JMDCと長久手市、医療ビッグデータに基づく疾患発症予測AIで地域医療のDXを推進 -糖尿病患者を対象に、産学連携で重症化予防をする医療連携プログラム-

2021 年 4 月 19 日
株式会社 JMDC


JMDC と長久手市、
医療ビッグデータに基づく疾患発症予測 AI で地域医療の DX を推進
~糖尿病患者を対象に、産学連携で重症化予防をする医療連携プログラム~


株式会社 JMDC(本社:東京都港区、以下「JMDC」)と長久手市は、糖尿病患者を対象に疾
患発症予測 AI を用いた「透析・虚血性心疾患予防における医療連携プログラム」を、アス
テラス製薬株式会社(本社:東京都中央区、 「アステラス製薬」、
以下 ) 株式会社スギ薬局(本
社:愛知県大府市、以下「スギ薬局」、ライフログテクノロジー株式会社(本社:東京都中

央区、以下「ライフログテクノロジー」
)と共同で開始します。


本プログラムは、JMDC が民間医療データベースとしては国内最大級の医療ビッグデータ
である「JMDC Claims Database」を用いて開発した疾患発症予測 AI を活用しています。
本 AI により抽出された透析および虚血性心疾患の発症リスクが高い対象者に、かかりつけ
医と専門医の連携の促進と ICT を活用した多職種連携による生活指導を提供するものです。
患者の QOL(Quality of Life: 生活の質)の向上と医療費適正化の実現に貢献します。


■透析・虚血性心疾患予防の重要性
人工透析を導入した場合、患者の QOL が著しく低下するとともに、年間で約 500 万円の医
療費が必要となります。同様に虚血性心疾患をはじめとする循環器系疾患の医療費は傷病
分類別医療費構成割合で第一位であり、医療経済的にも社会的負担が大きくなります。
本プログラムでは将来高額な医療費が発生する集団を特定し介入することで、大幅な医療
費抑制効果が期待できます。
■AI による疾患発症高リスク者の抽出
従来の重症化予防は対象者の具体的な疾患リスクやリスクレベルが不明であることから、
多くのマンパワーと費用がかかることが課題でした。この課題に対して JMDC は一刻も早
い治療と生活改善が必要な人だけを抽出する疾患発症予測 AI を開発しました。特定の健診
結果について、状態が一定以上悪い人を抽出するような従来のルールベースのリスク評価
では、折角ビッグデータとして保有する多種類のインプットを活かしきれなかったものが、
AI を活用することでデータに隠れた複雑な関係性に基づいたリスクを評価し、対象者を高
精度に抽出できるようになりました。これによりマンパワーと費用の両面で手厚い介入を
効率的に行うことが可能となり、個別の疾患発症やイベント発生に対して効果的にアプロ
ーチすることが可能となります。本モデルは機械学習の最先端手法の一つである XGBoost
(eXtreme Gradient Boosted Trees)を用いて、AUC=0.90-0.98 の予測性能を実現していま
す。バックテストでは、翌年の透析発症者を全員抽出することが可能であり、将来透析に陥
る危険因子を持つ者を高精度に抽出できていることを確認しています。




本モデルの開発においては国立循環器病研究センター 臨床研究部長の北風政史先生に監
修を委託しております。北風先生はゲノム研究や分子生物学研究のプロフェッショナルで
あり、ビッグデータの数理科学研究、マイニング研究など工学手法を用いた新しい医学の創
設にご尽力されています。


■ICT の活用による専門医とかかりつけ医の連携促進と多職種での生活指導
かかりつけ医と専門医の連携の強化は地域医療連携における大きな課題の一つであり、糖
尿病重症化予防においても重要とされています。専門医との連携により患者の状態に合わ
せた処方の適正化を進め、日常的かつ総合的な継続診療をかかりつけ医が担うことで医療
者側、患者側両方の負担を軽減しながら、より適切な医療が提供できるようになります。プ
ログラムの終了後も専門医の協力のもとで個別診断基準を定め、かかりつけ医と専門医の
医療連携が明確になり重症化を継続的に予防できるシステムとなっています。
また健康管理アプリケーション「カロミル」
(ライフログテクノロジー)を用いて、生活指
導に必要な食事や運動の状況を対象者が記録しやすくするとともに、対象者と医療従事者
間での情報連携をスムーズに行うことができます。
■地域医療でハイリスク者を支える
本プログラムでは専門医とかかりつけ医のみならず、薬局薬剤師と管理栄養士(スギ薬局)
が加わり、専門性の高いアドバイスによってより良い治療と対象者の行動変容が期待され
ます。専門医と薬局薬剤師、管理栄養士(スギ薬局)による指導は Web コミュニケーショ
ンアプリを用いて実施することで、対象者の状態に合わせた細やかな指導を行います。
また、アステラス製薬が、専門医とかかりつけ医のプログラム協力支援の架け橋となり、重
症化予防の啓発と医師連携の強化に貢献することでステークホルダー間の連携の一翼を担
っているのも、本プログラムの特徴となっています。




ビッグデータを活用した AI と ICT を活用した医療連携の促進を特徴に持つ本プログラムを
用いて医療費適正化と重症化予防という大きな社会課題に取り組むことにより、JMDC の
ビジョンである「健康で豊かな人生をすべての人に」の実現を進めていきます。今後もデー
タと ICT を活用した新サービスの開発に邁進してまいりますのでどうぞご期待ください。
【株式会社 JMDC について】
医療ビッグデータ業界のパイオニアとして 2002 年に設立され、
「データと ICT の力で持続
可能なヘルスケアシステムを実現する」をミッションとしています。5 億 4,000 万件以上の
レセプトデータと 2,600 万件以上の健診データ(2020 年 3 月時点)の分析に基づく保険者向
け保健事業支援、医薬品の安全性評価や医療経済分析などのサービスを展開しています。ま
た、健康度を示す指標(健康年齢)や健康増進を目的とした PHR サービス(Pep Up)などの
データを活用したプロダクト開発も進めております。
URL:https://www.jmdc.co.jp/


【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社 JMDC 経営管理 広報担当
TEL:03-5733-5010
Email:jmdc-pr@jmdc.co.jp

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