平成29年度兵庫県最先端技術研究事業(COEプログラム)の研究成果についてのお知らせ

平成 30 年4月3日

各 位
会 社 名 株式会社ジェイテックコーポレーション
代 表 者 名 代 表 取 締 役 社 長 津 村 尚 史
(コード番号:3446 東証マザーズ)
問 合 せ 先 取 締 役 管 理 部 長 平 井 靖 人
(TEL.072-643-2292)


平成 29 年度兵庫県最先端技術研究事業(COEプログラム)の
研究成果についてのお知らせ


当社は、平成 29 年度兵庫県最先端技術研究事業(COE プログラム)※1において開発を進めて
おりました集光径可変の次世代高精度集光ミラーの製品化に成功いたしました。


世界各国の放射光施設では現在主流の第 3 世代※2から第 4 世代※3へのバージョンアップや、新
たに第 4 世代の建設が多数計画されており、従来より高輝度化が進み、測定時間が 1/10~1/100
程度に短縮されると見込まれております。


集光径可変の本次世代高精度集光ミラー(DM-150:写真①)は、焦点位置を変えることなく
回折限界※4下で集光径を自在に変化させることができます。これにより 1 回のビームタイムで 1
つの試料に対して複数の分析手法による複合分析が可能となり、次世代ミラーの 1 つとして注目
されております。


DM-150 は写真①にあるように 150mm 長さの反射表面の両側に多数の電極を有する圧電素子
を配置しており、圧電素子が貼り付けられたミラー素子は、下記の図 1 ように各圧電素子に電圧
V を印加することでモーメント M が発生し変形させることができます。このミラーを複数枚用い
て多段で制御することで、X線ビームを任意の集光径に変化させることができ、大きなサンプル
から、小さなサンプルまで光量を下げることなく、分析および測定ができるようになります。な
お、DM-150 においては、写真①に示すように X 線反射面側に 18 チャネルの電極を有している
ため、反射表面の形状を自在に変形させることが可能です。
まずは波面補償※5 用の形状可変ミラーとして、SSRF(中国、上海放射光施設)や APS(アメリ
カ、アルゴンヌ国立研究所)から、既に各 1 台ずつ受注しております。価格は 1 台当たり 2,500
万円~3,000 万円としております。

今後は本ミラーをもとに写真②のような集光径可変の次世代高精度集光ミラーシステムへと商
品展開を図り、さらに本ミラーの長尺化へと技術開発を推進し、商品ラインナップの拡大を図っ
てまいります。


なお、本成果による 2018 年 6 月期の業績への影響は軽微であり、来期以降の見通しについて大
きく影響を与える場合は速やかに開示してまいります。


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X 線(全反射)

X 線(全反射)

M M(モーメント)


ミラー基板
M M

圧電素子 V(電圧)
圧電素子




写真① 形状可変ミラー本体 DM-150 図 1 形状可変ミラーの原理図



※1 平成 29 年度兵庫県最先端技術研究事業(COE プログラム)
研究プロジェクト名: 回折限界下で集光径可変な次世代高精度集光ミラーの製造技術の開発
期 間:平成 29 年度
代表機関:株式会社ジェイテックコーポレーション(代表者:津村尚史)
事業参画機関:
国立大学法人 大阪大学大学院工学研究科 精密科学・応用物理学専攻(研究代表者:山内
和人教授)
特定国立研究開発法人 理化学研究所 放射光科学総合研究センター(研究代表者:石川哲
也センター長)
公益財団法人 高輝度光科学研究センター(研究代表者:大橋治彦グループリーダー)
※2 第 3 世代放射光施設
電磁石のないフリーな直線部を多数有する蓄積リングにアンジュレータを設置して X 線領域
の高輝度の放射光を発生させる施設(例:日本(兵庫県)SPring-8)
※3 第 4 世代放射光施設
MBA(マルチベンドアクロマット)ラティス(蓄積リングを構成する磁石群の基本構造の中
に電子ビームを曲げる偏向電磁石の数を従来よりも多く設置したもの)の採用による、第 3 世
代より低エミッタンスで 100 倍~1000 倍程度、高輝度な放射光を発生させる放射光施設(例:
スウェーデン MAX IV、中国 SSRF、 ブラジル SIRIUS 等、またアップグレードの実施及び計
画中の施設としては日本(兵庫県)SPring-8-II のほか、欧州 ESRF-II、米国 APS-II 等がある)
※4 回折限界
光学系の持ちうることのできる解像力の限界のことを言う。光学系において収差がない理想
的な集光光学系。
※5 波面補償
光学系において生じる光の波面歪みを取り除くことで、波の可干渉性(コヒーレント)を高
めること。 より高精度な集光の際に当該システムが用いられる。 Mimura, and K. Yamauchi,
(H.
et.al, Nature Physics, Vol 6, (2010) p.122)

-2-
ミラーコントロールシステム ミラー調整システム




ミラーホルダー


写真② 次世代高精度集光ミラーシステム




以 上




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