豊田合成 次世代パワー半導体向け「 GaN基板の大口径化」に成功

News Release
2022 年 3 月 15 日


~省エネルギー社会の実現に寄与する新技術~
次世代パワー半導体向け「GaN 基板の大口径化」に成功
豊田合成株式会社(本社:愛知県清須市、社長:小山享)は、大阪大学と共同で、窒化ガリウム(GaN)を
用いた次世代パワー半導体(GaN パワー半導体※1)向けの基板の大口径化(直径の拡大)に成功しました。
パワー半導体は、産業機器や車、家電などの電力制御に幅広く使われています。現在、社会全体でのカーボ
ンニュートラル実現に向け、再生可能エネルギーや電動車の大きな電力を制御する際の電力ロスを低減できる
次世代パワー半導体の実用化・普及拡大が期待されています。その1つである GaN パワー半導体の開発にお
いては、課題である生産性向上(コスト低減)の実現に向け、GaN 基板の高品質化・大口径化が求められてい
ます。
このたび当社と大阪大学は、環境省が主導するプロジェクト※2 において、ナトリウムとガリウムを混合した液体
金属の中で GaN の結晶を成長させる手法(ナトリウムフラックス法)を活用し、世界最大級となる6インチを超え
る高品質な GaN 基板(GaN 種結晶)を作製しました。今後、6インチの基板量産化に向けた品質の評価など
を行い、更なる品質改善と大口径化(6 インチ以上)を進めていきます。
※1 当社は GaN に関する知見(青色 LED・UV-C LED)を用いた次世代パワー半導体の開発
を進めている。
※2 「GaN 技術による脱炭素社会・ライフスタイル先導イノベーション事業」。GaN 基板の開発をベー
スに、応用製品の社会実装による CO2 削減効果の検証までを含めた大型プロジェクト。

<パワー半導体の作製プロセス>
<6インチ超GaN 基板(GaN 種結晶)> 基板の作製 半導体の作製
今回の
開発の成果




基板
(種結晶) バルク結晶 ウエハ 半導体チップ化 パワー半導体

6インチを超える基板を作製 種結晶の上に 堆積した結晶をスライスして
【世界最大級】 結晶を厚く堆積 複数の基板を作製
直径161 ミリメートル (工法:ナトリウムフラックス法)

成長した基板のサイズや品質は、種結晶に左右されるため、
種結晶の大口径化・高品質化がパワー半導体としての生産性・性能向上において重要となる。


<大口径 GaN 基板作製のポイント> <活用が期待される領域>
(ナトリウムフラックス法)

①青色LED の生産技術を応用して、 ②温度制御技術の向上・原料の攪拌
8 インチのサファイア基板に約10 万個 方法の工夫などにより、均一な結晶の
の GaN の微結晶を均等に配置 成長や不純物の抑制を実現


ナトリウムとガリウムを混合した
液体金属

成長した GaN 結晶 電力ロスの低減
⇒ 電力システム全体での CO2 削減
GaN の微結晶
サファイア基板


お問い合わせ先:豊田合成(株) 経理部 森田・清水 Tel. 052-400-5131

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