当社孫会社エコノミカルが参画するNICT、クレアリンクテクノロジーとの研究開発チームにおいてモバイル通信網(LTE/4G)を活用した高品質映像伝送技術開発に成功

平成 29 年 10 月 27 日
各位
会 社 名 株式会社ソフトフロントホールディングス
代表者名 代表取締役社長 阪口 克彦
(JASDAQ・コード 2321)




当社孫会社エコノミカルが参画する NICT、クレアリンクテクノロジーとの研究開発チーム
においてモバイル通信網(LTE/4G)を活用した高品質映像伝送技術開発に成功

平成29年8月22日に『当社孫会社「エコノミカル」が、モバイルSIM「ロケットモバイル」を活用したIoTデータ伝送技術に関する
実証実験を開始~3社による共同研究を合意~』を発表しておりますが、当該実証実験の中で、当社連結子会社(孫会社)
である「株式会社エコノミカル」(東京都千代田区、代表取締役︓金野太一)が参画する国立研究開発法人情報通信研究機
構(略称︓NICT、東京都小金井市、理事長︓徳田英幸)、株式会社クレアリンクテクノロジー(京都府精華町、代表取締
役︓水原隆道)との研究開発チームが、モバイル通信網における高品質映像伝送技術開発に成功しましたので、別添資料の
通り、お知らせいたします。




添付資料
モバイル通信網(LTE/4G)を活用した高品質映像伝送技術開発に成功




【リリースに関するお問合せ】
株式会社ソフトフロントホールディングス
グループ業務推進室 松井
TEL︓03-6550-9270 FAX : 03-6550-9296
E-mail : press@softfront.co.jp
NEWS RELEASE 2017 年 10 月 27 日

国立研究開発法人情報通信研究機構
株式会社クレアリンクテクノロジー
株 式 会 社 エ コ ノ ミ カ ル



モバイル通信網(LTE/4G)を活用した高品質映像伝送技術開発に成功

国立研究開発法人情報通信研究機構(東京都小金井市、理事長:徳田英幸、以下「NICT」)、株式会社
クレアリンクテクノロジー(京都府精華町、代表取締役:水原隆道、以下「クレアリンク」)、株式会社エ
コノミカル(東京都千代田区、代表取締役:金野太一、以下「エコノミカル」)(以下、
「本開発チーム」)
はモバイル通信網における高品質映像伝送技術(以下、本技術)の研究開発に成功しましたのでお知らせ
いたします。


■本技術開発の概要
本開発チームは、安価な汎用マイコン Raspberry Pi(ラズベリーパイ)をベースにした新しい映像伝
送プロトコル(以下、
「本映像伝送プロトコル」)の開発に成功しました。本映像伝送プロトコルは、
Raspberry Pi の標準カメラから入力される映像をハードウェアによる H.264 コーデックにより圧縮した
後、独自開発した通信手順にて遠隔伝送します。本映像伝送プロトコルの革新性は、通信帯域や遅延量
が不安定で大きく変動する WiFi やモバイル通信などの無線ネットワーク環境においても高いリアルタ
イム性と映像伝送品質を保証する点にあります。
本開発チームでは、MVNO であるロケットモバイルの格安 SIM プラン(アゲアゲプラン)を用いて
本映像伝送プロトコルの性能評価実験を行い、モバイル通信環境においても解像度 FullHD(1920×




図 1 NICT 小金井屋上からの Full HD/30fps 映像(日本標準時の時計が映っています)
1080 ピクセル)、フレームレート 30fps のリアルタイム映像伝送に成功しました(図 1)
。実験の成果
は、以下の Web サイトにおいて公開しています。


実験結果公表サイト:

http://k2go.jp/hpvt/fullhd30fps/

※リンク先のウェブページでの動画は、公開用のウェブストリーミング用に再変換しているため、数秒
の遅延が生じています。 カメラ映像から MVNO 通信網を通しての映像取得までは非常に短い遅延で伝
送・再生できています。


本 Web サイトの閲覧方法は、下記の「Web サイト閲覧方法」をご覧ください。


■Web サイト閲覧方法
本研究開発で映像を公開する Web サイト(図1)の閲覧方法は次の通りです。Web サイトにアクセ
スすると 10 秒ごとに更新される静止画像が表示されます。静止画像画面表示から数秒後に右上の
Movie ボタンが点灯します(①)。Movie ボタンを押下すると動画像表示画面に移動し、リアルタイム
動画像が表示されます。静止画像表示画面に戻るには、右上の Picture ボタンを押下します(②)





動画像に表示されているパラメータ(③)の意味は以下の通りです。



パラメータ 説明


1920×1080 Full HD の解像度(1920×1080 ピクセル)


4.00 Mbps 秒間の映像フレームの情報量(4 メガビット)


30 fps 秒間の映像フレーム数(30 枚)


I Period 30 I フレーム(キーフレーム)を含む割合(30 枚に 1 枚)
正しく再生できた映像フレームの数
Cpmplete Frames (I/P) 6224/180512
(キーフレーム 6224 枚/差分フレーム 180512 枚)


