TCFD提言に基づく情報開示の更新のお知らせ

2023 年 12 月 15 日
株式会社シーアールイー


報道関係者各位




TCFD 提言に基づく情報開示の更新のお知らせ

株式会社シーアールイー(代表取締役社長/亀山忠秀 本社/東京都港区)は、TCFD 提言に基づく情報開示を更新しました
ので、下記のとおりお知らせいたします。







当社では気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD: Task Force on Climate-related Financial Disclosures)に賛同
することを 2022 年 6 月に表明し、気候変動が事業に与える可能性があるリスクを捉えながら適切に情報開示することとしていま
す。
今般、TCFD 提言に基づく情報開示の内容について、別紙のとおり更新いたしましたのでお知らせいたします。 今後も引き続き気候
変動関連情報の開示の充実に取り組み、より一層の環境に配慮した事業活動を継続していくことにより、持続可能な社会の実現に
貢献できるように取り組んでまいります。なお、更新内容は以下のとおりです。


ii. 戦略
リスクと機会の特定及び評価の対象事業について、昨年は物流投資事業を対象としておりましたが、今般、物流投資事業および
不動産管理事業に拡大いたしました。


iv. 指標と目標
温室効果ガス排出量の実績について、2022 年 8 月~2023 年 7 月の数値に更新いたしました。
以上





(別紙)

TCFD 提言に基づく情報開示




TCFD 提言への賛同


当社は 2022 年 6 月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明いたしました。




TCFD 提言が推奨する情報開示項目

TCFD 提言は、気候変動に伴うリスクと機会が財務を含む会社経営にどのような影響を及ぼすかを的確に把握すべく、4 つの開示要素で
ある「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に沿って情報開示することを推奨しております。当社は、TCFD 提言が求める 4 つの情
報開示項目に基づいた情報開示のさらなる拡充に取り組んでまいります。また、当社は気候変動への取り組みが、社会の持続的発展と当
社の中長期的な企業価値の向上に資すると改めて認識するとともに、サステナビリティへの取り組みをより一層推進してまいります。




i. ガバナンス

当社では気候変動・環境への対応を経営上の重要課題と認識しております。その諸課題についてはサステナビリティ委員会がリスク・コンプ
ライアンス委員会との連携のもと、気候変動に伴うリスクと機会の評価及び管理や目標達成に向けた対応、SDGs 関連施策について年2
回協議し、必要に応じて、取締役会へ報告いたします。取締役会は原則として業務執行で議論・承認された TCFD/SDGs 課題に関する
取り組み施策の進捗を監督し、少なくとも年に 1 回以上、関連課題に関する事項を予定議題としております。


サステナビリティ推進体制





サステナビリティマネジメント体制における会議体および役割


組織・会議体 役割


業務執行で議論・承認された TCFD/SDGs 課題に関する取り組み施策の進捗を監督い
取締役会 たします。
TCFD/SDGs 課題に関する事項を少なくとも年に 1 回以上を予定議題としております。

メンバーは社長、常勤取締役及び監査等委員である取締役、管理本部長及び内部監
査室長、弁護士、公認会計士等の外部有識者で委員会の決議により任命された者によ
リスク・コンプライアンス委員会 って構成されております。
サステナビリティ委員会との連携のもと、年に 2 回、環境課題を含む包括的なリスクを抽
出、対策を協議し、必要に応じて、取締役会へ報告いたします。

メンバーは常勤取締役によって構成されております。
サステナビリティ委員会 気候関連リスクと機会の評価及び管理や目標達成に向けた対応、SDGs 関連施策につ
いて年 2 回協議し、必要に応じて、取締役会に報告いたします。

各事業部門 各委員会で決議された事項について、各委員会と連携して対処いたします。




ii. 戦略

当社では、TCFD 提言に基づき、気候変動関連のリスク・機会の把握を目的にシナリオ分析を行いました。シナリオ分析では、国際エネル
ギー機関(IEA)等の科学的根拠等に基づき 1.5°C シナリオと 4°C シナリオを定義し、2030 年時点で事業に影響を及ぼす可能性があ
る気候関連のリスクと機会の重要性を評価いたしました。




シナリオ群の定義


設定シナリオ 1.5℃シナリオ 4℃シナリオ

世界観 日本政府により炭素税の導入等、厳しい気候変動 政府による、現行を上回る気候対策は実施されず、気
対策が推進され、抜本的な社会変革が起こり、プラ 候変動対応は求められない。
スチック規制や気候変動関連情報開示への対応が 一方で、気温上昇の影響による渇水、洪水などの異常
求められる。 気象が顕在化し、拠点が被災、対応コストや被災時の
一方で、洪水・浸水等、自然災害の被害は限定 回復費用が見込まれる。
的なものにとどまる。
参照シナリオ IEA The Net-Zero Emissions by 2050 IEA World Energy Outlook 2021/ IEA World
Scenario(NZE)/ IEA World Energy Energy Outlook 2018/ IPCC AR6 SSP5-8.5
Outlook 2021/ IEA World Energy Outlook
2018/ IPCC AR6 SSP1-1.9
特徴 政策などに関連する移行リスクが顕在化しやすい。 異常気象などに関連する物理リスクが顕在化しやすい。





リスクと機会の特定及び評価

当社の物流投資事業および不動産管理事業を対象として、気候変動に関連する移行・物理リスクを精査し、当社事業への影響度を評
価しました。移行リスクでは政策・法規制から市場の変化まで、物理リスクでは急性物理リスクと慢性物理リスクなど、さまざまな項目について
検討を行いました。特に当社に影響度の大きいと判断したリスク・機会について対応してまいります。


