統合報告書 2015

人 ・ モ ノ・ 情 報 を つ な ぐ「 最 後 の 1 c m™ 」




INTEGRATED
REPORT 2015
サトーホールディングス株式会社 統合報告書




サトーHD15_表紙和文0722再校横.indd c5 2015/08/31 10:52
人・モノ・情報をつないで、
安心と楽しさがもっと広がる世界へ。
サトーグループはそのための
「最後の 1cm™ 」を担います
 「最後の 1 マイル 」という言葉があります。もとは事業者と利用者を結ぶ区間を
指す通信用語で、転じて最後に残された短い距離を表すようになりました。最も
煩雑で難しく、しかし付加価値の源泉ともなりうる最後の距離。
「いつでも、どこで
も、誰でも 」がつながるユビキタス情報社会において、ここを自動認識ソリュー
ションで担うのがわたしたちサトーグループです。もっと細やかに、どんな現場も
隅々までつないでいく̶ そんな想いを込め、 マイルではなく
1 「最後の 1cm」と呼
んでいます。

 2020 年のオリンピック開催地に決まり外国からの観光客で賑わう東京にも、
この最後の 1cm があります。観光客が必要な情報をその場で簡単に入手できたら、
より快適に過ごせるはず。そう考えたわたしたちは、商品に貼った二次元コードを
スマートフォンで読むことで、その場で、多言語の情報が得られるサービスを開発
しました。この仕組みが機能するためには、商品一つ一つに ID をタギング(紐付け)
し、上位システムとつなげる必要があります。この物理的な現場作業こそが、仮想
(IT)と現実(人、モノ)をデータでつなぐ最後の 1cm なのです。

「商品にまつわるストーリーが読める 」
「生産者の顔がわかる 」
「食品の原材料や、アレルギーの原因食材を教えてくれる 」
 観光客が買い物や食事をより安心して楽しめる。最後の 1cm をつなぐと、そんな
世界が広がっていきます。




CONTENTS サトーグループは 2015 年 3 月、 2020 年オリンピックを視野に入れた
「 “訪日外国人へのおもてなし”サー
ビス 」をテーマとする経済産業省主催のビジネスモデルコンテスト※で、最優秀賞を受賞しました。本人
02 サトーグループのビジネスモデル 14 特集 • 環境経営・環境ビジネス 26 役員紹介 同意のもと提供された ID 情報を共通で用いることにより、宿泊、移動、食事、観光、買い物などさまざまな
04 トップメッセージ • IoT を活用した次世代サービス • 人財育成 28 11 年間の財務ハイライト タッチポイントで訪日外国人、事業者の両者が最適な情報を得られるコンセプトを提案したものです。

12 グローバル・プレゼンス • ソリューション力の強化 • コーポレート・ガバナンス 30 株式情報/会社概要 ※平成 26 年度電子経済産業省構築事業 ID 連携トラストフレームワークの試験プラットフォームを活用したビジネス

モデルの実証事業)の一環として実施されたコンテスト。http://www.jipdec.or.jp/topics/news/20150313_2.html




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サトーグループのビジネスモデル




サトーグループのコアビジネス
「 見える化 」がもたらす安心を世界に
 バーコードや RFID などの自動認識技術は、早く正確に情報を取得できる技術として多様な用途・幅広い産
業で活用されています。サトーグループはこの技術を駆使して、業務の正確化、効率化、省力化を図り、それ
により安心や環境保全を実現するソリューションを提供しています。輸血用血液のトレーサビリティを例に
ご紹介しましょう。

 サトーグループは医療機関と連携し、患者さんの安全を守る取り組みで導入実績を重ねてきました。血液バッ
グを正確にトレースするソリューションもその一つです。個々の血液バッグを認識し、献血者から輸血を受け
る患者さんまでの経路、そして在庫管理に至るまでを 見える化 」
「 することで、献血センターや病院における血
液管理をサポートします。 自動認識技術で、
「 医療の安心に貢献する 」 それがわたしたちの使命です。





献血 輸送 血液センター 病院
輸血を受ける
• 献血者の識別
• 血液バッグやサンプル
チューブに ID 情報を
• 輸送中の温度記録・
温度管理
• 輸送車の位置情報取得
• センター内での血液
バッグのトレース
• 血液バッグなど血液製剤
• 在庫管理
• 有効期限の管理
• 血液バッグと患者さん
患者さんの安心を守る
タギング のリアルタイムな在庫 の血液の照合・確認 献血者から輸血を受ける患者さんまでのトレーサビリティ
管理




自動認識ソリューションで独自の立ち位置を確立 競争力の源泉 ―― 現場力
 自動認識技術を活用し、さまざまな現場の動く人やモノの情報(データ)を収集(コレクション)するために、最適なプリンタ、  サトーグループのソリューション提案力の源は「現場力 」です。お客さまが業務を行う現場へ赴き、自分の目や耳などの五感
リーダー、ソフトウェアを組み合わせてシステムを構築し、さらにシステムに必要なシール・ラベル、リボンなどのサプライ製品 でその真の姿をつかむ。そしてサトーグループの全社全部門、ビジネスパートナーも一体となり最適なソリューションをつくり
から、導入後の保守サポートまで総合的なソリューションを提供する ―― それがサトーグループのビジネスモデル Data
「 上げていく。この課題解決へのコミットメントがお客さまとの強固なパートナーシップにつながっています。
Collection Systems & Labeling DCS & Labeling) です。
( 」 わたしたちは、自動認識技術の開発、製造、インテグレーションを
一気通貫で行う世界で唯一の企業です。 提供する主な価値 さまざまな業種で展開
リテール ヘルスケア
正確
自動認識技術 幅広い品揃えの製品群
ハードウェア サプライ 保守サポート
省力
食品 製造

現場力 省資源
デザイン ソフトウェア システム周辺機器
安心 ロジスティクス 公共



環境保全


2 SATO HOLDINGS CORPORATION INTEGRATED REPORT 2015 3




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トップメッセージ




サトーグループの持続的成長を担う、
仮想と現実をつなぐ「最後の 1cm™」
サトーグループは、2012 年度にスタートした 3 カ年の中期経営計画(中計)を売上高・営業利益ともに過
去最高を更新して締めくくりました。この実績を一つの通過点として、わたしたちは前中計公表時に 2020
年度の長期目標として掲げた数値のうち利益率、資本生産性、海外売上高比率の目標をそれぞれ上方修正
した新たな中計 2015 ∼ 2017 年度)
( をスタートさせました。この新しいハードルをクリアし、
「自動認識
ソリューション事業で世界ナンバーワン企業になる 」という経営ビジョンを実現するため、新中計では「最
後の 1cm」をキーワードとして、サトーグループ独自の立ち位置を確立していくことをめざします。





海外事業がけん引し、 年連続で過去最高の 97.5%)となりましたが、下期には公共、製造市場
売上高・営業利益を達成 向けにハードウェアの販売が好調に推移し、営業
 2014 年度 2015 年 3 月期)
( の連結業績は、売上 利 益 は 前 年 度 比 103.7%、営 業 利 益 率 も 前 年 の
高 998 億円(前年度比 103.2%) 営業利益 74 億円
、 7.5 から 8.0% へ改善しました。海外事業は前年に
(同 110.1%) 2
となり、 年連続で過去最高の売上 引 き 続 き、大 幅 な 増 収 増 益(前 年 度 比 売 上 高
高・営業利益を達成することができました。一方 116.9%、営業利益 139.2%)を達成しました。グ
で、法改正に伴う一過性の税負担増などによって ローバル戦略機 CL4NX シリーズ 」
「 をはじめとし
実効税率が大幅に上昇し、当期純利益は 37 億円 たハードウェアの販売が大きく伸び、サプライの
(同 87.6%)に留まりました。 利 益 率 も 向 上 し た 結 果、営 業 利 益 率 は 6.4 か ら
 国内事業は、消費増税に伴う駆け込み需要の反 7.6% へ上昇し、収益面でもグループ業績をけん
動や消費低迷でリテール、食品、ロジスティクス市 引しました。
場でのサプライの売上が伸び悩み減収(前年度比
代表取締役執行役員社長
兼 最高経営責任者 CEO)




メカトロ製品…ハードウェア、ソフトウェア、保守サービスなど
■ 売上高 (単位:百万円) ■ 営業利益・営業利益率 ■ 当期純利益 (単位:百万円) ■ 2014 年度連結業績サマリー サプライ製品…シール、ラベル、タグ、チケット、リボンなど
(単位:百万円/%)
■ 営業利益 ● 営業利益率
国内 海外
売上高 ・ 営業利益はともに過去最高を更新

