平成28年3月末におけるアドバンスクリエイトのプレゼントバリューと平成27年12月末における再保険子会社のヨーロピアンエンベディッドバリューの開示について

平成 28 年 5 月 11 日
各 位
大 阪 市 中 央 区 瓦 町 三 丁 目 5 番 7 号
株 式 会 社 ア ド バ ン ス ク リ エ イ ト
代 表 取 締 役 社 長 濱 田 佳 治
(コード番号 8798)
(連絡先)上席執行役員 管理部長 大原 勲
電話 06-6204-1193



平成 28 年 3 月末におけるアドバンスクリエイトのプレゼント・バリューと
平成 27 年 12 月末における再保険子会社のヨーロピアン・エンベディッド・バリュー
の開示について


平成 28 年 3 月末におけるアドバンスクリエイトのプレゼント・バリューと平成 27 年 12 月末におけ
る再保険子会社のヨーロピアン・エンベディッド・バリューの開示について


株式会社アドバンスクリエイト(大阪市中央区、代表取締役社長:濱田 佳治)は、グループの企業
価値の参考指標として、当社が既に獲得した保険契約から見込まれる手数料収入の現在価値(プレゼン
ト・バリュー。以下、
「PV」)および当社が 100%保有する再保険子会社 Advance Create Reinsurance
Incorporated(以下、
「ACR」
)に見込まれる株主配当可能利益の現在価値(ヨーロピアン・エンベデ
ィッド・バリュー。以下、
「EEV」
)をそれぞれ別紙1および別紙2のとおり開示いたします。
いずれも、当社の企業価値に対する貢献度を示す指標といえます。


別紙1 平成 28 年 3 月末プレゼント・バリューの開示について
別紙2 平成 27 年 12 月末ヨーロピアン・エンベディッド・バリューの開示について




<概要>


平成 28 年 3 月末PV(主要9社) 4,009 百万円
平成 27 年 12 月末EEV(ACR社) 1,056 百万円





別紙1 平成 28 年 3 月末プレゼント・バリューの開示について


株式会社アドバンスクリエイト(大阪市中央区、代表取締役社長:濱田 佳治)は、保険代理店であ
る当社が獲得した保険契約から見込まれる将来手数料収入が当社の企業価値に与える貢献度を表すた
めの参考指標として、平成 18 年 9 月末より半期毎にプレゼント・バリュー(Present Value。以下、
「P
V」)を算出し、開示しております。
「平成 28 年 3 月末のPVの一部数値」を算出いたしましたので以下のとおりお知らせいたしま
今般、
す。


1.PVについて
PV(ストックベース)とは、当該の会計期末において有効に存続する契約に対し、期末以降将
来に発生する保険手数料の収入見込額(未実現分)を後記の前提条件に基づき評価した金額の現在
価値を表します。
現行の会計制度上、上記契約に対応する営業費用は発生時に全額費用計上されますが、損益計算
書上で既に営業収益として認識した手数料を除いて、収益の一部は将来実現した時点で計上するこ
ととなっております。従いまして、保険代理店事業は、新規保険募集に関わる費用が先行しますが、
保有する既存契約から長期にわたり収益の一部を享受するという収益構造ですので、新規契約獲得
から会計上の利益の実現までにタイムラグが生じます。


上記のとおり、PVは、ストックとして保有する契約から得られる将来の利益貢献を示す指標で
あり、保険代理店である当社の企業価値を評価する有力な指標の1つとしてまいりました。平成 18
年 9 月末以降、PVは現行の法定会計を補完する指標の1つとして客観性を有するべきと考え、第
三者機関にレビューを依頼し、その結果をご報告するものです。


2.平成 28 年 3 月末PV(主要9社)


平成 28 年 3 月末PV(主要9社)は以下のとおりです。
平成 28 年 3 月末PV 4,009百万円


平成 28 年 3 月単月手数料収入のうち、上記9社のシェアは概ね52%であります。
なお、上表のPVは主要9社に関するレコード数424,547件のうち、419,107件(9
9%)を対象として算出しております。
また、PVから損益計算書上で営業収益として計上済である将来手数料は控除されています。


(ご参考)前回発表時の平成 27 年 9 月末PV
平成 27 年 9 月末PV 4,419百万円


平成 27 年 9 月単月手数料収入のうち、上記9社のシェアは概ね74%でありました。なお、9
社に関するレコード数413,009件のうち、402,774件(98%)を対象として算出い
たしました。




