「株式会社日本ベル投資研究所の鈴木氏によるアナリストレポート」発行のお知らせ

2019 年1月4日




「㈱日本ベル投資研究所の鈴木氏によるアナリストレポート」発行のお知らせ



株式会社チェンジ


投資家の皆様へ


㈱日本ベル投資研究所 鈴木行生氏より弊社のアナリストレポートが発行されましたので、お知らせいたします。




本件の問い合わせ先:
株式会社チェンジ
東京都港区虎ノ門 3-17-1
Control & Management 担当
メール:ir_info@change-jp.com
(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート




3962 チェンジ
~NEW-IT トランスフォーメーションでビジネスフロントの革新をリード~

2018 年 12 月 20 日 東証 1 部
ポイント
・11 月末にふるさと納税サイトで No.1 のトラストバンクを買収した。全国の自治体に圧倒
的なネットワークを有する。ここと連携して、パブリテック(パブリックセクターの New-
IT)を推進する。買収金額 48 億円(持株比率 60%)は、全額借入で賄う。収益性は十分あ
るので、今後の期待は大きい。


・9 月に東証 1 部上場となった。信用力の向上によって、事業の拡大と人材獲得への効果が
期待できよう。2018 年 9 月期の 3Q より新しいセグメントを区分した。New-IT トランスフ
ォーメーション事業と、投資事業を切り分けた。本業を通して目利きができ、シナジーが見
込めるベンチャー型企業に出資し、そのリターンを得るビジネスを、投資事業と位置付け
た。この利益が 2018 年 9 月期に続いて、2019 年 9 月期も増加しよう。


・AI(人工知能)、RPA(ロボットによる業務自動化)、VR(仮想現実)、モバイルなどの活用が
意欲的に展開されている。働き方改革を推進する IT 活用も次々と実績をみせている。これ
によって顧客の事業現場に革新を起こすビジネスモデルを追求する。AI スピーカーを業務
用に展開する分野においても先端を走っており、仕事を拡大している。


・チェンジのミッションは、人々(People)を変え、仕事(Business)を変え、日本(Japan)
を変えることにある。2003 年にアクセンチュア出身者が創業し、IT 教育事業を本格化させ
た。その後、自ら IT 事業に参入し、New-IT トランスフォーメーションを推進している。


・チェンジの経営の特長は、①経営スピードの速さ、②フラッグシップモデル戦略、③パー
トナー戦略、④ユースケース開発力にある。業界のトップクラスに食い込み、大手の SI(シ
ステムインテグレーター)と組んで、新しいビジネスを創っていく。そのために独自のライ
ブラリを作り上げ、全社員が共有できるようにしている。ここが競争力の源泉である。


・ストック型ビジネスが 6 割を占め、業績の安定度は高い。業績は極めて好調で、大幅なピ
ーク利益の更新が続こう。M&A の効果は来期から次第に本格化してこよう。企業規模は断層
的に拡大してくる。IFRS(国際会計基準)に基づく連結ベースで、売上高 100 億円、営業利益
25 億円以上が当面の目標となろう。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。


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IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


目 次
1.特色 New-IT トランスフォーメーションを推進
2.強み 独自のフラッグシップ型価値創造モデル
3.中期経営方針 業務現場 LOB(Line of Business)で新 IT 市場を開拓
4.大型M&A トラストバンクの買収でパブリテックを急展開
5.当面の業績 好調を持続し、ピーク利益の更新続く
6.企業評価 M&A のシナジーは十分見込める


企業レーティング A
株価(2018 年 12 月 20 日) 7090 円 時価総額 472 億円(6.719 百万株)
PBR 28.8 倍 ROE 31.4% PER 91.4 倍 配当利回り 0.0%
(百万円、円)
決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 EPS 配当
2012.3 973 89 87 15 2.8 0
2013.3 915 107 103 -51 -9.6 0
2014.3 1029 120 119 32 6.4 0
2014.9 711 74 74 43 8.4 0
2015.9 1400 134 137 82 15.5 0
2016.9 1550 186 175 118 21.1 0
2017.9 1980 331 325 229 35.8 0
2018.9 2604 513 513 343 51.3 0
2019.9(予) 3500 800 800 520 77.6 0
2020.9(予) 4500 1100 1100 720 107.5 0
(2018.9 ベース)
総資産 2268 百万円 純資産 1655 百万円 自己資本比率 72.8%
BPS 245.9 円
(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想。2014.9 期は決算期変更で 6 か月ベース。2016 年
7 月末に 1:300、2018 年 6 月末で 1:2 の株式分割を実施。(予)は単体ベース。2018
年 11 月末にトラストバンクを買収、今後連結決算を開始予定。
担当アナリスト 鈴木行生
(日本ベル投資研究所 主席アナリスト)
企業レーティングの定義:当該企業の、①経営者の経営力、②事業の成長力・持続力、③業績下方修正の可

能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、

D:極めて厳しい局面にある、という 4 段階で示す。



本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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1.特色 New-IT トランスフォーメーションを推進


IT による生産性革命を目指す
人口減少社会の日本にあって、日本企業の生産性革新は急務であるという認識の下、生産
性を上げ、顧客企業の価値向上に貢献しようとしている。国富を高めるには生産性の向上が
必須である。ヒトや組織の生産性を向上させるには、IT の活用が求められる。しかし、ど
の産業、企業においても、IT の活用は不十分であり、
「攻めの IT」によるビジネスモデル作
りは遅れている。ここにフォーカスしている。


チェンジがミッション
チェンジのミッション(企業としての使命)は、人々(People)を変え、仕事(Business)
を変え、日本(Japan)を変えることにある。当社の志は、社名「チェンジ」に表現されて
いる。当社のロゴは、3 本の縦線をベースにそれが 3 つある。3 本の矢の例えのように、3
つのモードで変化を作り出そうとしている。1)人を変え、2)仕事を変えて、3)日本を変え
る。同時に、新しい IT で、①IT インフラを変え、②業務を変え、③ビジネスモデルを変
える、という意味である。


コンサルからスタート
2003 年、アクセンチュア出身者がコンサルのサポートから創業し、IT 教育事業を本格化
させた。PM(プロジェクトマネジャー)や SE(システムエンジニア)の教育に力を入れた。顧
客は大手の SI 企業である。人材教育に自社だけでは手が回らないと、専門家にアウトソー
シングした。
この事業は今も続いている。IT エンジニア不足を反映して活況である。しかも、ここで
育った人材が各企業にいるので、当社にとってはビジネスのつながりを作る上で大いに役
立っている。
現在の役員には、アンダーセンコンサルティング(現在のアクセンチュア)出身が多く、
皆 40 代と若い。神保会長がアンダーセンから独立して、中堅企業のコンサルをしている頃
に、福留社長が加わり、更に、伊藤副社長(モバイル&センシングアプリケーション担当)、
金田執行役員(エンタープライズセキュリティ&インフラストラクチャー担当)
、石原執行役
員(R&D、ネクストラーニングエクスペリエンスフィールド担当)がチェンジの設立構想に参
画し、2003 年 4 月、今の会社を立ち上げた。設立後、1 年以内に全員がアンダーセンから移
ってきて創業期のメンバーとなった。
それからおよそ 2 年遅れて、高橋執行役員(アナリティックス&IoT 担当)が入ってきた。
アンダーセン当時、神保氏は福留氏の直接の上司であった。また、高橋氏は福留氏の下にい
たというような仲間であった。山田取締役 CFO は、神保会長の同級生で税理士でもあり、当

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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初から会計事務所で当社を担当していたが、およそ 4 年後に移ってきた。上場までの 13 年
間、今のマネジメントがコアメンバーとして当社をリードしてきた。


第 4 フェーズを目指す
2003 年に創業し、2016 年 9 月に東証マザーズに上場、2018 年 9 月に東証 1 部に指定替
えとなった。まず、コンサル事業で会社を立ち上げ、次に IT 事業会社の人材育成にビジ
ネスを広げた。そして、SE 教育から IT 事業へシフトしている。SE の教育だけでは、本当
の生産性向上には貢献できないと、自ら IT 事業へ参入し、それを New-IT トランスフォー
メーションと名付けた。New-IT を推進するという意味で第 3 フェーズにある。加えて、こ
の 11 月に大型の M&A を実行した。ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を運営
するトラストバンクを買収した。M&A による成長領域の拡大という点で、第 4 フェーズに
入ろうとしている。
Old-IT に比べて、New-IT の特長は、①導入対象がフロントエンドであること、②構築
維持コストが安いこと、③使い勝手がよいこと、④導入時間が短いことである。現場で IT
を直接使い、便利で安く、早く使いこなしていく。


New-ITトランスフォーメーション
~4つのサービスライン~



MSA(Mobile & Sensing Application)
モバイルデバイスの活用とセンサーなどを用
いた自動データ確保の仕組み構築と運用を
行うライン

ESI(Enterprise Security & Infrastructure)
クラウドなどを用いたITインフラの刷新及び
セキュリティツールの選定や導入を行うライ