96,773 99,831 メカトロ製品売上高 サプライ製品売上高 売上高 営業利益
87,256 7,444 4,295 前年度比 前年度比 前年度比 前年度比
6,758 101.6% 95.2% 116.9% 139.2%
3,763
7.5
5,452 ・大口商談 ・景気低迷 ・全地域売上増 ・新製品 CL4NX (計画には未達)
7.0
2,726 ・リプレイス商談 ・消費増税の反動 ・Okil 社(露)買収 ・Okil 社(露)買収
6.2
粗利率 営業利益 先行投資費用(営業利益への影響・前年度比)
45.5% 前年度比
前年度比+0.9pt 103.7%
・サプライ製品売上減少 ・粗利率改善
SATO Vicinity 社 PJM 技術 2013 年設立) ▲ 2 億円


・メカトロ製品売上伸張 ・販管費効率執行 SATO Global Solutions 社 2014 年設立) 1.5 億円
( ▲
2012 2013 2014(年度) 2012 2013 2014(年度) 2012 2013 2014(年度)

4 SATO HOLDINGS CORPORATION INTEGRATED REPORT 2015 5




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今までのビジネスに「プラスワン 」する取り組み 10 年を経て収益の柱となり、プリンタだけではな  今、さまざまなモノがネットワークにつながる
を推進し成果につなげてきました。環境ビジネス くサプライや保守サービスの売上が伸びることで IoT Internet of Things)
( が大きな話題となってい
をはじめさまざまな種まきも行ってきました。新 ソリューションビジネスを強めつつあるものの、 ます。ネットに接続するモノの数が、2015 年から
中計以降、こうした種まきが奏功してくると見て ビジネスモデルの本格的な転換はこれからです。 5 年間で約 5 倍に急拡大するとの予測があるほど
います。 こうした中、ビジネスモデルを実践するための具 です。しかしその前提となるのは「タギング」です。
 前中計につきましては、ハードルの高い目標設 体的ノウハウ・行動規準を「サトーセールスウェ 動く現場のモノに ID などの情報をタギングし、信
定を行い、おおむね達成することができたと評価 イ」として定義していきます。これをグローバル 頼できる形でリアルタイムに IT システムに渡す。
している反面、実行スピードという点では課題が 展開し、さまざまなイノベーションを起こすこと そうすることで初めて IoT もビッグデータも機能
残りました。新中計では、戦略の柱そのものに大 で大きな伸びしろを獲得できると考えています。 するのです。
きな変更はありませんが、実行スピードを高める  サトーグループは 2015 年に創業 75 周年を迎え  タギングされるモノは段ボールに限らず、例え
実りの大きかった前中計、 ことを強く意識して進めていきます。 ます。この間、ハンドラベラーからバーコードプ ば 1,000 度以上に熱せられた製鉄所の鋼材から、
実行スピードには課題も リンタへ、そしてソリューションへと、およそ 20 マイナス 196 度で管理される iPS 細胞まで多種多
 前中計の最大の成果は、海外事業が収益の柱とし 国ごと、マーケットごとの 年間隔で主力事業を進化させてきました。再び大 様です。サトーグループは、誰かがやらなければ
て育ってきた点です。特に赤字が続いていた欧州 ソリューションビジネスに、大きな成長期待 きな転換期に直面している今、新中計ではサトー いけないこの物理的な現場作業を、まだ IoT やビッ
地域のビジネスが構造改革を経て 2013 年度に完  サトーグループのビジネスの中核を成すバー グループの「立ち位置 」を定めることに強くこだ グデータという言葉の無い時代から、バーコード
全黒字化し、すべての地域で営業利益が確保できる コードは、先進国ではすでにインフラとなってい わりました。 やラベルでさまざまな産業へ提供してきました。
体制になりました。さらに最新鋭の印刷設備の導入 ます。これをどのようにソリューションに結び付 仮想 IT)
( と現実(モノ) 「最後の 1cm」
の をつなぐ
や、生産体制の強化・拡充により、海外全体におけ けていくか。国ごと、マーケットごとにビジネス ことこそが、現場力を持つわたしたちが最も得意
るサプライの粗利率が前中計期間中に約 4 ポイン モデルをどのように適合させ、グローバルに拡大 すべての戦略の横串となる、 とするユニークな立ち位置となるのです。
ト改善し、収益拡大に大きく貢献しています。 していくかが今後の成長の鍵を握ります。 サトーグループの「立ち位置 」とは  立ち位置を明確にすることにした、もう一つの
 ビジネスモデルの見直しも進展しました。従来、  日本におけるサトーグループのビジネスモデル  新中計には 7 つの戦略があり、グループ経営全 理由がグローバルな競争環境の変化です。競合会
ハードウェアやサプライの提供を中心に定義して は、プリンタなど単にモノを販売するだけではな 体に関わる戦略 7 以外の 6 つが成長戦略となって 社が買収で巨大化しています。競合会社のビジネス
いたビジネスモデルを、お客さまに対するさまざ く、ソリューションを手がけることで約 20 年にわ います。これら戦略のすべてに共通する、サトー モデルはデバイス販売が中心で、規模と範囲の経
まなソリューション提供という強みから見直し、 たって確立してきたものです。海外ビジネスが約 グループの立ち位置が「最後の 1cm」です。 済を追求するため、ディストリビューターやビジ




■ 地域別売上高・営業利益 ■ 地域別 ■ セグメント別売上高構成比
  売上高構成比
日本 (単位:百万円) 海外 (単位:百万円) 米州 (単位:百万円) 欧州 (単位:百万円) アジア オセアニア(単位:百万円)
・ 欧州 アジア オセアニア
・ 公共 その他 製造
■ 売上高  営業利益 ■ 売上高  営業利益 ■ 売上高  営業利益 ■ 売上高  営業利益 ■ 売上高  営業利益 メカトロ製品
8.7% 13.6% 3.2% 10.4% 30.1%
68,399 33,156 42.1%
66,674 8,736 13,580
64,883 10,839
28,373 食品
7,173 11,951
9,248 9.0%
5,515 502 1,256
22,372 9,508
7,348 1,289
5,303 2014 年度 2014 年度 2014 年度
5,114 2,524 731
4,737 124
1,812
432 565 ヘルスケア
346 △213
698 9.6%
米州 日本 リテール ロジスティクス サプライ製品

(年度) 2012 2013 2014
(年度) 2012 2013 2014
(年度) 2012 2013 2014
(年度) 2012 2013 2014
(年度) 10.9% 66.8% 18.2% 19.5% 57.9%

6 SATO HOLDINGS CORPORATION INTEGRATED REPORT 2015 7




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■ 資本生産性向上のロードマップ 2017 年度)

ネスパートナーを通し効率的に大量販売していく 十分機能せず、経営資源の投入が分散してしまう
( )数字は 2014 年度実績
体制を確立しています。こうした競争環境におい 傾向にありました。これまで以上に経営資源の最
ては、買収競争に走るのではなく、立ち位置を鮮明 適配分を図るために、新中計では成長戦略を 6 つ 新製品投入

にし、競合が手がけていないタギングにおいてコ に絞り込みました。
ラボレーションという選択を取る方が得策です。  戦略 1 が日本、そして戦略 3 から戦略 6 が成長分
粗利率向上 メカトロ製品売上構成比増
このようにして「リスク 」 「チャンス 」
を に転換し 野(海外事業、ソフトウェア、RFID、環境)をテー
国内事業
たいと考えています。 マとしており、グループ傘下の専業会社が各々の
 標準的なソリューションだけではなく、それぞ 戦略を実行していきます。戦略 2 は戦略全体に関 連結営業利益率 成長市場・新分野へ注力

れのお客さまが求める「個別解 」を提供しながら、 わる、ゲームチェンジそのものを事業化する取り 10% 7.5%)


お客さまと深く長い関係を構築することこそがわ 組みです。一方、戦略3も個別戦略ではありますが、 1 人当たりの営業利益の
増加
たしたちのありたい姿です。そのためには自前主 すべての戦略に派生するテーマです。今後の経営
販管費の
義にこだわらず、オープンイノベーションとコラ 資源の投入は、戦略 3 および戦略 2 が中心となり 効率執行
ROE 新基幹システム稼働による
ボレーション、つまりさまざまな技術との融合や ます。ビジネスモデルを生み出し、その収益によっ グループ SCM 改善 生産性向上
12% (在庫の適正化)
パートナーとの協働により、お客さまを中心に据 て新規投資を支える日本では、経営資源の配置や
(7.6%)
えた経営を徹底していきます。そして、サトーグ 重点エリアをシフトするソフトな構造改革を行っ
エクイティ
ループならではのソリューションビジネスを積み ていきます。 スプレッド 売上拡大と ベースビジネスの売上拡大、
5% レベル 海外事業
重ねることにより、最終的にはゲームチェンジを  自動認識ソリューションは、最後の 1cm を埋め 粗利率向上 新製品投入
起こしていくことをめざします。 る「単一事業 」ととらえられますが、国別、業界別、 資本構成の最適化
お客さま別にさまざまな需要があります。例えば 海外サプライ粗利率の向上
「海外 」ゲームチェンジ 」
「 に、 国土が狭い日本では、お客さまの安定稼働のため
経営資源を優先的に投入 に、北海道から沖縄まで津々浦々にサービスエン
新ソリューションビジネス
 従来のサトーグループには、
「ニーズがあれば何 ジニアを配置することが可能でした。しかし、こ の創出
安定継続増配
でもやる 」という企業文化がありました。その結 れを何十、何百という国や地域で展開するのは不 自社株買い
果、前中計以前は、戦略という言葉はあったものの 可能で、ゲームチェンジが必要となります。戦略 3 M&A、新規事業
※資本コストは 7% を想定




