2022年3月期 機関投資家向け決算説明会質疑応答

2022年3月期 機関投資家向け決算説明会質疑応答

①HRアドプラットフォームに関して、他社ATSやメディアとの連携が遅れている原因はどこにあ
るのでしょうか。


冨塚:弊社はHRアドプラットフォームのメディア連携を標準化して、早期に連携開始が可能な開
発を行っております。とはいえ、連携には相手のメディア様側の開発工数がどうしてもかかってま
いります。標準化を進めてパッケージ化をし、早期に接続できるような体制は取っているものの、
現実的に接続を行う段階では、メディアごとに個別の調整作業が生じます。
弊社として連携標準化の準備はしておりますが、メディア側の開発工数の確保の問題や、その優先
順位というところで、弊社の想定よりも時間がかかってしまっているという現状です。



②昨年末に、pinpointとSmartNewsが連携を開始したと発表がありましたが、その連携に関し
て、売上、収益アップにどのように寄与しているのか、今後していく予定なのかについてご教示い
ただけますでしょうか。


冨塚:SmartNewsとの連携につきましては、従来のLINE、Yahoo!、Googleとの連携に加えて、弊
社のクライアント様の利便性向上のために、配信先として連携をいたしました。
各連携先別の具体的な数字は、開示を控えさせていただいておりますので、ご容赦いただきたいの
ですが、徐々に受注が発生してきているところですので、今後もクイアント様にとって魅力的なメ
ディアとの連携は行っていきたいと思っております。



③グロース・キャピタル社とのIR戦略強化について、4月に発表がありましたが、具体的に何を、
いつからどのように強化される予定なのか教えてください。


冨塚:決算資料に関しては、投資家の皆様にとって分かりやすく、内容も濃い状態になっていると
は考えておりません。
実際に私たちの株主の分析をしてみると、弊社の場合は個人投資家の方々が非常に大きなシェアを
占めております。個人投資家の方々が、弊社のどのような点に注目をし、どのような部分をご理解
いただけるのか分析をした上で、個人投資家の方々に分かりやすい説明をしていくべきだという認
識は持っております。
グロース・キャピタル社からも同様の指摘があり、個人投資家の方々は弊社の事業を理解しにくい
のではないかというご指摘をいただいております。
今後、半年をめどに、調査等をしていきながら、改善をしていきたいと、私も強く思っていると
ころでございます。
また、こういうようなご説明をさせていただく機会をなるべく多く取って進めていきます。経営陣
で決めた戦略に関して、しっかりとご理解いただくような時間も使ってまいります。




④2023年3月期は、売上は30%伸びるものの、利益がそこまで伸びていない理由を教えてくださ
い。


冨塚:二点ございます。一つ目は、以前の事業区分で言いますと、HRテクノロジーとデータマネ
ジメントの粗利率にかなり差がございます。
2023年3月期においては、HRテクノロジーの売上は拡大するものの、データマネジメントの売上
は慎重に判断しております。つまり粗利率の低いカテゴリーの売上が伸びていくという側面が1点
目でございます。
二つ目は新しい事業への投資に、一定の金額を見込んでおります。この二つの要因で、売上の伸び
に対して利益が伸びていない要因となります。



⑤HRアドプラットフォームの事業進捗と今後の方向性について、これまでと変わりはないのでし
ょうか。


冨塚:求人企業数および求人原稿数は想定以上に伸びていますが、メディア連携が計画よりビハイ
ンドしているため、リカバリーすべく、今後注力していきたいと考えております。大きな方針とし
ては、変更は特に今の段階ではありません。




