明会は今後のあるべき姿
であり、質問した方々の満足度は高かったと推察する。
8 月末で 1:2 の株式分割を行った。さらに、12 月末に 1:2 を行う。東証では投資家が少
額で単位株を取得できるように方針を出しているが、これをベースにすると、100 株で 50
万円なら 5000 円となる。会社サイドとしては分割後に安定的に 5000 円以上を確保できる
なら、今後とも流動性の向上も含めて株式分割を検討していく方針である。


成長スピードに着目
自社株買いは常に視野にある。配当は無配を継続して、成長投資にまわす。常に大型 M&A
を検討しているので、成長を優先して内部資金は使われて行こう。
一方で、個人投資家向けの株主優待は充実させる方向にある。分割後の株主優待は、800
株保有の株主に 1500 ポイント、 年目以降の保有継続株主には 1.1 倍の 1650 ポイントがつ

く。さらに、4000 株までは保有数によって、ポイントが高まっていく。ポイントは 2 年目
まで貯めることができ、ポイントによってさまざまな商品と交換できる。
ポイントなので単純に金額換算はできないが、800 株で 1500 ポイントなので、1 株 1.875
円相当とみることもできる。
現在の株価(12/17)で見ると、PBR 34.4 倍、ROE 35.5%、PER 85.9 倍である。TB(トラス
トバンク)とのシナジーがはっきりしてきたので、成長期待はより高まっている。
チェンジの新しいビジネスモデルは、さらに進化する。営業利益 200 億円が見えてくれ
ば、時価総額 5000 億円が視野に入ろう。福留社長をリーダーとするマネジメントの経営力
と今後の成長ポテンシャルに大いに注目したい。


本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

177172

新着おすすめ記事