「環境・社会関連ポリシーフレームワーク」の改定について

2023 年 12 月 27 日
各 位
会社名 株式会社大和証券グループ本社
代表者名 執行役社長 中田 誠司
(コード番号 8601 東証プライム・名証プレミア)


「環境・社会関連ポリシーフレームワーク」の改定について


大和証券グループ(以下、当社グループ)は、経営ビジョン「2030Vision」に掲げる
「貯蓄から SDGs へ」をコアコンセプトに、資金循環の仕組みづくりを通じた SDGs の
実現を目指しています。
2021 年には、同ビジョンの重点分野の一つである「グリーン&ソーシャル」に基づ
き、脱炭素社会の実現に向けて、「大和証券グループ カーボンニュートラル宣言」を
公表しました。また同年、環境・社会に関するリスク管理の強化を図るため、「環境・
社会関連ポリシーフレームワーク」を策定しています。今般、人権やサプライチェーン
管理に関する国際的な動向等を踏まえ、ポリシーの厳格化を含めた以下の改定を行いま
す。
当社グループは今後も継続的に取組みを強化し、ステークホルダーの皆様と共に、
SDGs や ESG に資する取組みを通じた中長期的な企業価値の向上およびサステナブルで
豊かな社会の創造に努めてまいります。


(ご参考)大和証券グループのサステナビリティに関する取組み:
https://www.daiwa-grp.jp/sustainability/?cid=ad_eir_sdgspress




1.「環境・社会関連ポリシーフレームワーク」の改定内容


(1)人身取引に繋がる事業
人権に関する国際的な動向を踏まえ、人身取引に繋がる事業への投融資等を禁止す
る旨を明確化します。


(「環境・社会関連ポリシーフレームワーク」より抜粋)
改定前 改定後
児童労働、強制労働など人権侵害に繋が 児童労働、強制労働、人身取引など人権侵
る事業 害に繋がる事業
(2) 石炭火力発電の新規建設および既存設備の拡張事業
脱炭素社会の実現に向けた取組みを強化するため、石炭火力発電の新規建設事業に
加えて、既存設備の拡張事業への投融資等についても禁止します。


(「環境・社会関連ポリシーフレームワーク」より抜粋)
改定前 改定後
石炭火力発電の新規建設事業 石炭火力発電の新規建設および既存設備
の拡張事業


(3)パーム油農園開発事業
新規の投融資については、そのサプライチェーンにおいても、同様の取組みがなさ
れるよう、サプライチェーン管理の強化、およびトレーサビリティの向上を推奨しま
す。


(「環境・社会関連ポリシーフレームワーク」より抜粋)
改定前 改定後
当該事業への投融資等に際しては、乱 当該事業への投融資等に際しては、乱
開発により野生生物の生息地が失われる 開発により野生生物の生息地が失われる
ことで生物多様性の喪失に繋がっていな ことで生物多様性の喪失に繋がっていな
いか、地元住民との土地紛争や児童労働、 いか、地元住民との土地紛争や児童労働、
強制労働など人権侵害が起きていない 強制労働、人身取引など人権侵害が起き
か、またそれらに対する適切な対策が講 ていないか、またそれらに対する適切な
じられているか等に留意し、ESG デュー・ 対策が講じられているか等に留意し、ESG
デリジェンスを実施の上、その判断に活 デュー・デリジェンスを実施の上、その判
用します。 断に活用します。
なお、投融資等を実施する場合、当該事 なお、投融資等を実施する場合、当該事
業者に対しては、パーム油の国際的な認 業者に対しては、パーム油の国際的な認
証 制 度 で あ る RSPO (Roundtable on 証 制 度 で あ る RSPO (Roundtable on
Sustainable Palm Oil:持続可能なパー Sustainable Palm Oil:持続可能なパー
ム油のための円卓会議)の取得状況を確 ム油のための円卓会議)の取得状況を確
認し、未取得の場合には取得を推奨しま 認し、未取得の場合には取得を推奨しま
す。また、NDPE(No Deforestation, No す。また、NDPE(No Deforestation, No
Peat and No Exploitation:森林破壊ゼ Peat and No Exploitation:森林破壊ゼ
ロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ)等の環境・ ロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ)等の環境・
人権方針の策定を推奨します。 人権方針の策定を推奨します。
また、当該事業者に対する新規の投融
資については、そのサプライチェーンに
おいても、同様の取組みがなされるよう、
サプライチェーン管理の強化、およびト
レーサビリティの向上を推奨します。