算定にあたって使用した主要な前提条件は以下のとおりです。
項 目 設 定 方 法
① 割引率 評価日時点の国債利回りに基づいて算出したリスク・フリー・レート
② 死亡率 公益社団法人日本アクチュアリー会算定の生保標準生命表 2007(死亡保
険用)に基づいて計算される無配当死亡保険用死亡率の 100%(*1)
③ 解約失効率 対象保険会社から提供された 2012 年 10 月~2015 年 9 月までの契約異動
データに基づき、保険会社別、保険年度別に算定(*2)
④ 更新率 対象保険会社から提供された 2012 年 10 月~2015 年 9 月までの契約異動
データに基づき保険会社共通の率を算定(*3)
⑤ 手数料率 対象保険会社から提供された 2016 年 3 月単月(直近)の手数料データに
基づき、一定の群団毎に算定した平均的な手数料率
⑥ 手数料戻入率 対象保険会社から提供された 2012 年 10 月~2015 年 9 月までの各月のデ
ータに基づき、保険会社別に算定(*4)
(*1) 自動車保険については死亡率を適用しておりません。
(*2) 更新後契約については保険年度別に保険会社共通の率を算定しました。
(*3) 損害保険の一年更新契約は対象保険会社から提供された更改率により更新するものとしました。
(*4) 一部の保険会社については、対象保険会社から実績が提供された 2015 年 9 月までのデータに基づ
き手数料戻入率を算定しました。


3.平成 28 年 3 月末PV(主要9社)の感応度分析
割引率を 1%または 2%引き上げた場合、解約失効率を 10%増加または 10%減少させた場合の感応
度は以下のとおりとなりました。


前提条件 PV 増減額
ベースケース 4,009百万円
割引率 1%上昇 3,823百万円 ▲186百万円
割引率 2%上昇 3,633百万円 ▲376百万円
解約失効率 10%増加 3,904百万円 ▲105百万円
解約失効率 10%減少 4,121百万円 111百万円




4.全会社に対する試算
上記のベースケースの算出結果は主要9社(平成 28 年 3 月単月手数料収入のうち、52%のシ
ェア)の99%のデータにて算出されたものです。仮に計算対象外の部分が計算対象とされた部分
と全く同様の構造をしていると考え、全会社のデータを使用した場合(100%)の水準になるよ
う割り戻すことにより簡便的に推測した場合の計算値は以下のとおりとなります。
平成 28 年 3 月末PV 7,776百万円


(ご参考)当社独自の計算方法(申込みベース)による平成 28 年 3 月末PV
平成 28 年 3 月末PV 6,710百万円




5.第三者機関による意見書
株式会社アドバンスクリエイトは、第三者機関である有限責任監査法人トーマツにPVに関する
計算手法、計算前提および計算結果のレビューを依頼し、以下の意見書を受領しています。有限責
任監査法人トーマツの意見は、主要9社に関するPVのベースケースおよび感応度に限定されてい
ます。





株式会社アドバンスクリエイトの平成 28 年 3 月 31 日現在のプレゼント・バリューについての有限責
任監査法人トーマツの意見


有限責任監査法人トーマツ(以下、「トーマツ」)は、株式会社アドバンスクリエイト(以下、「アド
)の依頼により、平成 28 年 3 月 31 日現在のプレゼント・バリューの開示資料(以
バンスクリエイト」
下、
「開示資料」)に記載されたプレゼント・バリューが従来から行われている保険数理的企業価値評価
方法に関する業界実務に基づいて計算されているか否かの検証を行いました。
プレゼント・バリューは、ストックとして保有する契約から得られる将来の利益貢献を示す指標とし
て、開示資料に記載された方法でアドバンスクリエイトにより計算されたものであり、プレゼント・バ
リューの計算方法、計算前提、開示資料内の情報は全てアドバンスクリエイトの取締役会の責任のもと
に設定されました。
トーマツが検証した対象は、設定された計算方法および計算前提、アドバンスクリエイトが計算した
平成 28 年 3 月 31 日現在のプレゼント・バリュー、ならびに、計算前提を変えた場合のプレゼント・
バリューの感応度です。
トーマツは、プレゼント・バリューの計算結果が重大なエラーなしに計算されているという合理的な
根拠を得るために、保険数理的な業界実務とプロセスに基づき、合理性の検証、分析的検証および事務
的正確性の検証を実施しました。


