資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について

2023年11月10日
各 位

会 社 名 あすか製薬ホールディングス株式会社
代 表 者 名代表取締役社長 山口 隆
(コード番号 4886 東証プライム)
問い合わせ先 グループ経営企画部長 小林 秀昭
(TEL.03-5484-8366)

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について

当社は資本収益性向上に向けた取り組み、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
について現状評価を行い、改善に向けた方針・取り組みを継続的に議論してまいりましたので、内
容についてお知らせいたします。



1. 現状評価
当社は「先端の創薬を通じて、人々の健康と明日の社会に貢献する」を経営理念に、2021 年
から 5 か年計画の中期経営計画 2025 において「スペシャリティファーマを基盤としたトータ
ルヘルスケアカンパニー」を目指し、取り組みを強化しております。中核である国内医療用医
薬品事業は毎年薬価改定の影響を受けるなど大変厳しい状況が続いていますが、当社の ROE
は 3 期連続増益の中で 8%台まで向上しており、中期経営計画 2025 の目標値である 8%を上回
っている状況です。一方で、PBR は 2019 年 3 月期以降 1 倍割れの状況が続いております。
PBR1 倍割れの背景は、成長戦略の実現性が十分に理解されていないこと、対外的な発信が十
分でなかったこと、また、具体的なキャッシュアロケーションの開示がなく、成長戦略及び株
主還元に対する明確な方向性を示していなかったことが要因であると考えます。加えて、当社
の本業で稼ぐ力について市場の評価が十分に高まっていないことも要因の 1 つであると評価し
ております。

5 か年分の財務指標
2019 年 2020 年 2021 年 2022 年 2023 年
3 月期 3 月期 3 月期 3 月期 3 月期
売上高 百万円 46,706 52,542 55,181 56,607 60,461
営業利益 百万円 1,782 1,507 3,609 4,795 5,108
当期純利益 百万円 1,744 649 2,713 4,290 4,238
ROE % 4.1 1.5 6.3 8.8 8.2
PBR 倍 0.76 0.72 0.97 0.73 0.65
期末株価 円 1,146 1,098 1,471 1,263 1,189

2. 改善に向けた方針
市場評価の改善に向け、決算説明会やパイプライン説明会などの実施を通じ成長戦略を発信
する IR 活動を引き続き強化してまいります。また、成長戦略の実現性を高めるとともに株主
の皆様への期待に応えるため、最適なキャッシュアロケーションを検討し、資本コストや株価
を意識した経営の実現に向けて対応をしてまいります。政策保有株式については純資産に占め
る比率を 2024 年 3 月末までに 20%未満にすることとして、継続的な縮減を図っていきます。


3. 具体的な取り組み
1)成長戦略
医療用医薬品事業においては、産婦人科領域でリーディングカンパニーとしての立ち位
置を更に強化し、アニマルヘルス事業においてはコンパニオンアニマル領域への事業展開
を進めております。研究開発型企業として創薬研究を強化するとともに、トータルヘルス
ケアカンパニーとして更なる成長のため、事業活動で獲得したキャッシュを医療用医薬品
事業に加えて、2025 年時点で経済全体に及ぼす効果が 2 兆円と試算されるフェムテックな
どの新規事業、更には海外展開などの各分野に投資することで、従来にも増して成長戦略
を実施してまいります。同時に人的資本への投資、生産設備の更新・拡充など、経営基盤
の強化にも尽力してまいります。


2)株主還元の強化
当社は株主還元を重要な経営課題と認識しております。従来の方針として株主の皆様に
対して安定的かつ継続的な配当を実施することを基本方針としておりました。2024 年 3 月
期は堅調な業績に加え、政策保有株式売却に伴う特別利益を考慮し、従来の一株当たり年
間 20 円の配当から同年間 40 円の配当に引き上げる予定です。2025 年 3 月期以降は業績連
動利益配分方式に移行し、連結配当性向 30%を目安としてまいります。また、一株当たり
配当金の下限は年間 30 円として、業績に連動した利益還元を行いつつ安定的な配当を維
持してまいります。自社株式取得については、成長投資、配当水準、手元資金や株価水準
などを総合的に勘案し、適切なタイミングで機動的に実施していくことを検討いたしま
す。


3)IR 活動の強化
成長戦略に関する理解を深めて頂く機会を更に創出してまいります。個人投資家・機関
投資家向け説明会の強化、株主や投資家との建設的な対話(IR ミーティング)の継続、ス
モールミーティングやパイプライン説明会など、新たな対話の機会を提供していきます。
また、当社の認知度を向上させるため、サステナビリティ活動や各種情報開示を充実さ
せ、ホームページへの掲載情報を拡充してまいります。

以 上
資本コストや株価を意識した
経営の実現に向けた対応について





事業環境



事業環境について
毎年の薬価改定などの医療費抑制政策、医薬品の品質・供給問題、
創薬難易度の上昇などによる市場環境の変化に加えて、ロシア・ウクラ
イナ紛争を始めとする国際情勢の変化、世界的サプライチェーンの混乱、
エネルギー、原材料、賃金などの上昇に伴うコスト増など社会環境の変
化が重なり大変厳しい状況が継続。


