オハラのガラスセラミックス「LICGC(TM)粉末材」を車載用リチウムイオン電池の正極に添加することによる充電時間の短縮を確認

Press Release

2017 年 12 月 14 日
株式会社オハラ

オハラのガラスセラミックス「LICGC™粉末材」を
⾞載⽤リチウムイオン電池の正極に添加することによる
充電時間の短縮を確認

株式会社オハラ(本社:神奈川県相模原市、代表取締役社長執行役員:齋藤弘和)は、車載用
電源として普及が進んでいるリチウムイオン電池の三元系(NMC)正極に、リチウムイオン伝
導性ガラスセラミックス「LICGC™粉末材」を添加することで、高電流時に正極の充電時間を
20%短縮、併せて出力特性が 21%向上することを確認しました。現行の正極生産プロセスに適
合し、 正極の特性改良に寄与するリチウムイオン電池向けガラスセラミックス材料として、 早期
の採用に向けて今後開発を進めてまいります。




5.0μm



左写真:走査型電子顕微鏡(SEM)による「LICGCTM 粉末材」を添加した三元系(NMC)正極の断面観察像

右写真:エネルギー分散型 X 線分析装置(EDX)による材料分布評価 「LICGCTM 粉末材」(黄)


三元系(NMC)正極材(青)、導電助剤およびバインダー(赤)



高電流(3C)時に 21% 容量向上




充電時間 20% 短縮




出力特性評価 充電特性評価
「LICGC TM 粉末材」を三元系(NMC)正極に 「LICGC TM 粉末材」を三元系(NMC)正極に

添加することによる出力特性の向上を確認 添加することによる充電時間の短縮を確認



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地球温暖化対策として CO2 排出量を削減するため、ガソリン車やディーゼル車から電気自動車
(EV)への転換が期待されており、その鍵となるのが車載用リチウムイオン電池の性能向上です。
EV の航続距離拡大を目的として電極材料を高充填することによる体積エネルギー密度(単位体積の
もつエネルギー量)向上施策が行われていますが、一般的に電極材料を高充填するほど、EV の加速
性能や充電時間に影響する電池の入出力特性は低下します。
当社はリチウムイオン伝導性ガラスセラミックス「LICGC™粉末材」を車載電池に用いられている
三元系(NMC)を正極材とした正極に微量添加し、市販電池の配合・膜厚設計に準じて試作した三
元系(NMC)正極で入出力特性の向上を確認しました。
「LICGC™粉末材」を添加した正極と比較対
象として「LICGC™粉末材」が未添加の正極と体積エネルギー密度を揃えて比較した場合、
「LICGC
™粉末材」の添加により出力特性は高電流時(3C:1 時間で電池の容量を全て放電する電流に対し、
3 倍の速さで急速放電させた場合)で 21%の向上、充電時間では 20%の短縮がみられました。その
他の電池特性(低温時の放電特性、サイクル容量維持率)に対しても向上がみられています。
「LICGC™粉末材」は現行の電極製造プロセスを変えることなく正極内に導入可能で、正極塗工液
調製の段階で正極を構成する材料である正極材やバインダー等との混合により分散分布させられま
す。正極内部で添加した「LICGC™粉末材」の占有体積は有機電解液と一部置換することになるので、
電池容量を維持したまま入出力特性を向上させることができます。「LICGC™粉末材」の添加効果を
活かし、入出力特性を維持しながら電極材料を高充填することによるエネルギー密度向上に対して
も有効利用が期待できます。また、三元系(NMC)正極材だけでなくモバイル機器等の小型民生用
電池に用いられているコバルト酸リチウムを正極材に利用した場合でも同様の効果を確認しており、
多用途の電池へ応用可能です。電池メーカー各社での評価が進んでおり、早期の採用に向けて今後
開発を進めてまいります。




【LICGC™の特徴】

オハラは、他社に先駆け 1995 年に酸化物系の無機固体電解質であるリチウムイオン伝導性ガラス
セラミックス「LICGC™」を開発しました。「LICGC™」は酸化物系固体電解質のなかでも高いイオ
ン伝導度をもち、また、大気中および水や有機溶剤中で安定かつ不燃性を有する極めて安全性の高
い材料です。現在、「LICGC™」は、全固体リチウムイオン電池およびリチウム空気電池の固体電解
質やリチウム資源回収・精製用選択透過膜として、様々な研究開発機関において利用されています。





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【会社紹介】

当社は 1935 年の創業以来、光学ガラスのリーディングカンパニーとして、デジタルカメラをはじ
めとした各種光学機器向けのガラス素材を開発・供給しています。
また、光学ガラスで培ったナノテクノロジー技術をもとに、様々なガラスセラミックスの開発も
行っており、「LICGC™」のほか、FPD(フラットパネルディスプレイ)露光装置、大型望遠鏡、人
工衛星等の精密ミラーに使用される極低膨張ガラスセラミックス「クリアセラム™-Z」 実用的な透過

率を維持しつつ、極めて高い耐衝撃性を実現した耐衝撃・高硬度クリアガラスセラミックス「ナノ
セラム™」等を展開しています。



【会社概要】

社名 株式会社 オハラ
所在地 〒252-5286 神奈川県相模原市中央区小山 1-15-30
代表者 代表取締役社長執行役員 齋藤弘和
事業内容 光学ガラス・特殊ガラスの製造・販売
資本金 58 億 5 千 5 百万円
従業員数 408 名(2016 年 10 月末)
TEL 042-772-2101(代)
FAX 042-774-1071
MAIL sale@ohara-inc.co.jp
URL http://www.ohara-inc.co.jp/jp/




【本件に関するお問合せ】

株式会社オハラ 特殊品事業部 LB-BU LB 課
担当 加藤高志
TEL 042-718-5770(ダイヤルイン)
FAX 042-774-5760
MAIL tkatoh@ohara-inc.co.jp





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