トーマツの意見は以下のとおりです。
1 アドバンスクリエイトは多数の保険会社の契約を販売していますが、プレゼント・バリューの計算
対象はそのうちの主要 9 社(以下、
「計算対象会社」 を対象としています。
) 本意見書の対象範囲は、
計算対象会社に係るプレゼント・バリューに限定されています。計算対象外の会社に係るプレゼン
ト・バリューについては意見の対象ではありません。
2 設定された以下の計算方法等は、従来から行われている保険数理的企業価値評価方法に関する業界
実務と適合するものです。
2.1 計算対象会社における計算対象範囲
2.2 将来の手数料収入見込額とその割引現在価値の計算方法
3 継続率等の事業前提は、アドバンスクリエイトの事業の特性を考慮し、過去、現在および将来期待
される実績を考慮した最良推計に基づき設定されています。
4 経済前提は、前提相互間で整合的であり、計算基準日時点の経済状況を参照して設定されています。
5 計算結果は、設定された計算方法ならびに計算前提(事業前提および経済前提)のもとで計算され
ています。ただし、トーマツによる検証は、計算モデル、計算過程および計算内容の全てに関する
完全な検証を意味するものではありません。トーマツは、重大な影響を及ぼす範囲において、設定
された計算方法および計算前提のもとで計算結果が算出されていることを確認しました。


検証を行うにあたり、トーマツはアドバンスクリエイトより提供されたデータと資料に依拠していま
す。これらの資料について、トーマツによる独立した確認作業は行われていません。


トーマツは、アドバンスクリエイトの財務諸表(連結財務諸表を含む、以下同様)の監査はしており
ません。そのため、財務諸表の正確性については意見の対象ではありません。




プレゼント・バリューの計算で使用する将来予測は、現在および将来の事業環境について設定された
様々な前提に基づいて計算されますが、その多くはアドバンスクリエイトの管理が及ぶ範囲ではなく、
一般に、前提条件と将来におけるその実現値は異なる可能性があります。前提条件と実現値の乖離は、
計算結果に重大な影響を及ぼす可能性があります。


プレゼント・バリューは、実際の市場価値についての意見を表明することを意図するものではありま
せん。市場価値の形成に必要とされる多くの要素をすべて織り込んでいるわけではないため、そのよう
に解釈されるべきではありません。


この意見はアドバンスクリエイトとの契約に基づき、アドバンスクリエイトのみに対して提供される
ものです。適用される法律において許容される限り、トーマツは、トーマツが行った検証作業やトーマ
ツが作成した意見および意見に含まれる記述内容について、アドバンスクリエイト以外のいかなる第三
者に対しても、一切責任、注意義務あるいは債務を負いません。


以上





別紙2 平成 27 年 12 月末ヨーロピアン・エンベディッド・バリューの開示について


株式会社アドバンスクリエイト(大阪市中央区、代表取締役社長:濱田 佳治。以下、
「アドバンスク
リエイト」)は、再保険子会社である Advance Create Reinsurance Incorporated(以下、
「ACR」)の
生命再保険事業の企業価値を評価するための参考指標として、平成 24 年 12 月末より半期毎にヨーロピ
アン・エンベディッド・バリュー原則(以下、「EEV原則」
)に従い計算したACRのヨーロピアン・
エンベディッド・バリュー(以下、
「EEV」
)を算出し、開示しております。
今般、「平成 27 年 12 月末のACRのEEV」を算出いたしましたので、以下のとおりお知らせいた
します。





目次


1. EEVについて
1-1 EEV原則
1-2 EEVの計算手法


2.平成 27 年 12 月末EEV計算結果
2-1 EEVの計算結果
2-1-1 修正純資産
2-1-2 保有契約価値
2-1-3 新契約価値
2-2 平成 27 年 6 月末EEVからの変動要因


3.平成 27 年 12 月末EEVの感応度分析


4.第三者機関による意見書




付録A EEVの計算手法の詳細
付録B EEVの計算における主な前提条件
付録C 用語集





1.EEVについて


1-1 EEV原則
エンベディッド・バリューの計算手法、開示内容について一貫性および透明性を高めることを目的に、
平成 16 年 5 月に、欧州の大手保険会社のCFO(最高財務責任者)から構成されるCFOフォーラム
により、EEV原則およびそれに関するガイダンスが制定されています。さらに平成 17 年 10 月には、
EEVの感応度と開示に関する追加のガイダンスが制定されています。


1-2 EEVの計算手法
今回のEEVの計算にあたり、アドバンスクリエイトは市場整合的手法を用いています。
市場整合的手法とは、資産・負債のキャッシュ・フローを市場で取引されている金融商品と整合的に
評価しようとするものであり、欧州を中心に多くの会社で採用されています。
今回アドバンスクリエイトが計算したEEVは、市場整合的な手法を取り入れつつ、EEV原則へ準
拠したものとしています。





