カタリスト投資顧問株式会社の設立 -エンゲージメント投資の実現に向けて-

2020 年 1 月 16 日

各 位


マ ネ ッ ク ス グ ル ー プ 株 式 会 社

代 表 執 行 役 社 長 C E O 松 本 大
( コ ー ド 番 号 8 6 9 8 東 証 第 一 部 )


カタリスト投資顧問株式会社の設立
~エンゲージメント投資の実現に向けて~

当社は、日本の資本市場の活性化ひいては企業セクターの活性化を目標として、上場企
業に対する提案と対話(エンゲージメント)を通して投資リターンを追求する運用の実現
を主たる業務とする、「カタリスト投資顧問株式会社」
(以下、カタリスト投資顧問)を設
立したのでお知らせいたします。
(カタリストとは、触媒・促進・きっかけなどを意味する英語:catalyst です)


東証一部上場企業の経常利益はバブル期に比して 3 倍弱、純利益 4 倍弱となるも、時価
総額合計は 606 兆円から 657 兆円へと 1.1 倍程度にしかなっておらず(1989 年、2019 年比
較、出所東証)
、一方米ダウ平均は同期間に約 10 倍、日経平均株価は約 0.6 倍となってお
り、全般に日本株式市場の低迷が明らかです。マネックスグループはこの問題に主体的・
積極的に取り組み、日本の資本市場の活性化を実現することが、ひいては企業セクター、
社会・経済の活性化、全投資家の投資リターンの向上に繋がると信じています。


技術革新や競争環境の変化が速い中、企業がその環境の変化に即して素早く対応・変化
することがかつてないほど重要になりました。その変化を実現するために外部の視点を導
入することが肝要であり、これが政府が 2014 年以来推進してきたコーポレートガバナン
ス改革(*)の要諦です。そしてコーポレートガバナンスを促進する最も重要な触媒が、
株主による企業に対するエンゲージメントです。日本におけるコーポレートガバナンス改
革はここ数年かなり前進しましたが、その実現にはもうひと押しが必要であり、ここにエ
ンゲージメント投資の重要性があります。
(*)日本版スチュワードシップ・コード(2014 年から)、コーポレートガバナンス・コ
ード(2015 年から)など


また AI(人工知能)が極端なスピードで発達してきたことも、エンゲージメントを軸と
した投資の重要性を高めています。AI は人間の数万倍以上の速さで人間と同等の分析をす
ることが可能なため、発表されている企業情報を他者よりも速く正確に分析して投資リタ
ーンを追求する手法は、競争優位性を持ちにくくなってきています。そこで、企業に投資
した上でその企業に対して変化や改善を提案していくエンゲージメント投資こそ、AI 時代
においてその重要性が高まってきています。
以上の環境の中で、マネックスグループにおいては、金融商品取引法に基づくカタリス
ト投資顧問による投資助言・代理業の登録の完了次第、エンゲージメント投資ファンドへ
の助言を開始することとしました。


このカタリスト投資顧問には以下のユニークな特徴があります。
1.日本の個人投資家の皆さまのお金を動員します。マネックスグループは、2019 年初
頭より、マネックス証券株式会社にて、マネックス・アクティビスト・フォーラムを
開催・推進し、個人投資家に対して上場会社とのエンゲージメントやアクティビズム
の啓発活動をしてまいりました。企業の商品やサービスを実際に買い・受けている個
人が、当該企業の経営に興味を持って企業を観察すること、そして自らのお金を投資
している多くの個人がその目を総動員して、企業に提案したり意見を言っていくこと
が、企業にとって建設的で良い刺激になると考えています。私たちはその触媒・媒体
になります。


2.日本国内を本拠とするプロの投資マネジャーが助言を行います。日本の企業セクタ
ー、規制環境、社会構造を理解するチームが投資助言を行い、日本国内から、投資先
企業の経営者に直接面談し、エンゲージメントを行います。


3.オープンで総合的なエンゲージメントを行います。投資対象企業に対する提案・対
話だけでなく、個人投資家の啓発や、個人投資家を巻き込んで投資と投資対象企業に
興味を持っていただき意見を持っていただくこと、そして政府、取引所、財界にもさ
まざまな形で対話をし、提案をすること、さらにはメディアとも積極的に対話し、社
会に対する総合的なエンゲージメントを行います。


カタリスト投資顧問は、日本の個人投資家のお金の長期継続的な運用の実現をゴールと
しますので、短期的なリターンを追求してその結果、企業の長期的な成長を抑制してしま
うような行動には全く意味を認めません。企業の成長を促すような長期的な視点に立ち、
長期的・継続的に、投資家と企業にとって双方利益となる投資助言とエンゲージメントを
行ってまいります。


「啐啄同時」
(そったくどうじ)という言葉が禅の世界にあると聞きます。卵から雛が
かえる時に、「啐」とは雛が殻を割ろうとして内側からつつく音であり、「啄」とは親鳥が
殻を割るために外からつつく音であり、それらが同時に起きると、雛はうまく外の世界に
踏み出せる、という意味です。雛が準備できてないのに外からつついてもダメ、一方雛だ
けが中からつついてもうまく出られない。企業経営も同じかも知れません。経営者や企業
が変化しようとしている時に外部から手助けできることが、エンゲージメント投資の理想
であると考えています。


また、マネックスグループとカタリスト投資顧問は、この活動を当社一社のものではな
く、社会的なムーヴメントにしていきたいと願っています。企業の最終株主(beneficiary
owner)を分析していくと、それは自然人か財団に行きつきます。即ち、上場企業の実質
的な株主は、基本的には個人です。この個人とマーケットを繋ぐことに、マネックスグル
ープは創業以来取り組んでまいりましたが、加えて個人と上場企業を繋ぐことが、現在に
おける重要な使命のひとつであると捉えています。最終株主である個人を、投資先企業へ
と向かう投資資金の流れ(インベストメント・ チェーン)の中で重要な一部として位置
づけ、インベストメント・ チェーン全体の機能向上のために尽力していきたいと考えて
います。


カタリスト投資顧問の活動には、当社の CEO である松本大が中心となって積極的に関
わる予定です。松本は、マネックスグループ創業の前職では米投資銀行ゴールドマンサッ
クスでジェネラルパートナーとして、日本におけるトレーディングやリスク管理の責任者
を務めておりました。またゴールドマンサックスの世界中のビジネスの中でも突出した収
益を上げるスペシャル・シチュエーション・グループも、ゼロから作り上げた実績があり
ます。さらに、上場企業(マネックス証券株式会社および当社)の経営経験も 20 年あ
り、東京証券取引所の社外取締役を 5 年務めた経験があります。政府のコーポレートガバ
ナンス改革に関係する審議会等にも参加し、この 20 年間一貫して、我が国資本市場の改
善・改革に積極的に関与し、多くの発言を公の場で行ってきました。今回のカタリスト投
資顧問の設立とその活動は、マネックスグループと松本の理念の真芯にあることです。


当社は、2019 年 10 月に行った 2020 年 3 月期第 2 四半期決算発表時に、ブローカーモデ
ルからアセマネモデルへの転換を目指すと謳いました。カタリスト投資顧問の設立は、こ
のモデル転換のひとつの大きな柱となるものです。


今後のカタリスト投資顧問の活躍とマネックスグループの転換に、是非ご期待下さい。




(報道関係者様のお問い合わせ先)

マネックスグループ株式会社 コーポレートコミュニケーション室 加藤 電話 03-4323-8698

(株主様・投資家様のお問い合わせ先)
マネックスグループ株式会社 経営管理部 IR 担当 出本、仲野 電話 03-4323-8698

9652