二次電池batteniceの研究開発体制の変更に関するお知らせ

平成27年6月24日

各 位

会 社 名 株式会社日本マイクロニクス
代表者名 代表取締役社長 長谷川正義
(JASDAQ・コード6871)
問 合 せ 先 取 締 役 管 理 本 部 長 齋藤 太
T E L 0422-21-2665



二次電池 battenice®の研究開発体制の変更に関するお知らせ

株式会社日本マイクロニクス(代表取締役社長 長谷川 正義、東京都)は、グエラテクノロジー株式会社
®*1
(代表取締役社長 中澤 明 兵庫県、以下「GT社」)と共同で、二次電池 battenice の開発を進めて
まいりましたが、この度、共同研究開発体制を終了し、新たな研究開発体制を組むことといたしましたので、
下記のとおり、お知らせいたします。




®
1.二次電池 battenice の開発の経緯
®
当社は、2013 年 11 月 19 日付「量子技術に基づく二次電池 battenice の量産化技術の開発に関す
るお知らせ」のとおり、2010 年 10 月よりGT社と共同で、GT社が電池の基礎性能向上のための研
究を担当し、当社が量産化技術の開発のための研究を担当する形で、量子技術に基づく二次電池の製
品化を目指して研究開発を進めてまいりました。その結果、当社とGT社は、それまでガラス基板上
に小面積でしか試作できなかったグエラバッテリーを、最大 30cm角の大きさで生産するため金属
薄膜上に製造する技術(以下「量産化技術」)の開発に成功いたしました。
その後、当社は、中期経営計画『Challenge17』の下、量産化技術の確立や性能向上のための要素
技術開発、製品化のための製造プロセス・実装技術の開発に向けた取組みを進め、2015 年 5 月には、
ロール・ツー・ロール方式*2 での battenice®の技術評価をする試作開発ラインを構築いたしました。
当社としては、これを受けて、今後、ロールシートサンプルでの battenice®の評価が加速するよう取
組みを進めていく予定です。
また、当社においては、2013 年 11 月 19 日以降、潜在顧客へのプロモーション活動も開始してお
り、これらを通じて収集した具体的な市場ニーズをもとに、アプリケーションを意識した実装技術の
開発にも着手しております。
一方、GT社においては、battenice®の目標仕様達成に向けた基礎性能向上のための研究を進め
てきましたが、現時点においては、目標仕様が達成されるかが定かではなく、当社の今後の開発計画
に支障を与える可能性が出てまいりました。そのような中、当社においても、battenice®の特性評価
を進めた結果、目標性能以外の性能の点で、battenice®に関し自己放電が大きい等の技術的な課題(参
照:下記「4.技術的課題」)が存在し、その解決が容易でない可能性があると考えるに至りました。
2.研究開発体制の変更
®
以上の状況のもと、当社といたしましては、battenice の研究開発に関し、GT社以外のルートに
よる基礎性能向上のための研究を強化することが必要であると考え、複数の大学との共同研究を開始
いたしました。一方で、このようなGT社以外の研究機関との共同研究を進めていく上では、GT社
との契約を切り替えることが望ましいとの結論に至り、2015 年 6 月 24 日付で、当社とGT社との間
の契約について、これまでの共同研究開発契約から、GT社が保有する特許等の当社に対するライセ
ンス等に係る特許・ノウハウライセンス契約へ移行することといたしました。


3.今後の方針
®
当社は今後、大学等とも連携しつつ battenice の目標性能の達成および自己放電等の課題の解決の
®
ための研究開発を継続するとともに、battenice の特長を活かした用途での製品化を目指してまいり
ます。
もっとも、製品化に際しては、コスト等の観点での検討も必要であり、当面は、高付加価値で利益
の得られる応用分野での製品化を検討していく予定です。なお、想定される市場が限られる場合、必
要に応じて戦略を見直すこともございます。
®
これまでも battenice の用途開拓を目的に、潜在的な顧客にサンプルを供給してきており、顧客
®
の要求仕様や battenice の技術的な課題が明らかになる等、一定の成果を得ております。試作開発
ラインの構築完了によるサンプル作製能力の向上により、当社内での評価を一層充実させるとともに、
市場調査のためのサンプル供給もこれまで以上に実施し、より多くの評価結果を集めたいと考えてお
ります。