2. 平成 27 年 12 月末EEV計算結果


2-1 EEVの計算結果
平成 27 年 12 月末におけるACRのEEVは以下のとおりです。
(百万円)
平成 27 年 6 月末 平成 27 年 12 月末 増減
EEV 866 1,056 190
修正純資産 339 384 45
保有契約価値 526 671 145


平成 26 年度(上期) 平成 27 年度(上期) 増減
新契約価値 189 169 △20




2-1-1 修正純資産
修正純資産は、株主に帰属すると考えられる純資産で、資産時価が法定責任準備金およびその他負債
を超過する額です。
一般的には、貸借対照表の純資産の部の金額に負債中の内部留保、一般貸倒引当金、時価評価されて
いない資産・負債の含み損益、退職給付の未積立債務およびこれらに係る税効果等を調整した額になり
ます。




2-1-2 保有契約価値
保有契約価値は、確実性等価将来利益現価からオプションと保証の時間価値、必要資本維持のための
費用および非フィナンシャル・リスクに係る費用を控除した金額であり、その内訳は以下のとおりです。
(百万円)
平成 27 年 6 月末 平成 27 年 12 月末 増減
保有契約価値 526 671 145
確実性等価将来利益現価 530 681 151
オプションと保証の時間価値 △2 △8 △6
必要資本維持のための費用 0 0 0
非フィナンシャル リスクに係る費用
・ △1 △1 0




2-1-3 新契約価値
新契約価値は、当年度に獲得した新契約の契約獲得時点における価値(契約獲得に係る費用を控除し
た後の金額)を表したものであり、その内訳は以下のとおりです。
(百万円)




平成 26 年度 平成 27 年度
増減
(上期) (上期)
新契約価値 189 169 △20
確実性等価将来利益現価 196 170 △26
オプションと保証の時間価値 △7 0 7
必要資本維持のための費用 0 0 0
非フィナンシャル リスクに係る費用
・ 0 0 0


なお、新契約マージン(新契約価値の収入再保険料現価に対する比率)は以下のとおりです。
(百万円)
平成 26 年度(上期) 平成 27 年度(上期) 増減
新契約価値 189 169 △20
収入再保険料現価(注)
1,165 1,440 275
新契約マージン 16% 12% △4%
(注) 将来の収入再保険料を、新契約価値の計算に用いたリスク・フリー・レートで割り引いています。




2-2 平成 27 年 6 月末EEVからの変動要因


(百万円)
修正純資産 保有契約価値 EEV
平成 27 年 6 月末EEV 339 526 866
(1)平成 27 年 6 月末EEVの調整 0 0 0
うち株主配当金支払 0 0 0
うち為替変動に伴う調整 0 0 0
平成 27 年 6 月末EEV(調整後) 339 526 866
(2)平成 27 年度上期新契約価値 0 169 169
(3)期待収益(リスク・フリー・レート分) 0 0 0
(4)期待収益(機会損失分) 0 0 0
(5)保有契約価値からの移管 50 △50 0
うち平成 27 年 6 月末保有契約 49 △49 0
うち平成 27 年度上期新契約 1 △1 0
(6)前提条件(非経済前提)と実績の差異 △4 0 △4
(7)前提条件(非経済前提)の変更 0 38 38
(8)前提条件(経済前提)の変更および
△1 △11 △12
実績との差異
(9)その他の要因に基づく差異 0 △1 △1
平成 27 年 12 月末EEV 384 671 1,056





(1)平成 27 年 6 月末EEVの調整
ACRのEEVは、米ドルを日本円換算した後に日本円で計算されていることから、為替変動による
調整を本項目に含めています。
なお、ACRは平成 27 年度において株主配当金を支払っておりません。


(2)平成 27 年度上期新契約価値
新契約価値は、平成 27 年度上期に新契約を獲得したことによる契約獲得時点における価値を表した
ものであり、契約獲得に係る費用を控除した後の金額が反映されています。


(3)期待収益(リスク・フリー・レート分)
保有契約価値の計算にあたっては、将来の期待収益をリスク・フリー・レートで割り引いていますの
で、時間の経過とともに割引の影響が解放されます。なおこれには、オプションと保証の時間価値、必
要資本維持のための費用および非フィナンシャル・リスクに係る費用のうち平成 27 年度上期の解放分
を含みます。修正純資産からは、対応する資産からリスク・フリー・レート分に相当する収益が発生し
ます。


(4)期待収益(機会損失分)
EEVの計算にあたっては、将来の期待収益としてリスク・フリー・レートを用いますが、ACRの
場合は、実際にはリスク・フリー・レートを下回る利回りが期待されます。平成 27 年度上期の機会損
失を計算するために使用した期待利回りは、付録Bをご参照ください。