(4) 森林破壊を伴う事業
新規の投融資については、そのサプライチェーンにおいても、同様の取組みがなさ
れるよう、サプライチェーン管理の強化、およびトレーサビリティの向上を推奨しま
す。


(「環境・社会関連ポリシーフレームワーク」より抜粋)
改定前 改定後
当該事業への投融資等に際しては、生 当該事業への投融資等に際しては、生
態系の破壊による環境への負の影響が生 態系の破壊による環境への負の影響が生
じないよう適切な対策が講じられている じないよう適切な対策が講じられている
か、また違法な伐採が行われていないか か、また違法な伐採が行われていないか
等に留意し、ESG デュー・デリジェンスを 等に留意し、ESG デュー・デリジェンスを
実施の上、その判断に活用します。 実施の上、その判断に活用します。
なお、投融資等を実施する場合、当該事 なお、投融資等を実施する場合、当該事
業者に対しては、国際的な森林認証制度 業者に対しては、国際的な森林認証制度
で あ る FSC ( Forest Stewardship で あ る FSC ( Forest Stewardship
Council:森林管理協議会)もしくは同等 Council:森林管理協議会)もしくは同等
の認証の取得や、NDPE 等の環境・人権方 の認証の取得や、NDPE 等の環境・人権方
針の策定を推奨します。 針の策定を推奨します。
また、当該事業者に対する新規の投融
資については、そのサプライチェーンに
おいても、同様の取組みがなされるよう、
サプライチェーン管理の強化、およびト
レーサビリティの向上を推奨します。


2.適用開始日
2024 年 1 月 1 日より適用を開始します。今後も国内外の動向や事業環境の変化、
また運用状況等を踏まえて、定期的に見直しを行ってまいります。


以 上
大和証券グループ「環境・社会関連ポリシーフレームワーク」



1.はじめに
国内外において気候変動や人権問題等をはじめとする環境・社会への課題認識が一層
高まる中、大和証券グループ(以下、
「当社グループ」)は、総合証券グループとしての
社会的使命とステークホルダーの皆様からの要請に応えるべく、サステナブルで豊かな
社会の実現に貢献していきたいと考えています。
当社グループは、2012 年に「環境ビジョン」を掲げ、同時に公表した「環境理念」
および「環境基本方針」のもと、事業活動を通じた環境課題の解決と継続的な環境負荷
の低減に取り組んできました。さらに 2021 年 5 月には、SDGs の実現を中核に据えた
経営ビジョン“2030Vision”を策定し、脱炭素社会への移行の促進とレジリエントな
社会の実現に向けて積極的に取り組む姿勢を明確にしています。
こうした中、当社グループは、地球環境/生物多様性の保全や人権の保護など、環境・
社会リスクの管理体制を強化するため、「環境・社会関連ポリシーフレームワーク」
(以下、
「本フレームワーク」
)を策定しました。環境や社会に対して多大な負の影響を
与える可能性がある事業に対してリスクを認識し、エンゲージメント等を通じて適切な
対応を行うことで、ステークホルダーの皆様と共により良い社会を創造していきたいと
考えています。
なお、当社グループは、カーボンニュートラルの実現に繋がるイノベーションや技術
への取組みを積極的に支持し、その支援のために、トランジション・ファイナンスを
含む多様な金融ソリューションの提供に注力してまいります。


2.本フレームワークに関するガバナンス
当社グループは、環境・社会に関する SDGs や ESG の課題について、代表執行役社長
(CEO)を委員長とするサステナビリティ推進委員会にて議論を行っています。これら
の議論の結果を取締役会に適宜報告する、また重要な事項は取締役会の決議を経ること
により、取締役会による監督を行う体制を強化しています。本フレームワークは、サス
テナビリティ推進委員会での議論を経て、取締役会にて承認されました。
本フレームワークは、運用状況や外部環境等の変化を踏まえながらより厳格な運用を
目指し、定期的に見直しを行います。


3.適用対象となる商品・サービス
本フレームワークは、大和証券グループ本社およびその主要なグループ会社が実施
する新規の投融資と債券/株式発行にかかる引受(以下、投融資等)を対象とします。


4.適用対象となる事業
(1) 投融資等を禁止する事業
・ユネスコ指定世界遺産へ負の影響を与える事業
・ラムサール条約指定湿地へ負の影響を与える事業
・ワシントン条約に違反する事業
・児童労働、強制労働、人身取引など人権侵害に繋がる事業


(2) 投融資等の際に留意する事業
①先住民族の地域社会へ影響を与える事業
当該事業への投融資等に際しては、先住民族の地域社会に対して文化的、社会的、
経済的に深刻な被害を与えないか、またそれらに対する適切な対策が講じられている
か等に留意し、環境・社会リスク評価を含む ESG デュー・デリジェンス(以下、
「ESG
デュー・デリジェンス」
)を実施の上、その判断に活用します。