4.技術的課題
目標性能に対する課題、その他の技術的課題について以下に報告いたします。


(1)目標性能に対する達成状況
目標仕様 達成状況
電圧 1.5V 単層シートで 1.5V。
基材層*3 を含めると 22Wh/L。
電力密度*5 500Wh/L
(但し、充電層*4 単独では 320Wh/L。)
基材層を含めると 680W/L。
出力密度*5 8,000W/L
(但し、充電層単独では 10,000W/L。)
ガラス基材において、10 万回の充放電動作を確認。なお、10 万回
サイクル寿命*6 100,000 回
動作後では電力密度が 40%程度まで低下しております。
-10℃~+85℃までの温度範囲での動作を確認。
動作温度範囲 -25℃~+85℃
(但し、使用条件によっては電力密度が低下します。)
(2)その他の技術的課題
技術的課題 内容
*7
自己放電率 ガラス基材において、6 時間放置で 50%程度の残存となっております。
充電エネルギーに対する放電エネルギー量の割合は 50%~85%となります。なお、
充放電効率
充放電効率は充放電の条件に依存します。
シートの積層によるサイクル寿命の低下が観察されております。なお、積層技術に
積層技術
関するその他の課題の有無について調査しております。

®
上記(1)(2)に記載した数値は、battenice の現状の達成度を示すもので、必ずしも同一サン

プルのデータではございません。


5.試作開発ラインの進捗状況
ロール・ツー・ロールの設備を導入し、ロールシートに二次電池を形成する環境を構築しました。
これまでシートで得た性能をロールシートで実現するため、プロセスの最適化を行っております「4.

® ®
技術的課題」で示した battenice の特性データは、試作開発ラインで製造した battenice の特性デ
ータではございません)。下図のように切り出したシートを多数製作できるようになりましたので、
積層技術の開発を進めてまいります。




写真 1:ロール外観写真
幅 350mm のロールシートに
battenice が形成されたもの
®




写真 2:写真 1 青枠内拡大写真 写真 3:切り出した小片シート状の
表面の電極をレーザースクライバーで battenice®
小区画に分離
[注記]
®
*1 二次電池 battenice
電子の移動により動作する物理電池であり、従来のリチウムイオン電池に代表されるイオンの
移動を伴う化学電池と比較して、より高速な充放電と、より高い出力密度が期待されるものです。


*2 ロール・ツー・ロール方式
電子デバイスを効率よく生産する手法の1つで、ロール状に巻いた基材を巻き取りながら成膜する
方法です。従来方式では個別に切り離された基材を使うため、工程間の搬送にも手間がかかります。
一方、ロール・ツー・ロール方式では、基材は工程を連続的に流れることになり、生産効率を上げ
ることが可能となります。


*3 基材層
battenice®を構成する層のうち、電極層、充電層を成膜する上で必要な基板となる層を「基材層」と
呼んでおり、現在は金属薄膜等を使用しております。


*4 充電層
battenice®は複数の材料が積層された電池です。その中で電荷が主に蓄積される層を「充電層」と
呼んでおります。


*5 基材層込の電力密度、出力密度
基材に対する充電層の両面付けや、基材厚を薄くすることにより、向上が見込まれます。なお、出力
密度は 1 秒間に出力できる最大の電力量となります。


*6 サイクル寿命
サイクル寿命評価には長期間かかり、シート基材でのデータはまだ得られておりません。


*7 自己放電率
自己放電については、基礎評価の段階にあるため、サンプル準備のしやすいガラス基材を用いて測定
を行っております。


本件に関するお問合せ先
IR 専用ダイヤル
TEL:0422-21-0221(受付時間 / 平日 9:00~17:00)
以上


本プレスリリースに記載されております内容は、現時点において当社が入手している情報に基づく一
定の前提および将来の予測等を基礎として当社が判断したものであり、これには様々なリスクおよび不
確実性が内在しております。また、新技術の研究開発や事業化等は、複雑かつ多数の不確実な要素に大
きく左右されるため、当初想定した成果があがらない可能性がございます。

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