CSRレポート2016 <コミュニケーション版>

ニチレイグルー プ
CSRレポート2016
〈 コミュニケー ション版 〉
目次 会 社 概 要 (資本金および従業員数は2016年3月末日現在)

01 目次/会社概要 商 号 株式会社ニチレイ

創 立 1945
(昭和20)
年12 月1日
02 ニチレイグルー プの事業概要
資 本 金 30,307 百万円
03 ニチレイグルー プの企業経営理念
従 業 員 数 14,118 名(連結)
04 CSR 推進体制/
ニチレイグルー プ 6 つ の責任 」
「 本社所在地 〒104-8402
東京都中央区築地六丁目19 番20 号

05 トップメッセー ジ ニチレイ東銀座ビル

電 話 番 号 03-3248-2101
(代表)
08 特 集
「 お いしい 瞬 間を届け た い 」を
実践するた め に 連 結 業 績の推 移  (単位:百万円)


09 特 集 1 売上高 経常利益

安全・安心 な商品をお届けするための 535,351 21,394
511,189 519,963
ニチレイグルー プのこだ わり
16,902
工場編   物流編
14,443



13 特 集 2
持 続可 能な調 達 を目指した
ニチレイグルー プの取り組み
2013 2014 2015(年度) 2013 2014 2015(年度)
15 特 集 3
社 内の対 話 を重視した 総資産 セグメント別 売 上 高構成比
コミュニケー ション活動
342,014 338,497 不動産 その他
318,507 4,643 5,206
(0.8%) (1.0%)
17 2015 年度活動トピックス
低温物流 加工食品
184,869 2015 199,219
18 編集方針/ (33.3%)
(年度)
(35.9%)
Web サイト・PDF の ご案 内
畜産 水産
92,040 68,794
(16.6%) (12.4%)

2013 2014 2015(年度) * 調整額(事業間の内部売上高または
振替高のため除く)▲19,422

* 2015年度より、売上の計上基準について会計方針の変更を行っており、2014年度
については当該会計方針の変更を反映した遡及修正後の数値を記載しております。





ニチレイグルー プ
CSRレポート2 0 1 6
ニチレイグルー プの事業概要

株 式 会 社ニチレイ
[持株会社]
代表取締役社長 : 大谷 邦夫 資本金 : 30,307 百万円

ニチレイグループ全体を統括する持株会社として、グループ全体の経営プランニング・モニタリング・資金調達・各事業会社
の経営支援の機能を有し、企業価値の最大化を目指した組織運営を推進しています。またグループが保有する土地などの資
産を有効活用する不動産事業を運営しています。



株式 会 社ニチレイフーズ 株 式 会 社ニチレイフレッシュ
[加工食品事業] [ 水産・畜産事業 ]
代表取締役社長 : 池田 泰弘 資本金 : 15,000 百万円 代表取締役社長 :金子 義史 資本金 : 8,000 百万円

人々のくらしを見つめ 、食を通じ健康で豊かな社会の実 グローバルな調達機能を活かし、
「鮮度」おいしさ」安全」
「 「
現に貢献することを目指し、
「おいしさ」 健康」 楽しさ」
「 「 「安心」 健康」 環境にやさしい」
「 「 をキーワードに、水産品・
「 安全・安心」 簡単・便利」 安定供給」 適正価格」
「 「 「 を7つ 畜産品の
「こだわり素材」
の開発を進めています。あわせて
の基本価値としています。冷凍食品 、レトルト食品 、ウェ 「持続可能性」
を念頭に、資源や環境にも配慮。より高い
ルネス食品を通じて 、常に独自能力を磨き卓越した価値 「生活者価値の創出」
を通じて、お客様の期待にお応えでき
を創造することで 、世界で最も信頼される食品企業を目 るよう、新たな事業分野への挑戦や社会との調和にも積極
指します。 的に取り組んでいます。




株式会社ニチレイロジグループ本社 株式会社ニチレイバイオサイエンス
[低温物流事業] [ バ イオ サイエン ス 事 業 ]
代表取締役社長 : 松田 浩 資本金 : 20,000 百万円 代表取締役社長 :武永 正人 資本金 : 450 百万円

輸配送を軸とした物流ネットワーク事業と、冷蔵倉庫機能 バイオテクノロジーを通じて、一人でも多くの方の心と身
を担う地域保管事業、欧州・中国・タイに展開している海 体の健康に貢献するために、お客様が求める新たな価値を
外事業、低温物流施設の企画・設計から運営管理までを行 提供することをミッションとしています。また、セルバイオ
うエンジニアリング事業で構成される国内最大規模の低温 ロジー分野とニチレイグループの素材調達力を生かした機
物流企業グループです。高度な物流情報システムで結ばれ 能性素材を事業分野とし、高品質の製品・サービスを提供
た輸配送、保管、流通加工から、物流センターの設計・施 することにより医療、健康、バイオ産業の発展に貢献する
工・メンテナンスにいたるまで、サプライチェーン全体にわ 専門性に秀でた技術指向型企業を目指しています。
たって高品質なサービスをご提供することで、荷主企業様
の物流最適化に貢献し、日本の
「食」
を支え続けています。





ニチレイグル ー プ
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ミッションステイトメント
ニ チレイグ ル ー プ の 企 業 経 営 理 念
ミッ ショ ン ステ ー クホル ダ ー の た め に

くらし を見 つ め 、 お客様に
ニチレイグループは、究極のお客様である生活者の方々に、
人 々 に 心 の 満 足を提 供 す る 真に役立つ商品とサービスを開発し、提供し続けます。そし
ニチレイグループは、人々 のくらしに本当に役立つ商品や て、お客様と当企業グループが、共に繁栄できることを願っ
サービスを一生懸命に創り出し、健康でこころの豊かな生活 て、永続的な相互信頼関係を築きます。
の実現に貢献します。
株主・投資家に
ニチレイグループは、より収益性の高い事業を選定・遂行し
ビ ジョ ン て資本効率を高め、企業価値の向上を実現します。また、株
主・投資家の方々に適正な還元を行います。
ニチレイグループは、卓越した食品と物流のネットワークを
備える
「食のフロンティアカンパニー」
として、お客様にご満 ビジネスパ ートナー に
足いただける優れた品質と価値ある商品・サービスを創造・ ニチレイグループは、ビジネスパートナーの方々に、イコー
提供し、広く好感と信頼を寄せられる企業として、社会とと ルパートナーとして公正な姿勢で臨み、信頼関係を築き、共
もに成長します。 存共栄を目指して相互発展に努めます。

従業員に
発 想と行 動 の 原 点 ニチレイグループは、従業員こそ企業発展の源であると考
え、会社の仕事が従業員一人一人にとってやり甲斐のある

ひ た すらお客様の た め に ! ものであり、自己実現の場の一つとなることを願っていま
す。同時に、従業員個人の尊厳と個性の発揮並びに個人生
活の充実を尊重します。そのために、能力開発と能力発揮
経営姿勢 の機会の提供、能力と努力と成果に見合った処遇制の実施、
安全で風通し良く活性化された職場環境づくりを行います。
1. お客様第一、安全第一、品質第一を貫く
また、性別・年齢・学歴・人種・宗教などに関する差別的な
2. 健全な利益を追求する
行為を防止し、待遇の機会均等を実現します。
3. 付加価値を適正に配分する
4. 法と社会の秩序を守る 社会に
5. 公正な競争に徹する ニチレイグループは、地域社会に企業市民として参加し、事
6. 透明性の高い経営を推進する 業活動を通じて社会の発展に貢献するとともに、ハンディ
7. 資源と環境を大切にする キャップをもつ人々 への支援や文化活動などへの参加と支
8. 世界を見据える 援を継続的に行います。