新中期経営計画
■ 7 つの戦略 ■ 数値目標
国内事業 成長戦略の柱
戦略 1 日本における新たな成長・収益モデルを確立する
(億円) 2014 年度実績 2015 年度計画 前年比 2017 年度目標 2020 年度目標
戦略 戦略
戦略 2 ゲームを変える顧客志向イノベーションの事業化 売上高 998 1,100 110.2% 1,200 1,500
戦略 3 5
戦略 3 将来的に海外売上高比率 70% をめざし、ベース 営業利益 74 85 114.2% 120 180
ビジネスの強化と新興国市場の迅速な開拓を行う
1 戦略 戦略
4 6 営業利益率 7.5% 7.7% +0.2pt 10.0% 12.0%
戦略 4 ソフトウェアとコンサルティングを軸に新たな
ソリューションビジネスを創出する EBITDA 110 130 117.7% 165 215
戦略 5 RFID 事業においてワンストップソリューションを
実現する
戦略 2 海外売上高比率 33.2% 39.1% +5.9pt 40.0% 50.0%
戦略 6 グリーンビジネスを迅速に、グローバルに拡大する 戦略 7 ROE 7.6% 10.0% +2.4pt 12.0% 14.0%
戦略 7 グループ経営を全体最適化する
EBITDA =営業利益+減価償却費+のれん償却費

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および戦略 2 は、求める資本生産性を実現する上 買収した会社から、経営方針に共感し非常に有能 新中計スタートを機に、 経営の根幹に掲げています。グローバル化を加速
で密接に関わっていきます。 なリーダシップを発揮する経営人財が出てきまし 株主還元方針を明確化 し、新たな飛躍をめざす新中計の下でも、グループ
 投資拡大にあたっては EXIT ルールも明確にし、 た。例えばアルゼンチンで買収した Achernar 社  サトーグループでは、事業活動を通して得られ を束ねるぶれない軸としていきます。
3 年間で事業性の見込みがでない事業に適用して の社長 Maria Olcese です。買収から 2 年後に彼女 た利益を、株主、社員、社会、会社の四者に還元し、  わたしたちの仮想と現実をつなぐ「最 後 の
いきます。既存事業についても、利益が出ている をサトーホールディングスの執行役員に抜擢し、 ステークホルダーの皆さまと信頼関係を築きなが 1cm」 IoT
があるからこそ、 が機能する̶̶サトー
かではなく、戦略的にコアかどうか、シナジーはど 南米地域の総責任者として M&A をはじめとする ら共存共栄をめざす
「四者還元」
を実践しています。 グループは、このようなユニークな存在となるこ
うかという観点で判断していきます。RFID も環境 成長戦略の遂行を任せています。また、戦略 4 の中 株主還元においては上場以来一度も減配すること とで企業価値をさらに高めていきます。こうした
ビジネスも現状は赤字ですが、戦略性が高いため 軸をなす新会社 SATO Global Solutions 社の社長 なく、安定的に増配してきました。今回、新中計に 価値創造の過程でわたしたちが最も重視するの
投資を続けていきます。 には、アメリカで買収したソフトウェア会社の社 おいて資本生産性の向上を打ち出したことを踏ま が、信頼 」
「 です。お客さまはもとより、株主、社員、
長で SCM 市場において 20 年以上の経験を有す

え、今後も継続的な安定増配に努めるとともに、1 取引先などステークホルダーの皆さまから信頼さ
持続的成長を担う、 る Michael Beedles を任命しました。彼もサトー 株当たりの企業価値を高めていく方針としました。 れる存在であること。わたしたちのあるべき姿は、
グローバルな人財獲得・育成に注力 ホールディングスの執行役員に登用しています。 なお、2014 年度の配当は 45 円とし、前年度比 5 円 そこに尽きるのではないかと考えています。
 新中計では、持続的な成長基盤を固めるため、長  このように多種多様な人財から、サトーグルー の増配と致しました。  ステークホルダーの皆さまにおかれましては、
期基本戦略に初めて人財(人材)育成を組み入れま プの価値観を共有する人財を見極め、抜擢するこ より一層のご支援、ご鞭撻を賜るとともに、サトー
した。現有の社員が世界で戦っていくにはどのよ とで経営のスピードを上げていきたいと考えてい さまざまな「信頼 」がつなぐ、 グループの今後の飛躍にご期待くださいますよ
うなスキルが必要か、新規採用をどのように推進 ます。グローバル化の推進にあたっては、グロー 「最後の 1cm」 う、よろしくお願い致します。
するかなどを明確にするとともに、サトーグループ バルなマネジメントとガバナンスが最も大きなリ  サトーグループは、創業者 佐藤陽の信念「あく ※サプライチェーン・マネジメント


の価値観を共有できる、グローバルな人財を積極 スクファクターとなるため、この体制整備にも注 なき創造で、本業を通じて社会貢献する 」 CSV

的に採用する方針を打ち出しました。こうした中、 力しています。 (Creating Shared Value、共有価値の創造)
として




■ 配当/売上高・営業利益
(円)

1株当たり配当金
40 45 サトー企業理念
40 SATO Values



20 24 使命 優れた製品・サービスでお客さまの新たな価値を創造し、
22 23 Mission より豊かで持続可能な世界社会の発展に貢献することを使命とします。


0 ビジョ 自動認識ソリューション事業で世界ナンバーワンになること。

売上高 営業利益 Vision そして 正確・省力・省資源 」 安心 」 環境保全 」
「 「 「 を実現し、
(百万円) (百万円)
世界中のお客さまから最も信頼される企業になること。
100,000 10,000
■ 国内 ■ 海外  営業利益

80,000 8,000 信条 「 あくなき創造 」
● の精神の下、変化と新しいアイデアを追求し、
Credo 失敗を恐れず顧客志向のイノベーションを推進します。
60,000 6,000 ● 真のプロとして、お客さまの期待を超えることにこだわりを持ち、常に全力を尽くします。
● 物事をありのままに見て、なすべきことを今すぐ実行します。
40,000 4,000 ● すべての社員を個人として尊重し、お互いに信頼し合い、そしてチームとして一致協力します。

20,000 2,000
● 大企業病につながる形式主義を排除し、自由闊達な組織であり続けます。
● 得られた成果を、株主・社員・社会・会社の四者に還元します。





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グローバル・プレゼンス




サトーグループの 数字で見るサトーグループ (2015 年 3 月 31 日現在)
グローバル展開
進化と革新  サトーグループは米州、欧州そしてアジア、
セアニアの 26 カ国に開発、製造、

販売拠点を持ち、
創業年数
75 世界のグループ会社数

90 を超える国々で事業を展開しています。M&A
 サトーグループは時代とともに変化してき
ました。モノづくりの会社としてスタートし
や事業投資、既存事業の強化を通して海外展開を
進めています。
海外従業員比率
約 61 %
BRICs における拠点数

たわたしたちは 1962 年にハンドラベラーを
発明、1981 年には世界初の熱転写方式バー
コードプリンタを開発するなど、革新的な製
世界の
製造拠点数 ハードウェア製品 5 サプライ製品 28

品で市場のニーズに応えてきました。 年代
近年の主な M&A、投資実績
には、ソリューションビジネスに主力事業を
イノベーションの起点 研究・開発拠点
転換。モノづくりから価値づくりへの本格的 M&A
な取り組みが始まったのです。 2012 年 Argox Information Co., Ltd. 台湾)
( サトーテクノロジー株式会社 (日本)ハードウェア、ソフトウェア
エントリーモデルのプリンタの 株式会社サトー ( 日本)ソフトウェア
開発、製造、販売 サトープリンティング株式会社 (日本)サプライ
 そして IoT が本格的な幕開けを迎えようと 2012 年 Achernar S.A. アルゼンチン)
( サトーマテリアル株式会社 (日本)サプライ