⑥このHRアドプラットフォームの全体像や、御社が取り組まれてきた経緯を教えてください。


一條:弊社はHRビジネスの中でも、特に求人検索エンジン回りのビジネスを、このHRアドプラッ
トフォーム開発以前から取り組んでまいりました。その中で、JOBOLEというATSをHRアドプラッ
トフォームに先んじて開発を行っておりました。
この求人検索エンジンとATSの取り組みを行っていく一方で、弊社はもともと、らくらくアルバイ
トというメディアを持っておりました。
アドテクノロジーの中で使われているSSPやDSPといった概念は、消費者向けの広告の中ではあり
ましたが、求人領域での取り組みは、日本国内ではまだなかったということもありました。
そういった中で、HR領域でのDX的なサービスは、アメリカで先んじて行われているケースがあり
ます。このようなモデルを私どもの中で考えたときに、弊社でもこういった仕組みをつくることに
よって、新たなビジネスチャンスがあるだろうと想定しまして、その後の事業計画を策定し、勝算
を見込んでこのHRアドプラットフォームの取り組みを開始したといった経緯になります。
⑦御社が見られているHRアドの市場規模、これからどれぐらいのサイズ、成長が期待できるかと
いうところは当然議論があると思いますが、今、お考えの部分では、その辺りはどうでしょうか。
このHRアドプラットフォームをどれぐらい大きくしていけるかと考えていますか。


一條:当時想定した内容で行くと、100億円レベルぐらいのビジネスという設計は想定していまし
たが、そこまで達成するまでの初速という観点では、様々な要因があり達成し得ていないといった
状況であるといったところでございます。




⑧成長率としては、非常に高いと思いますが、それでも御社としては、課題感があるなという認識
でいらっしゃるということですか。


一條:はい。やはりメディア連携といった、拡張していく部分では、どうしても相手先の都合がご
ざいます。ここはシステムで自動化していこうという認識がありましたが、やはりそれでも追いつ
かない部分があり、技術的な要因以外の部分が、弊社が想定したよりも、いろいろな難しさがあ
り、日々取り組んでいるということでございます。



⑨冨塚社長とグロース・キャピタルの保有割合を教えてください。投資家としては、経営陣が株を
しっかり今の段階から持っているのが確認できると、投資に自信を持つことができます。


岩﨑:新株予約権として23万株、9.6%となります。
冨塚の保有割合ですが、既に開示されている内容でありますが、およそ10%程度を保有しておりま
す。



⑩グロース・キャピタルとの提携の経緯、マーケットリバー社とのIRに関する取り組みについて教
えてください。


冨塚:本件はグロース・キャピタル社からお声掛けをいただきまして、嶺井代表がご自身も経験を
されてきた部分ですが、上場することが本来の目的ではなく、常に成長を追いかけていかなければ
いけないわけですが、現実問題として、そこで踊り場を迎える企業が多いと考えています。そこに
グロース・キャピタル社の嶺井代表は課題を感じていたと聞きました。
その課題を持って、どのような支援をしていけば、踊り場から再成長することができるのかと、マ
ザーズ市場(現グロース市場)を見ていく中で弊社が目に留まったそうです。
弊社のIRには改善余地があり、機関投資家だけではなく個人投資家の方々に評価していただいて、
もっともっと伸ばしていかなければいけないのに、弊社への理解を促進するようなIR活動を十分に
できておりませんでした。そこをグロース・キャピタル社の戦略的なIR支援という形でお手伝いい
ただくということになります。
弊社としては、経営戦略に関しては現在の経営陣で方向を決めていますので、個人投資家の皆様に
ご理解頂ける形でのIR支援を受ける一方、当社としてはIRの専任担当を置くことが難しいという状
況もあり、今回の話に至っております。




⑪マーケットリバーの市川さんとは関わられながら、IRをより良くしていく流れを作るということ
でよろしいですか。


冨塚:そうです。グロースキャピタル社でチームを組んでいただき、その中に市川さんもお入りに
なっていただいているとお伺いしております。



⑫グロースキャピタルと議論を進めていると期待していますが、中期的な目線は今回の決算説明資
料ではあまり確認できなかった部分があります。これは今、検討中という認識でよろしいですか。
今後も四半期の開示などで、お待ちしていれば良いというところでしょうか。


