ユーグレナ社、新たな化粧品原料として「ミドリ麹エキス」を開発

2023 年 1 月 10 日

ユーグレナ社、新たな化粧品原料として「ミドリ麹エキス」を開発
「ミドリ麹エキス」がヒトの表皮角化細胞※1 のヒアルロン酸※2 産生やグルタチオン※3 産生を促し、
健康的な肌の維持に貢献する可能性を示す研究結果を確認しました

株式会社ユーグレナ

株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、代表取締役社長:出雲充、以下「ユーグレナ社」)は、微
細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ、以下「ユーグレナ」
)と麹から開発した独自の素材「ミドリ
「ミドリ麹エキス」を規格化※4 したことをお知らせします。
麹」を用いた新たな化粧品原料として、




「ミドリ麹」
(左)から抽出した「ミドリ麹エキス」
(右)イメージ


今回、規格化した「ミドリ麹エキス」は、ミドリ麹から抽出した成分をエキス化した原料です。当社
の研究において、「ミドリ麹エキス」が表皮角化細胞※1 におけるヒアルロン酸※2 およびグルタチオン※3
産生を促進する作用や、角層タンパク質のカルボニル化※5 を抑制する作用が見られる結果を確認してい
ます。これらの結果は、
「ミドリ麹エキス」が、肌の保湿力を高め、乾燥や外部要因による損傷から守
り、肌本来の明るさを維持する可能性を示しています。
※1 表皮角化細胞:皮膚の最も外側にある表皮は、外界の細菌などの侵入から皮膚を保護し、体内の水分が体外に過度に蒸散するのを
防ぐためのバリア機能を持つ
※2 ヒアルロン酸:水分保持などの機能をもつ多糖類の一種。皮膚において水分を保持する役割があり、肌のハリや弾力の維持につな
がることが期待される
※3 グルタチオン:3 つのアミノ酸から成る抗酸化物質の一種。皮膚を酸化から守り、生体の損傷を緩和することが期待される
※4 規格化:原料としての品質基準を定めること
※5 カルボニル化:エラスチンやコラーゲンなどのタンパク質と、酸化した脂質の代謝物とが結合すること。カルボニル化により、黄
色くくすんだ肌色に変色する




■研究の内容と結果
①「ミドリ麹エキス」が、正常ヒト表皮角化細胞を用いた試験において、ヒアルロン酸産生を促進する
ことが確認されました。
ヒト表皮角化細胞に「ミドリ麹エキス」を添加して培養した結果、何も添加してないもの(0.00%)と
比較して、
「ミドリ麹エキス」を添加したものは一定の濃度域(0.08~1.25%)において、ヒト表皮角化
細胞におけるヒアルロン酸産生を有意に促進することを確認しました(図 1)。皮膚においてヒアルロン
酸は水分を保持する役割があり、肌のハリや弾力の維持につながることが期待されます。
ヒアルロン酸産生促進率(%)
140 *** ***
** 126.7 127.4
121.3
120 107.5




ヒアルロン酸産生促進率(%)













0.00 0.08 0.31 1.25 5.00
濃度[%] Mean±S.E.,n=5,**:p<0.01, ***: p<0.001 vs 0.00%

図 1:
「ミドリ麹エキス」添加時のヒト表皮角化細胞におけるヒアルロン酸産生率

②「ミドリ麹エキス」が正常ヒト表皮角化細胞を用いた試験において、グルタチオン産生を促進するこ
とが確認されました。
ヒト表皮角化細胞に「ミドリ麹エキス」を添加して培養した結果、何も添加してないもの(0.00%)と
比較して、
「ミドリ麹エキス」を添加したものは一定の濃度域(0.16~2.5%)において、ヒト表皮角化
細胞におけるグルタチオン産生を有意に促進することを確認しました(図 2)。紫外線照射やタバコ、ス
トレスによって発生する活性酸素は皮膚内部へ悪影響を及ぼすと考えられていますが、グルタチオンは
皮膚を酸化から守り、生体の損傷を緩和することが期待されます。