コミュ ニ ケ ー ショ ン メッ セ ー ジ

お い し い 瞬 間を届 け た い
ブ ラ ンドス テ ートメント
「おいしさ」「新鮮」
と をネットワークする。
ニチレイは、品質へのあくなきこだわりと、培われた技術、
新しいアイデア、グループトータルのネットワークによって、
新鮮で、健康なおいしさをお届けし、笑顔のあふれる食卓を創り出していきます。





ニチレイグルー プ
CSRレポート2 0 1 6
CSR 推進体制
(株)ニチレイ代 表 取 締 役 社 長

持株会社全体が CSR 本部


CS R 本 部(社 長 が 本 部 長 兼 務)


(各委員会間の情報共有)
グルー プ 人 財 委 員 会 品質保証部

ダイバ ー シティ推 進 協 議 会 技術戦略企画部
グループ健康推進連絡会
経営監査部
グループリスクマネジメント委員会
事業経営支援部
グルー プ 環 境 保 全 委 員 会

グルー プ 品 質 保 証 委 員 会 経営企画部

グルー プ 内部 統 制 委 員 会 法務部
グルー プ 役 員 審 査 委 員 会
人事総務部
グルー プ 社 会 貢 献 委 員 会
財務 IR 部
ふ れあい基金理事会

指名諮問委員会 経理部

報酬諮問委員会 広報部



 ニチレイグループの横断的なCSR推進のために、持株会社全体をCSR本部とし、代表取締役社長が本部長を兼務し
ています。CSR本部では、取締役会の諮問機関として設置している各委員会で審議された情報の共有やCSR活動の
レビューを行い、次年度の改善につなげています。



ニチレイグルー プ 6 つ の責任 」

ニチレイグループは、経済的・環境的・社会的側面に配慮した事業活動を通じて、
ステークホルダーの皆さまのさまざまな要請や期待に応えていきます。
グループの方向性を明確にし、さらなる企業価値の向上と持続可能な社会への貢献を目指していきます。


新た な顧客価値の創造 働き が い の向 上 コンプライアンスの徹 底
新たな商品や サー ビスを創り出し、 従 業 員の働きが いを高める 法 律や規 制を守り、
生 活者の課題解決をする 倫 理 性を高める




コー ポレートガバナンスの確 立 環境へ の配慮 ニチレイらしい 社会貢献の推 進
透明で迅 速な経営を行う 地 球 環 境の負 荷を低 減する 「 食 」 健 康 」 スポー ツ」
「 「 を
キー ワードとした従 業 員 参 加 型の
社 会 貢 献の推 進




〜 お いしい 瞬間を届け た い 」
「 〜
そ の想い で取り組む ニチレイグルー プの活動
 ニチレイグループのコミュニケーションメッセージ
「おいしい瞬間を届けたい」 その想いをカタチにするために 、

私たちは つの責任」
「6 に加え
「商品・サービスの安全・信頼」 持続可能な調達」
「 に取り組んでいます。当社グループ
は新鮮で、健康なおいしさをお届けし、笑顔のあふれる食卓を創り出していきます。また、当社グループ一体となっ
て、地球と社会の持続的な発展に貢献を果たす企業を目指します。





ニチレイグル ー プ
C SRレポート2016
トップメッセー ジ

真 摯な心で お客様と社会に向き合い 、
「 1 0 0 年続く企 業 」へと持続的成長を目指します


代表取締役会長 代表取締役社長




 ニチレイグループは、
「くらしを見つめ、人々に心の満足を提供する」
というミッションのもと、食に関わるさまざま

な事業を展開し、
「健康でこころの豊かな生活の実現」
への貢献を目指しています。

 2015年度、私たちは創立70周年という大きな節目の年を迎えました。振り返ればニチレイグループの歴史は、

戦後復興から高度成長、安定成長へと移行してきた日本の歩みとともにありました。二度のオイルショックやバブル

崩壊、デフレの時代など、ときには厳しい荒波を経験しながらも、連綿と事業を営むことができたのは、各時代の経

営者や従業員たちがそれぞれの立場から、お客様である
「生活者」
に真摯に向き合うことで変化に対応し、新たな事

業領域を切り拓いてきたからこそと考えます。

 人々の暮らしの基本となる食に関わる商品・サービスを通じて社会に貢献するという、グループに根付いた志は

今も昔も変わりません。本CSRレポートは、そうした私たちの取り組みをご報告し、広くご意見をいただくために発

行しました。





ニチレイグルー プ
CSRレポート2 0 1 6
Q POWER UP 2018」

新中期経営計画
がスタート。
Q持続可能な社会の実現に向けた、
ニチレイグループの基本姿勢を
事業とCSR の関わりをお聞かせください 。 お伺いします 。


A 前中期経営計画 RISING 2015」

2015 年度は、
の最終年度である
おかげさまで過去最高益を達成することが
A グローバル化の進展により地球は狭くなり、環境変化の
スピードは加速度的に増しています。2015年12月には、
できました。新たにスタートした2016 年度 -2018 年度 COP21において国際的な温暖化対策の枠組み
「パリ協定」
中期経営計画 POWER UP 2018」
「 では 、グループの が採択されました。持続可能な社会への意識は世界で高ま
基盤強化を着実に進め、持続的成長に向けた底力をつけ り続けており、ニチレイグループとしても事業の中でしっか
ることを目指します。 り責任を果たしていかなければなりません。
 ニチレイグループでは、事業を通じて社会に貢献するこ  折しも2015年度は、コーポレートガバナンス・コードの
とに企 業の存 在 価 値 があると考えており、その姿 勢は 適用初年度でもありました。投資家の皆さまからも長期的
「 POWER UP 2018」
においても変わりません。
「くらしを な企業価値向上への要請が高まっており、 (環境・社
ESG
見つめ 、人々に心の満足を提供する」
というミッションの実 会・ガバナンス)
への対応はもはや企業として欠かせない条
現が 、日々の事業活動の目的であり、それはそのままCSR 件になっているのを感じます。
の実践にも重なるものです。  環境保全の分野では、当社グループはこれまでにも事業
 これまでにもCSR基本方針である
「6つの責任」
を定めて に伴う温室効果ガス排出量の削減や、資源の有効利用を推
取り組んできましたが、社会の変化や時代の要請を踏まえ、 進してきました。自然の恵みを受けた事業を営む以上、調
食の安全・信頼や持続可能な調達を考慮し
「6つの責任」
の 達から生産、物流、販売までのバリューチェーン全体での
改定を進めます。新たなCSR基本方針のもと、CSRの取り 環境負荷の低減は当然のこととして取り組まなければなら
組み体制を再整備した上で、あらゆる活動において幅広い ないと考えます。
ステークホルダーの皆さまからの期待に応えていきます。  また近年は、国内外で大手企業による不祥事が頻発し、
改めて企業姿勢が問い直されています。当社グループで
は、2015年10月にコーポレートガバナンス基本方針を制

