脊髄損傷に対するHGF(肝細胞増殖因子)治療を応用した複合的研究に関する共同研究について

各位 2021 年 2 月 10 日
クリングルファーマ株式会社


脊髄損傷に対する HGF(肝細胞増殖因子)治療を応用した
複合的研究に関する共同研究について

クリングルファーマ株式会社(本社:大阪府茨木市、代表取締役社長:安達喜一、以下「クリングルファ
ーマ」)と慶應義塾大学医学部(東京都新宿区)は、脊髄損傷に対する HGF 治療を応用した複合的研究
に関する共同研究契約を締結しましたので、お知らせいたします。


クリングルファーマと慶應義塾大学医学部生理学教室(岡野栄之教授)および整形外科学教室(中村
雅也教授)は、これまでに脊髄損傷を対象に組換えヒト HGF タンパク質製剤(開発コード:KP-100IT)の
開発について協働し、脊髄損傷動物モデルでの非臨床薬効試験から、脊髄損傷急性期患者での第Ⅰ/
Ⅱ相臨床試験および第Ⅲ相臨床試験(現在実施中)へと開発を進めてまいりました。


HGF には、脊髄損傷急性期に起こる損傷範囲の拡大(二次損傷)を抑制する薬理作用があると考えら
れています。また、HGF は軸索進展の促進など神経を再生する作用もあるので、他の治療手段と併用
することにより、急性期はもとより亜急性期から慢性期にかけても運動機能の更なる改善に寄与する可
能性があります。今回の共同研究では、開発が後期段階にある KP-100IT と慶應義塾大学が保有する
iPS 細胞由来神経前駆細胞の移植技術などを組み合わせて、KP-100IT のより効果的な投与方法や投
与のタイミングを検討し、併用療法により更なる運動機能の回復が得られる可能性を探索するために、
脊髄損傷動物モデルなどを用いた非臨床研究を行います。


クリングルファーマは、本共同研究を端緒として HGF の新たな付加価値を創出し、最終的には、有効
な治療法が十分に確立されていない全ての脊髄損傷患者に対し、急性期、亜急性期、慢性期の各ステ
ージにあわせた最適な次世代治療法を提供することを目指してまいります。




HGF(Hepatocyte Growth Factor, 肝細胞増殖因子)について:
HGF は、成熟肝細胞の増殖を促進する生体内タンパク質として日本で発見されました。その後の研究
から、HGF は細胞増殖に加えて細胞運動促進、細胞死抑制、形態形成誘導、抗線維化、血管新生など
多彩な生理活性を有し、肝臓のみならず、神経系、肺、腎臓、心臓、皮膚など様々な組織・臓器の再生と
保護を担うことが明らかになりました。
脊髄損傷について
脊髄損傷は、交通事故や転倒などにより脊髄が損傷を受けると、損傷部以下の運動・感覚・自律神経
系の麻痺を起こす病態です。適切な初期治療と専門的なリハビリテーションにより、一定の回復が望め
るものの、多くの場合は四肢の運動・感覚麻痺、膀胱・直腸障害などの重度の後遺障害が残ります。脊
髄損傷患者は国内で毎年約 5,000 人が受傷し、慢性期患者を含めると患者数は 10~20 万人と推定さ
れます*。

出典:坂井宏旭ら「わが国における脊髄損傷の現状」(2010)


iPS 細胞由来神経前駆細胞について
慶應義塾大学医学部生理学教室の岡野栄之教授、整形外科学教室の中村雅也教授らが、iPS 細胞
由来神経前駆細胞による亜急性期脊髄損傷の再生医療の研究を進めています。詳細は慶應義塾大学
の HP をご参照ください。http://www.med.keio.ac.jp/news/2019/2/18/5-51335/index.html


クリングルファーマ株式会社について https://www.kringle-pharma.com/
「難治性疾患治療薬の研究開発を行い、難病に苦しむ患者さんに対して画期的な治療手段を提供し、
社会に貢献すること」を企業理念として、HGF タンパク質製剤の医薬品開発を中心に事業を進めていま
す。現在、神経難病の象徴的疾患である脊髄損傷急性期および ALS(筋萎縮性側索硬化症)を対象に
レイトステージの臨床試験を推進しています。当社は、HGF タンパク質性医薬品の社会実装を通じて新
たな価値を創造し、人々の健康と幸せに貢献してまいります。


クリングルファーマ株式会社 会社概要
所在地:大阪府茨木市彩都あさぎ 7-7-15 彩都バイオインキュベータ 207
代表取締役社長:安達 喜一


本共同研究に関する報道関係者様お問い合わせ先
クリングルファーマ株式会社 広報
TEL : 072-641-8739 / FAX : 072-641-8730 / E-MAIL : pr@kringle-pharma.com

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