電通の海外子会社カラが、世界の広告費成長率予測の定期改定を実施

2016 年 9 月 8 日


電通の海外子会社カラが、世界の広告費成長率予測の定期改定を実施

●2016 年の世界の広告市場は前年比 4.4%増(2016 年 3 月前回予測では 4.5%増)の 5,482 億
ドル、2017 年は 4.0%増(同 4.5%増)の 5,704 億ドルと予測
●日本の広告市場は、2016 年が前年比 1.8%増(前回予測と変わらず)
、2017 年が 1.2%増(同
1.1%増)と予測
●デジタルシフトがさらに加速し、世界の広告市場に占めるデジタル広告費の構成比率は、
2016 年に 27.7%、2017 年に 30.2%へ
●テレビ広告費の構成比率は、2016 年に 41.1%、2017 年に 40.3%と引き続き最大の広告メデ
ィアとしてのポジションを堅持


電通の海外子会社でメディア・コミュニケーション・エージェンシーである Carat(カラ)
は、年に 2 回(3 月と 9 月)、全世界 59 地域から収集したデータを基に、世界の広告費成長率予
測を行っています。今回の改定では 2016 年 3 月に予測した 2016 年および 2017 年の広告費成
長率予測の改定を行いました。世界各地の広告市場の方向性を見る上で重要な指標とみなされ
ている本予測から、本リリースでは、全世界 59 地域トータル、および主要地域/国に関する推
計値をお知らせします。

成長率(前年比、%)
2016年 2017年
調査発表時期 2016年3月 2016年9月 2016年3月 2016年9月
(前回予測) (予測改定) (前回予測) (予測改定)
全世界(59地域) 4.5 4.4 4.5 4.0
北米 4.6 5.0 4.0 3.8
  米国 4.7 5.0 4.0 3.8
  カナダ 3.0 3.0 3.0 3.0
西ヨーロッパ 3.1 2.9 3.1 2.7
  英国 6.2 5.4 5.7 4.6
  ドイツ 1.8 2.3 1.7 2.1
  フランス 0.6 0.9 1.0 1.2
  イタリア 1.2 1.3 0.9 0.8
  スペイン 5.3 5.0 4.6 4.4
中央および東ヨーロッパ 2.2 4.7 4.0 5.5
  ロシア 0.2 6.2 3.5 5.2
アジアパシフィック 4.4 3.9 4.7 4.2
  オーストラリア 2.5 5.4 2.3 4.5
  中国 5.8 5.7 5.7 5.5
  インド 12.0 12.0 13.9 13.9
  日本 1.8 1.8 1.1 1.2
ラテンアメリカ 10.5 10.0 12.1 9.8
  ブラジル 6.8 4.8 8.4 4.5



■主なポイント
2016 年の世界の広告費成長率(2016 年 3 月時予測を改定)
・2016 年の世界の広告市場の成長率は、
2016 年 3 月予測から 0.1 ポイントダウンの前年比 4.4%
増になると予測。これにより 2016 年の世界の広告費は、2015 年実績から 230 億ドル増の
5,482 億ドルになると見ています。
・地域別にみると、北米は前回予測から微増し 5.0%増、西ヨーロッパは英国が EU 離脱の影
響で前回予測から 0.8 ポイントダウンとなることもあり、同地域全体では前回予測よりも 0.2
ポイント低い 2.9%増となります。また、中央および東ヨーロッパでは V 字型の経済回復が
続いていることもあり、前回予測の 2.2%増から 4.7%増へと大幅に上方修正しています。ア
ジアパシフィックは、マイナス成長が予測される香港、台湾、タイなどの影響もあり、前回
予測を 0.5 ポイント下回る 3.9%増と予測。また、ラテンアメリカも、ブラジルの景気回復の
遅れもあり、前回予測の 10.5%増から 0.5 ポイントダウンの 10.0%増を見込んでいます。
・7 媒体が対象となっている本広告費予測では、マイナス成長が予測されるプリント媒体をデ
ジタル媒体の成長が補うという流れが続いています。デジタル広告費は前年比で 15.6%増と
なる成長を見込んでいますが、構成比ではテレビ広告費が最大シェアを維持し、全広告費の
41.1%を占めると見ています。デジタル広告の構成比は、27.7%になると予測しています。