(5)保有契約価値からの移管
平成 27 年度上期に実現が期待されていた利益(法定会計上の予定利益)が、保有契約価値から修正
純資産に移管されます。これには、平成 27 年 6 月末の保有契約から期待される平成 27 年度上期の利益
と、平成 27 年度上期に獲得した新契約から期待される契約獲得に係る費用を含めた平成 27 年度上期の
損益が含まれます。
これらは保有契約価値から修正純資産への振替えであり、その合計であるEEVの金額には影響しま
せん。


(6)前提条件(非経済前提)と実績の差異
平成 27 年 6 月末の保有契約価値の計算に用いた前提条件(非経済前提)と、平成 27 年度上期の実績
との差額です。


(7)前提条件(非経済前提)の変更
保有契約価値の計算に用いる前提条件(非経済前提)を洗い替えたことにより、平成 27 年度下期以
降の収支が変化することによる影響です。


(8)前提条件(経済前提)の変更および実績との差異
市場金利やインプライド・ボラティリティ等の経済前提が、平成 27 年 6 月末EEV計算に用いたも
のと異なることによる影響です。当該影響は、平成 27 年度上期の実績および平成 27 年度下期以降の見
積もりの変更を含みます。



(9)その他の要因に基づく差異
上記の項目以外にEEVを変動させた要因による影響です。




3.平成 27 年 12 月末EEVの感応度分析
前提条件を変更した場合のEEVの感応度は以下のとおりです。感応度は、一度に1つの前提のみを
変化させることとしており、同時に2つの前提を変化させた場合の感応度は、それぞれの感応度の合計
とはならないことにご注意ください。
なお、いずれの感応度においても、保険会社の経営行動の前提は基本シナリオと同様としています。
(百万円)
前提条件 EEV 増減額
平成 27 年 12 月末EEV 1,056 -
感応度 1:リスク・フリー・レート 100bp 上昇 1,072 16
感応度 2:リスク・フリー・レート 100bp 低下 980 △76
感応度 3:株式・不動産価値 10%下落 1,056 0
感応度 4:事業費率(維持費率)10%減少 1,112 56
感応度 5:解約失効率 10%減少 1,183 127
感応度 6:保険事故発生率 5%低下 1,360 304
感応度 7:金利スワップションのインプライド・
1,053 △3
ボラティリティ 25%上昇


感応度 1~3 について、EEVの修正純資産の変化額は以下のとおりです。なお、感応度 4~7 につい
ては保有契約価値のみの変化額となります。
(百万円)
前提条件 修正純資産 増減額
平成 27 年 12 月末修正純資産 384 -
感応度 1:リスク・フリー・レート 100bp 上昇 384 0
感応度 2:リスク・フリー・レート 100bp 低下 384 0
感応度 3:株式・不動産価値 10%下落 384 0





前提条件を変更した場合の新契約価値の感応度は以下のとおりです。
(百万円)
前提条件 新契約価値 増減額
平成 27 年度上期新契約価値 169 -
感応度 1:リスク・フリー・レート 100bp 上昇 155 △14
感応度 2:リスク・フリー・レート 100bp 低下 175 6
感応度 3:株式・不動産価値 10%下落 169 0
感応度 4:事業費率(維持費率)10%減少 174 5
感応度 5:解約失効率 10%減少 193 24
感応度 6:保険事故発生率 5%低下 194 25
感応度 7:金利スワップションのインプライド・

ボラティリティ 25%上昇




○感応度 1
リスク・フリー・レートが 100bp 上昇した場合の影響を表しています。保有する債券や貸付金の価格
変化により修正純資産が変化すると同時に、将来の運用収益等が変化することにより保有契約価値も変
化します。


○感応度 2
リスク・フリー・レートが 100bp 低下した場合の影響を表しています。なお、リスク・フリー・レー
トは 0%を下限としています。


○感応度 3
株式および不動産の価格が 10%下落した場合の影響を表しています。


○感応度 4
契約維持に係る事業費率が 10%減少(ベースとなる事業費率×0.9)した場合の影響を表しています。


○感応度 5
解約失効率が 10%減少(ベースとなる解約失効率×0.9)した場合の影響を表しています。


○感応度 6
保険事故発生率が 5%減少(ベースとなる保険事故発生率×0.95)した場合の影響を表しています。


○感応度 7
金利スワップションのインプライド・ボラティリティが 25%上昇した場合の影響を表しています。オ
プションと保証の時間価値が変化することにより保有契約価値が変化します。





4.第三者機関による意見書


Advance Create Reinsurance Incorporated 社の平成 27 年 12 月 31 日現在のエンベディッド・バリュ
ーについての有限責任監査法人トーマツの意見