グルタチオン産生促進率(%)


*
126.4
*
118.3
120 112.6
グルタチオン産生促進率(%)
















0.00 0.16 0.63 2.50
濃度[%]
Mean±S.E., n=6,*:p<0.05 vs 0.00%


図 2:
「ミドリ麹エキス」添加時のヒト表皮角化細胞におけるグルタチオン産生率

③「ミドリ麹エキス」が角層細胞において、角層タンパク質のカルボニル化を抑制することが確認され
ました。
テープストリッピング法※6 により剥離・回収した上腕内部の角層細胞を、各濃度の「ミドリ麹エキス」
を含む溶液中に一定時間浸し、タンパク質のカルボニル化レベルを測定しました。その結果、
「ミドリ
麹エキス」は、濃度依存的にタンパク質のカルボニル化を抑制していることが確認されました(図 3)。
カルボニル化とは、タンパク質が酸化した脂質代謝物と結合して変性することで、カルボニル化したタ
ンパク質は黄色化することが知られており、
「糖化」とともに加齢による黄ぐすみの原因のひとつであ
ると言われています。カルボニル化の抑制は、肌本来の明るさの維持に役立つことが期待されます。
※6 テープストリッピング法:粘着テープにより皮膚表面の角層細胞を剥離して採取する方法
角層タンパク質カルボニル化抑制率(%)
100 **
80.2




角層タンパク質カルボニル化抑制率(%)




*
40 31.9



0 -20.1

0.00 0.05 0.50 5.00
-20

-40
濃度[%]

Mean±S.E.,n=5,**:p<0.01 vs 0.00%

図 3:
「ミドリ麹エキス」による角層タンパク質のカルボニル化抑制率


これらの結果は、
「ミドリ麹エキス」が、肌の保湿力を高め、乾燥や外部要因による損傷から守り、
肌本来の明るさを維持する可能性を示しています。また、社内にて実施したモニター試験では、「ミド
リ麹エキス」によるシワの改善に寄与する可能性が示されており、今後、臨床試験を実施する予定で
す。


今後も当社は、ユーグレナおよびその含有成分のさらなる解明を通して、健康食品や医療分野等での
利活用や食材としての付加価値向上を目指すとともに、ユーグレナ由来の化粧品原料の研究開発を行っ
ていきます。


<ミドリ麹について>
ミドリ麹は、ユーグレナ社と株式会社秋田今野商店(秋田県大仙市)が、ユーグレナと麹を用い共同研
究を行い開発した素材で、一般的な麹と比べて生成する酵素の量が向上※7 することや、強い抗酸化作用
※8
を持つ硫黄化合物(エルゴチオネイン、グルタチオンなど)の含有量が向上※9 することが確認されて
います。
※7 2018 年 7 月 12 日のニュースリリース https://www.euglena.jp/news/180712/
※8 抗酸化作用:酸素の一部が変化した活性酸素による有害な反応を減弱または除去する働き。酸化力の高い活性酸素が体内で過度に
作用して遺伝子やタンパク質を傷つけ、酸化ストレスが蓄積していくと、老化の促進や疾患のリスクが高まるとされている
※9 2018 年 7 月 12 日のニュースリリース https://www.euglena.jp/news/180712-2/



<株式会社ユーグレナについて>
2005 年に世界で初めて微細藻類ユーグレナの食用屋外大量培養技術の確立に成功。微細藻類ユーグレ
ナ、クロレラなどを活用した食品、化粧品等の開発・販売のほか、バイオ燃料の製造開発、遺伝子解析
サービスの提供を行っています。また、2014 年よりバングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持
つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナ GENKI プログラム」を継続的に実施。「Sustainability
First(サステナビリティ・ファースト)
」をユーグレナ・フィロソフィーと定義し、事業を展開。
https://euglena.jp

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