JAXA宇宙探査イノベーションハブ共同研究テーマ成果公表のお知らせ

2022 年 12 月 8 日


JAXA 宇宙探査イノベーションハブ共同研究テーマ成果公表のお知らせ




当社は、2021 年 10 月に JAXA 宇宙探査イノベーションハブに研究テーマ提案が採択され(テー
マ名:月面で使用可能な計量の水素遮蔽コーティング材料の開発)
、2021 年 12 月より 2022 年 11
月までの間、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)、国立研究開発法人産業技術総
合研究所(以下、産総研)と 3 者共同研究を行ってまいりました。この度、当社 HP にて『成果報
告』と『技術資料』の第一報を公開いたします。当社は、本成果で得られた高機能ガスバリア材料の
早期社会実装を目指すべく、引き続き製品化に向けて取り組んでまいります。


【JAXA 宇宙探査イノベーションハブ HP】
https://www.ihub-tansa.jaxa.jp/


【成果報告】
本資料の 2~3 ページをご参照ください。


【技術資料】
本資料の 4~5 ページをご参照ください。


【展示会での公開について】
上記『成果報告』と『技術資料』につきましては、2023 年 2 月 1~3 日に東京ビッグサイトで
開催される新機能性材料展 2023(産総研 東北センターが出展)および nano tech 2023(当
社が出展)の展示ブースでも公開されます(12 月 9 日より、各展示会のオンライン版を公開)。
https://unifiedsearch.jcdbizmatch.jp/nanotech2023/jp/convertech/details/LZ1oKZHdyLQ
https://unifiedsearch.jcdbizmatch.jp/nanotech2023/jp/nanotech/details/s92u5JlxuwQ



【本技術に関する問い合わせ窓口】
クニミネ工業株式会社 いわき研究所 篠木進(shinoki-s44@kunimine.co.jp)
月面で使用可能な軽量の水素遮蔽コーティング材料の開発

クニミネ工業株式会社、産業技術総合研究所、宇宙航空研究開発機構
水素社会に向けて水素遮蔽技術は、貯蔵、輸送、利用のあらゆる場面での需要が見込まれる。
月面基地での水素利用を想定した場合、水の電気分解と燃料電池を組み合わせたエネルギー
貯蔵システムにおいて、水素の遮蔽技術は必要不可欠となる。特に日照時の月面温度は120℃
にもなるため、100℃を超える環境下でも使用できる水素遮蔽材料の開発を行った。

評価方法
コーティング膜の評価は水素と同等の透過度を示す
Heを使用。Heリークディテクターを検出器とした高
温対応のHe透過試験装置を開発し、40℃~160℃の
範囲でのHe透過度の測定を行った。 コーティング膜
塗工液
基材:ポリイミドフィルム
He透過試験結果
精製スメクタイトであるクニピア-M(クニミネ工業社製)と樹脂を混合した塗工液を作製し、
コーティング膜を作製・評価した。160℃でも優れたガスバリア性を示す配合が見つかった。


40℃
40℃ 160℃
160℃



高いガスバリア性




樹脂成分 樹脂成分


宇宙適合性試験結果
宇宙環境として放射線暴露、及び-150℃(月面の夜間温度)暴露試験を実施。
性能低下はみられなかった。

放射線暴露試験 -150℃暴露試験




開発した材料について
本事業で開発したコーティング液は100℃を超える環境でも優れたガス遮蔽性能を誇るガス
バリア層を形成する。水素社会のインフラである配管・継ぎ手・タンクなどの用途への応用
が期待される。
本研究開発はJAXA宇宙探査イノベーションハブ事業の中で行われました。

本材料の問い合わせ先:クニミネ工業株式会社 篠木進(shinoki-s44@kunimine.co.jp)
技術資料 水素ガスバリア塗料の開発
高温領域でのハイバリア性



1.はじめに
クリーンエネルギーとして水素の利活用技術は、急速に展開されつつあります。一方
で、水素は非常に小さな気体分子であり、遮蔽することが難しい気体の一つです。さら
に金属に対し、水素脆性を示すことからも、水素を遮蔽できる素材は限定的です。
無機材料であるモンモリロナイトは結晶であるため水素の溶解に強く、さらに膜化す
ることで配向するため、拡散にも強い構造を形成します。今回、そのモンモリロナイト
を主成分とした水素ガスバリアを目的としたバリア塗料を産業技術総合研究所と共同で
開発しました。

2.膜のガス透過度の温度依存性

気体分子は高温になればなるほど
透過(拡散)しやすい




開発品はハイバリアを維持




水素とヘリウムの動的分子径は殆ど同じであるため、ヘリウムガス透過度を水素ガス
透過度の代替指標としております。
(参考)水素ガスとヘリウムガスの比較
水素 (H2) ヘリウム (He)

分子量 2.02 4.00
動的分子径(nm) 0.289 0.260
3.水素ガスバリア塗料(開発品)の特徴


・水系塗工液(~8wt%)
・粘土と樹脂より構成
・塗工、乾燥にて膜を形成

※ 固形分濃度、粘度は調整可能

塗料外観


4.塗膜の観察像




ポリイミドフィルム
への塗工例
ナイロンだと
塗工条件:バーコーター(100μm)
乾燥条件:80℃×2h+160℃×1h 5cm厚に相当




関連論文・特許
1. T. Aizawa, T. Ebina, M. Kubota, Clay Science, 25, 21-25 (2021)
2. T. Aizawa, M. Kubota, T. Ebina, Applied Clay Science, 226, 106571(2022)
3. T. Aizawa, M. Kubota, T. Ebina, Clay Science, (in press, advance publication by J-STAGE)
4. 特開2022-112645



本技術データはJAXA宇宙探査イノベーションハブ第7回研究提案募集(RFP)採択案件
「月面で使用可能な軽量の水素遮蔽コーティング材料の開発」における成果となります。



〒101-0032 東京都千代田区岩本町一丁目10番5号
TEL 03-3866-7251 FAX 03-3866-2256
KJ-03-2211-01

7392