新規吸脱着剤Amuniteを用いた廃棄物からのアンモニア回収について

2023 年 10 月2日
各 位
会 社 名 株式会社 ダイセキ
代表者名 代表取締役社長 山本 哲也
(コード番号:9793、東証プライム・名証プレミア)
問合せ先 常務執行役員企画管理本部長 片瀬 秀樹
(電話番号 052-611-6322)


新規吸脱着剤 Amunite を用いた廃棄物からのアンモニア回収について


当社は、VISION2030 に向けた新規開発テーマの一つとして、名古屋大学発のベンチャ
ー企業 SyncMOF 株式会社(2019 年 6 月設立 代表取締役 畠岡潤一氏)とサーキュラー
エコノミー型アンモニア回収リサイクルに関する共同開発を進めてまいりました。このほ
ど、新規吸脱着剤である Amunite を使用して、排ガス中のアンモニアを吸着・回収するこ
とに成功いたしました。
今後さらに、Amunite の形状加工や耐久性の確認を経て、採算性を確立したうえで、当
社が回収するアンモニア廃液への適用や、 アンモニア廃液、アンモニア排ガスを排出する企
業での適用の検討を進めてまいります。
なお、本件は技術開発途上の内容のため、経営に与える影響は未定であり、開発の進展に
より業績寄与の状況が明らかになった段階で、開示を行う予定です。

Amunite によるアンモニアの選択的吸着イメージ



アンモニア



夾雑物



MOF とは
MOF(Metal Organic Frameworks)は金属イオンと有機配位子から合成される金属有
機構造体です。MOF は代表的な多孔質材料である活性炭やゼオライトと比較しても、非常
に大きな比表面積を有していることが特徴です。 さらに、その構造因子である金属イオンと
有機配位子を選択することができます。 そのため目的とする物質を選択的に吸着・回収する
ことが期待できます。

Amunite を用いたサーキュラーエコノミーについて
アンモニアは肥料や樹脂の原料として利用されていますが、近年では二酸化炭素を排出
しない燃料としても注目されています。そのアンモニアの製造方法は窒素ガスと水素ガス
を原料としたハーバーボッシュ法により合成されていますが、合成時に大量の二酸化炭素
を排出してしまいます。そのため、近年では CCS、CCUS として合成時の二酸化炭素を環
境に放出しないような方法が試みられています。
工業製品製造時に発生するアンモニアガスは、夾雑物が含まれていると再利用が難しく、
酸スクラバーによる除去もしく燃焼脱臭装置により無害化されています。酸スクラバーに
て回収されたアンモニアと夾雑物は、廃棄物として焼却処理されてしまい有効利用が困難
です。
このような状況下で Amunite は雑多なガスを含む排ガスからアンモニアを吸着 回収し、

アンモニア原料として再利用することを目的として開発しています。シリコンウェハ表面
を洗浄(RCA 洗浄)する工程、現在各地の港で検討されているカーボンニュートラルポー
トや発電施設における液化アンモニアタンクといった高濃度のアンモニアを取扱う場所も
想定しております。 従来、廃棄されているアンモニアを再び製造工程に戻すことでサーキュ
ラーエコノミー、カーボンニュートラルに貢献します。

想定使用方法
既存の脱臭塔への配管途中に Amunite を設置しアンモニアガスを吸収・回収します



amunite



アンモニアを 脱臭設備 アンモニアを 脱臭設備

含む排ガス 含む排ガス
アンモニア回収


Amunite の特徴
Amunite はアンモニアガスに特化した新たなアンモニア吸脱着材です。夾雑物を含む雑
多なガスからアンモニアガスだけを吸着し回収することが可能です。現在最終的な耐久性
能と圧損を生じさせない形状への加工を検討しております。




破過曲線 吸着等温線

アンモニアの毒性について
アンモニアは無色の気体で、腐食性と非常に強い刺激臭があります。大気中濃度として
5ppm でもアンモニア臭として認識でき、悪臭防止法に基づいて敷地境界線での大気中濃度
の規制基準は1ppm 以下と定められています。また、毒性も強く眼、皮膚、口腔や気道の
粘膜に即時性の損傷を与えます。
SyncMOF 株式会社 (シンクモフ)
設立 2019 年 6 月 20 日
所在地 本社:〒464-0858 愛知県名古屋市千種区千種 2-22-8 名古屋医工連携インキュベ
ータ 403 号
URL https://syncmof.com

事業内容
新規多孔性材料の合成及び製造/性能評価/性能評価装置の開発及び販売
新規多孔性材料を用いた製品及び商品の開発及び販売
ガス関連製品及び商品の開発及び販売 上記に関わるコンサルティング業務

代表取締役 畠岡潤一
取締役 堀彰宏

同社は、先に広島で開催された G7 首脳会議においても、脱炭素に関する分野で日本を代表
する技術ベンチャー企業として紹介されています。

■同社紹介引用(G7 広島)




SyncMOF 株式会社は、 持続可能な未来を目指して革新的な脱炭素技術の開発に取り組ん
でいます。石油から「ガス」へのシフトが求められる中、当社は天然ガスや水素といった低
環境負荷の「ガス」資源の利用拡大を支える技術を保有しています。
経済産業省が推進する 「グリーンイノベーション基金」の下で、私たちのガス分離剤 「MOF」
を用いた技術が各業界でのガス関連事業の技術革新に貢献しています。
特に、当社の「SyncMOF-DAC」は、工場の排ガス中の CO2 や水素ガス中の触媒被毒性ガ
スを効果的に除去することができるため、実用化が進められています。
その一方で、 「Syllego」は、モビリティーに取り付け、大気中の CO2 を濃縮するデバイス
として、自治体などで導入が拡がっています。
しかしながら、当社が保有するガス濃縮技術は CO2 だけにとどまりません。
Amunite を活用したアンモニア回収技術など、様々なガス分離・回収・リサイクル分野へ
の展開を進めており、これからの脱炭素社会に向けてより大きい役割を果たしていきます。

以上

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