次世代型メタボロミクスのフラッグシッププラットフォームである“CE-FTMS”による新たな受託解析サービス「ω Scan」の販売を開始

News Letter
2018 年 10 月 4 日
各位
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社
(証券コード:6090 東証マザーズ)


次世代型メタボロミクスのフラッグシッププラットフォームである
“CE-FTMS”による新たな受託解析サービス「ω Scan」の販売を開始
-特許技術を駆使した“CE-FTMS”による高感度・高分解能解析により
メタボロミクスは新たなステージへ-

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社(代表取締役社長:菅野 隆二、以
下 HMT)は、従来の CE-TOFMS※1 によるサービスに加え、CE-FTMS(OrbitrapMS)※2 による次
世代型の高感度・高分解能メタボローム解析プランである“ω Scan”の販売を開始致しま
した。

いわゆるフーリエ変換型と呼ばれる質量分析器(FTMS)は、従来の四重極型質量分析器
(QMS)や飛行時間型質量分析器(TOFMS)に比べ圧倒的な感度と分解能を有し、近年ではメタ
ボローム解析※3 にも応用される事例が増えてきました。しかしながら、一体的なキャピラ
リー電気泳動装置(CE)-FTMS は現在販売されておらず、これまで CE と FTMS を接続した装
置によるメタボローム解析サービスは行われておりませんでした(当社調査)。

そこで HMT では、CE と FTMS を接続するための「イオン源アダプタ」を独自開発するこ
とにより、世界で初めて CE-FTMS によるメタボローム解析サービスを可能とするプラット
フォームを構築しました。この「イオン源アダプタ」の技術は既に国内特許を取得してお
り(日本特許 6106864 号)、 国際出願も完了しております(PCT/JP2017/012095)。この技術に
より、イオン性代謝物質の分離に大きな強みをもつ CE と、圧倒的な高感度・高分解能を誇
る FTMS との接続が可能となり、CE-TOFMS による従来法に比べ、検出感度は 5〜20 倍程度
向上し、結果として検出物質数は 2〜2.5 倍に増加させることに成功しました。そこでこ
の度、 この CE-FTMS を用いたメタボローム解析を、 のフラッグシップ受託サービス
HMT “ω
Scan”としてリリースすることに致しました。

CE-FTMS によるメタボローム解析サービスは前例が無く、これまで非検出であった化合
物が検出され得ることから、新規のバイオマーカーが見出される可能性があります。例え
ば、既に CE-TOFMS により解析済みの血液や尿のサンプルであっても、CE-FTMS により改め
て解析を行うことで、がんや精神神経疾患の早期診断マーカーや、薬効や予後予測のため
のコンパニオン診断マーカーの発見に繋がる可能性があります。一方、食品や植物・微生
物・菌類などの分析に CE-FTMS を用いることで、これまでに発見されていなかった新規の
栄養成分に加え、抗菌作用や抗腫瘍作用を持つ新たな機能性成分の発見に繋がる期待もあ
ります。さらに、検出物質数が倍増することで、様々な代謝反応の因果関係が説明し易く
なり、データの考察や解釈が容易になり、がんや代謝疾患など、異常な代謝を示す疾患の
病態の解析や、開発中の薬剤の作用メカニズムの解明などに非常に有用です。





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ω Scan 対象顧客と CE-FTMS によるバイオマーカー探索
ω Scan サービスは、既存の受託解析パッケージ同様、医学・薬学・生物学・植物・環
境エネルギー・食品・化粧品など、概ねあらゆる科学分野のアカデミアおよび企業の研究
者を対象としています。CE-FTMS による高感度・高分解能を駆使した分析により、充分な
サンプル量を入手することが困難な為にこれまでメタボローム解析が難しかった汗や涙、
免疫細胞や幹細胞、エクソソームと呼ばれる細胞外小胞、さらにミトコンドリアや核など
の細胞小器官といった試料種に関しても有用なデータが提供出来る可能性があり、新たな
市場が拓かれる期待があります。また、HMT のバイオマーカー探索研究にも CE-FTMS によ
るメタボローム解析を活用することにより、新規のバイオマーカー探索が加速される可能
性があります。

生体試料からの検出物質数の比較




※1 CE-TOFMS
キャピラリー電気泳動(Capillary Electrophoresis; CE)と飛行時間型質量分析計(Time-of-flight Mass
Spectrometer; TOFMS)を組み合わせた分析装置である CE-TOFMS は、高分離能と高分解能、高感度を併せ持
ち、イオン性化合物の分析に威力を発揮します。細胞内の代謝物はほとんどがイオン性化合物であるため、
生命科学研究に適しています。1 つの細胞には数千種類もの代謝物質が存在するため、その解析の効率化は大
きな課題となっており、CE-TOFMS には迅速な代謝物質測定実現の期待が寄せられています。

※2 CE-FTMS(OrbitrapMS)
キャピラリー電気泳動(Capillary Electrophoresis; CE)とフーリエ変換型質量分析計(Fourier Transform
Mass Spectrometer; FTMS)を組み合わせた分析装置である CE-FTMS は、HMT の特許技術により FTMS のイオン
源部分を改良することで CE と FTMS の接続を可能にした、CE-TOFMS を凌ぐ圧倒的な高分解能と高感度を誇る
装置です。HMT の受託サービスにおけるフラッグシッププラットフォームとして、今後は受託解析用途以外に
も、社内のバイオマーカー開発研究などにおいても積極的に使用される見込みです。

※3 メタボローム解析
メタボローム解析(メタボロミクス)は、細胞や生体内に存在する代謝物質を包括的に測定し、生命現象を
総体的に理解しようとする研究分野です。遺伝子を解析するジェノミクス、たんぱく質を解析するプロテオ
ミクスなどとともに、生命科学における解析手法の一つとして注目されています。

以上

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ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社(HMT)について
HMT は、 鶴岡市にある慶應義塾大学先端生命科学研究所の研究成果をもとに 2003 年に創立し
たバイオベンチャーです。企業や公的研究機関などの研究者を対象に代謝物質の解析サービス
の提供や特定の疾患を客観的に評価するバイオマーカーを活用した臨床検査開発を進めてお
ります。創立 10 周年を迎えた 2013 年 12 月には東証マザーズに上場いたしました。
(http://humanmetabolome.com/)




ニュースについてのお問い合わせ先
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社
経営管理本部 雀部(ササベ)
TEL 03-3551-2180 FAX 03-3551-2181
invre1@humanmetabolome.com





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