A&I (Analytics & IoT )
IoTを活用したオペレーションやビジネスモデ



NLX(Next Learning eXperience)
IT事業者のNew-IT化支援及びNew-ITを実
現する人材育成の次世代学習プログラムの
提供




4 つのサービスライン
当社(単体のチェンジ)は 4 つのサービスラインを持つ。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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MSA(モバイル&センシングアプリケーション)は、アップルの iPhone や iPad などモバ
イルデバイスを活用するとともに、センサーなどを用いた自動データ収集の仕組み構築と
運用を行う事業である。
ESI(エンタープライズセキュリティ&インフラストラクチャー)は、クラウドなどを用
いた IT インフラの刷新やセキュリティツールの選定導入を行う事業である。クラウドの普
及率は 20%弱とまだ低い。IT インフラを軽くしていくことに貢献する。
A&I(アナリティックス&IoT)では、IoT を活用したオペレーションやビジネスモデルの
再構築、ビックデータの解析や活用を行う。企業や組織の中にデータが溜まっていても、そ
れが利用されずに眠っているだけでは、ガベッジ(ゴミ)のようなものである。その活用を
具体化する。
NLX(ネクストラーニングエクスペアリエンス)は、New-IT 化の支援及びそれを実行する
人材を育てるための学習プログラムを提供する。


チームワークとコーポレートガバナンス
この 10 数年苦労をともにしてきたので、マネジメントのチームプレーはよい。神保会長
が内部のマネジメント、福留社長が顧客とのエンゲージメントという役割分担である。
今後、会社が成長して、大きくなっていく過程においては、コーポレートガバナンスをよ
り強固に作り上げていく必要がある。監査役設置会社として、3 名の監査役は 2 名がソニー
グループの出身、1 名は銀行出身である。また、2017 年 12 月の株主総会で、1 名社外取締
役を入れた。インターネット関連の経営者で有能な方である。
9 月に東証 1 部に市場変更となったので、今後は、社外取締役の増員などガバナンスはさ
らに強化される方向に進もう。


ストックオプションの活用
2017 年 8 月に 3 回目のストックオプションを発行すると決めた。1 回目は、未上場の時
に社歴の長い社員を対象にした。 回目は、
2 上場準備に時に入社してきた社員を対象にした。
そして、今回は上場前後に入ってきた社員を対象に加えている。
若い企業なので、ストックオプションを活用することは、インセンティブとして有効であ
る。3 回目は取締役 4 名に 56 個(1 個 106 株)、社員 28 名に 425 個を付与した。発行価額は
7260 円で、 年後以降、
1 条件達成により権利行使ができる。発行済株数の 1.5%に相当する。


ストックオプションにおける目標水準
業績目標連動型のストックオプションを導入した。全社員、役員に対して、会社全体の業
績目標が達成できた場合に、権利行使が出来る。2018 年 9 月期から 2020 年 9 月期までの 3
カ年で、累計営業利益が 10 億円を超過した場合に 50%の行使が可能、同 30 億円超過した

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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場合には 100%行使可能という内容である。
今の予想では、累計 10 億円を超えるのはほぼ確実で、30 億円はやや高い目標である。累
計 30 億円以上を達成するには、3 ヵ年で 5 億円、10 億円、15 億円というパターンで営業利
益を伸ばす必要がある。ストレッチすれば達成できる目標とみることができる。これはおも
しろいチャレンジである。1 つの KPI として注目したい。




2.強み 独自のフラッグシップ型価値創造モデル


企画提案力とナレッジマネジメント
今のマネジメント層はコンサル出身なので、企画提案力が身に付いている。よって、ユー
スケース開発力もある。つまり、課題を抽出して、どういう技術を応用していくかを通して
ソリューションを作り出す力がある。
一方、業務が拡大してきた時に、人材の質は確保していけるのか。これに対しては課題と
テクノロジーのマップを作り、絶えず更新している。これを社内ウィキ(ライブラリ)とし
て立ち上げてあり、ナレッジマネジメントを実行している。文字、動画でマニュアル化して、
いつでも使えるようにしてある。


4 つの特長~価値創造のビジネスモデル
New-IT には新しいテクノロジーがどんどん入ってくる。それを取り入れて、事業の拡大
を図っていく方針である。当社の経営における特長は 4 つある。①経営スピードの速さ、②
フラッグシップモデル戦略、③パートナー戦略、④ユースケース開発力である。
第 1 の経営のスピードでいえば、大手企業において企画してから実現まで 3 カ月かかる
ものでも、当社は 1 日で決断できる。新しい技術の導入に対して、大手においては経営会議
にかけるまで時間をとり、それでもリスクをとらないというケースもある。当社はトップ自
ら確認して、行けると思ったらまず走らせてみる。大企業の意思決定の遅さを当社がサポー
トし、推進力を生むようにする。
第 2 のフラッグシップモデル戦略は、各業界最大手をまず顧客化して、それを大手→準大
手→中堅中小へと広げていく。そのパートナーやサプライヤーにも横展開していく。これを
フラッグシップモデルと名付けている。
第 3 のパートナー戦略は、当社が既存の SI 企業に教育を提供したり、また導入ソフトの
販売パートナーとなってもらったりしている。つまり、大手と競合するのではなく、大手と
組んで仲間となり、面でマーケットを攻めていく。
第 4 のユースケースの開発力では、業界が抱える構造的課題に正面から取り組み、真に役
に立つ事例作りを実践していく。つまり、用途を開発する力を広げていく。鉄道の例でいえ

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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ば、これから老朽化が進む中で、メンテナンスコストが増えていく。一方で、メンテナンス
を担う人材は減っていく。ここをどう解決するか。夜間トンネルのメンテナンスに IT を導
入して、生産性を 2 倍近くに上げたのはその典型で、この事例を他社にも広げていく。




New-IT Transformation の実践
当社の強みは、New-IT Transformation の実践にある。例えば、東京メトロのトンネル
検査に iPad を導入した。そのアプリを当社が作成して、トンネル検査の作業効率は大幅
に改善された。従来は写真を撮り、データを計測し、それをプリントして、資料を作成し
ていた。真夜中の 4 時間しか作業時間がない。このやり方では、一晩に 2km 進むのがやっ
とであった。これを、紙を使った資料ではなく、iPad を活用して直接本社のシステムへ入
力できるようにした。
社会インフラの老朽化に対して、いかにメンテナンスを効率よく実施していくか。この
テーマに、当社がソリューションを提供したのである。いわばオールド IT からニューIT
への転換である。ホワイトカラーの事務管理のための効率アップからさらに踏み込んで、
鉄道、化粧品、エアライン事業などの現場の生産性アップをターゲットにしている。
個人はスマホを便利に使っているが、今や企業の方が現場においては IT の活用が遅れ
ているともいえる。ここにスマホ、ノート PC やタブレットを導入し、効率アップを図っ
ていく。当社はこうした法人マーケットを事業領域(ドメイン)としている。


ワンストップのソリューションを提供
競合企業としては、それぞれの分野で、アイリッジ(コード 3917)、オプティム(同

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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3694)、ブレインパッド(同 3655)、JIG-SAW(同 3914)などがある。これらの企業は当社の
個別サービスのベンチマークとなるが、直接的には競合しにくい構造になっている。当社
は、要素技術をまとめて、ワンストップのソリューション提供に力を入れている。同業他
社は、どちらかというと個別のプロダクトで特色を出そうとしている。
当社は、顧客の経営課題にそって新しいテクノロジーを使い、包括的にソリューションを
提供するので、個別のプロダクト・サービスを提供している企業より早く、課題形成の段階
から入り込むことが多い。
また、現場(LOB:Line of Business)の課題解決を、現場の予算を用いて図ることが多
いことから、企業の情報システム部門の予算で課題解決を行う他社とは異なり、競合しづら
い構造になっている。さらに、例えば JIG-SAW とは提供するサービス・業務範囲が異なり、
当社が広範な業務課題解決を行う際のソリューションの一つとして、JIG-SAW の IoT 技術
や、自動運用監視サービスを利用するといった協業関係にあり、分業が成り立っている。


人材の育成と技術の活用
事業の発展過程では、福留社長と伊藤副社長が新規事業を立ち上げて、それを執行役員が
大きくしてきた。当社の発展の原動力は、1)人材の育成と、2)技術の活用にある。
もともとはコンサルからスタートしたので、業務改革に軸足をおいた。これを具体化する
ところで、IT をツールとして活用した。その IT が従来の技術ではなく、常に新しいものを
取り入れて効果を上げてきた。モバイル、セキュリティ、ビックデータ(BD)
、IoT などに広
がっている。
当社はベンチャー企業なので、小回りが利く。大きな組織では、すぐに実行しにくいこと
に取り組んで、具体的な成果をだしている。例えば、アップルの iPhone、iPad を法人向け
に使うということを大きな組織は想定していなかった。個人には使われても、法人には十分
使われない。そこで、法人ユースを開拓して、現場の利便性を高めることに力を入れた。


グローバルに IT のパートナーを開拓
当社のユニークさは、グローバルに IT のパートナーを開拓していることにある。新しい
IT 技術は海外のスピードの方が早い。日本は 3~5 年程度現場への普及が遅れているともい
える。とりわけ、米国の動きが早い。現在 70 人いる社員の半分以上は英語でビジネスがで
きる。海外の技術を取り入れることに長けているのである。