2017 年の世界の広告費成長率(2016 年 3 月時予測を改定)
・2017 年の世界の広告市場は、
2016 年 3 月予測の 4.5%増から 0.5 ポイント下方修正した 4.0%
増と予測。2017 年の世界の広告費は 2016 年対比で 222 億ドル増の 5,704 億ドルに達すると
見ています。この増加見込み額の 9 割相当に当たる 201 億ドルがデジタル広告費の増加によ
ってもたらされます。
・媒体別では、引き続きテレビ広告費が最大のシェアを占め、2017 年には構成比が 40.3%にな
ると予測。一方、モバイルやオンラインビデオ、SNS の広告費の増加に見られるデジタルシ
フトの加速により、デジタル広告費の構成比は 30.2%に達すると見ています。
・地域別にみると、2017 年の世界の広告市場は、2016 年のような大型イベントに欠けるもの
の世界的にポジティブであり、北米が 3.8%増(前回予測は 4.0%増)、西ヨーロッパが 2.7%
増(同 3.1%増)、中央および東ヨーロッパが 5.5%増(同 4.0%増)
、アジアパシフィックが
4.2%増(同 4.7%増)
、ラテンアメリカが 9.8%増(同 12.1%増)とすべての地域がプラス成
長になると予測しています。


■地域別内訳
北米
・世界第 1 位の広告市場である米国は、大統領選やリオデジャネイロオリンピック・パラリン
ピックによるキャンペーン効果に支えられ、2016 年は 5.0%増(前回予測は 4.7%増) 2,048

億ドル(世界の広告費の 37.4%に相当)になると予測しています。大型イベントがない 2017



年もデジタル広告がけん引し、3.8%増の安定した成長が見込まれます。
・米国では、2016 年のテレビ広告費は 4.0%増となり、広告費全体の 38%を占める最大の媒体
であり続けます。2017 年のテレビ広告費シェアは 37.3%になると予測しています。
・また米国のデジタル広告は、モバイル向けや動画のけん引により、2016 年は前年比 16.7%増
になると見ています。デジタル広告費の構成比は 2016 年に 27.8%、2017 年に 30.5%に達す
る見通しです。
・カナダの広告市場も米国と同様にデジタル広告がけん引し、2016 年、2017 年ともに 3.0%増
と、2015 年実績の 2.5%増を上回るレベルで推移すると見ています。


西ヨーロッパ
・2014 年以降、プラス成長に転じた西ヨーロッパでは、2016 年、2017 年にもそれぞれ 2.9%
増(前回予測は 3.1%増)
、2.7%増(同 3.1%増)となる安定した成長が見込まれ、2016 年の
同地域の広告市場は 944 億ドル規模(世界の広告費の 17.2%に相当)になります。前回予測
から下方修正することになった主な背景には、英国の EU 離脱問題があり、同国広告市場の
2016 年と 2017 年の成長率を、それぞれ 6.2%増から 5.4%増へ、5.7%増から 4.6%増へと下
方修正しています。
・2016 年にけん引役となる国は、英国、アイルランド、スウェーデン、スペイン、ギリシャ。
一方、フランスとオランダでは低成長、フィンランド、スイス、ノルウェーではマイナス成
長になることが予想されます。
・ドイツでは巡航速度の市場成長が続きます。2016 年の 2.3%増(前回予測は 1.8%増)に続
き、2017 年にも 2.1%増(同 1.7%増)になると見ています。
・フランスの広告市場は 4 年連続でマイナス成長となりましたが、2016 年は UEFA 欧州サッ
カー選手権のホスト国であるなどプラス要因もあり、成長トレンドに転換しています。その結
果、2016 年、2017 年ともにプラスの成長を予測しています。
・イタリアの広告市場は、2016 年上半期は国際スポーツイベントなどの効果も相まって好調に
推移しました。一方、下半期には経済回復基調がやや鈍化し、2017 年には大きなイベントに
恵まれないことや経済情勢が不透明であることなどから、広告市場の伸びは 2016 年に 1.3%
増(前回予測は 1.2%増)
、2017 年に 0.8%増(同 0.9%増)となる見通しです。
・スペインの広告市場は 2014 年までは深刻な状況にありましたが、その後回復し、2015 年に
は 6.6%増となりました。2016 年と 2017 年もそれぞれ 5.0%増(前回予測は 5.3%増) 4.4%

増(同 4.6%増)の成長を見込んでいます。それぞれ前回予測を下方修正していますが、これ
は政局不安が経済情勢に与える影響を加味してのことです。


中央および東ヨーロッパ
・中央および東ヨーロッパは、2015 年は 3.0%減とマイナス成長でしたが、2016 年、2017 年
にかけては V 字回復する見通しです。その背景には、これまで原油価格の低迷や地政学的な



