eNK細胞向け細胞加工製造用施設の稼働のお知らせ

2022 年7月5日
各 位
会 社 名 株 式 会 社 ヘ リ オ ス
代表者名 代 表 執 行 役 社 長 C E O 鍵本忠尚
(コード番号:4593 東証グロース)



eNK 細胞向け細胞加工製造用施設の稼働のお知らせ


当社は、iPSC 再生医薬品分野において、固形がんを対象に、遺伝子編集技術により特
定機能を強化した他家 iPS 細胞由来 NK 細胞*1(開発コード:HLCN061、以下、eNK 細胞
と言います。 )を用いた次世代がん免疫細胞療法の研究・開発を推進しております。
2021 年5月にお知らせしました通り、神戸医療イノベーションセンター内に、当社向
け細胞加工製造用施設(Cell Processing Center、以下「CPC」と言います。)の整備を進
めてきましたが、この度、当該施設が本稼働し、eNK 細胞の治験製品の製造に向けた試
作製造に着手いたしましたのでお知らせいたします。

本 CPC では、当社が確立した効率的かつ安定的な eNK 細胞の大量生産が可能な三次元
培養法*2(バイオリアクターを用いた三次元灌流培養法)を用いて、1回の培養で約 1,000
億個の eNK 細胞の製造を見込んでおります。CPC の稼働により eNK 細胞の治験に向け
た準備を進め、世界中の患者さんに固形がんの疾患に対する新たな治療法と希望を届ける
ことを目指します。




<細胞加工製造用施設の概要>
(1)所在地:
兵庫県神戸市中央区港島南町6丁目3−5
神戸医療イノベーションセンター(KCMI)内
(2)延床面積:約 240m²
(3)使用目的:
GCTP*3/GMP*4 に準拠した iPSC 再生医薬品の
治験製品の製造




以上



*1 NK 細胞
NK(ナチュラルキラー)細胞は、人間の体に生まれながらに備わっている防衛機構で、
がん細胞やウイルス感染細胞などを攻撃する白血球の一種です。さらに白血球の分類に





おいてはリンパ球に分類されます。NK 細胞を用いた治療の有効性としては延命効果、症
状の緩和や生活の質の改善、治癒が期待されています。

*2 eNK 細胞の三次元培養法
iPS 細胞から造血前駆細胞を作製後、この造血前駆細胞から eNK 細胞へ分化誘導し大
量培養を行います。 これらの過程を完全閉鎖系かつ培地交換を連続自動で行うことで、 効
率的かつ安定的に eNK 細胞の培養が可能となっています。当社は、3L サイズのバイオ
リアクターを用いた三次元灌流培養法を確立し、eNK 細胞の大量生産を実現しました。
さらに、細胞培養からバイアルへの分注、eNK 細胞に適したヘリオスオリジナルの細胞
凍結法などのプロセスも確立しています。

*3 GCTP
Good Gene, Cellular, and Tissue-based Products Manufacturing Practice の略で再生医療等製
品の製造管理及び品質管理の基準のことです。

*4 GMP
Good Manufacturing Practice の略で医薬品の製造管理及び品質管理の基準のことです。



■ヘリオスeNK細胞について
eNK 細胞は、遺伝子編集技術により細胞傷害活性の増強だけでなく、患者免疫細胞の
リクルート(呼び込み)や固形がんへの浸潤特性も強化された、当社独自の遺伝子編集
iPSC-NK 細胞プラットフォームです。
当社では、自社研究の成果として、eNK 細胞の作製に成功するとともに、eNK 細胞が
ヒト肺がん細胞生着マウスモデルやヒト肝がん細胞生着モデルマウスに対して抗腫瘍効
果を有することを確認しました。 また、国立研究開発法人国立がん研究センターと現在共
同研究にて、 国立がん研究センターが保有する複数種類のがん種に由来する PDX (Patient-
Derived Xenograft:患者腫瘍組織移植片)マウスを用いて eNK 細胞の抗腫瘍効果等の評価
を進めております。さらに、国立大学法人広島大学大学院と、eNK 細胞を用いた肝細胞
がんに対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を、兵庫医科大学と、eNK 細胞を用い
た中皮腫に対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を進めております。 当社は、治験の
開始に向けて、eNK 細胞が抗腫瘍効果をより発揮しやすい固形がんの種類の探索・評価
を進めています。

■株式会社ヘリオスについて
再生医療は、世界中の難治性疾患の罹患者に対する新たな治療法として期待されてい
る分野であり、製品開発・実用化へ向けた取り組みが広がり、近い将来大きな市場とな
ることが見込まれています。ヘリオスは、iPS細胞(人工多能性幹細胞)等を用いた再
生医薬品開発のフロントランナーとして、実用化の可能性のあるパイプラインを複数保
有するバイオテクノロジー企業です。2011年に設立、2015年に株式上場(東証グロー
ス:4593)し、再生医薬品の実用化を目指して研究開発を進めています。
独自の遺伝子編集技術を用いて免疫拒絶のリスクを低減する次世代iPS細胞、ユニバ
ーサルドナーセル(UDC: Universal Donor Cell)を作製し、がん免疫領域、眼科領域、肝
疾患等において、iPS細胞技術を用いた新たな治療薬の創出のための取り組みを進めて
います。iPS細胞由来の再生医療等製品としての第一候補であるHLCN061は、固形がん





に対する殺傷能力を遺伝子編集により強化した次世代のNK細胞治療薬です。また、現
在、体性幹細胞再生医薬品を用いて日本国内における脳梗塞急性期および急性呼吸窮迫
症候群に関する治験を実施しています。(詳細はhttps://www.healios.co.jp/をご覧くださ
い)




本件に関するお問合せ先
コーポレートコミュニケーション室
ir@healios.jp





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