創薬用の細胞を培養する「ウレタン微細発泡膜」を開発

News Release
2020 年 11 月 4 日
~日本動物実験代替法学会で発表~
豊田合成、創薬用の細胞を培養する
「ウレタン微細発泡膜」を開発
豊田合成株式会社(本社:愛知県清須市、社長:小山享)は、車のハンドルの開発・生産で
培ったウレタン材料の知見を活用し、細胞を生体に近い構造で培養できる「ウレタン微細
発泡膜」を開発しました。新薬開発において動物実験の代替などへの活用が見込まれるこ
とから、現在、早期実用化に向けて実証試験※を進めています。
ウレタン微細発泡膜の特長は、両面に 2 種類の細胞を培養して「2 層の細胞組織」を作製
できることです。2 層を隔てて細胞の混合を防ぐと共に、膜に設けた無数の孔の大きさを
マイクロレベル(千分の1ミリ単位)で制御することで表と裏の細胞が孔を介して繋がり、血
管や腸の上皮といった「生体組織に近い層状の構造」を実現できます。
この細胞組織を新薬開発に用いると、生体内での薬の動きを細胞の層ごとに詳しく調
べられるため、薬の効力や安全性を確認する「動物実験の代替」や「候補物質の早期の絞り
込み」が実現、開発期間の短縮や開発費の低減などに寄与します。
当社は今後もコア技術を活かして医療の進歩に寄与すべく取り組んでいきます。
※ 生体内での薬の動き(吸収・分布・代謝・排泄)を調べて、効力や副作用などを検証する薬物動態試験。

〈細胞培養のイメージ〉




小さな孔(10 ㎛未満)を介して
10 ㎛ 2 種類の細胞同士が接合
⇒生体に近い構造の「2 層の細胞組織」に
ウレタン微細発泡膜

〈新薬開発での活用イメージ〉
<従来>
初期 (基礎研究) 中期 (非臨床試験) 最終 (臨床試験)

<本技術>
初期 中期 最終
開発期間の短縮


候補物質の 開発費の低減
早期の絞り込み 動物実験の代替


なお、当社は 11 月 12 日から 2 日間、オンラインで開催される日本動物実験代替法学会
において、本技術について発表します。
学 会 名 日本動物実験代替法学会 第 33 回大会
開催時期 2020 年 11 月 12 日、13 日(終日)
開催方法 オンライン (URL https://jsaae33.secand.net/)
すり鉢様貫通孔を介した Caco-2(腸細胞)と血管内皮細胞の
発表題名
直接相互作用を目指した 2 層共培養

お問い合わせ先:豊田合成(株) 経理部 森田、内田 (Tel. 052-400-5131)

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