中期経営計画 定しました。社会から広く信頼を寄せられる企業グループ

「 POWER UP 2018」 を目指し、この方針のもと、公正で透明性の高い経営を推
進していきます。
(2016 年度〜 2 0 1 8 年度)
 理念と利益を両立させ 、ステークホルダーに新たな価値
を提供し続けることが 、ニチレイグループの社会的使命で
1. 持続的な利益成長と資本効率の向上を
あると考えています。
確かなものとする。
2. 海外事業は引き続き規模拡大を追求する。
3. グループ全体の品質保証力の
さらなる向上を図る。
4. コーポレートガバナンスなど
ESG
(環境・社会・ガバナンス)関連の取り組みを
引き続き強化する。
5. 多様な人財の活躍推進に注力する。





ニチレイグル ー プ
C SRレポート2016
Q 食に関わる企業グルー プとして
特に、
果たすべき役割をどう考えますか 。
 一方、伸びゆく市場となる海外事業では、
開ではなく、
全方位的な展
グループの強みを活かせる拠点を慎重に検討・
選定した上で資源を集中投下していきます。

A  ここ数年、食品業界では異物混入や偽装表示などの事件  また、グループ経営力の強化も大きなテーマとして、グ
が発生し大きく社会を騒がせました。食を扱う事業を営む ループ横断的な課題に取り組んでいきます。全体戦略や人
ニチレイグループにとっ その安全・安心を確実に守ること
て、 事・技術・品質・財務・環境などに関わる機能戦略を、持株
は最優先すべき使命の一つです。グループ全体で
「食品安全 会社としてニチレイが担い、各事業会社に展開することで、
(フードセーフティ)や
」「食品防御
(フードディフェンス)、
」有 それぞれの事業戦略の中へと落とし込んでいきます。
事の迅速な情報発信を行う
「食品危機管理」
を強化するとと  具体的には人財価値の最大化によってグループの活力を
もに、加工食品事業を担うニチレイフーズでは、ICタグの導 高めるため、 POWER UP 2018」
「 では健康経営を掲げて
入や検証カメラの設置などハード面の整備も実施しました。 おり、従業員が心身ともに健康に働き続けられるようワー
 また、日本は食料自給率が低い一方で食品廃棄率が高い ク・ライフ・バランスの尊重やストレスケアにも重点を置い
という問題を抱えており、フードロスへの取り組みも欠かせ ています。
ません。ニチレイフーズでは、業界に先駆けて2005年度  また、多様な人財の活躍推進も欠かせません。当社グ
からフードバンク活動に参加するほか 、製造工程で発生す ループでは全従業員の4割が女性という要員構成を踏ま
る残さ
(生ごみ)
を肥料としてリサイクルするなど、最終処分 え、管理職への登用やプロフェッショナル人財としての育成
廃棄物の削減に取り組んでいます。 を進めています。さまざまな背景・考え方を持つ人々が同じ
 2015年度は、当社グループ会社が廃棄依頼をした品が 方向に向かっていくプロセスは易しいものではありません
委託先の企業から不正に転売されるという事件がありまし が、議論を重ね、理解に至るプロセスは企業に革新を生み
た。これを機に、当社グループでは産業廃棄物委託のプロ 出す力となるでしょう。これからもグループの成長を支える
セスを見直し、新規はもとより現在処理を委託している取 人財の獲得・育成に努めていきます。
引先に対しても改めて点検を行いました。製品の廃棄方法  重要なのは、個人の成長と組織の成長を一致させていく
についても、原則として包材から取り出して排出すること、 ことであり、従業員一人ひとりが高いモチベーションとやり
やむを得ず包材を開封できない場合は廃棄現場に従業員が がいを持って働き、自らを高めていくことが、企業の成長へ
立ち会うなどの方法で、確実に処理されたことを確認する の原動力になるのだと確信しています。
ことなどを定めました。
 食を運ぶインフラ企業として、食品を必要なときに必要
な場所へお届けすることも当社グループが担う重要な役割
です。低温物流事業では運送規制が強化される中、長距離
Q100 年続く企業」
「 を目指すにあたっての
ビジョンをお聞かせください 。
輸送の中継拠点の整備や、定時発着・定時運行の徹底など
で協力会社と連携し、法令遵守に努めています。 A 創立100周年も、そしてその先も、生活者一人ひとりの
笑顔をつくり続けていることが大切です。ニチレイグループ
らしい
「真摯な心」
で暮らしを日々見つめていれば 、小さな

Q 年度の あるべき姿と、
2018 兆しを確実に捉えることができ、時代の大きな変化に適応
その実現に向けて注力する取り組みを する力に変えていけるはずです。こうした姿勢こそが 、当
教えてください 。 社グループの発展を支えてきたものであり、今後も受け継
いでいくべきDNAだと考えています。

A  事業を通じて社会課題の解決に貢献するとともに、国内  従業員には、グループの一員として真面目さやひたむき
事業での利益成長と海外事業での規模拡大を達成している さを忘れず、自律性を大切にしてほしいと望んでいます。順
こと、また、将来に向けて持続的な成長ドライバーとなり得 調なときも逆風に晒されるときもありますが、どのような状
る萌芽を見出していることが 、2018年度末までに実現す 況下でも、持てる能力・資源を最大限に活かし、自ら判断し
べきグループの姿です。 て行動し、結果への責任をとること。そんな自律的な人財
 国内は成熟市場といわれながらも、ライフスタイルや世帯 が世界で戦える企業を育てるのです。
構成の変化などに伴い食へのニーズは変わり続けています。  ニチレイグループは、今後も一人ひとりが高い志のもと、
2015年にはTPP
(環太平洋パートナーシップ)
協定が大筋 日々努力や創意工夫を積み重ね、
「100年続く企業」
を目指
合意され、モノやサービスの流通に大きな変化が生まれる可 して前進していきます。ステークホルダーの皆さまには、変
能性が高まっています。市場への感度を高め、生活者の期 わらぬご支援をお願い申し上げます。
待に応えた商品・サービスを開発していくことが重要です。



ニチレイグルー プ
CSRレポート2 0 1 6
1
安 全・安 心 な商品を
お届け するた め の
ニチレイグルー プのこだわり




特集 :

「 お いしい瞬間を届け た い」を





実践するた め に

持 続可能な調 達 を





目指したニチレイグルー プの
取り組み



社 内の対 話 を重視した
コミュニケー ション活 動





ニチレイグル ー プ
C SRレポート2016
1
「 お いしい 瞬間を届け た い 」を実践するた め に



特集1:
安 全・安 心 な商 品を お 届 け す
冷凍食品のパイオニアとして、魅力ある商品を食卓にお届けするニチレイフーズ 。生産現場での品質や環
境をめぐる取り組みを外部からの視点で見ていただくため 、立教大学経営学部教授の高岡 美佳氏をお迎
えし、船橋第二工場にてロングセラー商品「ミニハンバー グ」の生産ラインを見学していただきました。