不安定感を理由に低成長が続くのではないかと見られていた同地域最大の広告市場であるロ
シアが復調してきたことがあり、その結果、2016 年と 2017 年の同国市場の予測を大幅に上
(2016 年を前回予測の 0.2%増から 6.2%増へ、
方修正しています 2017 年を 3.5%増から 5.2%
増へと改定)

・ロシア以外で同地域における 2016 年の広告市場成長をけん引する国としては、チェコ(9.0%
増)、リトアニア(8.1%増)、ルーマニア(6.0%増)などが挙げられます。


アジアパシフィック
・アジアパシフィックは、2016 年、2017 年ともに小幅の下方修正をしたものの、引き続き堅
調な成長を見込んでいます(2016 年:4.4%増→3.9%増、2017 年:4.7%増→4.2%増)。好
調なインド(12.0%増) ベトナム
、 (10.6%増) フィリピン
、 (9.9%増) オーストラリア
、 (5.4%
増)が、香港(11.8%減)
、台湾(7.6%減)
、タイ(5.2%減)の低迷を補う形になります。国
ごとに異なる経済情勢もあり、成長率のばらつきが 2017 年にかけても続くと見ています。
・世界第 2 位の広告市場である中国の 2016 年の広告費は、経済情勢に鑑み、前回予測の 5.8%
増から微減の 5.7%増へと下方修正しました。これにより、2016 年の市場規模は 818 億ドル
になる見通しです。また 2017 年にも 5.5%増(前回予測は 5.7%増)の成長を見込んでいま
す。メディア別では、トップシェアを誇るテレビ広告費は 2016 年に 1.7%増、2017 年に 1.3%
増になると予測しています。また、スマートフォンの普及・拡大でモバイル向けの広告が好
調なデジタル広告費は、2016 年に 25.9%増、2017 年に 21.4%増と高い成長が続いていく見
通しです。
・インドでも高成長が続いており、世界で最も速いスピードで拡大する広告市場となっていま
す。同国で人気のクリケットのワールドカップが開催される 2016 年には 12.0%増、2017 年
にも高い経済成長率を背景に 13.9%増と、2 桁成長が持続すると予測しています。
・世界第 3 位の広告市場である日本では、緩やかな成長が続くと見ています。リオデジャネイ
ロオリンピック・パラリンピックやサッカーワールドカップ予選などのスポーツイベントによ
るプラス効果が期待されるものの、熊本地震、個人消費の伸び悩み、消費増税延期による駆け
2016 年は前回予測と同じ 1.8%増になる見通しです。
込み需要がなくなった影響などにより、
また 2017 年には、2020 年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたマーケティング活
動や政府経済対策の効果が期待されることから、引き続きプラス成長になると見込んでいま
す(前回予測:1.1%増、今回予測:1.2%増)。媒体別では、トップシェアのテレビでは緩や
かな成長(2016 年に 2.0%増、2017 年に 1.8%増) シェア 2 位のデジタルメディアでは 2016

年に 9.0%増、2017 年に 8.0%増となる高い成長を見込んでいます。


ラテンアメリカ
・ラテンアメリカ全体の 2016 年の成長率については、前回予測を若干下方修正(10.5%増→
10.0%増)することにはなったものの、成長率としては高いレベルにあり、同地域の広告市



場は 269 億ドルになる見通しです。インフレの影響で広告市場の成長率の上昇が予測される
アルゼンチンでは、2 年連続しての 2 桁成長(2016 年は 40.9%増、2017 年は 31.9%増)が
見込まれ、またメキシコも順調に成長(2016 年に 3.6%増、2017 年に 4.3%増)していくも
のと予測しています。コロンビアについては、2016 年は 1.0%減とマイナス成長になります
が、2017 年には回復(0.4%増)していくと見ています。
・ブラジルの広告市場は、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックの効果は見込まれる
ものの、経済の減速感と政治不安が市場に与える影響を加味し、2016 年と 2017 年の成長率
を下方修正しました(2016 年:6.8%増→4.8%増、2017 年:8.4%増→4.5%増)



以 上


(注)Carat(カラ)は同社の世界ネットワークを通して収集した情報に基づき、59 地域の広告費の成長率を独
自に分析・推計しています。対象媒体には、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、映画館広告(シネアド)、屋外
/交通広告、デジタルが含まれます。





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