している今、人・モノと情報をデータでつなぐ シール・ラベルの製造、販売 サトーグリーンエンジニアリング株式会社 ( 日本)環境負荷低減技術

2013 年 Magellan Technology Pty Ltd SATO Global Solutions, Inc. (アメリカ)ソフトウェア
「最後の 1cm」のビジネスはますますその重要 (オーストラリア) SATO Techno Lab Europe AB (スウェーデン)ソフトウェア
性 を 高 め て い ま す。わ た し た ち は 従 来 の ソ RFID 製品の開発、製造、販売 SATO Global Business Services Pte Ltd (シンガポール)ソフトウェア
※事業買収し、SATO Vicinity Pty Ltd を設立 SATO Vicinity Pty Ltd (オーストラリア)ハードウェア、ソフトウェア、サプライ
リューションに最新の技術、サービス、戦略的
2014 年 Okil-Holding, JSC(ロシア)
パートナーシップなどを組み合わせることで シール・ラベルの製造、販売
※取得株式 75%
新しいイノベーションを起こし、世界中のお ビジネス戦略事業部門 成長市場をターゲットとするグループ会社
客さまの価値づくりを進めます。 投資
2013 年 Nexgen Packaging, LLC(アメリカ) サトーグリーンエンジニアリング株式会社 ( 日本)ナノベシクルカプセル CO2 吸収剤)
( 技術の用途開拓、環境事業開拓
アパレル副資材の製造、販売 サトー RFID ソリューションズ株式会社 (日本)RFID を活用したソリューションの企画、開発、販売
※取得株式 14%
サトーヘルスケア株式会社 (日本)医療分野向けソリューションの企画、開発、販売




自動認識ソリューション



技術

次世代 サービス
ソリューションへ

パートナー

竹材加工機の
機の 人の手による値付け作業の効率化を 世界初の熱転写方式 自動認識技術を活用し、 人・モノの動きと情報を一致させる
製造販売として創業 実現するハンドラベラーを発明 バーコードプリンタを開発 独自のビジネスモデル DCS & Labeling」
「 でソリューション事業を開始
イノベーションの創出

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成長ドライバー
バーチャルカスタマーエンジニアを
お客さまのそばに P16-17
グローバルソリューション
プロバイダーとして
新たな価値を創り出す P18-19


成長を支える基盤
社会・環境のために P20-21

Special Feature 真のグローバル企業となるために
透明性の高い企業経営のために
P22-23
P24-25


「価値づくり」を
成長ドライバーに
「最後の 1cm」
 お客さまによって、 のあり方は千差万別です。タギング
の手法はどうするのか、ラベルの形状、基材・糊質は、表示すべき情報は、
コード種は、どのプロセスで、どのタイミングでシステムと接続させるの
か、さらには作業する方々のスキルは̶̶。


 これまでのサトーグループのソリューションは、多岐にわたる現場に
合わせて最適なハードウェア、サプライ、ソフトウェア、保守サービスの
組み合わせを効果的に提供することでした。この従来型のソリューション
を軸に革新的な技術との融合、パートナーシップの追求、コンサルティン
グの強化といった要素を加えながら顧客志向のイノベーションを起こし
ます。そして、もう一歩進化した価値づくりに取り組みます。


 現場に強みを持つわたしたちだからこそ生み出すことのできる価値は
何か。ここに「世界ナンバーワンの自動認識ソリューション企業になる 」
という経営ビジョンを実現するためのサトーグループの新たな挑戦をご
紹介致します。



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IoT を活用した次世代サービス




潜在的ニーズを把握し、一歩先のサービスを  SOS で取得するデータには次のモノづくりへのヒント
 SOS は、 時間 365 日、
24 いつでもカスタマーエンジニ も期待できます。例えば現場で頻繁に利用される実用的
アのサポートを受けられるような安定稼働の環境を提供 な機能と必要性の低い機能を峻別することで、製品に搭
するため開発されました。離れた場所からプリンタをモ 載する機能を厳選してコストを抑えたり、逆にお客さま
ニターしコントロールすることと、プリンタからデータ に価値を提供している機能の拡充につなげることができ
を収集することには非常に大きな可能性があります。そ ます。このようにしてサトーグループは、データが示す潜


バーチャルカスタマー の二つが実現することで、お客さまは現場で起きている
業務をしっかりと把握でき、わたしたちも稼働状況に基
づいたソリューション提案が可能となるのです。ラベル
在的なニーズを把握することで革新的なサービスを創出
し続けていきます。




エンジニアを など消耗品の使用量から
とお知らせしたり、
「もうすぐ在庫が無くなります 」
トラブルが発生する前にパーツ交換
を促すこともできます。つまり、お客さまに安心してお使
 SOS は 2015 年夏より日本を皮切りに、
売予定です。
世界で順次発


概要図


お客さまのそばに いいただけるよう一歩進んだサービスをご提供できるの
です。これによりお客さまは現場運用における心配事か
ら解放されます。
お客さま




プリンタ
サトーグループは IoT を活用し、 時間 365 日お客さまのプリンタを見守る
サ 24 「サトーオンライ 運用改善とモノづくりに生かす クラウド
ンサービス SOS) を開発しました。
( 」 リモートメンテナンスによる予防保守でプリンタの安定  プリンタの稼働パターンから得られるデータはお客さ サポートセンター

稼働を実現するとともに、プリンタから取得したデータを基にした革新的な運用のご提案で、 まの潜在的ニーズを的確に把握するのに役立ちます。と
デバイス 安定稼働
あたかも「バーチャルカスタマーエンジニアが現場に常駐している」ようなお客さまとのコミュ りわけ膨大な量のラベルを発行する環境では、稼働状況
ニケーションをめざします。 を評価し最適なデバイスの台数を割り出したり、プリン
タ間の負荷のばらつきを平準化する運用など全体最適の
提案が行えます。




SOS の開発にあたって 「壊れないプリンタを 」という現場の想いをかたちに
 いまやクラウドは、わたしたちの生活の一部といって 保守部門から見た SOS

Mats Hedberg も過言ではありません。ソーシャルクラウド、営業支援ク
 数年前、お客さまを訪問した時のことです。どのよ  カスタマーエンジニアたちの働き方も変わるでし
SATO Techno Lab Europe ラウド、クラウド ERP ※ など枚挙にいとまがありません
ゼネラルマネージャー うなプリンタをご希望かお尋ねしたところ「壊れない ょう。今まではトラブルが発生してから対応に動い
が、それらはさまざまなデバイスや人々をより効果的に
で、ずっと動いてくれるプリンタ 」という答えが返っ ていましたが、今後はもっと計画的で能動的な活動が
つなげるために互いに連携し始めています。このクラウ
てきました。プリンタが故障してしまうと、必要なラ できるようになります
ドサービスとわたしたちの製品をベストな方法で融合さ
ベルを発行できなくなり現場業務が止まってしまう の で、労 働 生 産 性 の 向
せたい。そして何よりもお客さまとより密接に結びつく
からです。SOS は当時夢のように思えたこの〝壊れ 上にもつながります。
ためのプラットフォームを築きたい。これが、SOS 開発
ないプリンタ″を実現した画期的なサービスです。
「修
の出発点でした。
理のご依頼にすぐに駆け付ける 」ではなく、
「故障を
 多くのお客さまが、ネットワーク上でのデバイスの一
未然に防ぐ 」 それにより壊れている期間をゼロにす

元管理や IoT アプリケーションの活用を望んでいること
るのです。ラベルが出せないから出荷できない、とい
がわかっていました。例えば、バリュー・チェーン全体で
うような現場を目の当たりにすると、プリンタを止め
使用される製品やシステムをつなぎ、多くのデバイスを 株式会社サトー
ないことの大切さを痛感します。だからこそ、SOS カスタマーサポートユニット長
同時にアップデートしたり、問題発生時にサポートを受
の着想を得ることができたのかもしれません。 長尾 博史
けたり、稼働パターンを「見える化 」することなどです。
※ Enterprise Resource Planning 統合基幹システム



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ソリューション力の強化


ラベル 1 枚に至るまで細心の注意を払い、Integrator of ます。中でもサトー独自の RFID 技術 PJM ※ 」 医薬品
「 は、
Things
(モノのインテグレーター)として、新しい価値を や医療機器の煩雑な管理を大きく改善するもので、オー
創出したいと考えています。 ストラリアをはじめとしたさまざまな国で高い評価を
※設立は 2014 年 12 月 得ています。SGS のソリューションは、今日アメリカが
抱える課題である医療過誤の防止や盗難対策など院内で
ソリューションの基盤であるソフトウェア のセキュリティ体制確立に大きな可能性を秘めているの
 SGS はサトーグループの中でソフトウェア事業のグ です。
ローバル本部の役目も担っていきます。長年の実績で  法規制の強化もビジネスの成長を後押しします。アメ
培った知見やノウハウを基に、アプリケーション開発の リカでは、2014 年 9 月から医療機器(デバイス)の固有識
基準を策定したり、ベストプラクティス、開発手法を集約 別表示 UDI-Unique Device Identification)
( を義務付け