工場に入るまで
3 段階でのセキュリティ確保 異物混入を防ぐための衛生チェック
 敷地内、建物内、   工 場 内 へ 入る前
生産エリア内の3段 に、従業員は髪をす
階で、セキュリティレ べてネットで覆ってか
ベルに応じた入退管 ら帽子をかぶり、持
理を 行って います。 ち込みによる異物混
すべての人はICタグ 入を防ぐため、ポケッ
がなければ敷地内に トや金具のない衛生
入れず 、従業員であっても建物内で不要な場所に立ち入るこ 服に着替えます。さらに、ローラーを使って小さなほこりまで
とがないよう、ICタグによって移動エリアを制限しています。 念入りに取り除き、エアーシャワーを浴びて、手洗い・アル
また、入退場を自動的に記録し、一定期間保存しています。 コール消毒を実施。防虫対策の一つとして、工場に続く通路に
は、虫の侵入を防ぐライトを使用しています。

工場内
PASで原材料を
 一元管理



成形
原材料
加熱 ふっくら焼きあがる
「ミニハンバーグ」




 野菜や肉などの原材料は、事前に人の目でチェックしたうえ  
「ミニハンバーグ」
ではダブルベルトグリル焼成とマルチス
で工場内に搬入されます。虫などの混入を避けるため段ボー チーマーを使った新製法により、
「外はこんがり・中はふっくら
ルは専用の開梱室で開かれ 、原材料一袋ごとにバーコードを ジューシー」
な品質を実現。衛生面への配慮から、生の原材料
貼付します。バーコードには賞味期限や使用する商品などの を扱う未加熱区と、焼き工程以後の加熱区を、更衣室や通路、
情報が登録されており、 (プロダクション・アシスタンス
PAS ・ 出入り口も含めて完全分離し、ICタグで通過認証をしていま
システム)
で一元管理しています。 す。加熱工程では、加熱機器を集約し完全に自動化すること
で、人の出入りを減らし、労働環境の改善を図ることができま
Q PA Sとは? した。また、空調の使用を抑え、省エネにつなげています。

 ニチレイフーズが独自に開発した品質・生産管理シス
A テムです。原材料から商品までのすべての作業工程を Q 工 場 内に 1 5 分ごとに流れる音 楽は
記録し、 レーサビリティ
ト を確保します。また、従業員は各工程 何で す か?
で画面上に表示されるナビゲーションを確認しながら作業しま  従業員への手袋チェックの合図です。手袋に破損が
す。原材料や配合、手順に誤りがあれば生産機器を止めてミ A 見つかった場合、破損部分が発見されるまで、直前の
スを防ぎます。 15分間に生産した商品を徹底的に調べます。





ニチレイグルー プ
CSRレポート2 0 1 6
工 場 編  船橋第二工場見学
安全・安心とお いしさ へ の工場のこだ わり


る た め の ニチレイグル ー プ の こだ わり

見学を終えて

高 岡氏からの ご 意 見 工 場 長からの回 答
 ここまで自動化・高度化された工場は食品業界の中でも珍しく、  船橋第二工場は、建設当初から品質向上、環境への配慮、生産
工場の清潔さに驚きました。PASによる生産管理をはじめ、品質向 の効率化というコンセプトのもと、各部門が意見や知恵を出し合い
上と生産性向上がイコールになるものづくりができているのが素晴 検討を重ねて完成させた工場です。品質や環境だけを重視して生産
らしいと思います。環境面でも、無人化による空調カットや食品残 性を落としてしまうのでは事業として続かず、それらすべてを兼ね備
さのリサイクルなど、さまざまな工夫が見られます。工場は、商品の えたシステムが大きな特徴だと考えています。
安全・安心、環境負荷の軽減、自社の業績への  また当社では、設備・施設の充実だけでなく、
「人」
貢献、そして消費者に喜ばれるおいしいもの への配慮を重視し、新人の従業員が働きやすい環境
づくりといったすべてを満たすことが求めら づくりや、経営層と従業員との対話
れる重要な役割があり、今後も などを推進してきました。挨拶 執行役員
それらを意識した取り組みを をはじめ職場での信頼関係を 生産統括部長
立教大学
続けていただきたいです。 大切に考え、食の安全・安心 加藤 達志
経営学部教授
(取材当時:執行役員
高岡 美佳氏 とていねいなものづくりをしっ 船橋工場/
かり守っていきます。 船橋第二工場長)




冷凍後の
「ミニハンバーグ」を前に
説明を受ける高岡氏
検品
冷凍
包装
「ミニハンバーグ」

できあがり!


 おいしさを逃がさないように、商品を急速冷凍します。凍結  商品は、形状や異物の混入がないことを機械と人の目でダ
設備にはノンフロンで環境負荷の少ない自然冷媒の冷凍機を ブルチェックしたのち包装工程へ。さらに包装後の完成した商
使用しています。さらに、複数のフリーザーと冷凍機を組み合 品にも、X線による検査を行います。
わせたセントラルマルチユニット方式により、従来に比べて消  商品にできなかったものは、外部業者に委託して肥料などに
費電力を15%削減しています。 再利用しています。
 容器包装の改良も継続的に行っており、
「ミニハンバーグ」

Q フードディフェンス対 策の具 体 例は? では超音波シールによる新パッケージを2014年3月より採

 従業員との信頼関係をつくることが第一です。ニチレイ 用。熱で溶かして接着していた従来方式に比べ、フィルム材使
A フーズでは2011年度から経営層と従業員とが対話する 用量を4%
(年間2.3トン)
削減
「あぐら」
を開始。これまで延べ4,200名以上が参加するなど しました。
意見交換の機会が定着しています。そ
の上で
「不審行動がない」
ことを証明す
るため各工程に検証カメラを設置。商品
の賞味期限内はデータを保存し、履歴を
超音波シール方式採用により
確認できるようにしています。
フィルム材使用量削減





ニチレイグル ー プ
C SRレポート2016
「 お いしい 瞬間を届け た い 」を実践するた め に



特集1:
安 全・安 心 な商 品を お 届 け す
低温物流事業を担うニチレイロジグループは、効率化や環境配慮などさまざまな時代のニーズにも応えなが
ら食品の安定供給を続けています。グループ最大の収容能力を持つ
(株)
ロジスティクス・ネットワーク関東支
店船橋物流センターを、引き続き流通システムの専門家でもある高岡 美佳氏に見学していただきました。

コールドチェーンをつなぐ ニ チレイロジ グ ル ー プ 拠 点 図
幹線輸送拠点
日本最大の低温物流ネットワーク D C: 保管型物流センター

北 海道
 食のインフラを支えるニチレイロジグループ 。輸配送を主に
7DC 約85,000t

担う物流ネットワーク事業と、冷蔵倉庫での保管を担う地域保
東北
管事業を軸に、産地から卸売、小売、消費者までを切れ目なくつ 4DC 約64,000t


なぐコールドチェーンを構築しています。 関東
20DC 約552,000t

 食品物流の中でも厳しい温度管理が求められる低温物流に
おいて 、ニチレイロジグループは国内外128ヶ所の拠点で約
中 四国
190 万トンの冷蔵保管能力を持ち、その業界シェアは日本で1 12DC 約117,000t


