総務省公募「周波数資源の有効活用に向けた高精度時刻同期基盤の研究開発」に採択

2022 年 6 月 29 日
株式会社コア



総務省公募「周波数資源の有効活用に向けた高精度時刻同期基盤の研究開発」に採択
GNSS アンカーと単眼カメラを活用した多点測位システムを開発
―5G または Beyond 5G 実現後の社会における電波資源拡大へ貢献―

株式会社コア(本社:東京都世田谷区、代表取締役 社長執行役員 松浪 正信、以下「コア」という。)は、
総務省が募集した「令和4年度から新たに実施する電波資源拡大のための研究開発に係る提案公募」における「周
波数資源の有効活用に向けた高精度時刻同期基盤の研究開発」について、国立研究開発法人情報通信研究機構(以
下「NICT」という。、FCNT 株式会社と共同で応募し採択されましたのでお知らせいたします。



1.多点測位システムの研究開発


5G または Beyond 5G 実現後の社会においては、ドローン制御や自動運転をはじめ、長期的には無人工場や
無人港湾の管理など、各センサーや端末間で位置データ・高解像度画像等のデータをリアルタイムに処理する必
要のあるユースケースの実現が見込まれています。本研究開発では、小型民生機器に搭載可能な小型原子時計と、
それを活用し近距離通信において各端末で時刻情報を高精度に同期・管理する時刻同期基盤(以下「高精度時刻
同期基盤」)を確立するとともに、さらに端末の位置情報を正確に把握するための時空間座標情報基盤を実現す
る多点測位システムを確立する研究開発を行います。これにより、各端末の時刻同期精度・位置精度を向上させ、
時間軸や空間軸での周波数資源の有効利用促進を目指します。
コアでは、準天頂衛星みちびきセンチメートル級測位補強受信機を使用した小型原子時計搭載 GNSS アンカ
ーと、単眼カメラを活用した多点測位システムの開発を実施します。センチメートル級の高精度受信機を使用す
ることで、従来の GNSS 受信機に比べて測位精度と周波数安定性を 1 桁向上させ、時空間の座標基準としてのア
ンカーを実現します。また、世界測地系に準拠した測位を非 GNSS 環境にも適用するために、空間的に離れた複
数センサーによる物体位置推定と、異なるセンサーによる物体位置推定を検証する多点測位システムを実現しま
す。
原子時計搭載 凡例
GNSSアンカー

通信回線

バックホール回線

多点測位システム




原子時計搭載ノード
空間精度向上による 多点測位システム
電波利用効率改善の検証 ※
原子時計搭載
GNSSアンカー

攻撃者
(ジャミング、なりすまし)
アンテナ開発




本提案による多点測位システムの全体像と研究課題
※コアによる研究開発対象


2.背景


逼迫する周波数資源
ネットワークに接続される IoT デバイスの数は今後も加速度的に増加することが見込まれています。また無
線ネットワークにおいては、多数のモビリティ機器やセンサーの間で画像等の大量のデータをリアルタイムに
送受信する用途が拡充されるために、通信量がさらに爆発的に増大することが危惧されています。このような
周波数逼迫の問題に対し、単純な周波数帯域の拡充だけでは、各デバイスに搭載されるアンテナやフィルタ等
が増加して小型端末のボード面積が増大していくため、周波数資源の活用を時間軸や空間軸の観点から見直す
ことが求められています。
空間的多重度は、断続的な通信途絶からの復帰等において逐一実行される同期処理等を抑制・削除すること
や、端末間の時刻同期精度および位置同定の精度を向上させて高指向性の電波送信技術と組み合わせることに
よって、高めることができます。一部の端末が占有する周波数帯域を最小限に抑制することによって、周波数
資源を有効利用することが可能となります。この空間的多重度の向上を実現するためには、無線ネットワーク
の時刻同期精度の大幅な改善が必要不可欠となります。
本研究開発では、多くの通信ノードや小型民生機器を含む IoT デバイスが原子時計を搭載できる環境を整え
るとともに、原子時計の搭載が困難な端末へもネットワーク内の原子時計搭載端末と連携させ、原子時計と同
程度の精度の時刻推定を可能にするアルゴリズムを実現します。

