固体高分子形燃料電池の電極に用いるカーボンアロイ触媒の実用化に関するお知らせ

平成 29 年 9 月 13 日
各 位
会 社 名 日清紡ホールディングス株式会社
コ ー ド 番 号 3105
代 表 者 氏 名 取 締 役 社 長 河田 正也
取締役 常務執 行役 員
情報取扱責任者 奥川 隆祥
事業支援センター長



固体高分子形燃料電池の電極に用いるカーボンアロイ触媒の実用化に関するお知らせ


このたび日清紡ホールディングス株式会社が開発を進める白金代替触媒「カーボンアロイ触媒」※1
が、Ballard Power System Inc.※2(以下、Ballard 社)の燃料電池スタックに採用されましたのでお知ら
せいたします。固体高分子形燃料電池の電極に「非白金触媒」が実用化されるのは、世界初となりま
す。
「カーボンアロイ触媒」を使用した Ballard 社の燃料電池スタックは、2017 年 12 月に販売を開始す
る予定です。


固体高分子形燃料電池の電極触媒には、高価で有限な資源である白金が使用されています。発
電時に二酸化炭素を排出しない固体高分子形燃料電池が、クリーンエネルギーソースとして今後さ
らに普及拡大していくためには、白金に代わる触媒の開発が大きな課題のひとつとなっています。
「カーボンアロイ触媒」は、希少資源である白金を一切使用せず、工業生産で安定供給が可能な
カーボンを主原料にしています。当社のカーボンアロイ触媒を空気極に用いることで、Ballard 社の
燃料電池スタックに使用する白金の使用量を約 80%削減※3できました。
当社は、2013 年から「カーボンアロイ触媒」の固体高分子形燃料電池への適用にむけて Ballard 社
と共同開発を進めてまいりました。今回、ポータブル型燃料電池の使用環境において白金触媒と同
等の発電性能に加え、高い耐久性が得られたことで、Ballard 社の燃料電池スタックに採用されること
となりました。


固体高分子形燃料電池は家庭用や定置用として普及し、すでに自動車分野でも実用化されてい
ます。さらに産業機械・建設機械などの分野でも実用化が進んでいます。これに伴い、基幹部品で
ある電極触媒も 2030 年には 1,000 億円超の市場規模になることが予想されています。この「カーボ
ンアロイ触媒」は燃料電池の普及を加速させ、その市場をさらに拡大させる可能性を秘めた技術で
あると確信しています。
日清紡グループでは、ポータブル型燃料電池での実績を積むと共に、より大きな市場にむけて「カ
ーボンアロイ触媒」の用途開発を進め、固体高分子形燃料電池の普及拡大で水素社会の実現に貢
献してまいります。


以上


-1-
※1 カーボンアロイ触媒
当社と群馬大学 尾崎純一教授とが、2006 年から共同で開発を進めているカーボンを主原料とした
白金代替触媒。炭素化工程の最適化と触媒表面の炭素構造を制御することで、高い酸素還元活性
を有する触媒を開発することに成功した。


※2 Ballard 社 (ナスダック上場)
所在地:カナダ・ブリティッシュコロンビア州バーナビー
売上高:85 百万 USD(2016 年)
固体高分子型燃料電池(PEFC)技術を強みに、バス、商用車、列車等の大型移動体用やバックアッ
プ、フォークリフトなどの荷役運搬用の燃料電池を主力製品に、大型から小型のポータブル用まで
幅広くラインナップしている。
自動車用燃料電池としては、2010 年バンクーバー五輪のバスにも採用されている(このときのスタッ
クに使用されているセパレータは日清紡ケミカル製)。
(日清紡との関係)
1994 年 Ballard 社向け「カーボンセパレータ」の開発開始
1998 年 Ballard 社へ「カーボンセパレータ」の供給開始(定置用)
以降、非常時用・実証車両用に「カーボンセパレータ」を供給
2013 年 Ballard 社と非白金触媒「カーボンアロイ触媒」の実用化に向けた共同開発開始
2015 年 Ballard 社へ 500 万 USD 出資


※3 固体高分子形燃料電池の電極には、酸素を還元する空気極と水素を酸化する水素極があり、
どちらも触媒に白金を使用している。水素極に比べ白金を多量に使用する空気極側の触媒に酸素
還元能を有する「カーボンアロイ触媒」の適用を可能にしたことにより、白金の大幅な使用量削減を
実現した。(水素極側では従来の白金触媒を使用している。)




(本件に関する問い合わせ先)
日清紡ホールディングス株式会社 IR 広報グループ TEL 03-5695-8854




-2-

5503