位、世界でも5 位を誇ります。また 、ニチレイロジグループの
強みである輸配送機能では、全国の主要拠点をつなぐ幹線便
東海
と、きめ細かい地域配送便網を組み合わせた 、独自のネット
10DC 約190,000t

ワークを展開。お客様の必要なとき、必要なところへ安全に商
関西
品をお届けしています。 13DC 約277,000t


九州
11DC 約163,000t





輸入港
物流
生産地 輸配送 輸配送
センター
工場



日本一の保管能力と幅広い対応力  3PL事業者として、ニチレイロジグループでは物流の共同化
に積極的に取り組んでいます。複数メーカーの在庫を一つの
 全国77ヶ所の保管型物流センター
(DC)
では、商品を冷蔵・冷
冷蔵倉庫に集約したり、荷物を積み合わせてお届け先に共同
凍状態で長期間品質を損なわずに保管し、商品の需要と供給を調
配送することで、 ト削減はもちろん、
コス 環境負荷軽減にも大
整する役割も果たします。船橋物流センターもその一つです。お
きく貢献しています。
預かりした商品は冷蔵倉庫内で、集中管理システムにより最適な
温度で管理されています。また、お客様のご要望に応じて各種流
3 P L に よる物 流 の効 率 化
通加工を行うなどきめ細かいサービスをご提供しています。
[ 導入前] 個別最適の追求
輸送〜配送のネットワークにムダが生じる
物流を最適化する3PLを展開 保管
生産 配送 販売
 ニチレイロジグループは、食品物流の3PL サード
( ・パーティ・ 輸送
作業
ロジスティクス)
のパイオニアとして、食品業界のさまざまなお客
様に最適な物流をご提供しています。3PLとは、お客様の物流全
[ 導入後] 全体最適の追求
体を一括して請負い、最適化・効率化を実現するサービスです。 輸送〜配送のネットワークがスムーズかつ
輸配送や保管にかかるさまざまなムダを省き、物流コストの削減 コンパクトになる

や納品リードタイムの短縮、在庫の最適化などを実現します。 生産 輸送 保管 作業 配送 販売





ニチレイグルー プ
CSRレポート2 0 1 6
物 流 編   船 橋 物 流センター見 学
「食」のインフラ企業として 、多様な物流ニー ズに応える


る た め の ニチレイグル ー プ の こだ わり

厳密な温度管理による品質維持 省エネ型自然冷媒の冷凍設備
 食品のおいしさと安全の鍵は温度管理です。物流センター  環境対策の一環として、船
では幅広い保管温度帯に対応した施設・設備を充実させ、保 橋物流センターでは、新設し
管・輸配送の各段階で、厳密な温度管理をしています。また、 た冷蔵倉庫において自然冷媒
冷凍前の商品をお預かりし急速凍結するご要望にも対応。通 であるアンモニアを使用した
常の凍結に比べ 、食品の細 省エネ型冷凍設備を採用。従
胞破壊が少なく風味の劣化 来比20%の温室効果ガス排 アンモニアを使用した
省エネ型冷凍設備
を防ぐことで 、フードロスの 出量の削減につなげています。
発生を削減し、食品の安定供
給にも寄与しています。 陽圧システムで外気の流入を防ぐ
冷蔵倉庫
 入出庫時、トラックを接車して搬入・搬出を行う荷捌室は、
最適加工ニーズに応える高周波解凍 常に摂氏5度以下を保ったクローズドデッキとなっています。ま
 お客様のニーズに合わせ、配送前に冷凍品を解凍し、加工 た、荷捌室の内部を陽圧
(外気圧よりも圧力が高い状態)
化し
に適した状態でお届けしています。冷凍品の内部で熱を発生さ て戸外への気流をつくることで、外気やほこりの侵入と、温度
せて温める高周波解凍では、大きな肉のかたまりでも短時間で 上昇や結露を防いでいます。また、庫内の搬送・作業を効率的
ムラなく均一に解凍します。商品の鮮 に行えるよう、垂直搬送機やフォークリフトを導入しています。
度を落とさず 、また、肉汁などのう
まみ成分の流出を抑えるため、食

店舗 品の歩留まりが高まります。船橋
物流センターでは日産30トンまで
の解凍に対応しています。
フォークリフ (左)
ト と垂直搬送機 クローズドデッキに

見学を終えて 接車するトラック




高 岡氏からの ご 意 見 物 流センター長からの回 答
 新設された建物を拝見し、環境や安全性への配慮が設計段階から  お客様に最適な物流サービスを提供するためには 、倉庫内業務
組み込まれていることを実感しました。オールLEDの照明や自然冷媒 のみならず、輸配送においても品質を守りながら効率化を進めるこ
の冷凍設備、入室時の顔認証システムなど極めて先進的で、従来の とが欠かせません。委託会社との協力のもと、数年前からダイヤ通
物流倉庫のイメージを一新するような高いレベルにあると思います。 りの
「定時定発」
を強化し、ドライバーの待ち時間の削減などに取り
 貴グループでは車両を持たず輸配送を協力会社に委託している場 組んできました。
合が多いとのことですが 、今後は委託会社の管理もますます重要に  委託会社は 、当グループが求める品質基準を
なるでしょう。商品の品質維持はもちろん、車両 条件に選定し、運送中の事故やコンプライアン
走行の安全性や環境配慮を委託会社の選定基 ス違反の有無を含めた定期的な品質チェックを
準に盛り込むなど、食品物流をリードする企業 行っていますが 、ご指摘のように環境対応の
として、業界の新たなスタンダードを生み出 視点を委託会社にまで広
すような取り組みに期待します。 げることは 、今 後 の
(株)
ロジスティクス・
課題の一つだと感じ
立教大学 ネットワーク
経営学部教授 ています。ありがと 執行役員
船橋物流センター所長
高岡 美佳氏 うございました。
芳村 暢夫
顔認証システムで入室を管理





ニチレイグル ー プ
C SRレポート2016
2
「 お いしい 瞬間を届け た い 」を実践するた め に



特集2:
持 続 可 能な調 達 を目 指し た
ニチレイグループが 、食の安全・信頼と並んで重視しているのが環境に配慮した持続可能な調達で
す。原材料の調達先が世界中に幅広く分布している今 、各地域の社会的な背景を踏まえた事業活動
が大切と考え、パートナー企業などと連携した調達活動を進めています。