3.コアが有する技術


高精度 GNSS 測位技術
コアでは 2005 年より GPS 事業(現 GNSS 事業)に取り組んでおり、日本版 GPS である「みちびき」の高
精度測位補強サービス「CLAS」(Centimeter Level Augmentation Service:みちびきセンチメータ級測位補強サ
ービス)に対応した受信機を開発してまいりました。CLAS の測位方式は、GNSS 受信機単独でセンチメータ
級の測位が可能であり、時刻に換算すると UTC(協定世界時)に対して誤差 300 ピコ秒程度の誤差で同期する
ことが可能です。本研究開発では、CLAS 受信機を絶対時刻基準として利用し、周波数基準となる小型原子時
計と組み合わせた GNSS アンカーを実現することで、通信ネットワークが得られない環境でも高精度な時刻を
維持します。




CLAS 対応 GNSS 受信機 Cohac∞ Ten




単眼カメラによる物体認識及び測距技術
コアでは、単眼カメラと AI を組み合わせることでステレオカメラや LiDAR を使わなくても人や車の距離を
認識する仕組みを実現しており、交通インフラにおける交通流の監視や、車庫内の車両位置管理、ドローンの
空撮映像を使った渋滞検知、海洋船舶における衝突回避など、様々な場面での利用を想定した実証実験を行っ
てまいりました。

AI による物体認識 画角と解像度から距離を計算




20m

10m



5m



2m 1m 0m



スクリーン
単眼カメラ
画像中心
画像中心位置




本研究開発では、GNSS 測位とセンサー測位をシームレスに繋ぐ多点測位システムを実現して位置の同定
技術を向上させることで、無線通信の空間的多重度を高め、周波数資源の有効活用に貢献します。
公共インフラ
森林・海洋 GNSS 測位


多点測位
システム

分散型 位置測位
時刻同期




センサー測位
室内 トンネル




4.今後の方向性


本研究開発を通じて、みちびき対応 GNSS 受信機の利用用途を高精度測位のみならず高精度時刻同期へと拡
大します。時刻精度を追求することで、より競争力が強化してまいります。また、単眼カメラは高精度時刻と
組み合わせることで、より精度の高い位置同定技術が実現されます。画像認識技術に高精度位置情報を付加し
たソリューションとして拡大を図ってまいります。
本研究はコネクテッドカーや自動運転、ドローンの制御に加え、スマート工場・スマートシティなど今後発
展が予測される社会の通信インフラに必要不可欠な技術となります。コアは本研究を NICT と共同で他社に先
駆け実施、開発した技術を基に Society 5.0 が目指す超スマート社会の実現に貢献いたします。



5.公募に関する情報
総務省の電波資源拡大のための研究開発「周波数資源の有効活用に向けた高精度時刻同期基盤の研究開発」
に関する詳細は以下をご参照ください。


■電波資源拡大のための研究開発の採択結果について
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban09_02000438.html


■電波資源拡大のための研究開発の基本計画書(案)に対する意見募集の結果及び提案の公募について
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban09_02000430.html





■株式会社コアについて
1969 年創業の東証プライム市場上場企業。マイコンを搭載した組込み機器が社会に登場した草創期から組込みソ
フトウェア開発事業を開始。
独立系・全国にある拠点網を活かした ICT サービスを展開し、 “ソリューションメーカー“として顧客本位のサー
ビスを幅広い業種、業務分野に提供しています。
創業以来の事業である組込みソフトウェア開発で培った技術とノウハウを結実させ、豊富な人材と長年の業務で得
た経験と実績で顧客と「新たな価値」を共創し、お客様の課題解決と理想の実現に取り組んでいます。
詳細については、https://www.core.co.jp をご覧ください。

■投資家の皆様へ
本プレスリリースは、当社の定性的な業務進捗をお知らせするためのものであり、投資勧誘を目的としたものでは
ありません。
当社の業績・経営指標の進捗・予想に関しては、取引所開示情報である決算短信等をご参照ください。




本プレスリリースに関するお問い合わせ先


■本製品に関するお問い合わせ先
株式会社コア GNSS ソリューションビジネスセンター 営業統括部
TEL:044-989-5115 E-Mail:gc-sales“at”core.co.jp


■報道関係に関するお問い合わせ先
株式会社コア 経営統括本部 経営推進部担当
TEL:03-3795-5111 E-Mail:coo-office“at”core.co.jp





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