血液脳関門通過型ムコ多糖症II型治療酵素製剤(開発番号:JR-141)米国食品医薬品局よりRare Pediatric Disease指定のお知らせ

2023 年 1 月 18 日
各 位




会 社 名 J C R フ ァ ー マ 株 式 会 社
代表者名 代 表 取 締 役 会 長 兼 社 長 芦 田 信
(コード番号 4552 東証プライム市場)
問合せ先 上席執行役員管理本部長 本 多 裕
(TEL 0797-32-1995)

血液脳関門通過型ムコ多糖症 II 型治療酵素製剤(開発番号:JR-141)
米国食品医薬品局より Rare Pediatric Disease 指定のお知らせ

当社は、血液脳関門通過技術「J-Brain CargoⓇ」を適用したムコ多糖症 II 型(ハンター
症候群)治療酵素製剤[開発番号:JR-141(血液脳関門通過型遺伝子組換えイズロン酸-2-
スルファターゼ、国際一般名:pabinafusp alfa) ]について、2022 年 12 月 16 日に米国食
品医薬品局(FDA)より Rare Pediatric Disease(希少小児疾患、以下、RPD)の指定を受
けましたのでお知らせいたします。

RPD の指定を受けた製品の開発企業は、今後の米国における製造販売承認のための優先
審査バウチャーを取得できる可能性があります。

JR-141 は、日本において 2021 年 5 月よりイズカーゴⓇ点滴静注用 10mg として販売開
始し、現在は米国、ブラジル、欧州にてグローバル臨床第 III 相試験を実施しております。
なお、JR-141 は、2021 年 9 月に、武田薬品工業株式会社とカナダ、欧州など米国以外の
地域(日本およびその他のアジア太平洋地域の一部を除く) における独占的な共同開発およ
びライセンス契約を締結しています(関連リリースはこちら) 。

当社は、JR-141 に続いて、J-Brain CargoⓇを適用した他のライソゾーム病治療酵素製剤
の開発を順次行っております。 希少疾病領域のスペシャリティファーマとして、 より多くの
患者の皆さんの治療に貢献できるよう引き続き取り組んでまいります。

なお、本件に関する今期(2023 年 3 月期)の当社連結業績への影響は軽微であります。
Rare Pediatric Disease(RPD)指定について
FDA の RPD およびバウチャープログラムは、希少小児疾患の予防と治療のための新薬お
よび生物製剤の開発を促進することを目的としているものです。なお、FDA は「rare
pediatric disease」を、米国における患者数が 20 万人未満であり、18 歳までに発症する、
重篤または生命を脅かす疾患と定義しています。本指定を受けた企業は、今後、製造販売承
認申請の優先審査に引き換え可能なバウチャーを受け取る資格が付与されます。 なお、本資
格は指定を受けた企業が使用する、もしくは第三者に販売または譲渡することができます。

JR-141(pabinafusp alfa)について
JR-141 について、マンノース-6-リン酸受容体を介した作用に加え、当社独自の血液脳関
門通過技術「J-Brain CargoⓇ」によりトランスフェリン受容体を介して血液脳関門(以下、
BBB)を通過させることによる中枢神経症状に対する作用を期待し、分子設計の段階から
非臨床、臨床にいたるまで必要なエビデンスを構築しながら開発を進めて参りました。非臨
床試験においては、トランスフェリン受容体への親和性だけでなく、JR-141 が BBB を通
過し神経細胞へ到達することを確認し、また、脳の各組織中への酵素取り込み、蓄積基質の
減少を確認いたしました 1,2。これらの結果に基づき実施した臨床試験においては、脳脊髄

液中のヘパラン硫酸濃度において、非臨床試験にて得られた結果と矛盾しない結果を得て
おります。また、中枢神経症状への作用と考えられる結果も得ております 3,4,5,6。また現在、
JR-141 の長期投与を検討するために複数の試験を進行中です。
日本においては、イズカーゴⓇ点滴静注用 10mg」
「 の販売名で厚生労働省より承認を取得し、
2021 年 5 月より販売しています。
また、2021 年 9 月に、武田薬品工業株式会社と特定地域における独占的な共同開発および
ライセンス契約を締結しました。両社は当社が実施するグローバル臨床第 III 相試験の終了
後、本治療薬を一日でも早く患者の皆さんにお届けできるよう協力してまいります。

ムコ多糖症 II 型(ハンター症候群)について
ライソゾーム病の一種であり、遺伝子異常により全身の細胞においてライソゾーム内の特
定の加水分解酵素(イズロン酸-2-スルファターゼ)が欠損又は働きが低下することでムコ
多糖(グリコサミノグリカン)が過剰蓄積する X 染色体連鎖劣性遺伝性疾患です。発症頻
度は男児約 5 万人に 1 人とされており、現在世界で 7,800 症例と推測されています(当社
調べ)。主な症状として、関節拘縮や骨変形、肝臓・脾臓の肥大、呼吸障害、弁膜疾患等、
幅広い症状が挙げられますが、特に中枢神経症状の進行抑制が課題となっています。

ニュースリリースは株主・投資家の皆さまや報道関係者へ、当社の事業に関する最新情
報の提供を目的としたものです。本資料に含まれている医薬品(開発中の物を含む)に
関する情報は宣伝広告、医学的アドバイス等を目的とするものではありません。


参考文献
1: Sonoda, et al. A blood-brain-barrier-penetrating anti-human transferrin receptor
antibody fusion protein for neuronopathic mucopolysaccharidosis II. Molecular Therapy.
2018;26(5):1366-1374.
2: Morimoto, et al. Clearance of heparin sulfate in the brain prevents neurodegeneration
and neurocognitive impairment in MPS II mice. Mol. Ther. 2021.
3: Okuyama, et al. Iduronate-2-sulfatase with Anti-human Transferrin Receptor
Antibody for Neuropathic Mucopolysaccharidosis II: A Phase 1/2 Trial. Mol Ther. 2020;
27(2): 456-464.
4: Okuyama, et al. A Phase 2/3 Trial of Pabinafusp Alfa, IDS Fused with Anti-Human
Transferrin Receptor Antibody, Targeting Neurodegeneration in MPS-II. Mol Ther. 2021;
29(2): 671-679.
5: Giugliani, et al. Iduronate-2-sulfatase fused with anti-human transferrin receptor
antibody, pabinafusp alfa, for treatment of neuronopathic and non-neuronopathic
mucopolysaccharidosis II: Report of a phase 2 trial in Brazil. Mol Ther. 2021.
6: Giugliani, et al. Enzyme Replacement Therapy with Pabinafusp Alfa for
Neuronopathic Mucopolysaccharidosis II; an Integrated Analysis of Preclinical and
Clinical Data. Int. J. Mol. Sci. 2021, Volume 22, Issue 20, 10938.



以 上

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