「独自の血液脳関門通過技術によるライソゾーム病治療薬」が「第48回井上春成賞」を受賞

2023 年 6 月 5 日
各 位




会 社 名 J C R フ ァ ー マ 株 式 会 社
代表者名 代 表 取 締 役 会 長 兼 社 長 芦 田 信
(コード番号 4552 東証プライム市場)
問合せ先 上席執行役員管理本部長 本 多 裕
(TEL 0797-32-1995)

「独自の血液脳関門通過技術によるライソゾーム病治療薬」が
「第 48 回井上春成賞」を受賞

当社は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校名誉特別教授 William M. Pardridge 医学博
士とともに、世界初の血液脳関門通過技術によるバイオ医薬の開発において「第 48 回井上
春成賞」を受賞したことをお知らせいたします。

「井上春成賞」は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の前身の一つ、新技術開
発事業団より創設された賞で、大学や研究機関等の独創的な研究成果をもとにして企業が
開発し製品化した、我が国の優れた技術について研究者及び企業に対して贈られます。7 月
20 日に贈呈式が行われます。

J-Brain Cargo®は脳に存在するバリア機構の壁を超え脳内に薬剤を届けることを実現し
た画期的な技術です。
脳は、血液脳関門(Blood Brain Barrier = BBB)というバリア機構により特定の物質を
除いて血液循環物質から隔離されており、ほとんどのバイオ医薬品は能動的に脳へ移行す
ることができません。そこで、Pardridge 博士らは、生来のシステムとしてヒトに備わって
いる仕組みを利用する「Trojan Horse Technology(トロイの木馬)※」という手法を提唱し
ました。その後、当社がこの手法を用いて、効率的な BBB 通過を実現するためのドラッグ
デリバリー技術として、抗ヒトトランスフェリン受容体抗体を基盤とした J-Brain Cargo®
の開発を成功させました。
(※ギリシャ神話のトロイの木馬の物語のように、本来生態が持つ防御機能を欺いて脳の中に入ることを示す。)


従来の治療法では改善しない中枢神経症状を呈するライソゾーム病に対して、この J-
Brain Cargo®を適用して開発されたムコ多糖症 II 型(ハンター症候群)治療剤「イズカー
ゴ®点滴静注用 10mg(一般名:パビナフスプ アルファ(遺伝子組換え)」は、2021 年 3 月

に日本において製造販売承認、同年 5 月に日本国内で発売され、BBB 通過技術を適用した
世界初のバイオ医薬品となりました。現在は海外市場での発売に向けグローバル臨床第 III
相試験が行われています。
この度の受賞は、J-Brain Cargo®が種々の中枢神経疾患に対して応用可能な基盤技術で
あり、今後様々な疾患への適応拡大が大いに期待されてのものと考えております。
JCRファーマの代表取締役会長兼社長である芦田 信は次のように述べています。
「このような名誉ある賞を受賞でき光栄に思います。当社の J-Brain Cargo®技術は、今ま
で治療ができなかった様々な疾患に対して新たな可能性をもたらす革新的な技術です。当
社は独自の「研究開発力」と「モノづくり力」を結集し、一日でも早く、また一人でも多く
の患者の皆さんに当社でなければできない価値を届けていくことを目指してまいります。 」

カリフォルニア大学ロサンゼルス校名誉特別教授 William M. Pardridge 医学博士は次のよ
うに述べています。
「JCRファーマの脳に対する新規バイオ医薬品開発におけるリーダーシップが認められ、
この度の井上春成賞の受賞となりました。 JCR は、血液脳関門 (Blood-Brain Barrier BBB)

通過型のバイオ医薬品を設計し、リソゾーム酵素の先天代謝異常症であるハンター症候群
に対するバイオ医薬品の製造販売承認を取得した世界で初めての製薬企業です。この疾患
で必要とされる酵素は BBB を通過することができず、既存の補充酵素療法ではその他一般
のバイオ医薬品と同様、脳を治療することができませんでした。一方で、JCR は酵素を再
設計し、 BBB を通過させる 「トロイの木馬」 と遺伝子工学技術を用いて融合させています。
JCR の「トロイの木馬」はモノクローナル抗体で、BBB 上に存在する受容体と結合後に受
容体媒介輸送(receptor-mediated transport:RMT)が起こることで、本抗体の BBB 通過
を可能にします。 トロイの木馬抗体を結合したタンパク質 酵素も同様、 ・ RMT によって BBB
を通過することができるため、ハンター症候群患者の皆さんの脳を治療することが可能と
なります。JCR の技術は BBB への薬剤輸送の課題を解決するものであり、理論上、あらゆ
るバイオ医薬品に適用することが可能です。 将来的には、 アルツハイマー病やパーキンソン
病、 脳腫瘍、 脳卒中など一般的な脳疾患やその他脳の重篤な疾患の治療への応用が期待され
ます。 」

当社は引き続き研究開発とモノづくりを通して、一人でも多くの患者の皆さんとそのご
家族のために JCR でしか作れない医薬品をお届けします。




以 上




ニュースリリースは株主・投資家の皆さまや報道関係者へ、当社の事業に関する最新情
報の提供を目的としたものです。本資料に含まれている医薬品(開発中の物を含む)に
関する情報は宣伝広告、医学的アドバイス等を目的とするものではありません。

6446

新着おすすめ記事