正しく再生できなかった映像フレームの数
Incomplete Frames (5/10/318)
(キーフレーム 5 枚/差分フレーム 10 枚/省略 318 枚)


受信パケット数
Packets (Receive/Ignore) 2844035/953
(2844035 パケットを受信/953 パケットを処理せずに破棄)


RTT 50.9 ms 送受信ホスト間の往復遅延時間(50.9 ミリ秒)


RecvThroughput 5.33 Mbps 秒間の受信データ量(5.33 メガビット)


Display Strictness 0 % 映像フレーム再生の基準値(0%)


PLR (Packet Loss Ratio) 0.0 % 5 秒間のパケット損失割合(0.0%)


FEC Level 5 誤り訂正レベル(設定レベル 5)


誤り訂正復元成功/復元失敗
FEC Result (Success/Failure)
(復元成功 10 パケット/復元失敗 26 パケット)


Captured Time Oct 26 07:57:54 10 月 26 日 07 時 57 分 54 秒撮影


Displayed Time Oct 26 07:57:55 10 月 26 日 07 時 57 分 55 秒再生(1 秒遅れ)


Elapsed Time 38:58:02 稼働経過時間(38 時間 58 分 02 秒)


映像フレームの受信から再生までの時間
Internal Delay 405 ms (desired 300+33 ms
(実測値 405 ミリ秒、設定値 333 ミリ秒)


Connected Time Oct 26 06:14:14 映像伝送の開始時刻(10 月 26 日 06 時 14 分 14 秒)


映像フレーム再生のリセット時刻
Result (Time/Count)
(10 月 26 日 07 時 10 分 18 秒)/総リセット回数 65 回)



なお、デモンストレーションでは FullHD/30fps での映像伝送を行っていますが、パラメータは予告な
く変更になることがあります。
■本技術開発の背景
近年、スマートフォンの普及とともに、YouTube 等のライブストリーミングサービスにおいてポータ
ブルなリアルタイム映像伝送サービスが普及しています。LTE/4G などのセルラー系モバイル網を利用
するこれらのサービスでは、映像品質が十分とは言えません。またスマートフォンが主として個人ユー
スを想定しているため、物流、交通、観光、福祉、医療、教育、防災などの公共・産業分野では利用し
づらいという点が指摘されていました。他方で、近年防犯対策等での普及が目覚ましい IP 伝送型監視
カメラは主に有線ネットワーク向けに開発されており、モバイル通信環境での高品質な映像伝送には適
していないことが分かっています。
実用面から考えると、連続的な映像伝送は一般のデータ通信と比較してデータ量が膨大になります。
これまでのモバイル通信における映像伝送の課題の一つにモバイル通信費がありました。今回の性能評
価実験では、データアップリンクに特化した安価で定額制のロケットモバイル通信網を活用することで
この問題を解決しました。


■今後の計画
Raspberry Pi は安価(最も普及している Raspberry Pi 3 は日本円で 5,000 円程度)であるため、本映
像伝送プロトコルにより安価で高品質な映像伝送が可能となります。これにより、物流、交通、観光、
福祉、医療、教育、防災など様々な分野の基盤となる高品質映像伝送システムの実現が期待されます。
例えば、本年 10 月に霧島連山の新燃岳が噴火し、農業や観光に大きな影響を及ぼしています。本映
像伝送プロトコルにより、モバイル通信エリアであればどこからでも高品質映像でのリアルタイム火山
監視が可能となります。本実証実験の結果を発展させ、今後は物流、交通、観光、福祉、医療、教育、
防災など様々な市場における分野モバイル通信網を活用したリアルタイム映像データ伝送の実用化を目
指してまいります。


■技術解説
近年の IoT 技術の広がりを受けて、映像伝送の世界でも IoT 化が進んでいます。多くのセンサーIoT
が低帯域の低電力広域通信技術(LPWA)をベースにするのに対し、データ量が多い映像 IoT では格安
SIM(MVNO)の利活用が有効となります。本映像伝送プロトコルでは、MVNO を想定した設計を行
いました。本映像伝送プロトコルの概要を図 2 に示します。本映像伝送プロトコルの特長は以下の通り
です。
図 2 本映像伝送プロトコルの概要(*は用語解説あり)


1. LTE/4G などのモバイル通信網でも高品質の映像伝送を実現。
2. 動画像伝送に加えて、定常的な静止画像伝送を実現。目的やネットワーク帯域に合わせて伝送
データを選択。
3. 送信映像をエッジ側およびクラウド側で画像処理するためのプログラミング環境を提供。画像処
理による抽出パラメータ(例えば河川監視では水位や流速情報)のみを伝送することが可能。


