大腸がん治療薬 抗EGFR抗体薬の投薬前検査に有用なRAS遺伝子変異検査試薬の製造販売承認および発売について

平成 27 年2月9日
各 位



会 社 名 株式会社 医学生物学研究所
代表者名 代表取締役社長 佐々木 淳
(JASDAQ・コード4557)
問合せ先 総務部 東 成見
TEL:052-238-1901
FAX:052-238-1440
E-mail:kouhou@mbl.co.jp

大腸がん治療薬 抗 EGFR 抗体薬の投薬前検査に有用な
RAS 遺伝子変異検査試薬の製造販売承認および発売について

株式会社 医学生物学研究所(本社:名古屋市中区、代表取締役社長 佐々木 淳)は、当社子会社
の G&G サイエンス 株式会社(本社:福島県福島市、代表取締役社長 阿部 由紀子)と共同で開発
した、大腸がん治療に用いる抗 EGFR 抗体薬の投薬判断に有用な RAS(KRAS および NRAS)遺
伝子の変異を検出する試薬(製品名:MEBGENTM RASKET キット*1 、以下「本キット」)につい
て、日本国内で初めて体外診断用医薬品の製造販売承認を 1 月 27 日付で取得し、本日(2 月 9 日)
発売いたしましたのでお知らせします。なお本件は、昨年 6 月 19 日付で公表いたしました本キット
の「CE マーク登録について」に記述しました『日本国内の申請』が承認されたことにより発表する
ものです。
大腸がん治療において、抗 EGFR 抗体薬を含む分子標的薬による治療を行う場合は、治療効果が
期待できない患者様への投薬を回避するため、当該治療薬の投与前に KRAS 遺伝子エキソン 2 変異
の有無を調べることが広く行われています。遺伝子研究の進展により、新たに RAS 遺伝子変異
(KRAS 遺伝子エキソン 3、エキソン 4 および NRAS 遺伝子エキソン 2、エキソン 3、エキソン 4
の変異)が存在する場合も、治療効果が期待できないとの報告がなされました。しかし、現在 製造
販売承認されている RAS 遺伝子検査試薬は、 KRAS 遺伝子エキソン 2 変異のみを調べる試薬であり、
日常診療において、変異の有無の確認が望まれるすべての RAS 遺伝子変異(KRAS 遺伝子エキソン
2、エキソン 3、エキソン 4 および NRAS 遺伝子エキソン 2、エキソン 3、エキソン 4 の変異)を調
べることができない状態が続いていました。
抗 EGFR 抗体薬を含む分子標的薬治療を行うためには、上記の 6 領域のエキソン変異を調べるこ
とが必要となりますが、従来技術である直接塩基配列を決定する方法(従来法)では、1)検査に
要する期間の延長、2)検査コストの増加、3)客観的な判定が難しい、課題があります。当社は、
これらの課題を解決できる試薬開発を目指し、本キットを完成するに至りました。
最新の研究成果に基づいて開発した本キットは、Luminex®社の xMAP®技術を用いて、KRAS お
よび NRAS 遺伝子の 6 領域のエキソンに存在する 48 種類のアミノ酸の変化を引き起こす遺伝子変
異を 1 チューブで解析することが可能です。従来法の課題解決として、1)簡便に RAS 遺伝子変異
の有無を調べることができる、2)検査コストの低減につながる、3)結果を数値化することによ
り変異の有無を客観的に判定できる、検査を行うことが可能となるものです。加えて、国内で実施
した臨床性能試験では、従来法と高い相関を示し、KRAS 遺伝子エキソン 2 変異を調べる体外診断
用医薬品とも同一エキソンにおいて高い相関を示すことが確認されております。
大腸がんは世界で 135 万人以上が罹患していると推定され、その治療には世界 90 カ国以上で抗
EGFR 抗体薬が使用されています。本キットが投薬前検査として利用されることで、現行の検査で
は特定できなかった、治療効果が期待できない患者様への投薬を回避でき、より適切な治療を行う
ことが可能となります。今後、本キットの早期の保険適用を目指し、抗 EGFR 抗体薬を国内外に販
売する製薬企業と連携して RAS 遺伝子検査の普及を推進してまいります。
*1 MEBGEN RASKET キットは、以下の研究成果を利用した開発品です。

独立行政法人科学技術振興機構 A-STEP(研究成果最適展開支援プログラム)
実用化挑戦タイプ「中小・ベンチャー開発」
研究課題名:網羅的ゲノム解析に基づく抗 EGFR 抗体薬治療効果予備診断キット



【用語説明】
・ 分子標的薬
がん治療においては、がん細胞の増殖に関係する特定の分子を標的とした治療薬があります。

・ EGFR(上皮成長因子受容体、EGFR:Epidermal Growth Factor Receptor)
細胞膜上に存在し、細胞増殖のスイッチの役割を果たす受容体タンパク質で、EGF などの増殖
因子が結合することで機能します。EGFR は正常な細胞にも存在しますが、一部のがんに於い
て多く発現しており、がん治療の標的となっています。

・ KRAS、NRAS
EGFR からの細胞増殖シグナルを受け取り、下流へ伝達する役割を果たすタンパク質です。

・ エキソン
遺伝子はエキソンとイントロンから構成され、そのうちエキソンは最終的にタンパク質に翻訳
される領域を指します。

【株式会社 医学生物学研究所について】
医学生物学研究所は、昭和 44 年に日本で最初の抗体メーカーとして設立され、現在では、免疫学
的領域のみならず、遺伝子や、遺伝子の翻訳後修飾の領域にも事業を拡大して、臨床検査薬および
基礎研究用試薬の研究・開発・製造・販売を行っています。

○基礎研究用試薬事業
5,000 種類以上の抗体や、特注抗体の受託製造、mRNA の同定キット販売、核酸オリゴや人工遺
伝子など、多くの研究用試薬をグローバルマーケットに向けて販売しています。

○臨床検査薬事業
自己免疫疾患、がん、代謝異常疾患等の検査薬、および遺伝子検査試薬の開発を行っています。
自己抗体診断分野では国内トップメーカーとして製品ラインナップの充実を図り、難治性疾患の多
い当該分野の医療に貢献しています。

○細胞診事業
子宮頸がん検査のためのスライド標本作製システム、原因とされるウイルスの検出・判定試薬、
および細胞採取ブラシ等を販売しています。

【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社 医学生物学研究所 総務部 担当:東
TEL:052-238-1901
FAX:052-238-1440
E-mail:kouhou@mbl.co.jp

以上

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