冨塚:はい。




⑬メタバース領域に進出しようとしたきっかけ、既存事業との親和性について教えてください。ま
た、現段階でのマネタイズ手法のイメージがあれば教えてください。


冨塚:メタバース領域への進出ですが、私としては、今後力を入れて自分でも推進をしていきたい
と思っている領域です。
そもそも、イオレの強みは何かということについて議論をしていく中で、やはり約700万人のらく
らく連絡網を使っていただいているユーザー様は、有料広告を行って、会員を集めることをほぼし
ないにもかかわらず、規模感を維持しております。
PTAの利用も非常に多いですけれども、こちらも6年生になり、中学3年生、高校3年生で卒業を
されると、この連絡網の団体は消滅していくわけですが、それにも関わらず、会員数が減らないと
いうのは、新たに使っていただいている方々がそれと同数入ってきていただいているということで
す。こういう部分は非常に強みであるいうことをまず1点確認しました。
2点目は、幹事様の存在です。約39万団体が利用しており、39万人の幹事様がいらっしゃって、
その方々とわれわれはつながっております。幹事をやるような人は、団体内で影響力があったり、
団体に所属するメンバーの皆様に情報を発信し、団体の方向性を決めていく、こういうコミュニケ
ーションをしていただいている方です。
このような会員組織をわれわれは有しており、こちらはリアルな空間で実際の活動はされるわけ
です。この2年間のコロナの期間を経て、今後はメタバース空間を活用して、団体活動にお役に立
てる部分があるのではないかという観点から、まずはスタートしております。
現実的なサービスに関しましては、どのカスタマーの層に対して、どんなサービスを提供してい
くと非常に利便性があるのかを議論しております。その中で、思案中ですが、例えば、大学生など
の若年層が積極的に活用をしてくれる可能性が高いのではないかと考えております。弊社の顧客、
つまりは、ユーザーである大学生を中心に、就職活動関連のサービスなどで、メタバースを活用し
たビジネスモデルが作ることを一案として検討しております。
具体的なサービスに関しては、年内にサービスがスタートできるような状況にしていきたいと考
えております。




⑭販促支援でポイント経済圏の構築がどのような形で提供し、いつごろ収益化予定ですか。


冨塚:今ご説明したとおり、われわれのユーザー様は、約700万人、幹事様は約39万人おります
が、こちらの方々に、弊社からポイントを付与して、そのポイントを貯めていただき、貯まったポ
イントで交換できるような商品・サービスというものを新たに提供していくことで、DAUやMA
Uを向上させ、より多くの会員様や幹事様との接点を持っていけるのではないかと考えておりま
す。
私が社長に就任する以前も、そのような構想があったと聞いておりますが、具体的な商品やサー
ビスというものをどういうのにしていくのかというようなところまで議論が進んでいなかったとい
う背景があります。
私自身は、リクルート社に在籍時、リクルート社のポイント経済圏をどのようにつくっていくの
かという領域の担当役員としての知見がございます。例えば、じゃらんで最初にポイントを発行し
ていた時に、私はじゃらんの担当役員としてやっておりましたので、こちらをホットペッパーと連
携を行いました。その後、リクルートの商品やサービスでポイント経済圏をつくっていく中で、こ
この一番大きな目的というのは、リクルート社の例で例えるのであれば、じゃらんのユーザー様に
ホットペッパービューティーの案内をして、ホットペッパービューティーを使ったことがなかった
方にまたホットペッパービューティーを使っていただくというような、相互利用によるクロスセル
を行っております。同じリクルート社の商品やサービスだけれども、複数のサービスをどんどん使
っていただくということをポイントでつなげてポイント経済圏を拡大させることに成功しました。
開示はされていませんけれども、ものすごく効果が上がっていったなという実感を持っておりま
す。弊社においては、今回の事業計画及び成長可能性に関する事項でご説明しているようなシェア
買い、シェア予約、モニターをいうようなサービスを今期リリース予定ですが、それに続く実際の
商品やサービスをどれだけ並べることができるかというのは、まさに今、議論をしている最中で
す。
ポイント経済圏の話は、先ほど申し上げたメタバース事業でもポイントを連携させていくことに
よって、より私たちの商品やサービスを使っていただく。また、ポイントの交換に関しても、イオ
レらしい商品というような、ポイント交換できるものを開発していきたいと思っております
今、検討段階ではありますが、らくらく連絡網ではスポーツ団体の会員数もかなりいらっしゃい
ます。一番多いのはサッカー団体ですが、例えば少年サッカーの団体に対して、Jリーグの選手が
来て教えてくれる。これを弊社が発行したポイントで交換できる様な、従来にないようなものをポ
イント交換として提供し、われわれのサービスをもっと多く、深く使っていただくような、こうい
う世界観がつくれないかということを考えております。




