TCFD提言を踏まえた情報開示について

2022 年 6 月 29 日
各 位

会 社 名 株式会社ワコールホールディングス

代表者名 代表取締役社長執行役員 安 原 弘 展

(コード番号3591 東証プライム市場)

問合せ先 執行役員 経営企画部長 廣 岡 勝 也

(TEL 075-682-1010)




TCFD 提言を踏まえた情報開示について


当社は、2022 年 6 月 29 日、「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)※」提言を踏まえた
情報を開示いたしましたので、お知らせいたします。


掲載場所:当社ホームページ
ホーム>サステナビリティ>環境>気候変動への対応
https://www.wacoalholdings.jp/sustainability/environment/activities/


地球や企業活動に重大な影響を及ぼす気候変動は、当社グループの経営にとってリスクであると
同時に、新たな事業機会をもたらすものと考えています。当社は、気候変動問題の解決や改善に取り
組むことが、健全な企業としての発展と持続可能な社会を実現するとの認識のもと、2021 年 9 月、
気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言へ賛同を表明しました。
今後は、本分析を踏まえて気候変動リスクの低減と事業機会の拡大を推進するとともに、順次
シナリオ分析の範囲を拡大し、グループ全体のリスクと機会の分析を進めてまいります。


※ TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures):
2015 年に G20 の要請を受けた金融安定理事会(FSB)が設置したタスクフォース。2017 年に公表
した最終報告書において、企業等に対して、気候関連リスクおよび機会が組織にもたらす財務的影響に
ついての情報開示を向上させることを目的とした提言を公表。


以 上
気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応


地球や企業活動に重大な影響を及ぼす気候変動は、当社グループの経営にとってリスクであると同時に、新たな事業機会を
もたらすものと考えています。当社グループは、気候変動問題の解決や改善に取り組むことが、健全な企業としての発展と持続可能な
社会を実現するとの認識のもと、2021 年 9 月、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言へ賛同を表明しました。
また、2022 年に気候変動に関するシナリオ分析を実施し、事業におけるリスク・機会を明確化しています。


TCFD 提言に基づく 4 項目の情報開示

項目 開示内容
ガバナンス 当社グループは、サステナビリティ経営を推進し、事業を通じた「社会課題の解決」と「企業成長」の両立
を実現するため、2022 年 4 月 より、「サステナビリティ委員会」を設置しています。
「サステナビリティ委員会」は、定期的に取締役会と同日に開催し、気候変動問題に対する具体的な取り
組み施策の立案、進捗状況のモニタリング、達成状況の評価を行うこととしています。取締役会は「サステ
ナビリティ委員会」から報告を受け、当社グループの環境課題への対応方針及び取り組みについて指示を
行います。
また、気候変動問題への対応を推進するため、下部組織として「カーボンニュートラル部会」、「資源循環
部会」を設置しています。


カーボンニュートラル部会
当社グループの事業活動における環境影響・環境リスクを低減し、自主的かつ積極的に環境保全の
活動を推進するため、気候変動対応やバックオフィスの環境負荷軽減など環境課題に関する活動方
針や取り組み、環境保全に関連する戦略投資案件を審議するとともに、進捗状況のモニタリングを行
います。


資源循環部会
資源循環型社会の実現に向けて、サプライチェーン上の資源・資材の持続可能な利用及び省資源対
策、廃棄物の削減・リサイクルを推進するため、環境配慮型資材の調達方針や品質基準を審議する
とともに、生産や調達活動における廃棄物削減の進捗状況のモニタリングを行います。


なお、代表取締役社長執行役員が「取締役会」及び業務執行レベルの最高意思決定機関である「グル
ープ経営会議」の責任者であり、「サステナビリティ委員会」の統括責任者(代表取締役副社長執行役
員が委員長)を務めています。


サステナビリティ推進体制:https://www.wacoalholdings.jp/sustainability/system/



戦略 当社グループでは、分析可能なデータが揃った事業より順次シナリオ分析を実施し、気候変動問題のリス
ク及び機会の影響評価を行っています。


【リスク】
当社グループの事業・戦略・財務計画などに影響の大きいリスクとしては、暴風雨、洪水など異常気象
の激甚化や、炭素価格の上昇、電気料金の上昇などがあると考えています。
【機会】
当社グループは、製品廃棄の少ない製造・販売体制を構築するなど、環境に配慮した活動を推進して
います。今後も「環境目標 2030」の達成を目指し、環境負荷の少ない事業活動を推進していきま
す。消費者や社会の環境に対する意識は高まっているため、当社グループのこのような事業活動は、売
上拡大の機会になると考えています。


