藍の機能性について研究成果を発表

News Release 2015 年 3 月 9 日


各 位
会 社 名 寿スピリッツ株式会社
(URL http://www.kotobukispirits.co.jp/)
代 表 者 名 代表取締役社長 河越誠剛
(コード:2222 東証第一部)


世界初タデアイ(藍)の新規フラボノイドの発見-コレステロールの低減に期待-

薬学誌 Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis で発表

<論文内容の要約>
 タデアイ(藍)葉の 11 種類のフラボノイドの構造を確認しました。
 タデアイ(藍)葉の主要なフラボノイドは新規のフラボノイド配糖体であることを明らかに
しました。
 新規フラボノイドはコレステロールの生合成に重要な酵素(HMG-CoA 還元酵素)を阻害す
ることを明らかにしました。
 新規フラボノイドはコレステロール生合成のコントロールに有用な可能性が示唆されまし
た。



当社のグループ会社であります寿製菓株式会社 (鳥取県米子市 代表取締役社長 山内博次) 2013
は、
年から国立大学法人島根大学生物資源科学部の横田一成教授とタデアイ(以下、 藍と表記)の機能性につ
いて共同研究を行ってまいりました。今回、この研究成果を薬学誌 Journal of Pharmaceutical and
Biomedical Analysis で発表しましたのでお知らせします。

当社のグループ会社であります寿製菓株式会社(鳥取県米子市 代表取締役社長 山内博次)は、藍
を健康食品原料として販売することを目的に、2013 年から国立大学法人島根大学生物資源科学部の横
田一成教授と藍の健康機能成分の検索を行ってまいりました。 藍の安全性については、急性毒性試験、
農薬分析、重金属・ヒ素分析、復帰突然変異試験(Ames 試験)、皮膚一次刺激性試験、皮膚感作性試
験などにより確認し、同社では、昨年より「藍エキスパウダー」「藍水抽出液粉末」を販売しており

ます。また、当社のグループ会社である純藍株式会社(東京都港区 代表取締役社長 河越誠剛)で
は、本年 1 月より「藍の青汁」を販売しております。

これまでの研究については、藍の抗酸化性について、国立大学法人島根大学生物資源科学部、地方
独立行政法人鳥取県産業技術センター食品開発研究所と研究を行い、藍が他の野菜類にくらべ非常に
高い抗酸化性をもち、それらがポリフェノールによるものであることを明らかにしました。そして、
この研究成果を日本農芸化学会中四国支部第36講演会、第61回日本食品科学工学会大会にて発表して
まいりました。昨年には、藍で初めて抗インフルエンザ作用を示すとされるケルセチン-3-O-グルクロ
ニドを確認するとともに、ポリフェノール類の分析結果を天然物化学の学術誌であるNatural Product
Research,28巻, 492-495頁 (2014)で発表いたしました。



藍には多数のポリフェノールが含まれておりますが、その成分の詳細についてはまだ明らかとなっ
ていませんでした。そこで、今回、藍の葉に含まれている成分を詳細に調べたところ、ポリフェノー
ルである11種類のフラボノイドの構造を明らかにし、 そのうち3つの物質が未だ報告のない新規物質で
あることを確認しました。また、4つのフラボノイドについては他の植物から発見された既知物質では
あるものの、藍に含まれていることを今回初めて報告いたしました。さらに、藍の主要な5つのフラボ
ノイドがコレステロール合成の鍵酵素である3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル(HMG)-CoA還元酵素
の阻害活性を有し、その阻害活性は、抗コレステロール薬であるロバスタチンとほぼ同等レベルであ
ることを確認しました。この結果より、藍がコレステロールの低減に有効な素材である可能性が示唆
されました。今後、生体内におけるコレステロールの低減作用については、本年4月より当社社員が鳥
取大学大学院連合農学研究科(島根大学配属)へ社会人入学し、明らかにしていく予定であります。
この研究成果は、薬学分野の学術誌であるJournal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 108巻,
102-112頁(2015)に掲載予定であります。オンライン版は2月16日より
http://www.sciencedirect.com/science/journal/07317085/108で公開されております。


論文名:Identification of new flavonol O-glycosides from indigo (Polygonum tinctorium Lour) leaves and
their inhibitory activity against 3-hydroxy-3-methylglutaryl CoA reductase.
著者: Hideto Kimura, Shota Tokuyama, Tomoe Ishihara, Satoshi Ogawa and Kazushige Yokota




タデアイ(Polygonum tinctorium Lour): 藍




<参考 URL>
寿製菓株式会社 URL: http://www.okashinet.co.jp/
純藍株式会社 URL:http://www.junai-inc.co.jp





【研究結果の概略】

1.藍の葉の80%メタノール抽出物の超高速液体クロマトグラフ-質量分析計による分析
藍の葉の80%メタノール抽出物を超高速液体クロマトグラフ-質量分析計(UPLC-ESI-
TOF/MSE)で分析した結果、11のピークを確認し、いずれもフラボノールをアグリコンとするフ
ラボノイド類であることを確認しました。これらの物質は核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収ス
ペクトル、紫外吸収スペクトルなどの種々の機器分析により構造を確認いたしました。
新規物質




(分)
藍の葉の80%メタノール抽出物のUPLC-ESI-TOF/MSEによる分析結果
OH
OH
OH
O O
O O
O O

O O
O O
O O
OH O
OH O
OH O
O
HO O OH O

O O
HO O
OH
O
O
OH
OH OH
OH
HO
OH OH
OH
ピーク番号 7
OH ピーク番号 8* ピーク番号 9*

O O


O O
OH O OH

HOOC O O
O
OH O OH

OH OH O
O

ピーク番号 11
O


ピーク番号 10*
*8-10 は新規物質




2.HMG-CoA 還元酵素の阻害活性について

生体内のコレステロールが高い場合、動脈硬化のリスクが高まります。動脈硬化は脳卒中や心
筋梗塞の一つの要因と考えられています。そこで、コレステロール値が高い場合、高脂血症治療
薬として、コレステロール生合成の律速酵素である HMG-CoA 還元酵素の阻害剤が利用されてい
ます。コレステロールは肝臓で合成されるので、この酵素を阻害すれば、生体内のコレステロー
ル含量を低下することが期待できます。

HMG-CoA

HMG-CoA 還元酵素

フラボノイド類による阻害

メバロン酸



コレステロール

藍のフラボノイド化合物7-11は、いずれもHMG-CoA還元酵素の阻害活性を示し、その活性は高
脂血症治療薬であるロバスタチンとほぼ同等レベルの阻害活性を示しました。
HMG-CoA還元酵素活性(%)
















濃度 (μ M)

藍のフラボノイド化合物 7-11 による HMG-CoA 還元酵素の阻害活性
○ ロバスタチン(高脂血症治療薬), ● 7,△ 8, ▲ 9, □ 10, ■ 11


以上の結果より、藍がコレステロールの低減に有効な素材である可能性が示唆されました。


【本リリースに関しての問合せ先】
寿製菓株式会社 研究開発部 部長 木村英人
鳥取県米子市旗ヶ崎 2028/TEL:0859-22-7456(代表) E-mail: kotobukiRD@kozuchi-net.jp
以上
問合せ先:寿スピリッツ㈱ 取締役経営企画部部長 松本 真司
TEL:0859-22-7477(代表)


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