有限責任監査法人トーマツ(以下、「トーマツ」)は、株式会社アドバンスクリエイト(以下、「アド
)の依頼により Advance Create Reinsurance Incorporated 社(以下、
バンスクリエイト」 「ACR」)
の平成 27 年 12 月 31 日現在のエンベディッド・バリューの開示資料(以下、「開示資料」
)に記載され
たエンベディッド・バリューがヨーロピアン・エンベディッド・バリュー原則(以下、「EEV原則」)
に基づいて計算されているか否かの検証を行いました。
エンベディッド・バリューは、EEV原則に基づいたものとして、開示資料に記載された方法でアド
バンスクリエイトにより計算されたものであり、エンベディッド・バリューの計算方法、計算前提、開
示資料内の情報は全てアドバンスクリエイトの取締役会の責任のもとに設定されました。
トーマツが検証した対象は、設定された計算方法および計算前提、アドバンスクリエイトが計算した
平成 27 年 12 月 31 日現在のエンベディッド・バリュー、平成 27 年度上期(平成 27 年 7 月 1 日から平
成 27 年 12 月 31 日、以下同様)の新契約価値、平成 27 年度上期中のエンベディッド・バリューの増
減、ならびに、前提を変えた場合のエンベディッド・バリューの感応度です。
トーマツは、エンベディッド・バリューの計算結果が重大なエラーなしに計算されているという合理
的な根拠を得るために、保険数理的な業界実務とプロセスに基づき、合理性の検証、分析的検証および
事務的正確性の検証を実施しました。


トーマツの意見は以下のとおりです。
1 設定された以下の計算方法等は、EEV原則に準拠して設定されていると結論付けました。
1.1 計算対象範囲
1.2 修正純資産の計算方法
1.3 保有契約価値の計算方法
1.4 新契約価値の計算方法
2 設定された計算前提は、EEV原則に準拠して設定されていると結論付けました。具体的には、以
下のとおりです。
2.1 死亡率、発生率、継続率、事業費等の事業前提は、ACRの事業の特性を考慮し、過去、現在
および将来期待される実績を考慮した最良推計に基づき設定されています。
2.2 経済前提は、前提相互間で整合的であり、計算基準日時点の経済状況を参照して設定されてい
ます。
3 計算結果は、設定された計算方法ならびに計算前提(事業前提および経済前提)のもとで計算され
ています。ただしこれは、トーマツによる検証が、計算モデル、計算過程および計算内容の全てに
関する完全な検証を意味するものではありません。トーマツは、重大な影響を及ぼす範囲において、
設定された計算方法および計算前提のもとで計算されていることを確認しました。


検証を行うにあたり、トーマツはアドバンスクリエイトより提供されたデータと資料に依拠していま
す。これらの資料について、トーマツによる独立した確認作業は行われていません。



トーマツは、アドバンスクリエイトおよびACRの財務諸表(連結財務諸表を含む、以下同様)の監
査はしておりません。そのため、財務諸表の正確性については意見の対象ではありません。


エンベディッド・バリューの計算で使用する将来予測は、現在および将来の事業環境について設定さ
れた様々な前提に基づいて計算されますが、その多くはアドバンスクリエイトの管理が及ぶ範囲ではな
く、一般に、前提条件と将来におけるその実現値とは異なる可能性があります。前提条件と実現値との
乖離は、計算結果に重大な影響を及ぼす場合があります。


エンベディッド・バリューは、実際の市場価値についての意見を表明することを意図するものではあ
りません。市場価値の形成に必要とされる多くの要素をすべて織り込んでいるわけではないため、その
ように解釈されるべきではありません。


この意見はアドバンスクリエイトとの契約に基づき、アドバンスクリエイトのみに対して提供される
ものです。適用される法律において許容される限り、トーマツは、トーマツが行った検証作業やトーマ
ツが作成した意見および意見に含まれる記述内容について、アドバンスクリエイト以外のいかなる第三
者に対しても、一切責任、注意義務あるいは債務を負いません。


以上





付録A EEVの計算手法の詳細
アドバンスクリエイトが平成 27 年 12 月末EEVを算出するために用いた計算手法は市場整合的手法
であり、平成 16 年 5 月にCFOフォーラムにより制定されたEEV原則および平成 17 年 10 月に制定
された感応度と開示に関する追加のガイダンスに準拠しています。


1. 対象事業
計算の対象範囲は、ACRが行う再保険事業の全てです。対象外とした事業はありません。


2. 修正純資産の計算手法
修正純資産は、貸借対照表の純資産の部の金額としています。


3. 保有契約価値の計算手法
保有契約価値は、確実性等価将来利益現価から、オプションと保証の時間価値、必要資本維持のため
の費用および非フィナンシャル・リスクに係る費用を控除することにより算出しています。