グローバルソリューション しグループ内で共有していくことで、サトー全体のソフ
トウェア開発力を最大化していきます。製品・サービスが
る法令が施行されました。国内で販売される医療機器を
UDI で正しく識別することでトレーサビリティを確保し、
有機的につながった包括的なソリューションを提供して データベース化して患者さんの安全を向上させることが

プロバイダーとして いく上で、ソフトウェアは重要な役割を果たします。これ
を武器に IoT など今後成長が見込まれる領域で立ち位置
目的です。アメリカは医療機器の世界最大の市場であり、
商機が期待されます。
を確立していく考えです。  また、食品市場も SGS の主要ターゲットです。ヘルス

新たな価値を創り出す 成長領域と可能性
ケア同様、
います。
食の安全を確保する新規制が最近導入されて
製造、輸入、販売業者は原材料と製品のトレーサ
 ヘルスケアは SGS にとって重要な市場の一つです。こ ビリティを強化し、問題発生時には迅速な対応と原因究
より付加価値の高いサービスを世界中のお客さまへ提供していくため、アメリカに SATO の巨大市場は世界的に成長基調にあり、アメリカでは 明が求められるようになります。この動きはアメリカだ
Global Solutions 社 SGS)
( を新設しました。 GDP 全体の 17% 以上(約 2.8 兆ドル)を占めています。 けではなく、カナダ、メキシコ、中国、韓国などでも広がり
SGS は、 ソフトウェア開発を核に、 ハードウェア、サプライ、保守サービスまでを網羅する 規制強化やコスト削減、患者さんの安全に対する関心の つつあり、SGS およびサトーグループにとって大きな市
ユニークな自動認識ソリューション事業をグローバルに展開していきます。 高まりとともに、技術やデータの活用が急増しています。 場になると見込んでいます。
 例えば病院には、在庫管理、患者認証、投薬管理、検体 ※大量のタグを一瞬で読み取る独自の RFID 技術。一般的に RFID の弱点とされ
る「重ね読み 」金属 」水 」
「 「 の影響に強い特性を持つ
管理といった多岐にわたるソリューションの需要があり



SGS のソリューションが提供されるまで
お客さまの現場で現状を把握
お客さまの要件を把握
真の Integrator of Things をめざして プランニング 作業工程の見直し
 SGS は、2015 年 4 月に営業を開始致しました※。わた 課題解決・目標達成までの工程を作成

したちの強みはソフトウェア開発力とインテグレーショ
要件を満たす構成、モジュール、インターフェイスを選定
ンです。最適な製品、サービスを組み合わせ、お客さま固
設計 作業合意文書の作成
有のニーズに合わせた自動認識ソリューションを提供し トータルソリューションの設計
ます。サトーグループが 75 年の歴史の中で培ってきた資
産(技術・ノウハウ・人財・グローバルネットワーク等)を 設計を基にシステム構築
Michael Beedles
基盤に、データが持てる可能性を最大限に生かします。 SATO Global Solutions, Inc. 開発 進捗管理とお客さまへの報告
  Farm-to-Fork
「 (農場から食卓まで) や Vein-to-Vein
」「 プレジデント 品質保証テストの実施

(献血者から受血者まで) といわれるトレーサビリティ

を多様なサプライチェーンで実現するには、さまざまな お客さまの既存のインフラにソリューションを組み込む
システム導入 使用方法などのトレーニング
製品・サービスが有機的に連携しなければなりません。
お客さまの現場における受け入れ試験の実施
SGS は必要に応じて他社と戦略的アライアンスを築きつ
つ、ソフトウェア、ハードウェア、サプライ、保守サービス
稼働開始
を含む包括的な自動認識ソリューションをワンストップ
で提供します。お客さまは複数の会社を相手に煩雑な作
サポ トサービス
サポートサ ビ 現場および遠隔からのサポ トサ ビス
現場および遠隔からのサポートサービス
業を行う必要はありません。わたしたちは、お客さまの現 作業指示書に基づくシステムの保守・更新
場で、モノの情報を取得するためのタギング ―― つまり


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環境経営・環境ビジネス



サトーグループの環境ビジネス ラベル以外にも、レジ袋や梱包用ストレッチフィルムな
 サトーグループは、これまでにもお客さまの環境負荷 ど焼却処分されるさまざまなモノの素材にエコナノの適
低減につながる製品を提供してまいりました。紙材料の 用を進めており、今後もエコナノを使った商品でお客さ
削減に加え、台紙の焼却処理も不要な台紙の無いシール・ まの環境活動に貢献してまいります。また 2012 年 12 月
社会・環境のために ラベル「ノンセパ ®」をはじめ、 にはシール業界においては日本で初めて、製品のライフ
2011 年には世界初となる、焼 サイクル全体で排出される CO2 を見える化する「カーボ
却時に発生する CO2 を削減す ンフットプリント宣言認定※ 2」を取得しています。
サトーグループは環境経営への本格的な取り組み実施とともに、環境調和型製品・
るシール・ラベル エコナノ® 」
「 ※ 1 東京理科大学 阿部正彦教授、東京理科大学発のベンチャー アクテイブ

ソリューションの提供を通じてお客さまの環境負荷低減に努めています。 を開発 ・ ※1
発売し、多くのお客さ
株式会社、およびサトーホールディングスが共同開発
※ 2 台紙の無いシール・ラベル「ノンセパ 」の紙基材で取得
まにご採用いただいています。
台紙がないシール・ラベル「ノンセパ 」

環境経営について
櫛田 晃裕 ■ノンセパ、 エコナノによる
エコマネジメント委員長 CO2 削減貢献量
(t) エコナノラベル ご導入事例
サトーホールディングス株式会社 取締役専務執行役員 最高財務責任者 CFO)

4,000
導入実績
 サトーグループは、  2008 年に発足した「エコマネジメント委員会 」では、
3,251
「あくなき創造で、地 グループ会社や複数の部署の代表が活動に参加し、経営 エコナノラベルは
3,000
2 万社を超える小売、
球環境と調和した“持 と社員をつなぎ環境意識の浸透に努めています。これか
物流、製造など幅広い
2,000 1,893
続可能な社会”にする らも、社員一人ひとりがより高い環境意識を持った上で 業種のお客さまにご導入
1,422
ための環境経営を行 自発的に創意工夫をし、企業活動の隅々まで環境意識を 1,170 1,033 いただいています。
1,000
う 」 とを環境経営
こ 浸透させた経営の推進により「本業による社会貢献 」を実
■エコナノ
ビジョンとして掲げ、長期的な視点を持って環境保全活 践してまいります。 71
0 ■ノンセパ
動を継続しています。 2012 2013 2014
(年度)
〈算出条件〉
1) 算出対象範囲:通常のラベル、 エコナノラベル (上紙+糊)
の廃棄段階
2) 廃棄段階で焼却処理されると仮定し算出
3) エコナノラベル焼却時の CO2 削減率:20%
中長期の環境計画 目標と進捗 〈出典〉
株式会社セブン & アイ・ホールディングス様
1) 廃棄物の焼却:環境省地球環境局地球温暖化対策課 温室効果 エコナノ ® ロゴマーク 商品ラベル
2020 年度までの中長期の目標値を定め、グローバルでの環境負荷低減に取り組んでいます。 ガス排出量算定方法検討会 2002 年 8 月)

2) CO2 削減率:CO2 吸収材製造メーカー TG/DTA 分析結果
2014 年度 2014 年度 中期目標 長期目標
取り組み項目 目標 主要指標 達成度
目標 進捗結果 (2015 年度) 2020 年度)