い の ち

1 0 周 年を迎えた 生 命 の 森プロジェクト」  [ ニチレイフレッシュ ]
「 !
マングロー ブ植樹へ の寄付を通じて持 続 可 能な調 達に貢 献
 ニチレイフレッシュが養殖えびの調達先であるPT. Mustika
Minanusa Aurora
(MMA)
社およびインドネシア・北カリマン
タン州タラカン市と協同で開始した
「生命の森プロジェク が
ト」
カリマンタン島
10周年を迎えました。ニチレイフレッシュは1995年に
「集約養 タラカン
Tarakan
殖」
に比べ環境への負荷が少ない
「粗放養殖」
を手がけるMMA
社からブラックタイガーえびの調達・販売を本格的に始めまし
た。養殖池はマングローブを伐採してつくられますが、その生態
系の回復に貢献したいと考え、2006年にMMA社の
「マング
ローブ基金」
に収益の一部を寄付する
「生命の森プロジェク を
ト」
開始。このプロジェクトを通じてマングローブの植樹活動を行
い、持続可能な調達だけでなく、タラカン市における着実な自
然環境の保護・生態系の保全に貢献しています。


Q 自然の地形を活かした 粗放養殖 」
「 のメリットは?
 えびの養殖で一般的なのは、約0.3〜1ヘクタールの人工の養殖池に多くの稚えびを投入し、飼
A 料を与える
「集約養殖」
と呼ばれる方法。より多くのえびを短期間で収穫できますが 、養殖池の維
持などで環境に大きな負荷がかかります。一方、10ヘクタール以上の養殖池で稚えびの投入密度を抑え
てえびを育てる伝統的
「粗放養殖」
は飼料を
与えず自然プランクトンなどを食べて育つた
め、土壌への負荷や病害リスクが少ない上
に、えびが大きく育つというメリ トがありま

す。えびをほぼ自然に近い環境で育てるこの
伝統的えび養殖を、循環型の永続的な活動と
して取り組んでいきたいと考えています。
大きく育ったえび 水揚げされたえび


Q マングロー ブを植樹したことによる効 果は?
 MMA 社の
「マングローブ基金」への寄付を通じて実現した植樹活動の結果、マング
A これまでに 東京ドーム


65 個分
ローブ林が回復することで、鳥やカニ、小魚が増えました。また、かつてこの地からいな


くなったテングザルも、外部から連れてきたものが自然繁殖して定着するなど、生態系の回復に
もつながっています。 の
面積に植樹を実 施!
活動開始から10年。
トータルの植樹エリアは
約302ヘクタールに達しています。
これは東京ドームの約65個分に
相当する面積です。
(2014年11月時点)


2011年度植樹 2012年度植樹 2013年度植樹 2014年度植樹
(2015年3月のもの)




ニチレイグルー プ
CSRレポート2 0 1 6
ニチレイグル ー プ の 取り組 み
タラカン市長の声


地域との連携による環境・社会への貢献  ニチレイフレッシュおよびMMA

社にはタラカン市内および周辺の

「マングローブ基金」
を通じた植樹活動は、地道ながら着実にタラ
マングローブ植樹活動への寄付
カン市への貢献に結びついています。マングローブ林の一部は地元
をいただき感 謝 申し上 げます。
タラカン市の公園として整備され、地域の人たちの憩いの場となって タラカン市長
10年間におよぶその活動は、地域の環境
います。また、ボルネオ大学の研究対象として活用され、学生と共同 M.Si, SOFIAN
RAGA氏 と生態系の再生に大きく貢献しました。

「マングローブ植樹ツアー」
が定期的に実施されるようになりまし
 タラカン市は、City of Green Tarakan
た。この植樹の取り組みが評価され、2016年3月にタラカン市から
という目標のもと、2014 〜2019年まで環境再生事業を
MMA社の
「マングローブ基金」
および
「生命の森プロジェク へ感
ト」
最優先課題として取り組んでいますので、今後もぜひ植樹
謝状が贈られました。マングローブが生い茂っているエリアには、植
活動を継続していただけることを希求いたします。私たち
樹活動によって実現したことを記したプレートも設置されています。
も貴社の活動に協力していきたいと考えています。
 食と地球の未来を見据えたこの
「生命の森プロジェク の発展に
ト」
向けて、今後も継続して取り組んでいきます。

マングローブ植林の仕組み
生産されるえびの販売収益の一部が、MMA社の
「マングローブ基金」
を通じ、環境保全活動費用に充てられています。
仕組みフロー
えび販売 えび販売
お客様(企業様) ニチレイフレッシュ MMA社(マングローブ基金)
代金の一部 収益の一部
お客様の代金の一部 買い取り、植樹・維持費用

マングローブ原生林
お客様に、粗放養殖えびを購入いただければ、それだけ原生林の保全活動が進む仕組みです。
このサイクルを回し続けることが大切と考えています。




パートナー企 業との 連 携による C S R 調 達  [ ニチレイフーズ ]

CS R 活 動の考えにもとづ い た調 達を推 進
 ニチレイフーズは、ニチレイグループ
「6つの責任」
の考えに  調達段階での社会的責任を果たすため、取引先であるパー
もとづき、事業活動を行うとともに、事業を通じたCSR活動を トナー企業のご支援・ご協力のもと、以下の6要件について遵
推進していきます。取り引きにあたっては、下記5項目を基本 守を求めています。また、工場品質監査時に重点項目のチェッ
方針として掲げています。 クを実施するとともに、チェックシートによる工場のセルフ
チェックも行っています。

ニチレイフーズ 5 つの基本方針 」
「 ニチレイフーズ 、遵守を求める 6 つの要件 」

1. 私たちは、複数のお取引先様に対して公平に窓口を開放し ニチレイフーズに供給する製品の品質、価格、納期が適正
ます。 水準にある。
2. 私たちは、国内外の諸法規を遵守し、企業倫理に基づいた 基本的人権を尊重し、従業員の労働安全確保に努める。
公正な取引をおこないます。 環境に配慮した製品・サービスの提供に努める。
3. 私たちは、調達活動を通じて得た情報は厳格に管理します。 公正な事業活動を行い、法令を遵守する。
4. 私たちは、環境への影響に十分配慮します。 情報は適切に管理するとともに、事業活動に関わる情報の
5. 私たちは、市場ニーズに応えるためQCD
(品質、コスト、 適時・適切な開示に努める。
供給)
を追求します。 企業市民として、社会貢献活動に取り組む姿勢がある。





ニチレイグル ー プ
C SRレポート2016
3
「 お いしい 瞬間を届け た い 」を実践するた め に



特集3:
社 内 の 対 話 を 重 視 し た コミ
ニチレイグル ープが 6 つの責任」
「 の一つとして推進しているのが 働きがいの向上」
「 です 。従業員
一人ひとりの成長の総和こそが企業の成長と考え、グループ各社の風土と文化を活かし 対話」
「 を重
視したコミュニケーション活動を展開しています。




ニチレイフー ズの ニチレイフレッシュの
「 あぐら」 「 車座 」
「トップミー ティング」
ニチレイフーズでは2011 年度から経営層と従業員とが対話をする ニチレイフレッシュでは2007年度から、 経営層が経営方針や3ヶ年の
「あぐら」 を開始。2013年度には海外事業所でも実施し、これまで延 中期経営計画について、従業員に直接内容を説明し意見交換などを
べ4,200 名以上が参加するなど意見交換の機会が定着しています。 行う「車座」のほか 、社長と従業員とのコミュニケーションを目的とし

