肺がんの遺伝子検査用DNA標準プレート「RICOH Standard DNA Series EGFR mutation Type001」を発売

2020年8月20日
各位
東 京 都 港 区 海 岸 一 丁 目 1 5 番 1
株 式 会 社 D N A チ ッ プ 研 究 所
代表取締役社長 的 場 亮
(コード番号:2397 東証第2部)
問 合 せ 先 総 務 部 大 塚 勉
電話番号:03-5777-1700(代表)



肺がんの遺伝子検査用 DNA 標準プレート

「RICOH Standard DNA Series EGFR mutation Type001」を発売
~血液を用いた高感度遺伝子検査の精度向上に貢献~




株式会社DNAチップ研究所(代表取締役社長:的場亮)と株式会社リコー(社長執行役
員:山下良則)は共同で、血液を用いた肺がんの遺伝子検査の精度管理に用いることができ
る標準物質*1 として、DNA 標準プレート*2「RICOH Standard DNA Series EGFR mutation
Type001」を開発し、本日発売します。肺がん患者の血液の中に含まれるごく少量のがん細
胞由来の DNA 分子を検出する高感度な遺伝子検査の精度を確認することが可能となり、検
査の精度向上に貢献します。


がんの発見や治療のために、患者のがん組織の遺伝子を検査し、治療薬の効果を予測する
精密医療(プレシジョン・メディシン)による個別化医療が広がり始めています。遺伝子検
査では、がん化やがんに対する治療薬の効果に関連する遺伝子の変異を調べます。肺がんの
遺伝子検査は、遺伝子の変化(変異)とそれに応じて用いる治療薬(分子標的薬*3)の組み
合わせが多数開発され、早期に実用化されています。


肺がん関連の遺伝子検査のなかで EGFR
(上皮成長因子受容体)遺伝子*4 の検査は代表的な
手法の 1 つです。肺がんの薬物療法を考慮している患者に対して、投与する治療薬を決める
ために EGFR 活性化変異の有無を検査します。また治療薬投与後にも薬剤耐性の出現を調べ
るために EGFR 耐性変異を検査します。これらの遺伝子検査には PCR 法*5、NGS(次世代シー
クエンス)法*6 などの手法が用いられています。
また、肺がんの遺伝子検査に用いる検体には、手術で切除した組織や気管支鏡を用いて採
取した組織(バイオプシー:生体検査)が用いられていましたが、採取時の侵襲性が高く、
患者の身体への負担が大きいことが課題でした。近年では患者への負担を抑えるために、低
侵襲で採取可能な血液を用いるリキッドバイオプシー*7 が注目されています。


DNAチップ研究所が開発した EGFR リキッド検査*8 は、低侵襲で採取可能な血液を利用
した検査手法であり、NGS 法を用いて高感度の遺伝子検査を実現しています。採取された血
液の中には、さまざまな細胞から放出された遊離 DNA(cfDNA: cell-free DNA)が存在しま
すが、そのほとんどは正常な細胞に由来するものであり、その中にわずかに存在するがん細
胞由来の遊離 DNA(ctDNA: circulating tumor DNA)における EGFR 活性化変異やさらに少
ない耐性変異の検出を行っています。


「RICOH Standard DNA Series」は、DNA 標準プレートの技術を用いた製品群であり、リ
コー独自のバイオプリンティング技術により DNA 分子数を 1 分子単位で規定して遺伝子検
査用の容器に注入したもので、手作業で希釈するとばらつきが生じやすい 100 分子以下の
低濃度領域においても、遺伝子検査用装置、遺伝子検査手法、試薬の精度管理や品質管理を
厳密に行うことが可能となります。
DNAチップ研究所とリコーは、肺がん患者の血液中に存在する遊離 DNA のモデルとし
て、遺伝子検査の精度を確認する標準物質「RICOH Standard DNA Series EGFR mutation
Type001」を共同で開発しました。血液中に存在するがん細胞由来の遊離 DNA の数には患者
により個人差がありますが、半数以上の患者では 1 回に検査する血液中に EGFR 活性化変異
が 100 分子以下、耐性変異はそれよりさらに少ない数しか存在しません(DNAチップ研究
所調べ)「RICOH Standard DNA Series EGFR mutation Type001」はそれを模して、10,000

