公立大学法人北九州市立大学との産学共同開発による集成材(圧縮材)の製造方法に関する特許取得のお知らせ
2019 年6月 21 日
各 位
東 京 都 杉 並 区 西 荻 北 二 丁 目 1 番 11 号
株 式 会 社 三 栄 建 築 設 計
代表取締役専務 小 池 学
(コード番号:3228 東証・名証 第一部)
問合せ先: 取締役管理本部長 吉川 和男
電話番号: 03-5381-3228(代表)
公立大学法人北九州市立大学との産学協同開発による
集成材(圧縮材)の製造方法に関する特許取得のお知らせ
当社は、2019 年5月 24 日に、公立大学法人北九州市立大学と共同で研究しておりまし
た「集成材(圧縮材)の製造方法」における特許を取得いたしましたので、下記のとおり
お知らせいたします。
記
1. 特許取得の背景
当社は、2016 年4月より、公立大学法人北九州市立大学とともに“無限の可能性を秘
めた木という素材の新発明、新発見”をテーマに、
「国内植林資材の積極活用」に関する
研究を続けております。この研究は、主に国内で大量に植林されている杉材と比較して、
安価な輸入材を主に使用している日本の建築業界において、国内植林資材を積極活用で
きるような資材や製造方法等を開発し、流通させることを目的としております。
2.特許の詳細
今回取得した特許は、「集成材(圧縮材)の製造方法」に関する特許となっておりま
す。これは、従来からの圧縮を用いた集成材の製造工程では、どうしても工程と手間や
時間が増加し、製造コストが高くなるという欠点を解消する製造技術であります。
従来の製造方法では、原材料に加工されたひき板などを使う必要がありますが、本特
許では、原木(丸太)の状態でも集成材化することを可能にし、さらに、従来は同時に
行っていた圧縮・乾燥という工程を別工程で行えるようにしたことにより、製造コスト
低減の可能性を広げております。
現時点では、本特許による建築構造材としての製品化にはいくつかの課題がありま
す。丸太を原料に使った場合、JAS の集成材の企画から外れるため、大臣認定などの取
得が必要となることや、圧縮された木材が共通に持つ高温度環境下における「形状の戻
り」に対して、十分な実績を重ねる必要があることなどです。しかしながら、これらの
課題を乗り越えることにより、日本が抱える植林問題の解決を図ることができる可能
性のある特許であると考えております。
(従来の集成材の製造工程)
① 原木(丸太)を伐採後製材所へ運搬、ひき板状に加工
② 数日~1週間の高温乾燥、もしくは半年~1年の自然乾燥
③ ひき板及び小角材などの木質材料を密閉容器に入れ、水蒸気により軟化
④ その状態で、繊維方向に垂直に圧縮・固定化
通常の製造工程では、③の軟化工程と④の圧縮・固定化工程を同一密閉容器内で行う
為、④の工程終了まで、次の製造に取り掛かることができない。そのため、生産性を高
める上でのボトルネックが生じている。また①の工程では、現状国内植林では伐採・運
搬・加工費が高く、圧縮を行わない一般の集成材でも、すでにひき板状に加工された輸
入材を使用していることがほとんどである。
(本特許による製造工程)
① 複数の丸太または、複数の分割丸太をそのまま使用(加工手間ほぼなし)
② 丸太を密閉容器に入れ、水蒸気により軟化
③ 柔らかくなった丸太を取り出し、圧縮機で圧縮・固定化
④ 3週間程度の自然乾燥
上記①において加工手間がほとんど発生しない。また、②の工程後、容器から取り出
すことによって、容器が空き、すぐに次の丸太の軟化に取り掛かれるため、生産性が向
上。④の工程でも、通常の製造工程と比較して時間が短縮、また自然乾燥のため、製材
まで機械稼働が少なくなる。
3.特許情報
・発明の名称 集成材の製造方法
・出願番号 特願 2018-525271
・特許番号 特許第 6530865 号
・出願日 2016 年6月 29 日
・登録日 2019 年5月 24 日
・出願人 株式会社 三栄建築設計、公立大学法人北九州市立大学
4.今後の研究・開発の方針
当社は、“無限の可能性を秘めた木という素材の新発明、新発見”をテーマに行っている
研究開発の一環として、引き続き国の課題である「国内の植林資材活用」に対して、北九
州市立大学と連携を強め、積極的に研究開発を進めてまいります。
今後におきましては、本特許による製造を確立し、構造材としての製品化を目指す検討
を開始しております。
5.北九州市立大学敷地内に、実験・研究施設を建設
今後、さらなる研究開発を進めるべく、当社は、当社の資金提供によって北九州市立大
学ひびきのキャンパス敷地内に、実験・研究施設の建設を開始しております。なお、この
実験・研究建設につきましては、環境省が定める「二酸化炭素排出抑制対策事業」に認定
されており、公益財団法人北海道環境財団より、一定金額の補助金が交付される予定とな
っております(一部設計に関してはすでに交付済み)。
6.今後の業績に与える影響
当該特許取得及び資材開発研究による 2019 年8月期の当社連結業績に与える影響は
軽微であります。
なお、今後、開示すべき事項が発生した際には、速やかにお知らせいたします。
(ご参考:製材前後の写真)
製材前の木材
製材後の木材
(ご参考:実験・研究棟の完成予想パース)
以上
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