②非自発的住民移転に繋がる土地収用を伴う事業
当該事業への投融資等に際しては、住民が望まない移転を強いられるような土地収
用が発生しないか、またそれらに対する適切な対策が講じられているか等に留意し、
ESG デュー・デリジェンスを実施の上、その判断に活用します。


③石炭火力発電の新規建設および既存設備の拡張事業
当該事業を資金使途とする投融資等を禁止します。
ただし、債券/株式発行にかかる引受について、2050 年までの温室効果ガス排出量
のネットゼロ目標を公表している発行体やパリ協定の目標達成に整合的な最新技術
を使用する当該事業に限って、個別に検討する場合があります。


④大量破壊兵器/非人道的兵器の製造事業
当該事業を資金使途とする投融資等を禁止します。大量破壊兵器としては核兵器、
化学兵器、生物兵器など、非人道的兵器としてはクラスター爆弾、対人地雷などが
該当します。


⑤パーム油農園開発事業
当該事業への投融資等に際しては、乱開発により野生生物の生息地が失われること
で生物多様性の喪失に繋がっていないか、地元住民との土地紛争や児童労働、強制
労働、人身取引など人権侵害が起きていないか、またそれらに対する適切な対策が講
じられているか等に留意し、ESG デュー・デリジェンスを実施の上、その判断に活用
します。


なお、投融資等を実施する場合、当該事業者に対しては、パーム油の国際的な認証
制度である RSPO (Roundtable on Sustainable Palm Oil:持続可能なパーム油のた
めの円卓会議)の取得状況を確認し、未取得の場合には取得を推奨します。また、NDPE
(No Deforestation, No Peat and No Exploitation:森林破壊ゼロ、泥炭地開発
ゼロ、搾取ゼロ)等の環境・人権方針の策定を推奨します。
また、当該事業者に対する新規の投融資については、そのサプライチェーンにおい
ても、同様の取組みがなされるよう、サプライチェーン管理の強化、およびトレーサ
ビリティの向上を推奨します。


⑥森林破壊を伴う事業
当該事業への投融資等に際しては、生態系の破壊による環境への負の影響が生じな
いよう適切な対策が講じられているか、また違法な伐採が行われていないか等に留意
し、ESG デュー・デリジェンスを実施の上、その判断に活用します。
なお、投融資等を実施する場合、当該事業者に対しては、国際的な森林認証制度で
ある FSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)もしくは同等の認証の取
得や、NDPE 等の環境・人権方針の策定を推奨します。
また、当該事業者に対する新規の投融資については、そのサプライチェーンにおい
ても、同様の取組みがなされるよう、サプライチェーン管理の強化、およびトレーサ
ビリティの向上を推奨します。


⑦炭鉱採掘事業
当該事業において、山頂除去採掘(Mountain Top Removal:MTR)方式で行う事業
や新規の一般炭採掘事業を資金使途とする投融資等を禁止します。
また、当該事業への投融資等に際しては、落盤事故、出水事故、ガス爆発や、違法
労働等の人権侵害が発生しないよう、労働安全や衛生環境の確保に関して適切な対策
が講じられているか等に留意し、ESG デュー・デリジェンスを実施の上、その判断に
活用します。


⑧大規模な水力発電の建設事業
当該事業への投融資等に際しては、ダム建設に伴う環境や生態系の破壊および地域
住民への負の影響に対して適切な対策が講じられているか等に留意し、ESG デュー・
デリジェンスを実施の上、その判断に活用します。


⑨石油・ガス開発事業
当該事業への投融資等に際しては、環境や生態系および地域社会への影響に対して
適切な対策が講じられているか等に留意し、ESG デュー・デリジェンスを実施の上、


その判断に活用します。特に、北極圏での開発事業、オイルサンドやシェールオイル・
ガスの開発事業、パイプライン事業への投融資等については、環境や社会に大きな負
の影響を与える可能性があるため、慎重に判断します。


5.評価のプロセス
上記事業への投融資等に際しては、対象となる案件に対して初期的な ESG デュー・
デリジェンスを実施します。当該評価の結果、追加的な確認が必要と判断した場合には、
強化 ESG デュー・デリジェンスを実施し、投融資等の可否を判断します。当該案件の
実施が当社グループの企業価値を大きく毀損する可能性がある場合には、さらに経営陣
による追加協議を行い、最終的な投融資等の可否を判断します。


2023 年 12 月 27 日





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