⑮人材採用はどういった状況でしょうか。従業員はどのような配置になっていますでしょうか。


冨塚:人材採用に関しましては、昨年に比べて、従業員数の変化はほとんどございません。採用に
関しては過去の職務経験にとらわれず、ポテンシャルの高い20代の方を中心に採用活動を強化し
て、事業部側での必用人員数は確保しております。
どのセグメントに人員配置を行っているかということですが、これは前のセグメントで言うとこ
ろのHRテクノロジー領域の事業が成長しているため、同事業に配置をしております。特に求人検
索エンジンなどのHRの営業、こちらの人数のシェアが高くなっているのが実態です。
また、新規事業に関しては、外部から採用というのは新規事業開発室の井上は外部からジョイン
してもらいましたが、それ以外のメンバーは、社内公募をいたしまして、6人ほどのメンバーで業
務を行っております。



⑯先の人材採用についての質問に追加いたしまして、どのような課題感がありますか。


冨塚:人材採用に関しては、欲を言えばきりがないという世界と思います。前職でいろいろな新規
事業の立ち上げを行ったり、新商品サービスをどんどん出していくというようなことを、私自身が
積極的に旗を振ってやってきた経緯がございますので、こういうことができないか、ああいうこと
ができないかという部分は非常に強い思いがありますが、現実問題、人、それも具体的に動かせる
人がいなければ、形になっていきません。
そこで申し上げれば、今後もメタバースをはじめとして、何かサービスを展開していくという話
になれば、当然メディアを作っていく。私が定義しているメディアというのは顧客と、それからユ
ーザーというような、間に入るものをメディアと言っておりますので、例えば空間でも、場でもメ
ディアだとは思っております。そのような新しい商品サービスをやるには、必ずその技術の力が必
要になってまいります。
特に若いエンジニアの方々は今後、もう少し増やしていかないと、従来の外部パートナーに頼っ
ているだけだと、開発のスピードも遅れてきてしまうと思っておりまして、ここが一番の人材面で
の課題と思っております。
⑰リクルートでさまざまな事業で経験を積まれて、結果を出されてきた冨塚社長の手腕に株主とし
て期待しております。1点、社長に質問ですが、将来的にイオレをどのような会社にしていきたい
とお考えなのか、売上の規模感、あるいは存在意義、世の中への影響力の観点から、思いを聞かせ
ていただきたいです。


冨塚:なかなかこういう機会が今までなかったものですので、ありがたいご質問でございます。あ
りがとうございます。
もちろん売上、利益は大切ですが、この商品やサービスはやはりいいよねというものを世の中に
出していくということが、すごく重要であると思っています。ユーザー数であったりとか、利用の
満足度であったりということを高めていけば、結果として売上は後から付いてくる。これは私自身
がリクルート社の中で事業をやっていく中で学んだ部分でもございます。
いいものをしっかりと世にリリースしていく、その上で、顧客の声のフィードバックを受けて改
善をして提供していく、このループを回していけば、結果として、数字は後から付いてくると認識
しております。
らくらく連絡網は、何ら宣伝もしていないのに、なぜ約700万人の方々が使ってくださっている
のかということは、やはりらくらく連絡網のサービスの利点を感じていただき、ご利用いただいて
いるということに他ならないと思います。サービスリリース後に、同じようなサービスが出てきて
も利用者が減っていかないのは、どういうことなのかと疑問に思っておりました。そこで実際にカ
スタマーインタビュー等をして、利用者のお声に触れる機会を得て、なるほど、やはりこのように
思って使ってくださっている方が多いという認識をしています。
一方でらくらく連絡網をより使いやすいようなものにしていくために、この数年、利便性の向上
に関しての一切投資をしておりませんでしたので、利便性を向上させるためにUIやUXの改修を行
いたいと思っております。その一環として、われわれが有する1stパーティのデータを磨いて、違
う形で再活用をしていく、そこで利用者の方々の期待に応え、追加機能として、あって良かったで
すと、ありがとうというような声を多くいただけるような、その様なサービスを今後どんどん展開
していきたいと思っています。
中期経営計画を立てていく中で、売上や利益面での数字の話も出てはいますが、私自身として
は、売上や利益面での数字は当然経営としてしっかり実績を上げていく責任を全うしていきます
が、利用者の数や満足度などの指標も同じぐらいのウエートで考えていくことが大事なのではない
かなと思っております。

22605