子会社が株式会社錢高組とエネルギーマネジメントシステム「TUNNEL EYE」を共同開発

平成 28 年 3 月 7 日
各 位
会 社 名 株 式 会 社 ソ ル ク シ ー ズ
代 表 者 名 代 表 取 締 役社 長 長尾 章
(東証2部・コード4284)
問 合 わ せ 先 執行役員 管理本部長 金成 宏季
TEL: 03-6722-5011(代表)
URL: http://www.solxyz.co.jp




子会社が㈱錢高組とエネルギーマネジメントシステム「TUNNEL EYE」を共同開発

当社の子会社である株式会社イー・アイ・ソルは、株式会社錢高組と共同で IoT(Internet of
Things)を用いた山岳トンネル工事の安全管理と省エネルギー化を連動させるエネルギーマネジ
メントシステム「TUNNEL EYE(トンネルアイ)(特許出願中)を開発し、実用化しましたのでお

知らせいたします。詳細は添付の通りです。




以 上
平成 28 年 3 月 7 日


株式会社イー・アイ・ソル
記者各位
IoTで工事電力を効率制御、安全管理を向上
- 山岳トンネル工事でエネルギー消費量を削減 -

1. 概要
株式会社イー・アイ・ソル(以下、イー・アイ・ソル、代表取締役:長尾章)は、株式会社錢
高組(以下、錢高組、取締役社長:錢高一善)と共同で、IoT(Internet of Things)を用いた、
山岳トンネル工事の安全管理と省エネルギー化を連動させるエネルギーマネジメントシステム
「TUNNEL EYE」
(特許出願中)を開発し、実用化しましたのでお知らせ致します。
当システムの販売は平成28年4月(予定)よりイー・アイ・ソルが行い、初年度の売上金額
は1億円を見込んでおります。

トンネル現場に配置した複数の組込型制御端末(NI 製、製品名:Compact RIO※補足 3)を
使用し、入坑者の位置や、ガス濃度、作業工程の監視等の安全管理データおよび使用電力量を収
集します。その情報を遠隔地のサーバーで保存・分析することで、工事照明や換気ファン等の主
要な電気機器を適した状態に自動制御します。また、使用電力量を可視化することにより、無駄
な電気使用を把握・削減し、省エネルギー化につなげます。なお、換気ファンは、株式会社流機
エンジニアリング(代表取締役社長:西村司)の技術協力により、運転制御プログラムを構築し
ました。
本システムは「高松自動車道 志度トンネル工事」
(施工:錢高組)のトンネル掘削現場に導入
しています。当現場では、システムの活用によって、工事で使用する電力の約 2 割削減を見込ん
でいます。
今後は、建設現場での本システムの積極的な活用により、安全管理の向上に加え、国際社会が
取り組む二酸化炭素排出量(CO2)の削減にも貢献します。

2. 現状の課題
建設現場の中で、山岳トンネル工事では昼夜で工事を行ううえ、施工機械や工事照明、換気フ
ァンなど多くの電気機器を用いるため、工事の規模によっては、工場や商業施設と同等以上の電
力を使用する場合があります。そのため、工事の安全を確保できる範囲で、エネルギー消費量を
削減する余地が大きくあります。

3. 本システムの仕組み
本システムは、トンネル内に情報収集を行うための機器(入坑者や工事車両を検知するセンサ
ー、作業環境を測定する濃度計、工事照明や換気ファン等の電気機器の稼働状態をモニタリング
する電力計)を設置し、IoT のネットワークを構築します。収集された情報により、インターネ
ットを通じて、パソコンやタブレット型端末等での情報の可視化や、安全を確保するための警報
通知、情報分析結果に基づいた省エネの自動制御等を行う仕組みです。
具体的な省エネの自動制御の例を以下に示します。
① 土砂を搬出するような作業工程の場合は、大型のダンプトラックの往来を検知してトンネ
ル内の工事照明の照度を通常よりも高くします。また、排ガスや掘削に伴う粉じんが発生
しやすいため、換気ファンの風量を強くします。
② トンネル先端(切羽)で入坑者を検知、かつ電気機器であるドリルジャンボが稼働してい
る作業工程の場合は、車両の往来が無く、ガスや粉じんが発生しにくいため、照度を低く
し、風量を弱めます。
上記の制御は一例ですが、入坑者や工事車両の検知と電気機器の稼働状態、また、作業環境濃
度の組み合わせによって、工事照明と換気ファンを適した状態に自動制御します。また、安全が
確認できれば、タブレット型端末等を使用し、手動にて消灯、停止操作もできます。
これまで、工事照明は 100m 毎の分電盤の遮断器を ON/OFF する必要がありました。また、
換気ファンは制御盤での手動操作、ダストセンサーからのアナログ信号で制御していました。本
システムを導入することで、自動化、スマート化を実現し、効率的な省エネの実施ができるよう
になります。

換気ファン 自動制御 工事照明 自動制御 使用電力・デマンド監視 可視化
最大 全灯
高速 減灯
中速
低速

制御端末
粉じん、可燃性ガス
サーバー
相互通信

酸素濃度など


制御端末 制御端末
濃度計
インターネット
施工・位置情報 可視化 センシング
本社・支社 現場 トンネル施工機械
その他 RFIDタグ
電機機器

切羽に5名 リーダー
閲覧・操作


図-1 システムの構成


4. 今後の展望
エネルギーマネジメントシステムは導入コストが掛かると考えられますが、本システムでは建
設現場で利用する安全管理機能との連動を可能にすることで、導入しやすくなりました。今回は、
山岳トンネル工事を対象にしましたが、今後は 橋梁や都市トンネル等の建設工事への応用も視
野に入れます。