今後の見通しは不透明で、厳しい状況が続くと想定されるが、
外部環境の変化に対応し成長を目指していく

PBRとROEの推移

PBR ROE(自己資本当期純利益率)
PBR(倍) ROE(%)
1.40 8.8 10.0
1.21 8.2 9.0
1.20
1.14 8.0
1.05
0.95 5.8 6.3 7.0
1.00 7.8 6.0
0.87 4.1 5.0
0.80 3.4 0.72 0.97 0.73 4.0
0.65
1.5 1.9 0.76 1.5 3.0
0.60 2.0
1.0
0.40 0.0
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期



PBR1倍割れの現状を踏まえ、現状評価を行い改善に向けた方針、
具体的な取り組み等について役員会にて複数回の協議を実施

※2014-20233月期までのPBRは期末株価にて算出、2014年~2021年3月期はあすか製薬株式会社、
2022年3月期以降はあすか製薬ホールディングス株式会社 3
現状評価と改善に向けた方針

【現状評価】
✓ 当社のROEは3期連続増益の中で8%台まで向上しており、中期経営計画最終年度である
2026年3月期の目標値8%を超えている状況。
✓ 一方でPBRは2019年3月期以降1倍割れの状況が続いている。成長戦略の実現性が十分
に理解されていないこと、また、具体的なキャッシュアロケーションの開示がなく、成長戦略およ
び株主還元において明確な方向性を示していなかったことが要因であると評価。

【改善に向けた方針】
市場評価の改善に向け、決算説明会やパイプライン説明会などの実施を通じ成長戦略を発信するIR
活動を強化する。また、成長戦略の実現性を高めるとともに、株主の皆様への期待に応えるため、最適
なキャッシュアロケーションを検討し、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて対応をしていく。
政策保有株式については純資産に占める比率を2024年3月末までに20%未満として、継続的な縮減
を図っていく。



具体的な取り組み ① 成長戦略

トータルヘルスケアカンパニーへ 成長戦略の実施

⚫ 医療用医薬品事業
産婦人科領域でリーディングカン
パニーとしての立ち位置を更に強化
産婦人科領域
フェムテックなど リーディングカンパニー ⚫ 新規事業の確立
海外展開 トータルヘルスケアカンパニーとして
新規事業
フェムテックなど医療用医薬品周辺
領域における新規事業の確立


内分泌ホルモン 女性ヘルスケア
⚫ 海外展開
あすかグループ 成長を続ける東南アジア市場を
微量検体測定 の強み 中心に海外へ展開
アニマルヘルス
(非侵襲性検査)




具体的取り組み ① 成長戦略
将来の成長に向けたキャッシュアロケーション
FY2020-2022 FY2023-2025
成長原資 投資の方向性 目的 配分
(過去の内訳) 研究開発、事業開発強化による
医薬品事業
パイプライン拡充
成長投資 フェムテック、CVC、デジタルヘルス
経営基盤の強化
営業CF※ 成長 150億
200億 新規分野
営業
67億 投資 検査、アニマルヘルス(CA) +α
CF
127億 負債返済 海外展開 東南アジアでの事業確立
その他
45億 政策保有株式売 M&A 成長に必要な能力獲得
却に伴うキャッシュ 生産設備更新・拡充
株主還元* 16億 30億
経営基盤の強化 デジタルトランスフォーメーション 30-40億
固定 人的資本への投資
資産
手元資金増 102億
売却等
資金調達(+α)
103億 株主還元 配当、自社株買い 30‐40億


*配当+自社株買い ※想定営業利益+減価償却費 ✓ 自己資本比率 50%超は維持
+研究開発費(除く固定費)

参考 現金同等物 175億
2023.3月 有利子負債 126億 6
具体的取り組み ② 株主還元の強化

◆ 株主還元方針の見直し 1株当たり配当額 (円) 配当性向 (%)
✓ 2024年3月期は堅調な業績に加え、 40
80%





政策保有株式売却に伴う特別利益を 40




70%

勘案し、一株当たり配当金を40円に増 74.0%
配予定。





60%



✓ 25年3月期以降は業績連動利益配分





55.7% 50%


として、連結配当性向30%を目安とす 25




20 40%
る。また、一株当たり配当金の下限は 17 16 * 16





年間30円として、業績に連動した利益 14 14 14 14 14 30%


還元を行いつつ安定的な配当を維持





20%
する。 22.7%





16.5% 18.1%
◆ 自己株式取得の検討
10%





13.3% 14.6%
10.7% 9.1%
✓ 成長投資、配当水準、手元資金や株 5.3%


0%

2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2024年(3月期)
価水準などを総合的に勘案して機動的 年初 修正
な対応を検討する。 *2022年3月期の中間配当は、その他資本剰余金からの配当であり、配当性向から除外して算出しています。



具体的取り組み ③ IR活動の強化

◆ 個人投資家、機関投資家向け決算説明会の強化
◆ 株主や投資家との建設的な対話(IRミーティング)の継続
◆ スモールミーティングやパイプライン説明会など、新たな対話の機会創出
◆ IRミーティングなどで得られた意見について、適宜取締役会に報告し、レビュー実施
◆ ホームページ掲載情報および、英訳対応の拡充による情報開示の充実


個別IR面談回数
78回
延べ面談人数
98名実施回数


機関投資家向け決算説明会 個人投資家向けIRセミナー開催 IR個別ミーティング(2023年3月期実績)
(Web開催 5月、11月) (2023年2月、8月 アーカイブ配信中)



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