業界の最大手から攻めていく
常に業界の最大手から攻めていく。業界トップを粘り強く、攻めていく。ハードルは高い
が、そこで一目おかれ、ビジネスを作ることができなければ、大きなマーケットにはならな
いし、本物の競争力も身につかないとマネジメントは考えている。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
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顧客には 3 つのパターンがあると、福留社長は言う。第 1 は、ティーチャーカスタマー。
当社が学ぶことのできる顧客で、トップの自動車会社やトップの証券会社はそういう存在
である。つまり、要求水準は高く、細かいことをいろいろ言われる。しかし、新しいことを
きちんと仕上げるカルチャーを持っているので、あまり儲からなくてもビジネスモデルの
プロトタイプ作りには役立つ。
第 2 が、リードカスタマー。当社の提供するソリューションの価値が分かって、商品化、
サービス化まで、しっかり取り入れる会社である。これは、当社にも収益面で貢献する。第
3 がモンスターカスタマーである。いろいろわがままなことをいい、評論はするが、社内で
の実行力が伴わない客である。無理に付き合っていると徒労に終わるので、早目に手を引く
必要がある。こうした点を踏まえながら、顧客開拓に成功している。




新しいテクノロジーを使う
新しいテクノロジーを表面的に使おうとするのではなく、顧客のビジネスに真に役立つ
ところまでもっていく。ビジネス上の目的を明確にして、顧客がクリエイティブになるよう
なソリューションを提供する。世の中にテクノロジーは山のようにある。単に利用するので
はなく、実際のユースケース(実用例)として評価されるところまで仕上げる。顧客の目線
で、技術を活用する力に優れているといえよう。
これと同じことをやる同業他社はほとんどない。経営コンサル、 コンサル、
IT モバイル、
セキュリティ、IoT など、類似の会社はあっても、現場レベルで具体的なユースケースを作
り込んでいくという競合会社はない。つまり、仕事をとる時点で、コンペ(競争入札)にな
るという例はほとんどない。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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事業成長に向けた4つの戦略~事例



提携戦略 セキュリティ・AIを核にNEW-ITソリューションの普及に向けたパートナーシップの拡充
・米国国防省で採用されているBlackBerryの国内初のプラチナ・パートナー認定
・Googleのクラウド技術で最も先行するクラウドエースのパートナーシッププログラムに参加
働き方改革に資する社外等における安全なネット環境の提供
・浜松市、シスコシステムと産学官連携の協定締結


顧客戦略 フラッグシップユーザーとの先進事例の創出と業界内への横展開
・伊藤忠商事へのBlackBerry全社導入をはじめとするモバイルセキュリティプラットフォームの
 金融、商社、中央省庁への横展開
・東京メトロ、東急電鉄向けiPad/iPhne業務専用アプリの法人向け横展開
・ANAエアポートサービスと羽田空港における手荷物へのロボティクス活用実験
・大手食品生産ラインにおける異常検知のための画像解析AIの提供


商品戦略 Alexa(アマゾンの音声技術)対応アプリSkillを始め、音声BD、RB、ARなどの先進領域のサービス開始
・アマゾンのAlexaに対応したアプリ/プラットフォーム(Skill)の開発サービスの開始
・AIを活用した画像・音声BD(ビッグデータ)解析サービスの提供
・RB(ロボティックス)インテグレーションのサービス提供
・BD分析支援の非構造化ビッグデータ活用ソリューションの提供
・東京メトロ向けAR(拡張現実)を活用した検査員用教育アプリ開発
・総務省 「ICTスキル総合習得プログラム」 の開発・実施


M&A戦略 IPOアクセラレータープログラムの開始、成長のレバーとなるM&Aメソッドの確立
・M&Aメソッドの確立と候補のデューデリの実施
・人材開発に関わる事業投資、IPOアクセラレーターに注力




市場開拓のための成長戦略~実行戦略で成果
市場を開拓するための成長戦略は、1)顧客戦略、2)提携戦略、3)商品開発戦略、4)M&A 戦
略においている。
顧客戦略では、フラッグシップユーザーのターゲットを、1)運輸、2)金融、3)製造の 3 つ
のセクターにおいて、ここで大手を顧客とし、それを準大手、中小に広げていく。事例の横
展開でマーケットを拡大する。
顧客戦略では、フラッグシップユーザーの開拓が進んだ。伊藤忠商事には働き方改革に役
立つモバイルセキュリティソリューションを提供し、それを他にも展開している。東京メト
ロや東急電鉄への iPad 向け業務アプリの提供も、広がりをみせている。
AR(拡張現実)による検査員の訓練も行われている。東京メトロは新木場に研修センター
作り、そこには駅が完璧に再現されて、いろいろ実験ができる。しかし、そこにあるトンネ
ルは真新しく、実際の古いトンネルとは全く違う。そこで、iPad をかざすと、 を通して、
AR
古いトンネルの壁面が見え、そこで老朽の度合いを目視して、判断力を養うという研修がで
きる。アップルの AI キットを活用しており、この評価は高い。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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ANA エアポートサービスでは、手荷物のロボテティックス活用に向けて実証実験を進めて
きたが、その内容について、 サイドからも次の展開がアナウンスされている。 とは、
ANA ANA
手荷物のハンドリングロボットを開発している。重さ、形がバラバラなので、それをどうコ
ンテナに上手く積み込むか。AI を使ってそのアルゴリズムの開発を行っている。
提携戦略では、New-IT を推進するにあたって、海外発の先進技術や製品を有するパート
ナーと組み、国内においても IT 商品やサービスの販売でパートナーと連携していく。
提携戦略では、米国の企業とパートナーを組むように力を入れており、これは順調に進ん
でいる。AI では、米国が先行している。最近では、中国も無視できなくなりつつあるが、ま
ずは米国と組んで、先進的な商材を日本に持ってくるようにしている。
一方で、国内での販売マーケティングには、あまり力を入れる必要がなかった。新しい分
野だけに、顧客からどんどん問い合わせがくるので、それで仕事が入ってくる状況となって
いる。AI プロジェクトは、現在さまざま実施しているが、顧客との守秘義務があるので、
公表されないことが多い。
アマゾンの AI スピーカーに用いるアプリを開発して米国で先にリリースした。この「ゼ
ンガーデンサウンド」は、アマゾンの Skill ストアで、トップページに選ばれ、ダウンロー
ドもされた。
商品開発戦略では、当社のライブラリにサービス開発のための基幹部品を用意していく
先進的な R&D とサービスのライブラリ化の推進である。
商品戦略は最もうまくいっている。アマゾンの AI スピーカーの Alexa 対応の Skill や、
音声 BD(ビックデータ)
、ロボティックス、AR・VR などのノウハウ蓄積で先行している。
人材育成のプログラムも開発している。IT 技術者は不足している。総務省と『ICT スキル
総合習得プログラム』を開発する契約を結び、これを請負実施している。
M&A 戦略では、内部成長だけでなく、
外部の経営資源を M&A で手に入れて成長を加速する。
その時に、時価総額がものをいうので企業価値の向上とともに、情報開示を通して当社の実
態を広くアピールしていくという姿勢をとっている。
M&A 戦略で、IPO アクセララレータープログラムは進展している。IPO アクセラレーター
では、既に 6 社に投資し、1 社はイグジットした。①IPO や M&A でのキャピタルゲインと、
②事業面でビジネス貢献を狙っている。


「ライブラリ」を構築~競争力の源泉
提供するソリューションの部品となるべきもの、ノウハウやテクノロジー、実例などは、
社内で共有できる仕組みを作っている。これをライブラリと称しており、自分の仕事を通し
て、部品(パーツ)となるものについてはライブラリに納めていく。これをやることが、人
事評価にもつながるというインセンティブシステムを取り入れている。
例えば、客がヒトやモノの位置情報をより正確に知りたいと思っているとする。どこにい

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


るのか、どこにあるのかを常に瞬時に把握しておきたいとすると、それらの位置情報をまと
めるシステムが必要である。屋外なら GPS を使う、屋内ならビーコンを使うなど、必要なテ
クノロジーのマップが、ライブラリにカテゴリー別にまとめてあるので、利用可能なものが
あればその中から使う。


New-ITトランスフォーメーションにおけるライブラリの活用事例
ライブラリ名 導入企業              導 入 事 例

モバイル・アプリ
航空会社 パイロット、客室乗務員がモバイル端末を用いて運用情報やマニュアルなどを参照
ケーション

モバイル端末 IT会社 SE等が利用するモバイル端末の利用ルールを策定し、デバイス管理、ツールの設定・運用

セキュリティ 総合商社 New-IT 環境に運用したセキュリティポリシーの策定と順守のためのツール等

ビックデータ解析 食品メーカー 販売データ分析し、売上増加タイミング、機会損失しないための物流オペレーションの再設計

クラウド解析 鉄道会社 クラウドストレージを活用した現場映像の管理

Iot活用 地下鉄会社  IoTを用いた設備の点検、保全業務の設計と実現

New-IT人材開発 メガバンク New-IT 活用システムに向けたビジネスモデルの変革のための青写真と実行のための人材教育

VRラーニング サービス業 人材教育の効果を向上させryためのVRコンテンツの企画・開発・運用

AR 教育会社 AR技術を活用したタブレットによる人材教育の企画・開発・運用

画像認識AI 損保会社 画像認識技術を用いた見積りの作成・検査の自動化

音声認識AI 航空会社 音声認識による顧客との会話のログ収集・テキスト化・分析




ストック型ビジネスが 6 割を占める
ストック型のビジネスモデル(BM)という点では、自動継続課金型モデルをベースに、その
売上比率を現在の 6 割を 8 割まで上げていく方針である。6 割のうち、ソフトウェアのメー
タリング(月額使用料、年額使用料など) 2 割、
が リピートユース(ソフトのメンテナンス、
バージョンアップなど)が 4 割である。また、ストック型 BM の中の製品は、半分が自社開
発で、半分が他社製品という割合である。