5. 問い合わせ先
株式会社イー・アイ・ソル(担当者:伊永)
〒108-0014 東京都港区芝 5-33-7 徳栄ビル TEL:03-6722-5040、FAX:03-6722-5040
本資料に関するお問い合わせは、伊永(saori.korenaga@ei-sol.co.jp)まで、お願いいたします。
写真-1 導入現場の電気機器(工事照明、換気ファン)




写真-2 トンネル内の制御機器・iPad での閲覧・操作




写真-3 工事事務所での iPad・PC での閲覧・操作
補足 1. 追加の安全機能・利便性向上など
① 入坑者が携帯する「アクティブ RFID タグ」を、100m 毎の分電盤に設置するリーダーが検
知して、位置情報や、過去の行動履歴を緊急避難(坑内火災や崩落等)に役立てます。
② 粉じん、メタンガス、酸素濃度等を常時自動計測し、警報機能を設けることで、入坑者の
健康被害、事故防止に役立てます。
(従来は作業開始前等に計測)
③ インターネットを利用して、パソコンやタブレット型端末等から入坑者位置、作業環境濃
度、電気機器の稼働状態が分かり、坑内の施工状況を可視化できます。
④ 坑内に設置するアクセスポイントを使用することで、坑内と外部との情報伝達(施工デー
タの送受信や通話等)が可能になります。
⑤ 上記は、既存技術ですが、新たに IoT のネットワークで一元管理しました。また、安全管
理機能と電気機器とを連動させるエネルギーマネジメントシステムを構築したことで、イ
ンターネット経由で遠隔地からの工事照明や換気ファン等の操作や、省エネの自動制御、
デマンド監視が可能(以下、補足 2)になります。

補足 2. 省エネルギー自動制御内容について
① 工事照明の自動制御
入坑者や工事車両の検知と電気機器の稼働状態により、自動制御(表-1,図-2)します。
表-1 工事照明の自動制御内容の例
電気機器の稼働 位置情報検知 作業内容の識別 切羽 照度※1 通路 照度※2

- 入坑者・ダンプ車 掘削・ずり出し(下図) 全灯 >70 ルクス 全灯 40 ルクス程度

吹付機 入坑者・生コン車 コンクリート吹付 全灯 >70 ルクス 減灯 >20 ルクス

ドリルジャンボ 入坑者 ロックボルト打設(下図) 全灯 >70 ルクス 減灯 >20 ルクス

- - その他、作業休止 全灯 >70 ルクス 減灯 >20 ルクス
望ましい照度:土木学会・トンネル標準示方書(※1:切羽作業 70 ルクス以上、※2:通路の最暗部 20 ルクス程度)

[掘削・ずり出し]

全灯 全灯 全灯




ホイールローダ等
[穿孔・ロックボルト打設] (吹付機・ドリルジャンボ 停
止)
減灯 減灯 全灯




ドリルジャンボ 稼働
通路区間 切羽

図-2 工事照明の自動制御のイメージ(一部の例)
② 換気ファンの自動制御
入坑者や工事車両の検知と電気機器の稼働状態により、自動制御(表-2,図-3)します。

表-2 換気ファンの自動制御内容の例
換気ファン運転レベル※1
電気機器稼働 位置情報検知 作業内容の識別
作業工程判断時 作業環境濃度上昇時

吹付機 入坑者・生コン車 コンクリート吹付(下図) 高速 →最大

- 入坑者・ダンプ車 掘削、ずり出し 中速 →高速→最大

ドリルジャンボ 入坑者 ロックボルト打設(下図) 低速 →中側→高速→最大

- - その他、作業休止 低速 →中側→高速→最大
※1:運転レベル(所要換気量)は、コンクリート吹付時、発破時、ディーゼル機関の排出ガス発生時、望ましい坑内
風速確保等の条件に基づいて計画する。

[コンクリート吹付]


換気ファン
高速運転
換気風量


吹付機 稼働
[穿孔・ロックボルト打設]



換気ファン
低速運転
換気風量


ドリルジャンボ 稼働
図-3 換気ファンの自動制御のイメージ(一部の例)

③ デマンド監視
電気料金の基本料金を算定する基準となる 30 分の最大需要電力(デマンド値)を監視しま
す。トンネルの主要電気機器の使用電力量により、デマンド値を予測し、上限とする設定値(閾
値)を超えると警報メー
ルを職員に送信します。
本システムのエネルギー
の「可視化」機能(図-4)
を活用することで、無駄
な電気使用を削減し、省
エネルギー化につなげま
す。

図-4 デマンド監視画面
補足 3. CompactRIO について
米国 National Instruments 社の組込型計測端末。100 種類以上の計測モジュールが販売され
ており、計測センサーや制御対象により、モジュールを自由に選択する事が可能となります。
また、組込型となる為、LabVIEW-RT,LabVIEW-FPGA※を使用しシステム構築を行う事で、
お客様独自の計測端末の構築・PC レスによる稼働が可能となります。

※ National Instruments の LabVIEW は、設計/試作/実装/テストシステムの開発に最適な、業界でも屈指の
システム開発ソフトウェアです。
これまで 25 年以上、LabVIEW のブロックダイヤグラムによるプログラミング手法は、エンジニアや研究
者に支持されてきました。 LabVIEW のグラフィカルなデータフロー記述は、 アプリケーションのデータ信号
の流れを自然に表現することができ、ユーザインタフェース上のオブジェクトとプログラミング内のデータ
をシームレスに接続することで、 データを簡単に表示・修正し、 プログラムの入力値を制御することができま
す。


株式会社イー・アイ・ソルは、全世界 900 社以上の NI 社認定アライアンスパートナーが登録
されている中で、60 社未満しか取得していない、GOLD アライアンスパートナー資格を有して
おり、LabVIEW / CompactRIO を使用した IoT システムに多くの実績を持ちます。

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