従来製品よりも
お客さまとともに サトー製品を使う
行う地球環境への ことによるお客さまに
環境負荷のより少ない 日本
CO2 削減貢献 6,400t
5,282t で
改善 7,000t 24,650t
伊坪 徳宏 氏
シール・ラベル製品の 海外 目標に未達 東京都市大学 環境学部教授
負荷低減 おける環境負荷低減
販売へ切り替え
エネルギー
 共同研究テーマとして、  「エコナノ 」は気候変動の緩和策として、
「ノンセパ 」は
2008 年度比
使用量 kWh)
( 「エコナノ 」 「ノンセパ 」
と 森林資源消費を抑制し、水使用量や廃棄物量の低減に寄
環境負荷低減活動の 4% 削減 9% 削減し、 ○ 11% 削減 15% 削減
削減率
事業活動に伴う 継続的推進により、 目標を達成 について環境評価を実施 与します。これらの環境革新技術は日本だけでなく、新興
日本 (2008 年度比)
CO2 排出量の低減 2012 年度実績の
社有車の 全社用車の しました。消費財であり、 国を含む世界で享受されるべきです。本格的な海外展開
CO2 排出量を維持する
環境配慮車両 40% 53% の ○ 60% 100%
導入率 導入を達成 回収・再生が困難なラベル を期待します。また、サトーグループで積極的に展開する
環境負荷量の ゼロ・ は、
「原材料の削減 」 「廃
と RFID はトレーサビリティ向上によるロス低減、リードタ
生産拠点における 北上工場で
低減 日本 エミッション
資源の有効利用 ゼロ・エミッション 1 拠点 ゼロ・エミッ ○ 3 拠点 20 拠点 棄段階の環境負荷低減 」が イム低減による省エネ、温度管理による食品腐敗回避な
海外 達成生産拠点数
活動の推進 ションを達成
(全 20 拠点) 重要なポイントになります。ノンセパは台紙フリーによ ど、潜在的に環境影響削減に大きく貢献するものと期待
植林活動への参画で、 東京都青梅市
森林保護と自然との の森林約 1.16
る原材料生産の負荷低減を、エコナノは焼却時における されます。さらなる実証研究の実施とともに、環境を基軸
日本
社会貢献活動 調和を支える活動を CO2 吸収量 1,500㎏ ヘクタールに ○ 3,000kg 18,600㎏ CO2 の排出を抑制します。これらの寄与は製品ライフサ としたビジネスモデルを早期に展開されることを期待し
海外
通し CO2 削減に 植樹を行い、
つなげる 目標を達成 イクルのホットスポットを効果的に抑える極めて有効な ます。
※環境経営ビジョンの実現のための活動、中長期の環境計画より一部抜粋 手段といえます。


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人財育成



 同様に、社内報などで定期的に発信される経営トップ 面で世界基準に変わらなければなりません。そのために
のメッセージも 7 カ国語に翻訳・発信され、全社的に経営 人事制度を刷新し、2016 年度より運用を開始する予定で
戦略の浸透が図られています。さらに「理念に合致した行 す。具体的には、職務内容(ジョブ・ディスクリプション)
動がとれているか 」 評価・昇進基準や教育に取り入れ
を、 やキャリアパスを明確にし、成長の道筋を可視化できる

真のグローバル企業となるために ることで、社内の徹底を推進していきます。 ようにします。採用・育成、評価、報酬・インセンティブも
グローバル・スタンダードに変更していきます。
グローバル人財の育成  同時に、今までのサトーグループの成功モデル、企業

サトーグループが真のグローバル企業に進化するためには、  2020 年度までに海外売上高比率 50% 以上をめざすサ DNA を失することなく各方面で活躍し、さらなる成長を
トーグループにとって、国際舞台で活躍できる人財の獲 望み求める現有の人財には、国を越えたローテーションを
社員一人ひとりが国際舞台で活躍できる人財に成長し、個の力を生かしながら
得・育成とそれを支える体制づくりは喫緊の課題です。 推進していきます。自薦による選抜も含め育成対象候補
新たなイノベーションを喚起していくことが肝要と考えています。  なぜなら、わたしたちのソリューションとお客さまの を選出し、候補者には本社、現地法人、関連会社を含めた
価値を最終的に結び付けるのは「人 」であり、人が事業発 海外勤務の機会を提供します。現地で実務を積みながら、
展の要だと考えるからです。 現地社員と協働できる高いコミュニケーション能力を身
個の違いを生かし、新たな創造を生む たって「玉石混交 」と表現した人事採用を奨励していまし  わたしたちが求めるグローバル人財は、以下の 3 つを具 に付けてもらいます。このグローバルローテーションを繰
 サトーグループは、価値観も市場環境も多様な世界市 た。同質化した集団だと、ある一つの方向にしか力を発揮 現化しグローバルに展開していける(伝道師になれる)人 り返しながら、真のグローバル人財を育成していきます。
場で勝つために、経営戦略としてダイバーシティに取り できない恐れがあり、企業が環境の変化についていけな です。
組んでいます。わたしたちが考えるダイバーシティ経営 くなると危惧したからです。輝き方は違えども、多彩な人 2020 年度に向け、英語公用語化を進める
とは、一人ひとりの個性を尊重し、適財適所に配置するこ 財の結集こそが組織としての活力を引き出す。この考え 1. サトーグループの企業理念と行動規範  2020年度までに社内の会議 公式文書の英語化を含め、

とによってそれぞれの能力が最大限に発揮され、その違 は藤田が 2002 年に執筆した行動規範「サトーのこころ 」 全社員が日常業務および会議のコミュニケーションを英
2. 自動認識ソリューションをコアとする
いが経営上の強みとなることです。多様な人財が集まっ にも明記されています。 語で行えるようになることをめざしています。そのため
ビジネスモデル
ているからこそ、新たな創造が生み出されると考えます。 2013 年 8 月に英語推進室を設置しました。まずは日本の
3. コアコンピタンスである「現場力 」
 サトーグループのダイバーシティの取り組みスタート 多様な人財を束ねる共通の価値観 社員に対して、社員の語学力に応じたさまざまな英語教
は 90 年代にさかのぼります。1990 年から 2007 年まで  さまざまなバックグラウンドを持つ多様な人財を束ねる 育プログラムを実施し英語力の底上げを図っています。
株式会社サトー(現 サトーホールディングス株式会社) のが企業理念と行動規範「サトーのこころ 」です。これら  将来、海外事業をけん引する優秀な人財を世界各地か 将来は、これを世界にも広げていき、多様な人財を活用で
の社長・会長を務めた故 藤田東久夫は、社員の採用にあ は 7 カ国語に翻訳され、世界の全社員に配付されています。 ら確保するためには、従来の日本基準ではなくすべての きる環境を整備していきます。




Voice
(ダイバーシティ) Voice
(グローバル人財)

自らの事業アイデアで、新会社設立へ 今度は自分が恩返しをする番 海外勤務で大切にしている「ローカライズ 」 グループ間の架け橋に
渡部 彩 Daphne Tay 進藤 隼人 Andrey Korostelyov
デザインプロモーション株式会社 社長 サトーホールディングス株式会社 常務執行役員 アジア統括 サトープライマリーラベルインターナショナル株式会社 係長
最高コミュニケーション責任者 CCO)
( SATO Auto-ID (Thailand) Co., Ltd. マネージングディレクター
シールの営業時代の経験から、 売
「 1987 年の入社以来、アジア各国 ビジネスのやり方もコミュニケー 入社当初から海外の営業向けに
れる力のあるデザイン 」を強みと での子会社や工場の立ち上げか ションの取り方も、日本と同じ手 シール・ラベル製品の見積り・受
したシール販売の事業アイデア ら、ヨーロッパの拠点の PMI ま ※
法では上手くいかない ―― 合計 発注業務を行う生産管理に従事
を考案したところ、部門化され で、さまざまな仕事に携わってき で 14 年を超える日本、中国、タイ してきました。現在は 2014 年 12
2 年後の今年 4 月には新会社とし ました。キャリアの最初の 10 年 での営業経験から学んだのは 月に M&A を行ったロシアのラベ
て独立することになりました。中 は、何でも吸収するつもりでがむ ローカライズの大切さでした。海 ル製造会社 Okil 社の PMI を担当
には「売上が 10 倍になった 」というお客さまもおられ、こ しゃらに学び、次の 10 年は土台を固めながら、さらなる 外勤務には大変なこともありますが、国籍を超えた人脈 しています。Okil 社は高い技術力と豊富なノウハウによ
のような声を励みに、提案力を磨いていきたいと思って 成長に努めました。そして目下の 10 年は、自分がかつて を得られたり、現地社員と一丸になってビジネスをつく る付加価値の高い商品ラベルの生産が魅力です。彼らの
います。 育ててもらったように後進を育成しながら、会社や社会 り上げられる点にやりがいを感じ、ときには自分が日本 優れた技術を習得して、サトーグループのシール・ラベル
に恩返ししていきたいと思っています。 人ということさえ忘れてしまうほど熱中してしまいます。 事業の発展に貢献することができればと考えています。
※ Post Merger Integration 企業の合併後の経営統合のこと


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コーポレート・ガバナンス



コンプライアンス/リスクマネジメント体制  多様化するリスクに効果的に対処するため、リスクマ
 グループ共通の企業理念の下、法令遵守意識の醸成を ネジメント委員会を定期的に開催しています。当委員会
図っています。加えて、
「三行提報 」で情報を収集するこ ではリスクの洗い出しを行い、情報の共有、事前予防策、
とで、不透明な事象が事故に至らないよう予防措置が取 事故発生時の対応策などを協議しグループ全体のリスク