3.中期経営方針 業務現場 LOB(Line of Business)で新 IT 市場を開拓


日本の政策 Society 5.0 の実現に向けて~ど真ん中で勝負
当社を取り巻く市場環境は、政府の方針に端的に表れており、追い風の中で、それをリー
ドしようとしている。
2017 年の未来投資戦略は、 Society 5.0 の実現に向けた改革」
「 がテーマであった。Society
5.0 とは、①狩猟社会、②農耕社会、③工業社会、④情報社会、の次にくる成長フロンティ

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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アをイメージしている。
そこでは、IoT、BD(ビックデータ)
、AI、ロボットなどの第 4 次産業革命の先端技術を、
あらゆる産業と社会生活に導入していく。それを通して、さまざまな社会課題の解決に向け
て、イノベーション(革新的な仕組みづくり)を活かして、一人一人のニーズに合わせたサー
ビスを提供しようというものである。
高齢者への対応、働き方改革、サプライチェーンの進化、人材力の強化、行政手続きや規
制の見直し、フィンテックの活用など取り組もうとしている。①健康寿命の延伸、②移動革
命の実現、③サプライチェーンの次世代化、④快適なインフラ・まちづくり、⑤Fintech、
⑥データ活用基盤の構築などに力を入れている。
2018 年の未来投資戦略では、「Society5.0」「データ駆動型社会」への変革』をテーマ
『 ・
とした。データ駆動型社会が加わったのである。
AI、BD、IoT などが社会に実装されていく中で、米国、中国を中心にデータの囲い込みや
独占を図るデータ覇権主義の台頭が懸念される。デジタル時代の価値の源泉であるデータ
や、それを駆使して新たな価値を創出する人材のグローバルな争奪戦も始まっている。
日本は圧倒的に人材不足である。このままでは、日本は国際競争の大きな潮流の中で埋没
しかないという危機感が政府にある。日本の課題は分かっている。それを現場からのリアル
なデータによって見える化し、課題の解決に向けて、新しい社会改革に取り組んで、成功体
験を積み上げでいこうというねらいを込めている。
そこで、2018 年のテーマは「Society5.0」に「データ駆動型社会」が加わった。人手不足
には、AI やロボットによって自動化が進む。過度な業務負担が大幅に軽減されよう。工場
だけでなく、オフィスでも、町でも、家庭でも利便性は上がってこよう。
自動翻訳で、外国語とのコミュニケーションもやり易くなる。遠隔サービスやリアルタイ
ム化の進展で、新しいサービスが次々と登場してこよう。今まで、使われていなかったデー
タを収集、分析、活用することで、新しいサプライチェーンが作られる。医療・介護、農産
品、観光、行政においてもサービスのあり方が大きく変質してこよう。
人材を活かす制度も 2 つの面で変化していく。国の政策としては、女性、高齢者、障害者、
外国人などがより活躍できるように舵取りをしていく。民間でも、大企業、中堅中小企業と
も、必要な人材の中身が変わってくるので、いい人材に来てもらえるような働き方の魅力を
備えていかなければならない。
双方において、人材の教育は必須である。働く人々も、①自分は今なにができるのか、②
次に何ができるようになりたいのか、を真剣に考えて努力する必要がある。学び続け、新た
な経験に挑戦することが、おもしろい仕事に出合えるカギとなろう。


会社側の経営環境に対する認識
人口動態は最も確実に将来の予測を示すが、高齢化、出生率の低下、生産労働人口の減少

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企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
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は急ピッチで進む。30 年後には、労働人口が 3000 万人近く減少していく。この人口減少に
いかに立ち向かうかが、わが国の最大のテーマである。
政府の方針においても、①Society 5.0 、②働き方改革実行計画、③デジタルガバメント
実効計画、④キャッシュレス・ビジョンなどが次々と打ち出されており、これらを推進しよ
うとしている。
そこに、チェンジのミッションが合致する。つまり、労働生産性の向上に貢献すべくビジ
ネスを展開する。生産性の向上=人×技術=人材育成×New-IT である。人手不足を自動化
で補い、人々には新しい仕事についてもらう。新しい産業で必要となる新しい人材の育成も
不可欠である。
New-IT 領域の投資は活発である。ここでは、3 つの領域が注目できる。第 1 に、DX(デジ
タルトランスフォーメーション)の動きが全ての産業で盛り上がっている。 2 は、 (事
第 LOB
業部門の現場)における IT 投資が新規に拡大している。第 3 に、働き方改革に向けて、生
産性向上のための新しい IT 活用が不可欠になっている。これらが、当社の事業拡大に直接
結びついている。




New-IT トランスフォーメーションの市場
当社が New-IT トランスフォーメーションとして取り組む市場は 3 つある。1 つは、経営
レベルのビジネスモデル変革のための IT、2 つ目は、LOB(事業ライン)レベルの業務革新
のための IT、3 つ目は、従来型 IT 部門におけるインフラとしての IT である。
インフラとしての IT は 14 兆円市場であるが、これは New-IT に代替していく可能性があ

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
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る。一方で、LOB(Line of Business)はまさに業務の現場であり、生産、販売、マーケテ
ィングなど、ここで IT が新ビジネス作りに貢献する。ビジネスモデルの革新も IT がそれ
を支えるようになっていく。
当社は、LOB をメインターゲットとして、マネジメントレベルにも入っていく。そして必
要ならば大手の SI と組んで、IT インフラのところにも取り組んでいくという方針である。


3 つの革新を攻める
New-IT トランスフォーメーションでは、①IT インフラから、②LOB(企業のビジネスラ
インのオペレーション)へ、さらには、③経営全体に関わるビジネスモデル(BM)の革新を狙
っている。
現状をみると、
①の IT インフラは既存の大手と競合するので、ここは自社単独ではなく、
大手の SI と組んで事業を進めている。今伸びているのは、②の LOB である。業務プロセス
(オペレーション)でも現場に近いところで、新しいやり方を導入して、生産性を上げてい
く。③の BM の革新はまだこれからである。R&D の領域でもある。この分野でもいくつかト
ライしており、今後の実績を作っていく計画である。


サービスラインの強化
サービスラインは、①MSA(モバイル)、②ESI(セキュリティ)、③A&I(IoT、BD)、④
NLX(ラーニング、IT 人材の開発)の 4 つである。これらのサービスラインでは、攻めの IT
活用としてモバイルに力を入れ、守りの IT 活用ではセキュリティに重点を置いている。
モバイルを活用した法人向け業務革新では、アップルと契約している。法人向けでアッ
プルと契約をむすんでいるのは、世界で 80 社、日本に 4 社あり、当社はそのうちの 1 社
である。
SI 企業が相手にするマーケットは、現在 14 兆円ほどであるが、この市場が新しい IT で
変貌していく。当社は大手の SI 企業と競合するのではなく、そこと組んで新しいマーケ
ットを作っていく。その意味ではパートナーとなっている。大手がもっていないテクノロ
ジーやノウハウを活かして、連帯して新しいマーケットを作り、そちらへのシフトを誘導
していく。


事業展開における勝ちパターン
当社の事業展開における勝ちパターンは、業界トップクラスの企業にまず入って、そこ
で新しいビジネスモデルを確立し、それを同業他社へ広げていく。大手から中堅へという
パターンである。
例えば、大手自動車メーカーに向けに新しいアプリを開発し、その採用をテコに、グル
ープ 4000 社に広げて行くことを狙う。地下鉄のトンネル検査が、JR や高速道路にも広が

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
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って行く。金融庁の仕事をして、それをメガバンクに広げていくというパターンである。
主要顧客は、トヨタ、JR、みずほ、三菱 UFJ、IBM、NRI、野村證券、富士通、ソニーな
ど大手企業を得意とする。1 件あたりのプロジェクトの金額は、数百万から数千万円であ
るが、次第に大型のものを狙っていく。


大手と連携
今後の成長は、①モバイル、②セキュリティ(クラウド)、③IoT(センサー&アナリティ
ックス)を軸にする。④ラーニングも New-IT の人材育成がどの企業においても急務なの
で、有望なビジネスである。
顧客開拓では、運輸、金融、自治体、製造業などに集中していく。業界トップの大手か
ら入って、準大手、中堅へと仕事を広げていく。空運でいえば、空港の中にどのようなシ
ステムがあるかが、すぐには分かりにくい。そこで、IoT でさまざまなシステムの位置情
報が把握できるようになれば、その後のメンテナンスや改善がやりやすくなる。そういう
分野はいくらでもありそうである。
トッププレイヤーとの初めての仕事は、R&D 的な要素もあるので、利益率は低いことも
想定される。しかし、そこで培ったノウハウと経験を次に活かすことで、収益性をあげて
いくことは十分可能である。
金融庁のセキュリティの仕事はかなり手間がかかる。しかし、難しい課題に全力で取り
組んで、一定のソリューションを作り上げる。そうすると、2 件目からは類似の仕事とし
て、生産性が上げられているようになる。例えば、金融庁で実績を上げれば、メガバンク
にも入っていきやすい。