対象範囲:国内物流投資事業、国内不動産管理事業
影響度
大:影響度は非常に大きい(売上高の 29%以上)
中:影響度は大きい(売上高の 17~29%)
小:影響度はあるが限定的(売上高の 17%未満)



特定したリスクと機会の一覧


当社で認識しているリスク・機会のうち、事業への影響度が「中」以上のものを記載しております。

事業及び財務への影響
リスク・機会の種類 リスク・機会の内容
1.5℃ 4℃
リスク 移行リスク 政策・ 炭素税の大幅引き上げにより、排出源単位の大きい原材料(鉄
中 -
法規制 鋼、セメントなど)のコスト上昇
省エネ基準への適合の対象範囲の拡大や省エネ基準の引き上げ
中 -
があった場合、開発物件のコスト増につながる恐れ
市場 消極的な ESG 対応に対するステークホルダーの懸念に伴う投融資
中 中
費の減少
物理リスク 急性 中長期的な気候変動影響を背景とした用地価格の変動により、
中 中
用地取得競争の過熱と追加落札コストの発生
豪雨の頻発や内水氾濫の発生によって物流施設の建設現場作
大 大
業が中断し、工期遅延が発生
異常気象による局地的な豪雨・豪雪・台風などの気象災害の発
生により、サプライヤーの製造拠点が被災し、稼働停止となる場合
大 大
や道路の寸断など、輸送経路に影響が出た結果、建設工期に支
障が発生
沿岸部での物流施設開発にあたり、海水面の上昇や高潮への対
中 中
応策として盛土や BCP 対応費用が上昇
異常気象による局地的な豪雨・豪雪・台風・洪水などの気象災害
の頻発により、雨水処理施設、構造計算などの設計基準が厳正 中 中
化しコストが増加
自然災害の発生によりオーナーの所有する倉庫が被災し、改修コ
スト発生にオーナーが対応できず、倉庫の所有を断念することで、 大 大
管理物件が減少する可能性
慢性 猛暑日に現場作業が困難となり、対策コストの増加や工期遅延が
中 中
発生
機会 移行機会 市場 環境性能の高い物流施設の需要が上がり、競争優位へ 中 中
モーダルシフトが進み、物流施設開発の機会が増加し需要が増加 中 中




物理機会 急性 災害対応を強化した物流施設を開発することにより、競争優位性
中 中
が確保でき、賃料収入の増加やテナントからの引き合いが増加

財務影響金額一覧

リスク・機会項目 事業インパクト 定量化内容 2030 年
※異常気象による財務影響金額については 2050 年

1.5℃ 4℃

炭素税 炭素税導入による税負担の
費用 約 1,000 万円 -
増加
原油価格変動 原油価格の変化に伴うガソリ
(営業車) ン価格の上昇による費用の 費用 約△1,600 万円 約 600 万円
増加/減少※1
エネルギーミックス エネルギーミックスの変化によ
費用 約 60 万円 約△60 万円
変化 る電気代の増加/減少
異常気象 各営業所の操業停止による
約△1,900 万円 約△3,700 万円
(浸水リスク) 利益損失※2
売上
約△3 億 4,800 万円
(最大損失額)
※1:原油価格変動の項目に関して、国際情勢は加味せず、気候変動のみを要因とした価格変動を考慮し算定しております。
※2:1 度被災した場合の最大の影響金額と、発生確率を考慮した影響金額の両方を考慮しております。




iii. リスク管理

当社はサステナビリティ体制構築のため、全社的なリスク管理に関する規程を定め、気候変動課題を含めたサステナビリティ全般に対応す
るため「サステナビリティ委員会」を設置しております。特に気候変動に伴うリスクはユニットリーダー会議及びリスク・コンプライアンス委員会と連
携しながら、サステナビリティ委員会で識別し、評価を実施いたします。その後、各事業部門で管理(対応)し、ユニットリーダー会議及びリ
スク・コンプライアンス委員会と連携しながらサステナビリティ委員会でモニタリングを実施いたします。





iv. 指標と目標

当社は、気候変動関連リスク・機会の評価指標として、温室効果ガス排出量の算定を行なっております。2023 年 7 月期は Scope1 に
あたる「燃料の使用(CO2)」と、Scope2 にあたる「他人から供給された電気の使用(CO2)」を算定対象としております。今後も温室効果ガ
ス排出量の把握を継続し、対象範囲の拡大や、削減していくことができるよう、体制づくりと目標設定を進めてまいります。




温室効果ガス排出量


年間排出量(t-CO2)


Scope1・2 合計 256


Scope1 ※1 169


Scope2 ※2 87


※1 LP ガス、ガソリンの使用による排出量 ※2 電力使用による排出量


算定期間:2022 年 8 月~2023 年 7 月
開示対象:国内単体
算定方法:マーケットベース
※算定の方法には、ロケーションベース(日本全体の排出平均原単位を使用して算定するもの)とマーケットベース(電力会社ごとの排出
原単位を使用して算定するもの)のうち、後者のマーケットベースを採用しております。
※Scope2 で使用した排出係数:電気事業者別排出係数 2021 年度実績および 2022 年度実績




<本件に関するお問い合わせ先>
株式会社シーアールイー
TEL:03-5572-6600(代表)





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