お問い合わせへの回答に関するお知らせ

2023年11月27日
各 位
会 社 名 オンコリスバイオファーマ株式会社
代 表 者 名 代 表 取 締 役 社 長 浦 田 泰 生
(コード番号:4588)
問 合 せ 先 取 締 役 吉 村 圭 司
(TEL.03-5472-1578)


お問い合わせへの回答に関するお知らせ
当社は、フェア・ディスクロージャーの観点から、当社にご関心をお寄せいただいている
ステークホルダーの皆さまへの公平な情報開示の必要性を鑑み、お問い合わせ頂いたご質問
に対して、まとめて回答を差し上げています。

1. お問い合わせ回答

【ご質問】OBP-601 について
2023 年 11 月 15 日に開示された「国際アルツハイマー・パーキンソン病学会における
OBP-601 の進行性核上性麻痺 Phase2a 試験に関する中間結果報告のお知らせ」を拝見し
ました。PSP において初めて NfL 値を低下させたことは素晴らしい結果だったと思いま
すが、このバイオマーカーを低下させる意義について、詳しく解説頂けないでしょうか。

ご質問にお答えするにあたり、 「①進行性核上性麻痺(PSP)の概要及び Phase2a 試験の補
足説明」「②バイオマーカー変化に基づいて承認された他社事例」を踏まえて、バイオマー

カーNfL 低下の意義についてご説明いたします。

① 進行性核上性麻痺(PSP)の概要及び Phase2a 試験の補足説明
PSP は、大脳基底核、脳幹、小脳などの神経細胞が減少することにより、歩行障害や転倒、
下の方が見えにくい、喋りにくい、飲み込みにくいなどの症状が出現し、平均 4~5 年で寝
たきりとなってしまう神経難病です。
PSP 患者さまの脳内では「神経原線維変化」と呼ばれる病理学的所見が見られます。「神
経原線維変化」とは、タウ蛋白が異常に沈着した病理像を示しており、プレスリリースでご
報告したとおり、この病理像が見られる疾患群を「タウオパチー」と総称します。但し、こ
のような病変が起こる機序の詳細は現在も解明されていません。

バイオマーカーとは、疾患の診断や重症度、あるいは治療効果を推定する指標のことです。
先述した通り、PSP 患者さまではタウ蛋白の沈着により神経細胞が減少します。プレスリリ
ースで発表したバイオマーカーであるニューロフィラメント軽鎖(NfL)は、神経細胞の骨
格を形成する主要成分であり、神経細胞に特異的なタンパク質です。神経細胞が局所の炎症
反応などによって損傷されることにより NfL が脳脊髄液や血液へ放出され、それを測定する
ことで病気の状態を感知できることが分かっています。




今回の結果では、OBP-601 は PSP 患者さまの脳脊髄液中の NfL を低下させる化合物である
ことが確認されました。今後はさらに長期間の投与において、PSP 患者さまにおける安全性
とバイオマーカーや機能検査などを行い、 OBP-601 が PSP の治療選択肢となりうるかを確認
していきます。
また、OBP-601 の進行性核上性麻痺 Phase2a 試験(以下、「本治験」)で特に重要な点は、
血液中ではなく「脳脊髄液」中の NfL 値を低下させたことです。血液検査は比較的容易に測
定可能ですが、血液中のバイオマーカーの値は患者さまの代謝能や排泄能による影響を受け
て変動する可能性があります。一方で、脳脊髄液は、脳と脊髄を満たしている透明な液体で
す。血液と比較して採取は困難ですが、本治験では中枢神経系に直接接している脳脊髄液を
検査したため、得られた NfL 値が神経細胞の損傷を反映する確からしさに大きな意義があり
ます。
さらに、OBP-601 は、脳脊髄液中で神経炎症のバイオマーカーである IL-6 を低下させまし
た。NfL は神経細胞の損傷を示すマーカーですが、この損傷の過程において神経炎症が関与
していると示唆されたことは大きな意義となります。また、脳脊髄液中のこれらバイオマー
カーの変化により、研究段階のみならず、臨床においても OBP-601 が脳内に移行して作用す
ることが示唆されました。神経変性疾患は、発症機序が未解明な難病ですが、この度の試験
結果が重要なエビデンスとなる可能性があります。

② バイオマーカー変化に基づいて承認された他社事例
先述した通り、PSP では脳の神経細胞が損傷されて NfL が放出されます。脳脊髄液中の
NfL が低下するということは、神経細胞の損傷が抑えられていることを示唆しています、
神経難病における NfL 低下の重要性を示す事例としてバイオジェン社の筋萎縮性側索硬化
症(ALS)治療薬であるトフェルセンが挙げられます。詳細は、バイオジェン社プレスリ
リース:https://www.biogen.co.jp/news/2023-04-27-news.html をご覧ください。
このケースの特筆すべき点は、臨床機能の改善に基づいた主要有効性評価項目を達成する
ことはできなかったものの「神経変性(損傷)のマーカーである血漿ニューロフィラメント
軽鎖(NfL 値)の減少」に基づいて 2023 年に米国食品医薬品局 FDA より迅速承認が行われ
たということです。
FDA は本結果について、 「NfL 値の低下が患者に臨床的利益もたらすと合理的に予測でき
る」としてバイオマーカー変化に基づいて迅速承認を行いました。なお、臨床的有効性のエ
ビデンスを確立するにあたり、現在バイオジェン社は Phase3臨床試験を実施しています。
今回、頂いたご質問への回答にあたり、ご紹介させて頂いたトフェルセンのケースで重要
なことは、臨床的に有効な治療薬がなく多くの患者さまがお困りになられている神経難病に
おいて、 「①NfL 値の低下が、臨床的ベネフィットを予測するのに合理的に妥当であると、
当局とのコンセンサスが得られたこと」「②バイオマーカーが臨床効果への予測因子と判断

され、患者さまにとってリスクよりも臨床的利益が上回ることが合理的に予測できる場合、
より早く治療を提供するために『迅速承認』が支持されたこと」です。

OBP-601 による NfL 値の低下は、アルツハイマー病など他のタウオパシーに対象疾患を拡
げられる可能性が示唆されたことに加えて、薬を承認申請する局面においても非常に重要な
データとなる可能性があります。本治験結果が、OBP-601 の医薬品としての承認を保証する
ものではないことにご留意頂く必要がありますが、トフェルセンのケースは、バイオマーカ
ーの意義について理解を深めて頂くとともに、当社が導出しているパイプラインの価値の大
きさについてご理解頂ける具体的事例であると考えています。当社は Transposon 社による今
後の開発推進に期待しています。



2. 免責事項
・業務上の守秘義務やインサイダー情報管理の観点から、お問い合わせいただく全ての
ご質問に回答することは難しく、よくいただくご問い合わせを抜粋の上、本資料にま
とめています。
・回答内容につきましては、ご質問をいただきました時点での当社の状況及び予測に基
づいており、将来にわたって正確性が約束されたものではないことについてご理解賜
りますよう宜しくお願いいたします。

・医薬品(開発中のものも含む)に関する情報が含まれておりますが、宣伝広告、医学
的アドバイスを目的としているものではありません。

3. その他
当社は、HP に「IR お問い合わせ」ページを設置しています。ご意見・ご不明点等に
つきまして、以下のリンク先、若しくは QR コードからお問い合わせをお願いします。

https://www.oncolys.com/jp/inquiry.html




以 上





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