ライブラリを一段と強化~商品戦略と R&D の位置づけ
New-IT Transformation を実行するために、ライブラリの強化を図っている。このアプ
ローチは、自社開発のオリジナルパーツと、他社製品を組み合わせて、システムを作り込
んでいく。そのためのパーツをライブラリに取り揃えて、いつでも使えるようにしてお
く。そのうえで1つの大手から別の同業他社へ横展開していくという方式をとる。
今後の展開では、スマートデバイス、セキュリティ、クラウド、BD(ビックデータ)、
IoT、ロボティックスをターゲットとする。アップルの法人ビジネスを成功させてきたの
で、これからも海外のプレイヤーと組んで、パートナーを増やしていく方向である。
R&D では、ライブラリの強化を目指す。例えば、電車にカメラを付ければデータを自動
でとれるようになる。そうすれば、人手による点検業務を大幅に減らすことができる。具
体的な商品開発戦略では、AI プロジェクトが進んでいる。5 人の博士チームが独自の AI
解析システムを作り上げており、これを業務プロセスに応用していく。


本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
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チェンジが推進する新技術の市場化ステージ



4thステージ 販売・技術パートナーとビジネスをレバレッジ
市場拡大


市 3rdステージ 同業・類似業界へ横展開し、ノウハウを蓄積
場 サービスの横展開

模 2ndステージ フラッグシップユーザーに導入
事業性評価


1stステージ 米国新技術
技術研究





新技術の市場化戦略
チェンジでは、新技術の市場化ステージを 4 段階で捉えている。1)第 1 ステージ〈技術
研究〉~自社で技術を研究し活用を順次検証していく。2)第 2 ステージ〈事業性評価〉~
それが事業になるかどうかをフラッグシップユーザー1 社に導入してパイロットプロジェ
クトを実行する。3)第 3 ステージ〈サービスの横展開〉~先行事例をもとに、それを同一
業界や類似業界へ横展開してノウハウを蓄積する。4)第 4 ステージ〈市場拡大〉~販売パ
ートナー、技術パートナーと組んでビジネスを一気に伸ばす。


提携戦略と IT 技術の導入
IT 技術の導入に当たっては、ガートナー社の技術評価を利用しており、日本に未進出の
テクノロジーで有望なものをいち早く取り込んでいる。米国の企業は、アジアではシンガポ
ールや香港にアクセスしても、日本へのリーチは必ずしも早くない。日本は英語のバリアが
あり、ビジネスのピッチも遅いので、そこに当社がうまく仲介できる余地がある。
提携戦略では、新しい IT 商材を取り入れて使いこなすようにしている。実際、米国
SimpliVity 社のハイパーコンバージド・インストラクチャー製品は、有力なその 1 つであ
る。これをライブラリに入れた。従来なら IT 機器を幾つも組み合わせて、全体のシステム
を作り上げていくが、いろいろな機能を超(ハイパー)集約(コンバージェンス)して、 イ
IT
ンフラを構成していく。米国ではすでに使われ始めており、日本ではこれからである。安く、
早く、拡張性の高いシステムを今後ビジネスに活かしていく。


オープンイノベーションの工夫
オープンイノベーションも工夫していく。多くの企業は社会的課題の解決を自らのビジ

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ネスの基本的な方針としている。例えば、社会インフラの老朽化に対応して、トンネルの補
強、更新をどのようにやっていくか。予算に制約がある中で、従来と同じ手法は使えない。
大企業も困っている。そこで、既存ビジネスと競合するのではなく、大企業と組んで、新し
い解決策を作り出している。
今後 20 年をみると、人手は減っていく。設備は老朽化していく。社会システムのサステ
ナビリティを保つには、それを確保するために生産性革命、新しいやり方を入れていく必要
がある。そこには、 (人工知能)
AI の応用が考えられる。画像処理技術が圧倒的に進むので、
これをテキスト化(文章化)を組み合わせると、全く新しい設備探査システムができ上がる
ことになろう。


ロボティクスの活用
ロボティクス(BR)の活用では、ANA(全日空)の手荷持仕分けで新しいコンセプトデザイン
からスタートして、応用に入っている。羽田空港でのロボット導入実証実験が、経済産業省
(METI)のプロジェクトとして採択された。顧客が手荷持を預けるところは自動化が進みつ
つあるが、裏側の仕分けは熟練した人手に頼っている。これが人手不足で対応できなくなり
つつある。ここに高性能の仕分けロボットを入れて使いこなそうというものである。


M&A に意欲的
M&A に関するコンサルや投資育成業務について、2017 年 12 月の株主総会で定款変更を行
った。これで M&A を事業の 1 つとして明確に位置付けた。
M&A について、福留社長は 3 つのパターンを想定している。1 つはリソースの調達で、人
材の確保を考えている。2 つ目は、テクノロジーの確保で新しい分野での開発力を手に入れ
る。3 つ目は、メーカー機能の獲得である。IoT のバリューアップをするためには、製造業
的ものづくりも必要である。
では、傘下に入れた企業をどのように統合していくのか。PMI(買収後の経営統合)に当た
っては、基本はチェンジの企業カルチャーを理解して、それに馴染んで行動を変えていく人
材を求めているし、そのようなマネジメントを展開する方針である。


人材の育成
従業員については、現在単体ベースで 70 名まで来ている。社員 70 名のうち 4 割の 30 名
がエンジニアである。
陣容については、当面 100 人体制を想定している。メインは中途採用で、一部新卒も入れ
ていく。新卒も 6 カ月の研修で一応のビジネスができる戦力となっていく。さらに、近い将
来 200 人まで拡大したいと福留社長は考えている。人材はコツコツ採用し育てているが、ス
ピードが間に合わない。そこで、M&A も視野に入れている。

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成長に向けたリソースの仕込み
(1)提携戦略
提携戦略では、海外のシステム商品を日本に持ち込んで、それを活用するビジネスモデル
を作っていく。
国内初で、ブラックベリー(BlackBerry)のプラチナ・パートナーに認定された。ブラッ
クベリーは、一時期流行った通信端末からは撤退し、ビジネスモデルを転換した。ソフト開
発会社として、セキュリティに強みを発揮し、その暗号に関する技術レベルはかなり高い。
当社はこのソフトに興味があり、日本ではまだほとんど活用されていないので、そこをカバ
ーし、マーケティングしている。
ブラックベリーは、米国国防総省(ペンタゴン)向けに、各種のセキュリティ製品を提供し
ており、このセキュリティ技術を活用して、あらゆるメッセージ・ファイルを安全につなぐ
ことができる。これを、日本において働き方改革における生産性向上のための安全なネット
環境を提供することに活用していく。
働き方改革では在宅勤務がポイントで、社外でも会社にいる時と同じようなネット環境
を安全性高く保証する必要がある。ペンタゴンのセキュリティレベルを提供するという点
で、ブラックベリーの製品は有効であり、当社はその応用で先頭を走っている。
(2)顧客戦略
モバイルセキュリティプラットフォームの販売が好調である。銀行を中心に、証券会社、
生保、商社へと販売先を拡大している。また、中央省庁、大手法律事務所、教育機関などに
も展開している。セキュリティニーズの高い大企業や公官庁へ、横展開が進展している。
運輸、製造業向けに新技術による業務活用を促進している。ロボティックス(RB)、IoT、
ビックデータ(BD)、画像解析などの技術を応用している。ANA エアポートサービスとは、羽
田空港における物流分野の RB 活用に向けた実証事業を行っている。大手鉄道会社向けに、
IoT 活用のグランドデザイン策定プロジェクトを実施している。大手食品製造業向けに、生
産ラインにおける異常検知のための画像解析プログラムを提供している。
こうしたプロジェクトのノウハウはライブラリに蓄積して、業界内の類似課題やテーマ
に対して横展開していく。
(3)商品戦略
商品戦略では、先進技術の R&D に力を入れている。ユースケースの開発、ライブラリ化で
は、要素技術をいかに実践的に使いこなすかがポイントである。
アマゾンのアレクサ(Amazon Alexa)に接続するアプリ/プラットフォームの提供及び開
発サービスを開始した。アレクサは音声認識の AI(人工知能)で、それに接続するアプリ
を当社が提供する。スマホを開いて指で操作しなくても、声だけで反応して AI で的確に応
えてくれる。
アレクサ(Alexa)に対応した当社のアプリ/プラットフォーム(Skill)は、音声データ

