株主通信 Vol.1 (2019年度 第2四半期)

Letter to Shareholders Vol.1




株主通信 Vol.1 (2019 年度 第 2 四半期)

「3 年間で取扱高を 3 倍、営業利益を 10 倍にする」という、野心的な目標を掲げた中期計画(18
~20 年度)はこの 19 年度第 2 四半期でちょうど折り返し起点に来ました。
改めて今回の中計骨子は 1 年目でロコンドの認知度を、2 年目でロコンドの特徴である返品無料、
そして「自宅で試着」のサービス認知度を向上させ、3 年目からは広告投資水準を 17 年度水準に
戻す事によって安定的な成長・収益基盤を構築する、というものになります。
しかし自宅で試着サービス自体は他社でも模倣可能なものであるため、中長期的な競争優位性
にはなり得ません。又、ファッション EC モールも乱立して来ている中、EC 事業一本で中期計画を
実現するのは容易ではありません。
EC 事業として中長期的な競争優位性を確立し、そして事業全体で大きな取扱高、安定的な収
益基盤へ昇華させる仕組み、それこそがプラットフォーム事業であり、ブランド事業となります。
各事業間の相互補完性(シナジー)、およびそれによってどのような競争優位性を確立しようとし
ているかを整理したものが下図になります。




この 1 年半、ロコンドの認知度を大きく向上させる事に成功し、主要顧客層である F2 層(35~49
歳女性)の認知度調査では ZOZO に次ぐ第 2 位を獲得できました。並行して中長期的な競争優位
性の確立に向けてプラットフォーム事業とブランド事業も強化して参りました。
プラットフォーム事業に関しては本年 9 月 2 日に「靴革命」と称し、ブランド様のオムニ戦略、そし
てデジタルトランスフォーメーションの実現に向けて多くの新機能を提供開始致しました。
現状、ロコンドにおいては約 400 社のブランド様が出店されているものの、ロコンドのプラットフォ
ームサービスを利用されているブランド様は未だ 10%以下にすぎません(社数ベース)。
今回の靴革命によって生まれた新たなサービスを武器に、プラットフォームサービスを拡大させ
て行く事によって、プラットフォーム事業自体はもちろん、下図のような EC 事業とプラットフォーム事
業間の「在庫シェアリング」効果を通じ、ロコンドグループの取扱在庫数(主に委託在庫)を増加さ
せ、ロコンドの事業ポートフォリオ全体をより一層、強化して参ります。
Letter to Shareholders Vol.1




ブランド事業においては、子会社であるミスズアンドコーとの共同取組であるグループ・プライベ
ートブランド・プロジェクト(GPP)が萌芽しつつあります。ロコンドが有するビッグデータとミスズアンド
コーが有する生産背景を掛け合わせて生み出した新ブランド、Fabiola & Emma はこの秋冬シーズ
ンは当初は 3 型に絞って試験開始したばかりですが、どのデザインもランキング上位を獲得し、高
い消化率・粗利率を実現するに至りました。
Fabiola & Emma は 20 年度には 50 型以上に拡充し、売上 10 億円(粗利 5 億円)のブランドに育
てる計画ですが、他にも GPP は様々なブランド、カテゴリで試験を重ねて行き、GPP 売上比率を 2
割にする事を目指していく所存です。


更に 3 つの事業をより一層、強化していくため、EC 企業、もしくはブランド企業を対象とする M&A
も積極的に検討して参ります。
これまで EC 事業においてはモバコレを、ブランド事業においてはグローバルファストファッション
ブランドの MANGO 日本事業(事業譲渡)とミスズアンドコーがロコンドグループに参画致しました。
それぞれに対して PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)をスピーディに実行し、上記の GPP
もその一例ですが、どの案件もシナジーを創出し売上・利益増を実現できています。
現在のロコンドの D/E レシオは 0.3 倍、ネット D/E レシオは – 0.3 倍とまだまだ借入余地は大き
いため、M&A においてもレバレッジを優先し、株主価値最大化を更に高めて参ります。


ロコンドを取り巻く市場競争環境は決して楽観視できるものではありません。消費増税の影響は
もちろん、ロコンドの主力カテゴリである婦人靴の需要減少、競合他社の連合化への動き、倉庫運
営や運搬費用の増加等、売上・利益面に悪影響は与えうる要素は枚挙に暇がありません。
しかしそのような環境下においても上記戦略をスピーディに実行し、3 つの事業をそれぞれ中長
期的な競争力のある事業へ磨いて行きながら、今後も野心的な目標に向かって邁進し続けます。


2019 年 10 月 15 日
株式会社ロコンド 代表取締役社長
田中 裕輔

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