4. 確実性等価将来利益現価
確実性等価将来利益現価は、将来キャッシュ・フローを決定論的手法で算定し、それによる将来の税
引後利益をリスク・フリー・レートで割り引いたものです。資産運用に係るキャッシュ・フローについ
ては、全ての資産の運用利回りがリスク・フリー・レートに等しいとして計算しています。
確実性等価将来利益現価には、保険契約に含まれるオプションと保証の価値のうち、本源的価値が反
映されています。


5. オプションと保証の時間価値
オプションと保証の時間価値は、確実性等価将来利益現価と、市場で取引されているオプション価格
と整合的な前提により確率論的に計算された将来の税引後利益現価の平均との差額をとることにより
計算しています。
オプションと保証の時間価値の計算において、資産配分は評価日時点の資産占率が将来にわたり維持
されるものとしており、運用方針について会社の裁量は織り込んでいません。
保険契約には様々なオプションが内包されていますが、ACRのEEVの算出にあたって勘案した要
素は契約者行動です。契約者は経済環境に応じ、様々な行動を取るオプションを有していますが、ここ
では、貯蓄性商品における予定利率と金利に応じた選択的解約のコストを反映しています。


6. 必要資本維持のための費用
市場整合的手法ではフリクショナル・コストと呼ばれます。保険会社は健全性維持のために負債の額
を超えて必要資本を保有する必要があります。この必要資本に係る運用収益に対する税金と、必要資本
に係る資産運用費用をフリクショナル・コストに含めています。
必要資本の水準について、EEV原則では法令で定められた水準を上回ることが求められております。
必要資本は、法令で定められた最低資本水準(US$100,000)と同額に設定しています。





7. 非フィナンシャル・リスクに係る費用
EEV原則では、EVは「対象事業のリスク全体を考慮した上で、対象事業に割り当てられた資産か
ら発生する分配可能利益の中の株主分の現在価値」と定義されており、全てのリスクを勘案してEVを
算出することが求められています。
非フィナンシャル・リスクから生じる収益の不確実性の大部分は分散可能と考えられます。そのため、
例えば死亡率の変動といった非フィナンシャル・リスクについては、確実性等価将来利益現価の計算に
用いた最良前提(以下、
「ベスト・エスティメイト前提」
)が、株主が期待する損益の平均値となってい
る場合には、追加的な調整が不要となります。
一方、非フィナンシャル・リスクの中には、ベスト・エスティメイト前提だけではその価値を評価出
来ていないものもあります。このような例として、一般的にはオペレーショナル・リスクが挙げられま
す。
アドバンスクリエイトでは、簡易モデルによりこの非フィナンシャル・リスクの定量化を行っていま
す。


8.新契約価値の算定手法
平成 27 年度上期の新契約価値は、平成 27 年 7 月 1 日から平成 27 年 12 月 31 日までの半年間にA
CRが引き受けた再保険契約の価値であり、保有契約価値と同様の手法で計算しています。
なお、経済前提および非経済前提はともに平成 27 年 12 月末時点のものを用いています。





付録B EEVの計算における主な前提条件


1. 経済前提
(1)リスク・フリー・レート
確実性等価将来利益現価の計算においては、市場の流動性を考慮し、リスク・フリー・レートとして
評価日時点の日本円国債の利回りを使用しています。
なお、リスク・フリー・レートの参照金利および超長期金利の補外手法については、欧州のソルベン
シーⅡ導入時の活発な議論に加え、CROフォーラム等においても様々な議論がなされています。超長
期金利の補外手法について、ソルベンシーⅡにおいては、長期均衡的なフォワード・レート(ultimate
forward rate)を用いて補外する方法に基づき様々な通貨の超長期満期までの金利期間構造が設定され
ています。
日本円国債の 40 年超のリスク・フリー・レートについては、市場における超長期ゾーンの流動性が
十分になく、標準的な補外手法が存在しないことから、41 年目以降のリスク・フリー・レートについ
て、40 年目のフォワード・レートを横ばいとしています。実際に使用したリスク・フリー・レート(フ
ォワード・レート)は以下のとおりです。


平成 27 年 6 月末 平成 27 年 12 月末
1 年目 0.000% 0.000%
2 年目 0.000% 0.051%
3 年目 0.062% 0.031%
4 年目 0.175% 0.000%
5 年目 0.337% 0.153%
10 年目 1.097% 0.950%
15 年目 1.956% 1.706%
20 年目 2.912% 2.649%
30 年目 1.313% 1.411%
40 年目 2.878% 2.452%
(データ:Bloomberg(補整後)