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企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
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の解析技術と組み合わせたソリューションを展開している。各業界に合わせた Skill を開
発し、順次提供していく。Skill のような音声によるインターフェイスはこれから本格化す
る。ここではパテント(特許)も申請している。
Alexa に接続するアプリやプラットフォームは、Skill(スキル)と呼ばれる。開発者が
自由に開発し、公開することができる。当社は、この Skill の自社開発を行っている。デ
モの例としては、①住宅・家電業界向けスマートホーム Skill、②メディア業界向けニュー
スリーディング Skill、③教育業界向け英会話トレーニング Skill、④広告、小売業界向け
特売情報配信 Skill、⑤EC 業界向けインターネットショッピング Skill である。
また、大容量データ分析を支援する非構造化ビックデータ活用ソリューションの提供を
開始した。センサーデータや音声データなどの非構造データを高速に検索し、処理すること
ができる。音声認識技術と融合したソリューションで、情報分析を通して、マーケティング
や販売戦略の立案に活用していく。コールセンターの音声データや監視カメラの画像デー
タは、そのままではほとんど使われていない非構造化データである。これらの活用がこれか
ら進むことになろう。
(4)M&A 戦略
M&A では、新しいタイプの SI(システムインテグレータ)を目指して、既存のシステム開
発企業を傘下に入れていく方向である。人材を再教育し、BM をリニューアルしていく。当
社は教育事業からスタートし、コンサルを軸としている。よって、IT 会社の再生は得意分
野としてできるはずである。
M&A に当たっては、その会社の人材と顧客先の双方をみていく。New-IT トランフォーメー
ションは顧客先にこそ必要であり、ユーザーの開拓というのも M&A の重要な要素である。
また、IPO アクセラレーション・プログラムを開始した。IPO アクセラレーション・プロ
グラムとは、 直前の新興企業と資本業務提供して、 系の新しい技術サービスを当社が
IPO IT
サポートしていく。先方にとっては、上場後のビジネス拡大余地が広がるのでメリットが大
きい。当社も New-IT 分野で顧客を増やすと同時に、サポートの対価として株式を通したキ
ャピタルゲインも得ていく。
その 1 号案として Phone Appli 社と資本・業務提供した。Phone Appli 社は、ウェブの電
話帳で強みを有しており、ここに投資して事業拡大をサポートする。IPO 支援プログラムと
して投資した Phone Appli 社は、クラウド web 電話帳アプリで、国内シェア№1を有し、ユ
ニファイルド・コミュニケーションソリューションの開発、販売に力を入れている。この会
社は M&A されたので、当社としては営業投資有価証券の売却益が、2018 年 9 月期の業績に
貢献した。
第 2 号は GA technologies への投資で、ここは不動産関連の AI を活用したリノベーショ
ンアプリの開発運用や、不動産投資アプリの開発運用を手掛けている。IPO アクセラレーシ
ョンの投資先は、エンタープライズ IT に特化していく。当社の目利き力を活かして、成長

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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できるかどうかが判断できるうえ、シナジーも十分読めるからである。


広がっていくビジネス~積み上がる事例
・鉄道システムの点検業務管理~トンネル検査の社内訓練用 AR(拡張現実)アプリ
鉄道システムでは、トンネルの点検、駅や線路の点検、車両の管理業務について、いかに
生産性を上げていくかがポイントである。東京メトロではトンネルの仕事から始まって、他
の部署に広がっている。
東京メトロ(東京地下鉄)向けに、トンネル検査の社内訓練用 AR(拡張現実)アプリを開
発し、提供している。2018 年 5 月より活用が始まった。東京メトロは新木場に研修センタ
ーを作っており、ここに訓練線がある。トンネルもあるが、リアルではない。そこで AR を
用いてリアルを再現する。
現実のトンネルは古く老朽化しているが、その状態について AR を使って再現し、そこで
トンネルの損傷を点検するという訓練を行う。ここで訓練して夜間のトンネル点検のチー
ムに入れば、その効率は大きく改善する。ベテラン社員の知見を若い世代に継承しやすくな
るので、極めて有益である。
今回は自社開発により iPad で使えるようにしたが、アップルも ARkit を発表しており、
AR 技術は一段と広がってくる。当社では、今後は自社開発の技術と ARkit を併用して、AR
の法人ユースを開拓していく。業務訓練に用いるという用途は多面的な展開が期待できよ
う。アップルの ARkit の活用では、日本で最も速く、法人向けユースケースを作っていこう
としている。AR をトレーニングに応用するという用途は今後かなり広がっていこう。
・商社の働き方改革
伊藤忠商事は、働き方改革の中で、仕事のモビリティを高めようとしている。どこででも
働けるようにする。その時、社内のいる時と同じような IT 環境をいかに作っていくかがポ
イントである。
多くの企業では、セキュリティの制約が強くかかるので、社外では、社内にいる時と同じ
ように IT は使えない。それを、当社は、米国で最もセキュリティが高いシステムをいち早
く取り込み、これを応用して、手元の端末でもデータの使い易さを確保するようにした。
この仕組みをまずトップマネジメントに使ってもらい、その効果を体験してもらった上
で、会社全体に広げる方向となった。決め手は、トップダウンである。POC(Proof of Concept、
概念実証)を行った上で、一気に適用することとなった。
このシステムを他社が使いたいといっても、1)適用経験で蓄積が違う、2)他社を通して使
うとコストが高くなる、という点で当社の優位性が活きる。この仕組みを他の商社にも展開
している。
・地方公共団体の政策立案サポート~リーサスの活用
鹿児島県を始めいくつかの県や市で、地方創生、地域活性化の政策立案をするにあたって

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


は、思い込みではなく、データを活用してエビデンス(科学的根拠)を積み上げていく必要
がある。内閣府のリーサス(RESAS、地域経済分析システム)には経済データが詰まってい
るが、これを地元の地域おこしにどう活用するか。このビックデータの活用に当たって、当
社が課題分析や政策形成を支援していく。この仕事が次々にとれている。効果としては、県
や市の担当者が考えていることがデータで裏付けられると共に、1~2 割は新しい気付きが
ある、と福留社長はいう。この効果は大きい。
・BD(ビッグデータ)の分析トレーニング
浜松市の職員を対象に、データ分析能力の向上のためのトレーニングを提供している。昨
年 8 月に浜松市、シスコシステムズと覚書を結んだ。浜松市の主力産業である製造業でのデ
ータ活用、産学官連携によるデータサイエンティストに育成などにも力を入れていく。自治
体が第 4 次産業革命をサポートしていくには、自らの人材育成も不可欠である。この分野も
全力に広がる可能性をもっているので、有望なマーケットであろう。
政府は AI、IoT、ビックデータなど新しい産業育成に力をいれようとしているが、自治体
の現場との温度差は大きい。実際にどのような活動を展開すればよいのか。まずは 10~15
人の人材を育成して、ここから活動の輪を広げていく方向である。新しい産業育成の企画に
も入ってくることができよう。
・データサイエンスおよび AI 講座が経産省で認定 1 号
経産省の第 1 回「第 4 次産業革命スキル習得講座」に認定された。高度な専門性を身につ
けて、キャリアップを図るためのもので、国が支援する。当社の IT 教育スキルがそのまま
活きている。この人材育成ビジネスは、①IT 事業者(大手 IT 企業)の教育、②官公庁や大
企業のデジタル組織のコンサルと教育、③スキルアップ人材の教育といった領域で展開し
ており、ニーズと需要は飛躍的に高まっている。


新商材の投入で事業領域が広がる
IT 業界の変革が本格的に始まっている。従来のミドルバックを中心にした大型システム
の市場は少しずつ減少しており。いずれ大きな変化をみせよう。一方で攻めの IT、フロン
トの IT は試行錯誤しながら拡大が始まっている。
新しいビジネスモデルを作り上げる上で、
フロントの IT 革新は不可欠であるが、それを担う IT 人材は十分でない。そこで当社の出
番は大きく拡大しようとしている。
事業領域が広がった内容としては、第 1 に AI を用いた業務プロセスの自動化、省力化が
あげられる。例えば、金融機関で専門特化した人が行っている業務を BPR(ビジネスプロセ
スリエンジニアリング)としての業務改善に向け、AI で識別して自動化を進めている。
第 2 は、IoT を活用した新たなビジネスモデル(BM)の構築である。製造業において、IoT
を利用してメンテナンスやアフターサービスのニーズを探る。機械の稼働状況をリアルタ
イムで押さえていれば、故障の前にサービス要員を派遣できる。こうしたメンテナンスサー

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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ビスを新規ビジネスとして確立して、サービスフィーを課金できるようにして、会社全体の
ROI を上げることに貢献する。
第 3 は、第 4 次産業革命を支えるデータサイエンティストの育成である。マーケティン
グや R&D に当たって、これまで貯まってはいたが、利用されていないデータ、新しく収集で
きるようになる膨大なデータをどう料理してビジネスに活かすか。こうしたデータを分析
するデータサイエンティストが大幅に足りない。日本では、25 万人も足らないという数字
もある。ここの育成は急務であり、企業の中にこうした人材を育てていく必要がある。



新商材の市場投入事例

VoX(Voice of eXperience)~ AIスピーカー

VoXサービスメニュー 企業向けAlexaサービス
Amazon Echo の活用ノウハウ
Amazon Alexa Skill 企画開発 Skill開発サービスPF提供
音声認識導入支援
独自音声認識アプリ導入 開発者向けAlexaサービス
音声テキスト検索アプリ導入 Alexa Skill Kit の活用
スマートフォン通話録音(特許) スキル強化ネットワーキング


第4次産業革命人材紹介サービス~AI人材の早期育成・即戦力化

人材紹介 AIコンサルタントコミュニティ
CHAIN(Change AI Network)
スキルアップしたAI人材の AI活用コンサルタント資格認定
紹介・マッチング CAI(Change AI consultant)


HIA(Human Intelligence Automation)~ホワイトカラーの働き方改革

業務自動化の推進 RPA(Robot Process Automation)
業務処理の自動化
コア(経験/知恵)
ルーチン(入力・登録・削除)
アドホック(評価・予測・分析) AI(Artificial Intelligence)
コミュニケーション(AIボット) 判断業務の自動化


VRラーニング・VR広報~インバウンド、自然災害、働き方などの社会的課題

VRコンテンツ開発・提供サービス VR教育プログラム
危険現場、希少発生体験
インバウンド、自然災害、働き方 VR広報プログラム
などの社会的課題にフォーカス 未体験コンテンツのPR