透明性の高い企業経営のために れる体制を整え、情報を迅速に報告することを推奨する
風土を築いています。
を管理しています。
ことを受け、
特に近年情報漏えいが多発している
機密情報のセキュリティ管理を重要課題と
してとらえ、管理の徹底を図っています。

ステークホルダーの皆さまや社会の信頼に応えるため、公正で透明性の高い経営
詳細につきましては、当社 Web サイトに掲載している第 65 期有価証券報告書をご覧ください。
に取り組んでいます。 http://www.sato.co.jp/ir/library/securities_report




コーポレート・ガバナンス体制  監査役制度採用の下、経営監督機能を強化するととも 社外取締役および社外監査役からのメッセージ
多様な専門性や外部からの視点を生かし、透明性のある企業経営の持続とサトーグループの企業価値向上に結び付けています。
 持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現する に、執行役員制度の導入により意思決定や業務執行の迅
ため、サトーグループでは「経営効率の向上と健全性の維 速化・効率化を図ることで、実効性のあるコーポレート・ 嶋口 充輝 社外取締役
持」を重要課題としてとらえ、これを達成するために透明 ガバナンス体制の構築に努めています。  ソリューション提供は、今日のサービス・ドミナントな 枠を超え、多様な顧客
性の高い経営を実践しています。 ビジネス社会では誰もが主張していますが、現実にはそ に向けて革新的価値
れを真の社会価値として提供・定着させていくのは極め を創造・提案し、広く

コーポレート・ガバナンス体制 て難しいことです。その理由は、人も組織も日常の仕事に 社会的価値に結び付
取締役会 手 い っ ぱ い で、よ ほ ど の こ と が な い 限 り 革 新 的 な ソ ける使命を事業理念
取締役会は 12 名で構成し、このうち半数の社外
株主総会 リューション価値には盲目的だからです。実際、慣れ親し と し て い ま す。そ し
取締役(全員が独立役員、うち、女性 2 名)を置い
選任 選任 ています。多様な側面からステークホルダーの
んだ「ウチなる常識 」で効率を追求する方が楽で、不慣れ て、この理念の実現に向けて松山社長のリーダーシップ
視点に立った、企業価値向上に向けた意見をい な「ソトなる常識 」を取り込む革新は、言うは易いですが の下、組織一丸の実行が活発に行われています。社外取締
監査
監査役会 ただいています。また、取締役会の議長は業務 実行は難しいものです。しかし、歴史が示すように、真の 役としての我々の役割は、より長期的視点から、顧客、取
取締役会
委任 執行を担当しない取締役の輪番制とし、経営の
価値あるサービスが受け入れられた後は、誰もが、それを 引先、社員、さらには社会にとって、さらなる幸せ価値を
透明性を確保しています。
代表取締役 当然のごとくに享受し、それによって人も、組織も、社会 公平・公正に実現できる「お役立ち企業 」となるよう、ソ
経営会議 経営会議 も大きく発展します。 トの目で、時に厳しく、しかし暖かく、見守り続けること
監督
重要な案件は、取締役、監査役、執行役員、その  サトーは、自動認識ソリューション分野で、国や業界の だと考えています。
三行提報
他幹部社員で構成される経営会議において審議
社員 し意思決定を行っています。また、必要に応じ
取締役会へ報告しています。 松田 千恵子 社外監査役
情報開示  サトーグループは 観点から、こうしたことを冷静かつ公正に見極めるのが
四者還元 監査役会
ユニークな企業です。 我々の仕事ではないかと思っています。
4 名の監査役(うち社外監査役 2 名、うち 1 名が
女性)で構成し定期的に開催しています。また取
近年、注目を集めてい  コーポレート・ガバナンスにおいても、サトーグループ

株主 社員 社会 会社 締役会へ出席し必要な意見を述べています。 る IoT と い っ た 最 先 はユニークです。三行提報や取締役会議長の輪番制など、
端の分野に関わりな 他にはあまり類を見ない仕組みや仕掛けが存在し、機能
がら、超情報化社会を しています。サトーホールディングスの取締役会では、社
三行提報 内外の経営環境を把握し、必要に応じた施策を講じること 機能させるために、バーチャルを確実にリアルの世界に 内・社外、取締役・監査役を問わず多様なメンバーが活発
 サトーグループには、会社を良くするための独自の報告 が可能になります。役職や勤続年数に関係なく提案・報告 つなぐという、一見地味ながら非常に重要なビジネスを、 に発言し、それぞれ異なった視点から多彩かつ立体的な
の仕組み「三行提報(さんぎょうていほう) があります。
」 できるこの仕組みは、経営トップの迅速な意思決定に役立 「あくなき創造 」の精神に基づき追求しています。今や、 議論がなされています。今後、世界を舞台にさらに飛躍し
全社員が毎日、社内やお客さまの現場で得たさまざまな情 つだけでなく、グループ全社員参加型 の透明な経営体制
※ その範囲は分野的にも地理的にも大きく広がりつつあり ていく上で、このことはサトーグループの大きな強みに
報やアイデアを「会社を良くする創意・工夫・提案や考え の維持の実現につながっています。 ます。そうしたビジネスが、真に価値を創造し、リスクを なると思います。この強みにさらに磨きがかかるよう、自
とその対策 」として三行 127 文字)
( にまとめ、経営トップ コントロールし、関係する人々に幸せをもたらし、社会に らも努め、また監査の視点を全うしてまいります。
※三行提報は、現在日本と海外の一部拠点で実施。その他の地域では、週報など
に提出しています。これにより経営トップはいち早く社 を通じた報告の文化が根付いています 役立っているのか――ビジネスのけん引とはまた別の


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役員紹介




撮影場所:
サトーグループ本社(東京・目黒区)
ナレッジセンター
2014 年夏、サトーグループは社員がいきいき働くた
めの 「働き方改革 」 を実施。
その一環として、 オフィスのフリーアドレス化を進め
るとともに、 コミュニケーションを活性化するための
フリースペース 「ナレッジセンター」を設けました。




取締役 取締役(社外) 常勤監査役 執行役員
1. 松山 一雄 7. 鈴木 賢 13. 横井 信宏 小瀧 龍太郎 小瀧 智奈美 小玉 昌央
代表取締役執行役員社長 株式会社バイタルケーエスケー・ホールディングス 専務執行役員 執行役員 執行役員
最高経営責任者 CEO)
( 代表取締役会長 サトーテクノロジー株式会社代表取締役社長 サトープリンティング株式会社取締役副社長 最高マーケティング責任者 CMO)

株式会社バイタルネット代表取締役会長 14. 永倉 淳一
2. 山田 圭助 宇敷 謙二 熊林 知之 小沼 宏行
専務執行役員 8. 田中 優子 常務執行役員 執行役員 執行役員
株式会社サトー代表取締役社長 法政大学総長 監査役(社外) サトープリンティング株式会社代表取締役社長 サトー RFID ソリューションズ株式会社代表取締役社長 最高健康経営責任者 CWO)

法政大学社会学部メディア社会学科教授 サトーマテリアル株式会社代表取締役社長 サトーヘルスケア株式会社代表取締役社長
3. 櫛田 晃裕 法政大学国際日本学インスティテュート(大学院)教授 15. 松田 千恵子 笹原 美徳
専務執行役員 首都大学東京社会科学研究科(大学院)教授
Daphne Tay 執行役員 Michael Beedles
最高財務責任者 CFO)
( 9. 石黒 清子 首都大学東京都市教養学部教授 常務執行役員 株式会社サトー取締役 執行役員
野田記念法律事務所パートナー 最高コミュニケーション責任者 CCO)
( 北米統括
4. 西田 浩一 16. 山口 隆央 SATO Global Business Services Pte. Ltd. 千田 浩三 SATO America, LLC. プレジデント
10. 伊藤 良二 山口公認会計士事務所所長 マネージングディレクター 執行役員 SATO Global Solutions, Inc. プレジデント
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授 サトープライマリーラベルインターナショナル株式会社
5. 土橋 郁夫 株式会社プラネットプラン代表取締役 渡邉 信夫 代表取締役社長 田邊 康宏
常務執行役員 執行役員
11. 嶋口 充輝 株式会社サトー取締役副社長 Maria Olcese サトーインターナショナル株式会社代表取締役副社長
6. 鳴海 達夫 慶應義塾大学名誉教授
12 執行役員
公益社団法人日本マーケティング協会理事長 14 16 5 11 安江 大道 南米統括
15 執行役員 Achernar S.A. ゼネラルマネージャー
12. 山田 秀雄 13 6 9 3 品質保証室長
山田・尾﨑法律事務所所長 4



(2015 年 7 月 1 日現在)




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11 年間の財務ハイライト



3 月 31 日終了の連結会計年度 (単位:百万円)

2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度 2008 年度 2009 年度 2010 年度 2011 年度 2012 年度 2013 年度 2014 年度

