微細藻類ユーグレナの特有成分パラミロンが慢性腎障害を改善することを示唆する研究結果を確認しました

2020 年8月 21 日

微細藻類ユーグレナの特有成分パラミロンが
慢性腎障害を改善することを示唆する研究結果を確認しました
株式会社ユーグレナ

株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、社長:出雲充)は、帝京大学医学部附属溝口病院永山嘉
恭医師との研究により、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ、以下「ユーグレナ」)の貯蔵多糖
であるパラミロンが慢性腎障害を改善することを示唆する研究成果が得られました。なお、今回の研
究成果は 2020 年 8 月 7 日に『PLOS ONE』に掲載されました。
(https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0237086)


■研究の目的
腎臓は血液をろ過し、尿毒素を含む老廃物を尿として体外に排出しますが、慢性腎障害の患者は、
腎臓の働きが健康な人の 60%以下に低下し、腎機能の異常が続きます。慢性腎障害が進行するにつ
れて、糸球体※1 のろ過機能が弱ることから血中に尿毒素が蓄積し、そのことが更なる腎機能障害の進
行や腎臓の線維症※2を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の発症にもつながってい
くと言われています。本研究では、慢性腎障害を発症させたラットを用いて、パラミロンの継続的な
摂取が、慢性腎障害の進行に与える影響について検討しました。
※1 腎臓において、血液中の老廃物や塩分をろ過する機能を担う組織
※2 慢性的な炎症の際にコラーゲン等の蓄積によって腎組織が硬くなってしまう症状



■研究の内容と結果
パラミロンの摂取が慢性腎障害を抑制することが示唆されました
慢性腎障害を発症させたラットに、通常の食事を与えたもの、パラミロン 5%を含む食事を与えた
もの、さらに、比較のために、慢性腎障害を発症させていない健康なラットに、通常の食事を与えた
もの(コントロール)で試験を行いました。その結果、慢性腎障害を発症させることにより増加した
尿タンパク※3 の排出は、パラミロンを摂取することで有意に抑制されました(図 1)
。また、慢性腎
障害を発症させることにより観察された糸球体の硬化(図 2A)および尿細管※4 の障害(図 2B)は、
パラミロンを摂取することで有意に改善されました。
※3 腎臓に障害が起きると尿にタンパクが排出される。
※4 糸球体でろ過されたあとの尿からアミノ酸やブドウ糖、ミネラル等を再吸収する機能を担う組織



尿タンパク量U r in a r y p r o t e in




コントロール


c o n t r o l




腎障害+通常食摂取
N x


N
腎障害+パラミロン摂取
x + P A R
u - c r e





*
g
g / m










m













0 2 w

e e k 4 w

e e k 6 w
6 e e k 8 w

e e k
(週)
* p<0.05 vs コントロール, # p<0.05 vs 腎障害+通常食摂取

図 1 尿タンパク量の推移
(A) 糸球体硬化スコア
* コントロール 腎障害+通常食摂取 腎障害+パラミロン摂取











腎障害 腎障害
+通常 +パラミ
食摂取 ロン摂取


(B) 尿細管障害スコア
* コントロール 腎障害+通常食摂取 腎障害+パラミロン摂取











腎障害 腎障害
+通常 +パラミ
食摂取 ロン摂取 * p<0.05

図2 糸球体硬化スコア評価(A)※5 および尿細管障害スコア(B)※6 の比較


※5 糸球体断面図の写真。矢印部分は硬化部分を表す。スコアが高いほど硬化している
※6 矢印部分は障害された尿細管を表す。スコアが高いほど障害されている



これらの結果は、パラミロンの摂取が慢性腎障害を抑制することを臨床的および組織学的観点か
ら示唆しています。
当社では、今後もユーグレナおよびパラミロンの健康食品、医療分野等での利活用や食材として
の付加価値向上を目指し、研究開発を行ってまいります。


<ユーグレナ(和名:ミドリムシ)について>
石垣島ユーグレナは、ワカメや昆布、クロレラと同じ藻の一種で、動物と植物の両方の特徴を持っ
ており、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など 59 種類の栄養素をバランスよく含ん
でいます。なお、ユーグレナ特有の成分で β-グルカンの一種であるパラミロンは、近年機能性に
ついての研究が進み、食品や化粧品などのヘルスケア分野などでの活用が期待されています。当社
は、「栄養不足」「心身の疲労」「免疫力低下」の相互関係の事実をとらえ、健康の基盤を妨げる
複合的要因に着目しています。健康の基盤を妨げる要因に左右されずに、からだが本来持つ“つく
る・はたらく・まもる”のサイクルを保ち、よりよい状態へ高めることで、一時的ではなく、持続的
な健康を叶えることが大切と考えています。
以上

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