■用語解説(あいうえお順)
 IoT(Internet of Things=モノのインターネット):様々なモノ(物)がインターネットに接続され
モノどうしやモノと人が情報交換することにより相互に制御する仕組み。それによる社会の実現も
指す。
 HDMI(High-Definition Multimedia Interface=高精細度マルチメディアインターフェース):映
像・音声をデジタル信号で伝送する通信インタフェースの標準規格のこと。多くのパーソナルコン
ピュータのディスプレーで採用されている。
 H.264:MPEG-4 AVC とも呼ばれる動画圧縮規格。現在、多くのインターネット動画共有サービス
が H.264 を採用している。
 エッジコンピューティング:センサー等の近く(またはセンサー内)の計算機によってデータを書
誌することで、通信遅延を短縮したり、クラウド側の負荷を低減させる技術。
 MIPI/CSI-2:Raspberry Pi で用いられている映像伝送規格。
 MVNO:仮想移動体通信事業者(Mobile Virtual Network Operator)。MVNO が発売する SIM は
格安 SIM とも呼ばれており、格安 SIM を契約することで安価にモバイル通信網を利用できる。
 LPWA:低電力広域通信技術(LPWA:Low Power Wide Area)。なるべく消費電力を抑えて遠距離
通信を実現する通信方式。IoT で有効・有用な通信方式として着目されている。
 OpenCV(Open Source Computer Vision Library):インテルが開発・公開したオープンソースの
コンピュータビジョン向けライブラリ。画像処理・画像解析および機械学習等の機能を有する。
 クラウドコンピューティング:計算機リソース(サーバー、ストレージ、データベース、ネット
ワーク、ソフトウェアなど) をインターネット上のクラウドに集約し、センサーデータを一元的に
処理する技術。
 コーデック(エンコード、デコード):コーデックとは、符号化方式を使って映像データのエン
コード(符号化)とデコード(復号)を双方向に行う動画像圧縮ソフトウェア、またはその規格。
H.264 はコーデックの一つである。
 通信プロトコル:TCP(Transmission Control Protocol)や UDP (User Datagram Protocol)などに
代表される TCP/IP 通信のための通信方式の総称。
 Raspberry Pi(ラズベリーパイ)
:ARM プロセッサを搭載した安価なシングルボードコンピュー
タ。イギリスのラズベリーパイ財団によって開発されている。
【プロフィール】
国立研究開発法人情報通信研究機構
所在地:東京都小金井市貫井北町 4-2-1
組織概要:ICT(情報通信技術)を専門とするわが国唯一の公的研究機関として研究開発を推進するとと
もに、産学官連携や事業振興等を総合的に行い、豊かで安心・安全な社会の実現に取り組む国立研究開発
法人。
http://www.nict.go.jp


株式会社クレアリンクテクノロジー
事業内容:通信やセキュリティ技術を中心としたソフトウェア研究開発及び製品・サービスの提供
所在地:京都府相楽郡精華町光台 1-7 けいはんなプラザラボ棟 7 階
設立:2005 年 10 月 17 日
資本金:2,600 万円(2017 年 3 月末時点)
代表者:水原 隆道(みずはら たかみち)
代表略歴:
2006 年 3 月奈良先端科学技術大学情報科学研究科博士後期課程修了、在学中の 2005 年 10 月、株式会社
クレアリンクテクノロジーを設立し、代表取締役に就任(現任)。IP 通信の高速化・最適化技術、通信セ
キュリティ技術の研究開発、商用化に従事し、長距離 TCP/IP 通信や映像リアルタイム伝送技術に関わ
る技術開発を中心に貢献。NICT との共同研究も多く実施している。
http://clealink.jp


株式会社エコノミカル
事業内容:格安モバイル SIM サービス「ロケットモバイル」の提供等
所在地:東京都千代田区永田町 2-17-3 住友不動産永田町ビル 1F
設立:2015 年 12 月 17 日
資本金:7,300 万円(2017 年 3 月末時点)
代表者:金野 太一(こんの たいち)
代表略歴:
2006 年 3 月慶應義塾大学法学部政治学科卒業。同年 4 月株式会社光通信に入社。ゼネラルマネージャー
として MVNO 事業など様々な新規事業立ち上げに参画。2013 年 11 月、株式会社 AWESOME JAPAN
を設立し、代表取締役に就任(現任)。
2015 年 12 月、株式会社エコノミカルを設立し、代表取締役社長に就任(現任)。
http://economical.co.jp/
【研究内容、伝送技術の商用利用に関するお問合せ】
国立研究開発法人情報通信研究機構
オープンイノベーション推進本部 村田
TEL:042-327-7931
osn-system@ml.nict.go.jp


株式会社クレアリンクテクノロジー
営業担当
TEL:0774-98-3873
IoT-biz@clealink.jp


株式会社エコノミカル
事業推進部 山本
info@economical.co.jp


【ロケットモバイルに関するお問合せ】
株式会社エコノミカル
ロケットモバイルサポートセンター
cs-support@economical.co.jp


【取材等に関するお問合せ】※メディア、報道機関様向け
国立研究開発法人情報通信研究機構
オープンイノベーション推進本部 村田
TEL:042-327-7931
osn-system@ml.nict.go.jp


株式会社クレアリンクテクノロジー
TEL:0774-98-3873
IoT-biz@clealink.jp


株式会社エコノミカル
事業推進部 山本
TEL:03-6550-9772
info@economical.co.jp

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