・VOX/AI スピーカー
当社は、Alexa 用のアプリ Skill の開発を業務用に本格展開している。 スピーカーでは
AI
2 つのビジネスモデルが具体化している。1 つは、法人向けに Skill を使うアプリ開発であ

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
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の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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る。もう 1 つは、その Skill を、スピーカーを通して利用する仕組みについて月額課金モデ
ルを導入することである。
音声認識をテキスト化して、業務用に応用するニーズはいろいろあり、すでに開発の契約
が取れている。それができ上がってくるので、今期の後半に納入となってこよう。


・AI 人材紹介サービス
当社は IT 人材の教育を得意とする。総務省の ICT スキル教育も請け負っている。こうし
た人材から当社の AI、IoT プロジェクトに OJT として実際に働いてもらい、スキルアップ
を図る。そこで育ってきた人材を顧客企業にマッチングしていくというサービスである。
CAI(Change AI consultant)という AI 活用コンサルタント資格認定を設け、CHAIN(Change
AI Network)を通してマッチングを図るという仕組みである。世の中で、圧倒的に不足して
いる AI 人材の早期育成、即戦力化をビジネスにしていく。
人材紹介では、まず理系で数学の素養がある人に学び直してもらう。米国の AI 人材の年
棒は日本に比べて大幅に高い。そこで、海外の AI 人材を日本に招く中で、日本の人材の価
値も高めていくことを狙っている。
人材紹介については、一部 2018 年 9 月期の売上に立ってくるが、データベースを作って
いく局面なので、本格的な寄与は来期からになろう。


・HIA~ホワイトカラーの業務自動化
世の中では、RPA(Robotic Process Automation)によって、人手による事務処理の自動
化が注目されている。これに AI による判断作業を加えて、ホワイトカラーの業務の自動化
を推進する。これを HIA(Human Intelligence Automation)という仕組みとして提供し、
生産性の向上に貢献させる。例えば、自動車事故車両の修理にいくらかかるかを専門家に代
わって、判断し、自動的に査定するというようなシステムである。HIA はビジネスとしてす
でに動いており、次第に業績に貢献してこよう。


・VR ラーニング・VR 広報
バーチャルに事故を体験する、高所作業を体験する、特殊な工事を体験する、というよう
な学習コンテンツの開発提供サービスである。あるいは、広報について、実際に何か施設を
作るのではなく、仮想体験を提供して広告効果を高めようというものである。例えば、ミュ
ージアムを実際に作るのではなく、VR 上でそれを体験できるコンテンツを作り、それをサ
ービスする。そうすると、コスト安く、そのミュージアムの内容を体験できる。
VR のビジネスも 2Q から動き出すので、業績に貢献してこよう。




本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
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4.大型M&A トラストバンクの買収でパブリテックを急展開


トラストバンクは、「ふるさとチョイス」を企画・運営
11 月に M&A で大型の案件が成立した。ふるさと納税の統合サイトを運営するトラストバ
ンク(TRUSTBANK)の株式の 60.11%を取得し、子会社化した。
TB(トラストバンク)は、
「ふるさとチョイス」を企画、運営し、ふるさと納税では圧倒
的な№1 である。当社のサイトのおかげで、ふるさと納税に関わるサービスが一元的に使え
るようになり、選択肢が増え、利用しやすくなった。
マーケット指標として、ふるさと納税の寄付金額の推移をみると、業界全体で 2012 年度
104 億円、2013 年度 145 億円、2014 年度 389 億円、2015 年度 1653 億円、2016 年度 2844 億
円、2017 年度 3653 億円と急拡大をみせている。


ふるさと納税で業界トップ
TB は、ふるさとチョイス以外にも、全国の生産者事業者を支援する「たのもし」サイト、
ふるさと探しを手伝う「ローカル日和」サイト、日本の魅力と課題を伝えるメディア「Area
Japan」などを運営している。
ふるさとチョイスは、返礼のデータを 1 つのサイトにまとめて、決済できるようにした。
ワンストップのふるさと納税の仕組みが画期的である。
現在、1400 の自治体と契約し、返礼品の掲載数は 20 万点に及ぶ。主要 35 県で使われて
おり、シェアは 50%を超えている。
TB は、
「ICT を通じて地域とシニアを元気にする」というミッションのもとで、日本最大
のふるさと納税プラットフォームビジネスを築いてきた。
一方、当社は AI や RPA など New-IT を用いて自治体の業務改革に取り組んでおり、パブ
リックセクター向けのサービスが事業の柱に育っている。
チェンジの福留社長と TB の須永珠代代表取締役とは、この自治体向けのビジネスで知り
合って、一緒に仕事をすることも増えていた。その中で、TB の M&A の話が出てきた時に、
競合企業よりもチェンジと組んだ方が互いのミッションを共有して、事業が発展できると
認識した。
想定時価総額が 80 億円と評価され、その 60%を取得した。株式の取得価額は 48 億円であ
った。 の地域事業の支援と当社の自治体内での New-IT の活用を上手く合体して新しいシ
TB
ナジーを出していくことになろう。
当社からみると、TB は営業利益率 20%のビジネスであり。全国 1400 の自治体にすでにネ
ットワークをもっている。これらの自治体の IT 活用に、従来と比べものにならないくらい
の速いスピードで入っていける。
地域振興、自治体のサービス、生産性の向上、というパブリテック(公共セクターのテク

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ノロジー革新)を推進していく。さらには、インバウンド関連、デジタル決済も視野におい
ている。


地方自治体へのネットワークを活かす
自治体は変化に対して一般に保守的である。ところが、ふるさとチョイスについては、参
加した自治体がみな目を見張っている。このプラットフォームを活かして、自治体のサービ
ス改革をさらに進めることができよう。これがビジネスになる。
全国 1788 の自治体の業務をみると、かなり共通のものが多いはずなのに、それをサポー
トするシステムは別々にできている。このためのシステムに 6400 億円が投資されているが、
これを共通化して、新しい仕組みにしていくことで、コストが下がり、サービスの生産性が
上がっていく。サービスを受ける住民にとっても、オンラインで手続きができるようになれ
ば、今までよりは手間がはぶけ、時間もかからなくなる。
インバウンドの取り込みでも、来日観光客を地方に呼び込み、そこで、デジタル決済がで
きるようになれば、使うお金も増えてくる。中国、香港、台湾、韓国の通貨が決済できるよ
うにすれば、利便性は相当に上がる。これをチェンジがリードしようとしている。


トラストバンクの業績
(百万円)
2015.9 2016.9 2017.9
売上高 716 3442 6048
営業利益 164 676 878
経常利益 173 679 873
純利益 111 450 558


純資産 127 578 1136
総資産 384 1352 2026



M&A 後の連結経営
48 億円の M&A については、みずほ銀行より 50 億円の借り入れを行った。これで十分であ
る。12 月末の新しい連結のバランスシートで、自己資本比率は 30%強に落ちようが、本業の
利益が毎期積み上がってくるので、返済も進む。よって、特に問題はない。エクイティファ
イナンスをやる予定もないし、必要もない。
TB の業績みると、2016 年 9 月期売上高 3442 百万円、営業利益 676 百万円(営業利益率
19.6%)
、2017 年 9 月期同 6048 百万円、同 878 百万円(同 14.5%)と、営業利益率が下がっ
ているようにみえる。これは、返礼品の納入(物流)代行をこの期から請負ったために、20
億円程度見かけの売上高が増えていることによる。この物流代行はやめていくので、実態と

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
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しては、営業利益率 20%が確保できているとみてよい。
TB の主力ビジネスであるふるさと納税について、総額 3600 億円の納税に対して、トップ
の当社は 2%強の手数料を取っているが、競合の楽天、ソフトバンクのさとふるは 10%前後を
課している。1%のレート差で 36 億円も違ってくるので、TB の収益性の確保については全く
心配する必要がない。つまり、レートを一定程度上げる余地は十分あるということである。
TB に足らないのは、システム開発のエンジニアである。当社はここに強みをもつ。自治
体向けのクラウドシステムを作って、共通に利用してもらうことを推進する方向である。
TB の経営陣はそのままマネジメントを担当するが、当社からは福留社長と山田 CFO、自治
体担当の 3 名が入って、全体のコントロールに向けて連携することになる。




5.当面の業績 好調を持続し、ピーク利益の更新続く


2018 年 9 月期は 7 期連続でピーク利益を更新
2018 年 9 月期は、売上高 2604 百万円(前年度比+31.5%)
、営業利益 513 百万円(同+
55.0%)
、経常利益 513 百万円(同+57.7%)
、純利益 343 百万円(同+49.5%)と極めて好調
であった。会社公表は期中に 2 回上方修正された。音声認識や AI の活用、デジタル人材の
育成が大きく伸びていることによる。
売上高原価率は 61.1% 同 59.8%)
( とやや上がったが、
売上高販管費比率は 19.2% 同 23.5%)

とかなり改善している。よって、売上高営業利益率は 19.7%(同 16.7%)へ向上した。当面
は、原価率 60%、販管費率 20%をベースにマネジメントしていくが、中長期的には粗利率を
40%から 50~60%へ上げていく方針である。
New-IT トランスフォーメーション事業では、①AI 人材やデータサイエンステイストなど
の高度人材育成サービス、②AI スピーカー関連プロジェクト、③働き方改革関連プロジェ
クトが計画を上回った。投資事業では、4Q に Phone Appli の売却益が入った。一方で、東
証 1 部上場のための準備費用が発生したが、これはクリアした。