個の正常な DNA に対して 10~100 個のがん細胞由来の DNA(EGFR 活性化変異と耐性変異の
両方の遺伝子配列を含む)を 8 連チューブの各ウェルに分注したもので、0.1%~1%の変異
アレル頻度*9 の標準物質として、肺がんの検査を実施する医療機関、検査センター、研究機
関で検査系の評価に用いられることを見込んでいます。本製品を用いて事前に検査の精度
を確認することで、精密医療がより正確に行われ、肺がん治療の効果が向上することへの貢
献を目指します。


尚、本年度の業績への影響については軽微であり、発表している本年度業績見通しにおり
込み済です。
製品名 RICOH Standard DNA Series EGFR mutation Type001
品種コード 256771
遺伝子 EGFR
変異の種類*8 G719A, E19_del, T790M,
C797S, L858R, L861Q
アレル頻度 0.1%, 0.3%, 0.5%, 1.0%
内容量 8 連チューブ 5 ストリッ

保管温度 -20℃以下
希望価格 \70,000(税抜き) 1 番のウェルのキャップに黒丸シールが貼付されています。


製品情報




肺がん患者の血液中に存在する遊離 DNA の模式図
製品写真:RICOH Standard DNA Series EGFR mutation Type001


※本製品は研究用試薬です。

*1 標準物質

成分の含有量が明確にされた測定の基準となる物質のこと。

*2 DNA 標準プレート

DNA 標準プレートは、リコーと国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、理事

長:久間 和生)
、日本製粉グループの株式会社ファスマック(代表取締役社長:布藤 聡)の 3 者の

共同研究の成果により、実現したものです。

https://jp.ricoh.com/release/2018/0604_1.html

*3 分子標的薬

がん細胞に特有な特定の分子を標的にして攻撃することにより効果を発揮する治療薬。

*4 EGFR(上皮成長因子受容体;Epidermal Growth Factor Receptor)遺伝子

EGFR 遺伝子の変異は肺がんの約 30%の患者で見つかっており、肺がん患者で見つかる変異としては最

も数が多く、年間数万検体の検査が行われている。

*5 PCR 法

ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)を利用して DNA を増幅する手法。

*6 NGS(次世代シークエンス)法

Next Generation Sequencing の略。多数の DNA 配列を同時に読み取ることのできる手法。

*7 リキッドバイオプシー

主にがんの診断や治療のために行う血液などの体液を使った検査。

*8 DNAチップ研究所が開発した EGFR リキッド検査

正式名称:EGFR リキッド遺伝子解析ソフトウェア

低侵襲に EGFR 遺伝子検査を行うことを目指して開発されたリキッドバイオプシーに用いることがで

きる検査(組織と血液の両方に対応)です。がん関連遺伝子の変異には、活性化変異と呼ばれる、い

わゆるがん化に働く変異があります。EGFR 遺伝子にもこの活性化変異があり、EGFR リキッド検査で

は、2 種類の活性化変異(エクソン 19 欠失と L858R)を検査することができます。EGFR リキッド検査

はコンパニオン診断を行う検査で、昨年 7 月に厚生労働省へ製造販売承認を申請し、2020 年 7 月 31

日に薬事承認されています。

疾病診断用プログラム「EGFR リキッド遺伝子解析ソフトウェア」の高度管理医療機器製造販売承認の

お知らせ

https://www.dna-chip.co.jp/company/pdf/press148.pdf

*9 アレル頻度

変異の無い DNA に対する変異 DNA の割合
お問い合わせ先


株式会社DNAチップ研究所
Tel:03-5777-1700(代表)
FAX:03-5777-1702
E-mail: info@dna-chip.co.jp


株式会社リコー 広報室
Tel:050-3814-2806(代表)
E-mail: koho@ricoh.co.jp
一般のお客様のお問い合わせ先
HC事業本部 バイオメディカル事業センター 診断薬事業室
E-mail:standard_dna_series@jp.ricoh.com

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