経営成績
 売上高 61,752 68,964 82,491 87,790 78,163 74,917 78,368 80,536 87,256 96,773 99,831
 海外売上高比率 18.4% 22.8% 31.5% 31.6% 26.8% 24.2% 23.7% 23.0% 25.6% 29.3% 33.2%
 売上総利益 28,422 30,593 35,890 37,857 32,399 31,279 33,018 34,217 36,410 41,180 42,708
 販売費および一般管理費 23,277 25,371 30,195 32,453 31,669 28,705 28,791 29,564 30,958 34,421 35,264
 営業利益 5,144 5,222 5,695 5,404 730 2,574 4,226 4,652 5,452 6,758 7,444
 EBITDA
(営業利益+減価償却費+のれん償却費) 6,843 7,252 8,180 8,208 3,565 5,123 6,417 6,830 8,213 9,871 11,044
 当期純利益 3,012 2,646 2,389 2,062 2,050 781 503 1,953 2,726 4,295 3,763
財政状態
 総資産 51,705 61,624 66,923 66,103 61,692 64,203 66,134 74,830 77,521 86,737 95,174
 純資産 34,008 36,119 37,508 36,671 35,918 35,985 34,929 36,172 40,205 46,734 53,158
 研究開発費 1,458 1,280 1,501 1,728 1,922 1,826 1,902 1,859 2,042 2,225 2,292
 設備投資 3,498 2,683 4,278 2,424 2,361 2,387 5,084 1,836 3,059 6,106 7,372
 減価償却費およびのれん償却費 1,698 2,029 2,484 2,804 2,835 2,549 2,190 2,177 2,760 3,112 3,599
キャッシュ・フロー
 営業活動によるキャッシュ・フロー 2,873 4,801 2,912 4,108 4,994 5,860 1,595 4,434 3,793 10,589 9,205
 投資活動によるキャッシュ・フロー △ 3,281 △ 6,575 △ 4,066 △ 2,522 △ 2,217 △ 2,093 △ 4,283 △ 7,015 △ 984 △ 4,776 △ 6,221
(営業 CF +投資 CF)
 フリーキャッシュ・フロー △ 408 △ 1,774 △ 1,154 1,585 2,777 3,766 △ 2,687 △ 2,581 2,809 5,812 2,983
 財務活動によるキャッシュ・フロー △ 999 2,069 496 △ 793 △ 2,476 △ 826 △3 3,273 △ 2,839 △ 1,511 △ 3,062
 現金および現金同等物の期末残高 10,234 10,751 10,344 11,035 10,814 13,774 10,813 11,377 11,992 16,763 17,145
1 株当たり情報(円)
 当期純利益 EPS)
( 96.01 84.32 76.30 66.70 67.40 25.95 16.71 64.87 90.56 141.57 113.96
 純資産 BPS)
( 1,083.72 1,149.80 1,205.33 1,195.69 1,189.50 1,191.84 1,156.88 1,201.02 1,330.77 1,454.90 1,579.15
 配当金 DPS)
( 30 31 32 33 33 33 34 35 37 40 45
財務指標
 売上総利益率 46.0% 44.4% 43.5% 43.1% 41.5% 41.8% 42.1% 42.5% 41.7% 42.6% 42.8%
 営業利益率 8.3% 7.6% 6.9% 6.2% 0.9% 3.4% 5.4% 5.8% 6.2% 7.0% 7.5%
 EBITDA マージン 11.1% 10.5% 9.9% 9.4% 4.6% 6.8% 8.2% 8.5% 9.4% 10.2% 11.1%
 総資産経常利益率 ROA)
( 10.5% 9.5% 8.5% 7.1% 0.6% 3.6% 5.7% 5.9% 7.1% 8.6% 8.2%
 自己資本利益率 ROE)
( 9.2% 7.5% 6.4% 5.6% 5.7% 2.2% 1.4% 5.5% 7.2% 9.9% 7.6%
 自己資本比率 65.8% 58.6% 56.0% 55.4% 58.1% 55.9% 52.7% 48.3% 51.7% 53.7% 55.6%
 有利子負債比率 D/E レシオ)
( ※リース債務、ゼロクーポン債 ( 転換社債 ) を含む
1.6% 10.2% 15.6% 18.5% 17.1% 19.6% 24.9% 38.2% 31.8% 23.5% 18.7%




売上高 (単位:百万円) 営業利益 (単位:百万円/ %) EBITDA (単位:百万円/ %) 1 株当たり当期純利益 (単位:円) ROE (単位:%) ROA (単位:%)

■ 営業利益 ● 営業利益率 (営業利益 + 減価償却費 + のれん償却費)
■ EBITDA ● EBITDA マージン
11,044 141.57
9,871 9.9
96,773 99,831 7,444
87,256 6,758 113.96 8.6
8,213 8.2
78,368 80,536 7.2 7.6 7.1
5,452 7.5 90.56
7.0 6,417 6,830 11.1
4,652 6.2 10.2 5.7 5.9
4,226 5.5
9.4 64.87
8.2 8.5
5.4 5.8
1.4
16.71


(年度) 2010 2011 2012 2013 2014
(年度) 2010 2011 2012 2013 2014
(年度) 2010 2011 2012 2013 2014
(年度) 2010 2011 2012 2013 2014
(年度) 2010 2011 2012 2013 2014
(年度)




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株式情報 2015 年 3 月 31 日現在)
( 会社概要 2015 年 3 月 31 日現在)





■ 株式の概要 ■ 大株主 商号 サトーホールディングス株式会社

発行可能株式総数 80,000,000 株 SATO HOLDINGS CORPORATION
持株比率
発行済株式の総数 34,880,259 株 株主名 持株数
(株) 本社所在地 東京都目黒区下目黒 1 丁目 7 番 1 号 ナレッジプラザ
(%)
株主総数 8,589 名 創業 1940 年
公益財団法人
上場証券取引所 東京証券取引所 3,786,200 10.85
佐藤陽国際奨学財団 設立 1951 年
市場第一部
証券コード 6287 日本トラスティ・サービス信託銀行 代表者 代表取締役執行役員社長 兼 最高経営責任者 CEO)

1,798,400 5.15
事業年度 毎年 4 月 1 日から 株式会社(信託口) 松山 一雄
翌年 3 月 31 日まで 資本金 84 億円
サトーホールディングス株式会社 1,396,877 4.00
定時株主総会 6月 連結従業員数 4,719 名
株主名簿管理人 三菱 UFJ 信託銀行株式会社 1,842 名 ....... 日本
NORTHERN TRUST CO. AVFC)

1,316,000 3.77 326 名 ....... 米州
RE 15PCT TREATY ACCOUNT
863 名 ....... 欧州
サト―社員持株会 1,288,364 3.69 1,688 名 ....... アジア・オセアニア
■ 所有者別株式分布状況 連結売上高 998 億円
金融商品 日本マスタートラスト
自己名義株式 取引業者
1,004,300 2.87
信託銀行株式会社(信託口)
1,396,877 株 298,556 株
4.00% 0.86% 株式会社アリーナ 954,460 2.73 拠点一覧 2015 年 3 月 31 日現在)

その他の法人
5,006,450 株 外国法人等
横井 美惠子 905,145 2.59
11,292,868 株
14.35 %
32.38%
佐藤 静江 897,470 2.57
金融機関 個人その他
6,297,632 株 10,587,876 株 岩淵 真理 844,570 2.42
18.06% 30.35%
※自己株式の実質保有数は、1,396,867 株です。




■ 株価・出来高
株価(円) ■ 株価 ■ 出来高
4,000

3,500

3,000

2,500

2,000

1,500

1,000
出来高
500 (千株)
4,000

3,000

2,000

1,000


2010 年度 2011 年度 2012 年度 2013 年度 2014 年度 2015 年度 お問い合わせ 免責事項

期間高値 サトーホールディングス株式会社 当資料に掲載されている業績見通し、その他今後の予測・戦略などに関
(円)
1,344 1,249 1,747 2,640 3,105
コミュニケーション統括部広報グループ する情報は、当資料の作成時点において、当社が合理的に入手可能な情
期間安値 報に基づき、通常予測し得る範囲内で行った判断に基づくものです。し
832 860 1,000 1,511 2,133 TEL:03-5745-3412 FAX:03-5487-8544
(円)
e-mail:grp-sato-ir1460@sato-global.com かしながら実際には、通常予測し得ないような特別事情の発生または通
期末株価
(円)
1,099 1,165 1,695 2,391 2,725 Web サイト:http://www.sato.co.jp/ 常予測し得ないような結果の発生などにより、当資料記載の業績見通し
投資家情報 :http://www.sato.co.jp/ir/ とは異なる結果を生じ得るリスクを含んでおります。

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