(2)金利モデル
金利モデルは、保険数理の実務で広く用いられているハル・ホワイト・モデルを採用しています。金
利モデルのパラメータは、各年度末の市場にキャリブレートされており、パラメータはイールド・カー
ブと期間の異なる複数の金利スワップションのインプライド・ボラティリティから推計しています。オ
プションと保証の時間価値を算出するための確率論的手法では 1,000 シナリオを使用しています。
シナリオのキャリブレーションに使用した金利スワップションのインプライド・ボラティリティは以
下のとおりです。


(%)
金利スワップション インプライド・ボラティリティ
オプション期間 スワップ期間 平成 27 年 6 月末 平成 27 年 12 月末
5年 5年 44.4 55.5
5年 7年 40.1 47.0
5年 10 年 35.3 38.8
7年 5年 35.0 42.5
7年 7年 32.1 37.0
7年 10 年 29.7 32.1
10 年 5年 30.8 31.5
10 年 7年 27.3 28.0
10 年 10 年 24.7 26.0
(データ:Bloomberg)



(3)予定収益計算上の各資産の期待収益率
「2-2 平成 27 年 6 月末EEVからの変動要因」の期待収益(機会損失分)の計算に用いた預金金
利の期待収益率は 0.01%です。


(4)為替レート
ACRのEEVは、米ドルを日本円換算した後に日本円で計算されています。
米ドルを日本円に換算するために用いた為替レートは、平成 27 年 6 月末で 1 米ドル=122.45 円、平
成 27 年 12 月末で 1 米ドル=120.61 円です。将来の為替レートは平成 27 年 12 月末のレートが維持さ
れるものとしています。




2. 非経済前提
保険料、事業費、保険金・給付金、解約返還金、税金等のキャッシュ・フローは、契約消滅までの期
間にわたり、保険種類別に、直近までの経験値および期待される将来の実績を勘案したベース(ベスト・
エスティメイト前提)で予測しています。ベスト・エスティメイト前提は、過去、現在の実績および将
来期待される経験に基づき設定しています。





付録C 用語集


用語 説明・補足
あ EEV原則 CFOフォーラムにより平成 16 年 5 月に発表されたも
のであり、平成 17 年 10 月には開示に関する追加のガ
イダンスが発表されています。これらは、保証とオプシ
ョンの取扱いに焦点をあて、センシティビティと開示に
関する改善を図るものです。
インプライド・ オプションの市場価格から逆算されるボラティリティで
ボラティリティ す。
オプションと保証の オプション価値は、本源的価値と時間価値という2つ要
時間価値 素を持っています。本源的価値は、評価日時点の条件の
下で計算されるオプションの価値のことであり、その価
値の本質となるものです。時間価値とは、満期前に将来
の期待を反映するものであり、オプション価値のうち本
源的価値以外の価値です。
か 確実性等価 全ての資産の運用利回りをリスク・フリー・レートとし
将来利益現価 て計算した、将来の税引後利益の現在価値です。
確率論的手法 計算結果に影響を与える、前提条件の将来の変動を反映
させる手法です。
さ CFOフォーラム 財務報告の発展や投資家に対する透明性の向上等に関す
る議論を行うため、欧州主要保険会社のCFO(Chief
Financial Officer:最高財務責任者)により構成される
組織であり、平成 14 年に設立されました。
市場整合的手法 将来のキャッシュ・フローを、市場で取引される資産の
価格と整合的に評価することが出来る経済前提を用いる
測定手法です。
スワップション 権利行使日に、一定条件の金利スワップ取引を行うこと
ができる権利を売買するオプション取引です。
ソルベンシーⅡ ソルベンシーⅡは、欧州の保険会社に対する新しいソル
ベンシー規制です。定量的要件として経済価値ベースに
基づく資本規制が平成 28 年から導入されています。
は 必要資本 対象事業に係る負債に対応する資産を超えて会社が保有
することが求められる資産であり、株主への分配に制限
があります。


必要資本維持のため 必要資本に係る運用コストおよび必要資本を運用するこ
の費用 とで得られる収益に係る税金相当額です。





用語 説明・補足
非フィナンシャル・ オペレーショナル・リスクといった、非対称性を持つ非
リスクに係る費用 フィナンシャル・リスクに係る費用です。
ベスト・エスティメイ 前提が、将来取り得る範囲における期待値です。
ト前提
ら リスク・フリー・ デフォルトや信用リスクが無い証券における将来の期待
レート 利回りです。





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