「トップミーティング」 を2015年度から実施しています。


具 体 的 な 内 容と目 的 具 体 的 な 内 容と目 的
 ミッション、ビジョン、行動指針を従業員が共有し、経営  2015年度より社長がファシリテーターを務め、従業員一
層が社内の声を聞くことを目的に、1回当たりの参加者数を 人ひとりと対話する会、
「トップミーティング」
を開始しまし
少人数にして全員が発言できる雰囲気づくりを重視して開 た。自社の
「強み」「存在意義」
や を確認するとともに、今後
催しています。この取り組みは、社内風土をはじめ部門間の 「力を注ぐべきところ」
などについて従業員の意見を直接ヒア
連携やコミュニケーションのあり方、各部署での課題など幅 リングし、経営に反映することが目的です。初年度は、新任
広いテーマで意見を交わす貴重な機会になっています。回 社長の金子が各拠点を回り、自己紹介をしながら従業員との
数を重ねるごとに話しやすい雰囲気へと変わり、従業員同 コミュニケーションをとることから始めました。
士も理解や共感が広がっている手ごたえを感じているよう  また、社長および経営層が全国各地の事業所や関係会社
です。
「あぐら」
の対象者を海外の事業所や生産工場のパー に赴いて、現状や経営方針、戦略、企業理念などを直接説明
ト社員などに広げ 、従業員の声を業務改善や仕組みの改善 し 確 認しあう
「車 座」 2007年 度 から 毎 年 春 に 実 施。
を、
へと反映させて、明るく元気で風通しの良い職場づくりにつ 2015年度は全国14ヶ所・20会場で開催し、全従業員が参
なげていきたいと考えています。 加しました。

対話の効果 対話の効果

 2012年度の
「あぐら」
では物流品質改善の声が多く寄せ  
「車座」 社長および経営層が全従業員へ年度初めに行
は、
られたことから、ニチレイフーズ従業員のモットーである
「ハ い、現状や推進している経営戦略、企業理念を直接語ること
ミダス
(とらわれず・明るく)を冠した
」 「ハミダス物流改善プ で、会社が目指す将来像や課題などを共有する大切な場と
ロジェク を発足させ、
ト」 改善につなげました。また、2013 なっています。従業員同士で改めてビジョンや理念を認識・
年度には社内の疑問や問い合わせに応える
「ハミダス情報相 共有しあうことで理解や共感が広がり、社内のコミュニケー
談室」
を設けるなど、
「ハミダス活動」
が定着しつつあります。 ションがより活発になっています。
2014年度からは
「あぐら」
への参加対象者を、各生産工場  また、2016年度からは、新中期経営計画スタートの年で
のエキスパート社員にも拡大。全国11ヶ所の工場でも実施 もあるため、従業員一人ひとりがより深く経営目標を理解し
しました。
「従業員の声」
は組織改正や人事制度に反映する 共有できるよう、社長および経営層と従業員との意見交換
など、風通しの良い活性化された職場づくりに取り組んでい の時間を大切にし、士気を高めるきっかけになっています。
ます。





ニチレイグルー プ
CSRレポート2 0 1 6
ュ ニ ケ ー ション 活 動




ニチレイロジグルー プの ニチレイバイオサイエンスの
「 DCD(コー チング)プログラム」 「ブラウン・バッグ・ミーティング」
ニチレイロジグループでは、 2015年度に DCD
「 (コーチング)プログ ニチレイバイオサイエンスではランチタイムに部署を超えて自由にディ
ラム」第1期を開始。全国の
「リーダー所長」 が計50名の各社部署長を スカッションする「ブラウン・バッグ・ミーティング」
を2014年度から
対象に「働きがいのある職場」 に向けてのコーチングを行っています。 実施。気軽な意見交換の場として定着しつつあります。




具 体 的 な 内 容と目 的 具 体 的 な 内 容と目 的
 従業員一人ひとりの
「働きがいのある職場」
を明確にし、そ  
「ブラウン・バッグ」
とは、アメリカで一般的なサンドイッチ
れに向けての取り組みを支援することを目的としています。 やハンバーガーを入れる
「弁当の紙袋」
の意味です。ランチ
 2015年5月から2016年2月までを第1期として、ニチレ タイムに部署を超えたメンバーが集まって、毎回一つのテー
イロジグループ各社から部署長1名を
「リーダー所長」
として マを決めて、食事をしながら気軽に意見交換できる機会とし
選出。リーダー所長は専門家によるコーチを受け 、電話会 て
「ブラウン・バッグ・ミーティング」
を2014年度、2015年
議システムなどを活用してリーダーシップのあり方やノウハ 度とも2回実施しました。通常の業務では、決まった社員同
ウを学びます。リーダー所長10名は、各々 がニチレイロジ 士でのコミュニケーションにとどまりがちなため、事業所や
グループ各社の部署長5名を対象に、8ヶ月間にわたって 部署を超えて、幅広い世代でコミュニケーションを築くきっ
“働きがいのある職場づくり”
を目標としたコーチングによる かけとして開始。あえて仕事や業務上のテーマを選ばず議
サポートを実施しました。各社計50名の部署長は、さらに自 事録も作成しないというルールを設けています。また、新入
身が所属する部署内へのコーチングへと活かしています。 社員から社長まで幅広い部署や職種、肩書の人たちが集ま
れるよう工夫しています。

対話の効果 対話の効果

 部署で年度初めに、職場内のコミュニケーション向上施策  所属部署や名前は知っていても、普段は言葉を交わす機
「まるごとコミュニケーション」
を通じて作成された
「働きがい 会がなかった若手とベテラン、先輩社員とが顔を合わせて
向上アクションシート」 当プログラムで設定した目標をも
や、 気軽に話ができる取り組みとして定着しつつあります。特に
とにして、プログラムを実施しています。 若手社員にとっては、業務を通じてだけでは知る機会の少
 この取り組みを開始してから、部署長の部員に対するコ ない先輩やベテラン社員たちの意外な側面を知り、コミュニ
ミュニケーションの回数が増え、働きがい向上に向けた取り ケーションがとりやすくなったという声が聞かれました。さ
組みが各部署で始まりました。2015年度のES 従業員満足
( らにベテラン社員の過去の経験などを知り、仕事で問題や課
度)
調査では、働きがいに関する数値がアップしました。 題に直面した際、具体的なアドバイスがもらえることが分か
 また、ニチレイロジグループのES調査の結果、よい事例 り、心強さをおぼえたという声もあります。この取り組みが
があがった部署に対してヒアリングを行い 、その内容をグ 定着することで、部署や世代の壁のない 、風通しの良い職
ループ各社・各部署を超えて共有し、他部門にも広げていく 場の文化の定着を目指しています。
予定です。