リスク管理 当社グループは、気候変動問題に係るリスクの選別・評価を「サステナビリティ委員会」及び、その下部組
織である「カーボンニュートラル部会」、「資源循環部会」において行っています。また、リスクの管理について
も、「サステナビリティ委員会」及び各部会におけるモニタリングや達成状況の評価を通して実施していま
す。なお、気候変動問題に係るリスクの選別・評価については、代表取締役社長執行役員が統括責任
者を務める「サステナビリティ委員会」および各部会にて、直接操業及び一部上流・下流までを含むグルー
プ全体への影響を短中長期的な視点で検証するとともに、それらの結果を更に上部機関である「取締役
会」に報告し、最終的に全社の気候変動問題リスクを特定・評価するプロセスとなっています。


指標と目標 当社グループは気候変動問題の解決と脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めるため、2030 年に
向けた独自の環境活動目標「環境目標 2030」を掲げています。

環境目標 2030

➀自社排出量(Scope 1&2)「ゼロ」 【対象:国内事業所】
温室効果ガスの自社排出量(Scope 1&2)実質ゼロを目指し、順次再生エネルギーへの切り替え
を実施
➁製品廃棄「ゼロ」 【対象:㈱ワコール】
製品廃棄ゼロを目指すとともに、工場での残材料破棄削減に向けた取り組みを推進
➂環境配慮型素材の使用比率「50%」 【対象:㈱ワコール】
再生繊維やリサイクル糸などに切り替えるなど、環境配慮型素材の使用比率を「50%」までに高める
④サプライチェーン排出量(Scope 3)「20%削減」 【対象:ワコール事業(国内)】
温室効果ガスのサプライチェーン排出量(Scope 3)20%削減を目指しパートナー企業との取り組み
を推進
※海外事業については、まずは自社排出量(Scope 1&2)の把握から開始し、2025 年 3 月期ま
でに目標を開示する計画です。


環境目標 2030:

https://www.wacoalholdings.jp/sustainability/environment/target/

自社排出量の実績:

https://www.wacoalholdings.jp/sustainability/environment/activities/#data
TCFD 提言に基づくシナリオ分析
当社グループは、TCFD の提言に従い、2022 年に気候変動に対するシナリオ分析を実施しました。シナリオ分析ではグループ
全体に対する売上高の比率が最も高い㈱ワコールを対象に、2℃及び 4℃の気温上昇時の世界を想定し、リスク・機会の抽出と
対応策を検討しました。
シナリオ分析の結果、2℃上昇時は環境意識の高い消費者からの支持の獲得などポジティブな影響がある一方で、炭素税の
導入などの移行リスクが事業にネガティブな影響を及ぼす可能性があることがわかりました。また、4℃上昇時は暴風雨、洪水を
はじめとする異常気象の激甚化などの物理的リスクが事業にネガティブな影響を及ぼす可能性があることがわかりました。
今後も順次シナリオ分析の範囲を拡大し、グループ全体として詳細なリスク分析を行えるよう取り組みを進める予定です。


影響
リスク・機会の種類 例 対応策
2℃ 4℃
移 政策・ 炭素税の導 リスク 環 境 税導 入 に より 中 - ・再生可能エネルギーの導入とともに、省エネ・
行 法規 入 諸費用が増加 創エネ活動などの推進により、コスト増加を回避
制 または軽減
・サプライヤーと協働で CO2 排出量削減を推

電力小売価 リスク 再生可能エネ ルギ 小 小 ・省エネ・創エネ活動などの推進により電力調達
格の上昇 ー導入などに伴う電 量を削減し、コスト増加を回避または軽減
力価格の上昇
評判 消費者意識 機会 環境配慮型の当社 中 小 ・再生繊維などの環境配慮型素材の使用比率
の変化 製品への消費者需 を高めるなど、地球環境にやさしい事業活動を
要の拡大 推進
・品質の高いものづくりを推進し消費者に長く使
用いただくことで、消費者の衣料廃棄量の削減
へ貢献
物 急性 異常気象の リスク 異常気象増加に伴 中 大 ・CX戦略の推進によりビジネスモデルを変革。店
理 深刻化・増加 う店舗営業日の減 舗の売上減少をECでカバーできる販売体制を
的 少 構築
慢性 降雨日の増 リスク 気象パターンの変化 中 中 ・ノンワイヤー商品など、在宅ニーズに対応する
加や平均気 に 伴う在宅機会の 製品開発を強化
温の上昇 機会 増加、外出機会の 中 中 ・自社 EC の利便性を高めることにより、消費者
減少 の購買機会及び意欲の低下リスクを軽減
機会 気候変動に伴うイン 中 中 ・気候変動による消費者ニーズの変化を認識
ナーウエアへの意識 し、ニーズに対応する機能性製品の開発の強
の高まり 化

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