大うつ病性障害バイオマーカーに関する論文掲載のお知らせ
News Letter
2018 年 1 月 24 日
各位
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社
(証券コード:6090 東証マザーズ)
大うつ病性障害バイオマーカーに関する論文掲載のお知らせ
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社(代表取締役社長:菅野 隆二、
本社:山形県鶴岡市)では医療法人社団行基会 川村総合診療院の川村則行医師と共同
で、大うつ病性障害(以下、MDD)の血液バイオマーカーの開発に取り組んでおります。
この度、本マーカーに関する臨床研究成果が、公益社団法人日本精神神経学会の学術
雑誌「Psychiatry and Clinical Neurosciences」に掲載されましたのでお知らせ致し
ます。
1.論文の概要
MDD などの精神疾患では、有効な血液検査法が存在しないため、正確な診断が困難で
あることが問題になっています。本論文では、メタボローム解析の手法を用いて MDD 患
者と健常者の血液成分の比較を行い、MDD 患者を特徴付けるメタボローム解析プロファ
イルを明らかにしました。
今回は、精神障害の診断と統計マニュアル第 4 版テキスト改訂版(DSM-IV-TR)による
構造化面接法※1(SCID)にて診断された MDD 患者 34 名と健常者 31 名から採取した血漿
検体を用い、当社の基幹技術であるキャピラリー電気泳動-質量分析(CE-MS)法によりメ
タボローム解析を行いました。その結果、血漿中の 23 代謝物質において MDD 患者で血
漿中のリン酸エタノールアミン(PEA)の濃度が有意に低下している事が判明致しました。
次に、PEA をバイオマーカーとして MDD 患者を判別できるかを検討するため、精神科
クリニックにおいて MDD 患者 34 名と非 MDD 患者 43 名の血漿検体について、新規に開発
したイオンクロマトグラフィー-蛍光検出(IC-FLD)法にて PEA 濃度を測定しました。そ
受信者操作特性曲線※2(ROC)における曲線下面積※3(以下、
の結果、 AUC)は 0.92 となり、
高い判別性能を示しました。また、1.46M を閾値としたときの感度※4は 88.1%、特異
度※5は 88.6%でした。さらに本結果の再現性を確認するために、AUC の達成基準を 0.85
としてサンプルサイズを計算した MDD 患者 10 名、 MDD 患者 13 名によるコホート研究
非
を行ったところ、AUC は 0.89 となり、血漿 PEA をバイオマーカーとしたときの MDD 判
別性能の再現性を確認しました。これらの結果は、血漿中の PEA 濃度は MDD の有望なバ
イオマーカー候補であることを示しています。
News Letter
※1 構造化面接法
あらかじめ設定された仮説に沿って、事前に質問すべき項目を決めておき、仮説の妥当性を検証するた
めのデータを統計的に収集することを目的とした面接法。
※2 受信者操作特性曲線(ROC)
スクリーニング検査等の精度の評価や従来の検査と新しい検査の比較に用いられる曲線。
※3 曲線下面積(AUC)
ROC 曲線を作成した際のグラフの曲線より下の部分の面積。
※4 感度
ある検査について陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率。
※5 特異度
ある検査について陰性のものを正しく陰性と判定する確率。
2.掲載論文
雑誌名:Psychiatery and Clinical Neurosciences
題名: Plasma metabolome analysis of patients with major depressive disorder.
著者: Noriyuki Kawamura, M.D., Ph.D., Kosaku Shinoda, Ph.D., Hajime Sato,
M.P.A.S., Kazunori Sasaki, M.S., Makoto Suzuki, P.C., Ph.D., Kumi Yamaki,
K.L.S., Tamaki Fujimori, Ph.D., Hiroyuki Yamamoto, Ph.D., Douglas Osei-Hyiaman
M.D., Ph.D., Yoshiaki Ohashi, Ph.D.
3.今後の見通し
当社および連結子会社である HMT バイオメディカル株式会社では、PEA を簡易に測定
するための「PEA 測定試薬キット」の開発に取り組んでおります。
本論文掲載により、精神神経領域を中心とした学会内において、有望なバイオマーカ
ー候補としての PEA の認知度が向上し、体外診断用医薬品として、
「医薬品、医療機器
等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」上の承認を得るための
準備(臨床性能試験等)が加速することが期待されます。
以上
News Letter
※
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社(HMT)について
HMT は、鶴岡市にある慶應義塾大学先端生命科学研究所の研究成果をもとに 2003 年に創
立したバイオベンチャーです。企業や公的研究機関などの研究者を対象に代謝物質の解析
サービスの提供や特定の疾患を客観的に評価するバイオマーカーを活用した臨床検査開発
を進めております。創立 10 周年を迎えた 2013 年 12 月には東証マザーズに上場いたしまし
た。 (http://humanmetabolome.com/)
ニュースについてのお問い合わせ先
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社
経営管理本部 雀部(ササベ)
TEL 03-3551-2180 FAX 03-3551-2181
invre1@humanmetabolome.com
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