ニチレイグル ー プ
C SRレポート2016
2015 年度活動トピックス


ニチレイグルー プ全体で 従業員の健康づくりに取り組み 、
働きが い の向上を目指します 。
 人は企業の重要な財産であり、従業員の健康に配慮して能力を
最大限に発揮できるように努めることは、生産性の向上や収益の ニチレイグルー プ健康宣言
拡大にもつながります。ニチレイグループは、
「持続的成長を目指 「 お いし い 瞬 間を届 け た い 」、
す会社にとって、従業員の健康は重要な経営課題である」
という そ の 想 い を大 切 に 、
認識のもと、2014年度より労使間で健康経営について意見交換 ニチレイグル ー プ で 働く一 人 ひ とりの
を行い、労使協働で従業員の健康増進に取り組んでいくことに合 健 康 づくりに 取り組 み ます
意しました。2015年度は、人事総務部内に専任部署として
「健康
基本方針
推進グループ」
を設け、健康管理基準等を整備しました。
1.「働きがい」のベースには心と身体の健康があるという考
 今後は、主な施策として健康診断に年齢・性別に応じたがん検
えのもと、労使協働で活力ある職場づくりを推進します。
診の項目を追加するとともに、健康診断の結果にもとづき有所見
2. 従業員一人ひとりが健康意識を高め、主体的に健康増進に
者対応を徹底していきます。また、エリア別の産業医・保健師ネッ
取り組む環境づくりに努めます。
トワークやス レスチェ
ト ック体制の確立、個人・マネジメント層それ
3. 健康保持増進・メンタルヘルス対策・安全衛生管理を3つ
ぞれに向けた健康教育の実施、長時間労働の防止などに取り組 の柱とし
「健康マネジメン に取り組みます。
ト」
み、従業員が安心して働ける環境を整備していきます。




食育プログラム 出張工場見学 食育プログラム 小学校にて 純和鶏 ® 」
「 を紹介

「工場見学に行きたいが、なかなか行けない」
という小学校の  ニチレイフレッシュグループの
(株)
フレッシュチキン軽米で
先生の声と
「ニチレイフーズらしい食育プログラムが欲しい」
と は、所在地の岩手県軽米町の小学校や幼稚園で 、地産地消や
の従業員の声を受けて、従業員が学校に出向いて工場見学を体 生産活動への理解促進のため、岩手県チキン協同組合(9組合)
験してもらうプ ロ グ ラム、 張 工 場 見 学”
“出 をつくりました。 の皆さんと食育授業を行っています。2015 年度は、軽米町立
「見る 学ぶ 楽しく 」
! ! ! をコンセプトに、冷凍食品ができるまでの動 軽米小学校で
「純和鶏 ® 」
を紹介する授業を実施。
「純和鶏 ® 」

画を活用して子どもたちにも分かりやすく伝える工夫をしてい 軽米町産の飼料米を食べ 、その鶏ふんが飼料米の有機質肥料
ます。生産現場のリアルな映 として使われる農畜産循環型
像や音のほか 、安全やものづ 生産サイクルで育てられてい
くりへのこだわりなども盛り込 ます。今後も地域の方とのふ
んだ内容となっています。 れあいを大切にし、食への理
(現在、公募はしていません) 解を深めていきます。




物流センター に社会科見学を受け入れ ミャンマー の病院へ の検査薬提供
 全国各地の物流センターで地域の小・中学生、高校生の社会  2006年度から、新潟大学医学部国際保健学分野を通じ、病
科見学を受け入れています。 理検査に使われる当社製品をミャンマーの医療機関へ無償提供
 児童・生徒に事業概要を紹介し、その後、物流センターの現場 しています。貴重な免疫染色用の抗体は、ヤンゴン小児病院の
を一通り見学してもらうことで、食品流通の仕組みや海外との ほか、各大学に贈られ、各施設での研究や病理診断など実地の
つながり、環境への配慮など多面的な理解を促進しています。 医療に活用されています。
この低温物流サービスが食の安全を支え、暮らしに不可欠な存  2015年度からは、国立6大学による
「ミャンマーの医学教育
在であることを将来世代に伝えていくため 、今後も引き続き全 協力JICAプロジェク が開始され、
ト」 2016年3月には、新潟大
国でこの取り組みを進めてい 学のミャンマー感染症研究拠
きます。 点ができました。留学のため
新 潟 大 学 に 来 られたミャン
マー の医師と帰国後の交流を
契機に始まったプロジェクトの
成果です。




ニチレイグルー プ
CSRレポート2 0 1 6
編集方針

 ニチレイグループはCSR 活動を幅広いステークホルダー の皆さまにご理解いただき、コミュニケーションを深めるために
CSRレポートを作成しています。本レポートはニチレイグループの
「おいしい瞬間を届けたい」
という想いで取り組む当社グルー
プの活動の中で、ステークホルダー の皆さまに特にお伝えしたい事例、安全・安心に関する取り組みや、持続可能な調達、従
業員とのコミュニケーションについて特集で紹介しました。また 、Webサイ ・PDFでは詳細な取り組みと、
ト パフォーマンス
データを開示しています。

● 対 象 期 間 ● 発行月
2015年4月1日〜2016年3月31日の活動実績を中心 2016年6月
に掲載しています。
● CS Rレポート2016」
「 に関するお問い 合わせ先
● 対 象 範 囲 株式会社ニチレイ 技術戦略企画部
ニチレイグループの国内事業所およびグループ会社を対 〒104-8402
象範囲として記述しています。
(上記と対象範囲が異なる 東京都中央区築地六丁目19番20号 ニチレイ東銀座ビル
場合、その旨を記載しています) TEL:03-3248-2232
(ダイヤルイン)
FAX:03-3248-2150




Web サイト・PDF の ご案 内

ニチレイグルー プはCSRに関する取り組みを、冊子のほかに、WebサイトとPDFでも紹介してお
ります 。ぜひご覧ください 。


般 Web サイト CSR・環境活動
ニチレイグループのCSRの取り組み全般





冊子
(特にお伝えしたい を、より多くの方に、できるだけ分かりや
取り組み)
すく実績データも交えてお伝えする構成

象 となっています。2016年7月更新予定。

者 Webサイト CSR・環境活動
URL http://www.nichirei.co.jp/csr/
(取り組み全般を





分かりやすく伝える)


専 PDF

家 (ガバナンス・社会・環境など活動の詳細情報)



少ない 情報量 多い PDF
ニチレイグループのCSRの取り組み全般
を、取り組みの方針やマネジメント体制な
ども含めて紹介しています。2016年7月
掲載予定。
ニチレイグルー プホー ムペー ジ
URL http://www.nichirei.co.jp/csr/
企業情報
http://www.nichirei.co.jp/corpo/

食品の安全・信頼
http://www.nichirei.co.jp/safety/

取り組 み 事 例 の 一 部 は、上 記 ホーム
ページで紹介しています。





ニチレイグル ー プ
C SRレポート2016
経営企画部
技術戦略企画部
〒104-8402 東京都中央区築地六丁目19番20号 ニチレイ東銀座ビル
TEL 03-3248-2232 FAX 03-3248-2150
URL http://www.nichirei.co.jp/




当社は年間100万kWhのグリーン電力を契約し、
本CSRレポートの印刷・製本にかかる
電力(660kWh)
相当分をこの一部でまかなっています。




この報告書は、 森林管理協議会(Forest Stewardship Council®)
で認証された、適切に管理された森林からの原料を含むFSC®認証紙を使用しています。
インキは VOC
「 (揮発性有機化合物) 成分ゼロ」 のインキを使用し、 印刷は印刷工程で有害廃液を出さない
「水なし印刷」で行っています。

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