千葉大学との共同研究に関する進捗状況のお知らせ

2023 年3月 17 日
各 位


会 社 名 株 式 会 社 中 村 超 硬
代 表 者 名 代表取締役社長 井 上 誠
(コード番号:6166 東証グロース市場)
問 合 せ 先 取締役管理本部長 藤 井 秀 亮
(TEL:072-274-1072)



千葉大学との共同研究に関する進捗状況のお知らせ



当社は、2022 年9月 30 日に開示いたしましたとおり、創薬研究分野において副作用の少ないがん治療
薬等に有効に機能するといわれる有機化合物である PIP (※1)の合成手法において、千葉大学大学院薬学研
究院薬化学研究室(根本哲宏教授)と当社のフロー合成装置を用いた共同研究を進めてまいりましたが、
こ の 度 、 本 共 同 研 究 の 初 期 の 目 的 と し て い た 長 鎖 PIP 構 造 を 獲 得 す る た め の 主 要 な フ ラ グ メ ン ト
(=Fragment)(※2)
の合成試験を完了いたしましたので、その成果をご報告し、今後の活動方針についてお
知らせいたします。




1. 主要な研究成果 PP
(1) 多種類の二量体(ダイマー)、三量体(トリマー)、四量体(テトラマー)の合成試験において、
再現性を確認しました。
【ダイマーの一例】



PP




【トリマーの一例】



PPP





【テトラマーの一例】




PPPP




(2) 全てにおいて合成時間が短く、収率が高いことを確認したことで、低コストかつ大量生産方式で
の PIP 合成が可能と判断します。


2. 今後の活動方針
この度の共同研究によって得られた成果は、創薬研究分野において、その機能が期待される有機化合
物である PIP 構造体を低価格で安定して提供できる合成手法を獲得したことであります。
当社としては、今後も千葉大学大学院薬学研究院薬化学研究室と当社のフロー合成装置を用いた共同
研究を進めていくとともに、PIP に関連する企業や研究機関に対し、当該合成に関する技術レポートや
主要なフラグメントのサンプルを提供し、PIP が持つ優れた機能への認知度を高めるとともに、需要を
喚起してまいります。


3. 今後の見通し
本共同研究が 2023 年3月期の業績に与える影響は軽微であります。


(※1) PIP


〇 PIP(ピロール・イミダゾール・ポリアミド)とは
ピロールの骨格とイミダゾールの骨格が特定の順番で、アミド結合により連結された化合物の総称であり、
このピロール骨格とイミダゾール骨格のそれぞれが DNA の中の特定の塩基構造部分に水素結合することがで
きます。
PIP がの特定の塩基配列部分に相互作用することから、PIP に薬効成分を結合させることにより、DNA に作用
する薬の開発が可能となり、がん治療薬等において副作用の少ない医薬品の開発が期待されております。し
かしながら、既存の PIP の合成においては、材料収率等の合成効率が悪く、また合成に手間もかかるため、
PIP の価格は非常に高価になり、PIP を利用した研究が進まないことが課題であります。

・ピロール ・イミダゾール
窒素原子を 1 個含んだ 窒素原子を 2 個含んだ五員環構造の有
五員環構造の有機化合物 機化合物



(※2)フラグメント
フラグメント=Fragment(断片)
本来は連続した情報(今回はアミド結合により連結された有機化合物)が小さな不連続なブロックに分
断された状態。


以 上




4981