新たな化粧品原料として「ユーグレナエキスEX」を開発

2022 年 2 月 3 日

新たな化粧品原料として「ユーグレナエキス EX」を開発
ユーグレナエキス EX がヒトの真皮線維芽細胞、表皮角化細胞の増殖を促進し、
老化した細胞を除去する可能性を示す研究結果を確認しました

株式会社ユーグレナ

株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、代表取締役社⻑:出雲充)は、微細藻類ユーグレナ
(和名:ミドリムシ、以下「ユーグレナ」)を用いた新たな化粧品原料として「ユーグレナエキス
EX」を規格化※1 したことをお知らせします。




「ユーグレナエキス EX」は、BG※2 にてユーグレナ粉末からユーグレナの成分を抽出したエキス
です。当社では「ユーグレナエキス EX」の機能などについて研究を行っており、ヒトの真皮線維
芽細胞※3 や表皮角化細胞※4 の増殖を促進するとともに、老化した細胞を除去する可能性を示唆する
以下のような研究結果を確認しています。
※1 原料としての品質基準を定めること
※2 ブチレングリコールの略であり、化粧品で保湿剤、防腐剤などとして使用される多価アルコール
※3 皮膚の真皮に存在する線維芽細胞は、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などの細胞外基質と呼ばれる、ハリや弾力の維
持に必要な物質を産生する重要な役割を担っている
※4 皮膚の最も外側にある表皮は、外界の細菌などの侵入から皮膚を保護し、体内の水分が体外に過度に蒸散するのを防ぐための
バリア機能を持つ



■研究の内容と結果
ユーグレナエキス EX が、ヒト真皮線維芽細胞の増殖を促進することが確認されました
ヒト真皮線維芽細胞にユーグレナエキス EX を添加し、培養しました。その結果、ユーグレナエ
キス EX は、何も添加してないもの(0%)と比較して、濃度依存的にヒト真皮線維芽細胞の増殖を
有意に促進することを確認しました(図 1)。真皮線維芽細胞が増殖することで、ハリや弾力が維持
されることが期待できます。
図 1:ユーグレナエキス EX 添加時のヒト真皮線維芽細胞の増殖
***p<0.001、vs 0%、t 検定(ボンフェローニ補正)
、PC はポジティブコントロール



ユーグレナエキス EX が、ヒト表皮角化細胞の増殖を促進することが確認されました
ヒト表皮角化細胞にユーグレナエキス EX を添加し、培養しました。その結果、ユーグレナエキ
ス EX は、何も添加してないもの(0%)と比較して、濃度依存的にヒト表皮角化細胞の増殖を有意
に促進することを確認しました(図 2)。表皮角化細胞の増殖が促進されると、ターンオーバー(新
陳代謝)により古い角質が除去され皮膚の健康を保つことが期待できます。




図 2:ユーグレナエキス EX 添加時のヒト表皮角化細胞の増殖
***p<0.001、**p<0.01、vs 0%、t 検定(ボンフェローニ補正)、PC はポジティブコントロール



ユーグレナエキス EX が、老化細胞を除去する可能性が示されました
GLS-1 遺伝子は老化細胞の生存に必要な遺伝子※5 であるとされていますが、角化細胞にユーグレ
ナエキス EX を添加し培養すると、何も添加せず培養したコントロールと比較して、GLS-1 の発現
が濃度依存的に、特に 5%添加群では有意に減少しました(図 3)。さらに、過酸化水素による処理
※6
で角化細胞の老化を促進し、そこにユーグレナエキス EX を添加して培養すると、何も添加せず
培養したコントロールと比較して、通常の角化細胞ではユーグレナエキス EX の添加により細胞増
殖が促されましたが、老化細胞ではユーグレナエキス EX を添加しても細胞増殖は促されず、有意
に減少しました(図 4)
。これらの結果より、ユーグレナエキス EX が老化細胞の除去に寄与する可
能性が示されました。
※5 GLS-1 遺伝子は、グルタミン代謝に関する遺伝子であるが、老化細胞の生存に必要な遺伝子であることが知られている。細胞

内小器官の異常に起因して、老化細胞内は酸性に傾いており、GLS-1 が過剰に働いて中和することで、細胞を維持している。正常

細胞および老化細胞における GLS-1 阻害の影響の検討結果から、GLS-1 を阻害することで、老化細胞を選択的に死滅させること

が報告されている。

Johmura Y, Yamanaka T, Omori S, Wang TW, Sugiura Y, Matsumoto M, Suzuki N, Kumamoto S, Yamaguchi K, Hatakeyama S,

Takami T, Yamaguchi R, Shimizu E, Ikeda K, Okahashi N, Mikawa R, Suematsu M, Arita M, Sugimoto M, Nakayama KI, Furukawa

Y, Imoto S, Nakanishi M. Senolysis by glutaminolysis inhibition ameliorates various age-associated disorders. Science. 2021 Jan

15;371(6526):265-270. doi: 10.1126/science.abb5916. PMID: 33446552.

※6 Ido Y, Duranton A, Lan F, Weikel KA, Breton L, Ruderman NB. Resveratrol prevents oxidative stress-induced senescence and

proliferative dysfunction by activating the AMPK-FOXO3 cascade in cultured primary human keratinocytes. PLoS One. 2015 Feb

3;10(2):e0115341. doi: 10.1371/journal.pone.0115341. PMID: 25647160; PMCID: PMC4315597.




図 3:ユーグレナエキス EX 添加時の GLS-1 遺伝子の発現の減少
*p<0.05、 t 検定(ボンフェローニ補正)vs コントロール



コントロール
0.0523 ユーグレナエキスEX


112.6
細胞増殖率(%)




100.0 100.0
100 ***
53.3







正常な角化細胞 50
老化細胞


図 4:ユーグレナエキス EX 添加時の正常角化細胞と老化細胞の増殖率
***p<0.001、t 検定 vs コントロール




今後も当社は、ユーグレナおよびその含有成分のさらなる解明を通して、健康食品、医療分野等
での利活用や食材としての付加価値向上を目指すのみならず、ユーグレナ由来の化粧品原料の研究
開発を行っていきます。


<微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)について>
ユーグレナは、ワカメや昆布、クロレラと同じ藻の一種で、動物と植物の両方の特徴を持ってお
り、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など 59 種類の栄養素をバランスよく含んでい
ます。なお、ユーグレナ特有の成分で β-グルカンの一種であるパラミロンは、近年機能性につい
ての研究が進み、食品や化粧品などのヘルスケア分野などでの活用が期待されています。


<株式会社ユーグレナについて>
2005 年に世界で初めて石垣島で微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術
の確立に成功。石垣島で生産したユーグレナ・クロレラなどを活用した機能性食品、化粧品等の開
発・販売を行うほか、バイオ燃料の生産に向けた研究、遺伝子解析サービスの提供を行っていま
す。また、2014 年より行っている、バングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナ
クッキーを届ける「ユーグレナ GENKI プログラム」の対象商品を、2019 年 4 月より化粧品を含む
全グループ商品に拡大。2012 年 12 月東証マザーズに上場。2014 年 12 月に東証一部市場変更。
「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をユーグレナ・フィロソフィーと定義
し、事業を展開。https://euglena.jp
以上

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