単体の四半期別業績の推移
(百万円)
1Q 2Q 3Q 4Q
売上高 営業利益 売上高 営業利益 売上高 営業利益 売上高 営業利益


2017.9(実績) 465 36 467 120 628 166 420 9


2018.9(実績) 392 25 767 176 702 165 743 147



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前期 4Q、今期 1Q に仕込んできたビジネスが成果としてオンしてきている。売上の内訳を
みると、AI、IoT、New-IT の関連プロジェクト、ライセンスの提供が 7 割、IT 人材育成教育
が 3 割、というイメージである。


単体のサービスライン毎の売上構成と収益性のイメージ

2016.9(推) 2017.9(推) 2018.9(推) 2019.9(予)
(%) (%) (%) (%)
MSA(Mobile & Sensing Application) 30 ○ 25 ○ 20 ○ 20 ◎
モバイルデバイスの活用とセンサーなどを用いた
自動データ確保の仕組み構築と運用を行うライン
ESI(Enterprise Security & Infrastructure) 20 ○ 25 ◎ 25 ◎ 25 ◎
クラウドなどを用いたITインフラの刷新及びセキュ
リティツールの選定や導入を行うライン
A&I (Analytics & IoT ) 10 ○ 15 ○ 20 ◎ 25 ◎
IoTを活用したオペレーションやビジネスモデル
NLX(Next Learning eXperience) 40 ◎ 35 ◎ 35 ◎ 30 ◎
IT事業者のNew-IT化支援及びNew-ITを実現する
人材育成の次世代学習プログラムの提供
(億円) (億円) (億円) (億円)
売上高合計 15.5 19.8 26.0 35.0
営業利益 1.8 3.3 5.1 8.0
(注)○は収益性、◎は収益性高い。売上構成比、収益性ともアナリストの推定・予想




好調の要因は AI、RPA、VR、モバイルの業務活用
好調の要因は、1)AI、RPA(ロボテック・プロセス・オートメーション)による業務自動
化プロジェクト、2)音声 AI スピーカーの活用プロジェクト、3)VR を利用した地方創生、
人材育成、4)AI 人材、データサイエンティストなどの人材育成といった新しい領域が急速
に伸びていることにある。
1)AI スピーカーを軸として音声インターフェイス関連事業の市場拡大
①シニア向け AI スピーカー音声サービスの提供~7 月に三井物産と新会社ボイスタート
(出資比率三井物産 77.8%、当社 11.1%)を設立した。三井物産の社内起業第 1 号案件で、
当社がデジタルトランスフォーメーションの人材育成を行っている関係で結びつきができ
た。シニア世代が音声 AI スピーカーを利用して、会話がはずむようにして、生活の張りや
買い物の利便性などを提供しようというものである。
②ラインのクローバーで地価を提供~LINE Clova は、Amazon Alexa、Google Home、
Himalaya などと並ぶ AI アシスタントスピーカーである。LINE 社の Clova に搭載されるス
キル(機能)開発キットの初期パートナーとして、今回は国の地域経済分析システム「RESAS」
の機能を活用して、Clova で地価調査を提供する。地価を簡単に音声で検索できる。
③阪急うめだ本店で、AI スピーカーで案内を行う実験を開始~8 月から阪急阪神百貨店
で AI スピーカーを活用した店内案内サービスの実証実験を開始した。
当社が開発した AI ス

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ピーカーで店内 1600 ブランドの売場情報が音声とモニターで案内される。これを日本語と
英語でサービスする。


注目できる成長事業




・音声ビッグデータ領域のAIアルゴリズム「VOICE OF EXPERIENCE(VOX)の提供


・AIスピーカーを活用した施設案内・受付ソリューションの提供


・作業者の安全・健康管理を目的としたIoT技術活用推進、第1弾として熱ストレス検知ソリューションを提供


・パブリックセクターの業務に特化したPRA導入支援サービスの提供


・当社のデータサイエンス、AI口座が経産省の「第四次産業革命習得スキル講座」に認定




2)NEW-IT と人材育成を組み合わせた働き方改革のサービスも拡充
①ヤフーに働き方改革プログラムを提供~会議の生産性向上を目的としたワークショッ
プを実施した。ヤフーに「働き方改革プログラム」を提供し、内の会議の生産性を向上させ
る「会議の生産性向上ワークショップ」を指導した。働き方は、<ルール+ツール+ヒト>
に依存すると福留社長はいう。ルールを変えて、ツールを導入しても、ヒトの意識が変わら
ないと、働き方はなかなか変わらない。会議の生産性が上がるように、まずは人材を育成す
るプログラムをヤフーに提供した。
②テレビ東京と協業して、働き方改革ワークショップ(研修セミナー)を提供~働き方改
革の研修セミナーにおいて、テレビ東京が持つ経済情報の裏側コンテンツを利用する。WBS
(ワールドビジネスサテライト)、ガイアの夜明け、カンブリア宮殿などで蓄積した実例を
ヒントとして用いる。
③内定者・新人社員向けモバイルトレーニング~当社のモバイルラーニングサービス
「CHANGE UP」を拡張して、内定者、新入社員向けの教育に特化した「New Hire Training」
を 10 月より販売する。入社前からスマホで、いつでもどこでも何度でも学習できる教育ア
プリとなっている。ビジネスパーソンとして必須のスキル、知識、心構えが身につくように
25 個のコンテンツを用意したものである。
④作業者の安全、健康管理のための IoT 活用~当社、Agx、COLLESTA の 3 社は、現場で働
く作業者の熱ストレスをリアルタイムで検知するソリューションを提供する。複数の作業
現場での作業者の暑さ指数(WBGT)をクラウドで一元管理する。建設現場、工場など気温の
高いところでの作業について、ヘルメットに IoT デバイスをつけてデータを取り、体調管理
をして予防に役立てる。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
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⑤AI、 人材の育成~経産省のデータサイエンティスト及び AI 活用コンサルタントの養
BD
成講座認定を取得できた。ここの人材育成では業界の先頭を走っている。


3)パブリテック(公共テック)の展開
①熊本市の市職員向け AI 活用研修~AI の活用に熊本市は先進的であり、AI チャットボ
ットの試行検証を開始した。問い合せに自動で答えてくれる仕組みは他の自治体にも横展
開できる。
②奈良市の RPA の導入による業務効率の改善~業務プロセスを明らかにして、効率化を
検証していく。これも積極的な自治体からスタートしており、今後の広がりが見込める。
パブリテックでは、例えば自治体の仕事の中身をみると、PC に向かって非定形なデータ
を入力して作業をしている。まず仕事の中身を分析する(BPR) 次に自動化を検討する
、 (RPA
の検証)、そして、ツールを入れて実装する。
このような作業は自治体でも企業でも山のようにある。今や人手は足らない。自動化でき
るものは人手をかけないようにして、人材は別に活用しようという動きが今後一段と活発
化しよう。
4)VR(仮想現実)の適用
宇宙ミュージアムの設置~JAXA の宇宙ロケットの打ち上げ基地のある町(鹿児島県肝付
町)で、VR を利用した宇宙ミュージアムを作った。今後は、VR を利用したバーチャル公営
美術館などへも展開できよう。コンテンツ中心で、大規模な建物はいらない。2)業務にお
いて起こりうる事故、災害などを VR の教育コンテンツとしてサービスし、人材育成に活か
す。実際のハザードと同じような内容を VR で体験できるので、教育効果は大きい。
5)モバイルの活用
①多拠点ビデオミーティング「Tap Room」の提供~緊急時、災害時などに、現場と本部を
iOS 専用アプリによってワンタッチでつなぎ、すぐにミーティング、やりとりができるとい
う多拠点ビデオミーティング「Tap Room」の提供を開始した。
②モバイルスペシャリストの育成~富士通エクサスでは働き方改革支援サービスを強化
するために、3 カ年で 600 名のモバイルスペシャリストを育成する。そのためのモバイル活
用ノウハウを当社から提供する。当社の有力商品を活用してもらい、売ってもらうというチ
ャネルになる。


New Business Creation ユニットを立ち上げ~新しいセグメントを設定
2018 年 9 月期に、組織として New Business Creation ユニットを立ち上げた。会計上は、
固定資産にある投資有価証券を、流動資産の「営業投資有価証券」に計上し直した。ベンチ
ャー企業に投資をして、 などによって持っている株式を売却すれば、
IPO それが売上に立つ。
営業投資有価証券は、メーカーでいえば在庫のようなものである。売却損益は通常の営業利

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の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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益に入ってくる。本業なので、そういう会計処理になる。今後、こうした投資事業からの利
益貢献も高まってこよう。

単体のセグメント別業績予想
(百万円)
2017.9 2018.9 2019.9(予) 2020.9(予)
売上高 利益 売上高 利益 売上高 利益 売上高 利益
New-IT トランス
フォーメーション事業 1980   ー 2447 790 3150 1000 4050 1250


投資事業   ー   ー 157 76 350 200 450 250


 全社費用(一般管理費)   ー 352 400 400


合計 1980 331 2604 513 3500 800 4500 1100
(注)利益はセグメント利益。-は区分なし。投資事業は2018.9期3Qより区分。予想はアナリスト予想。




IPO アクセラレータープログラムでは、不動産テックの GA テクノロジーズへ投資した。
ここは、AI を活用した不動産のリノベーションアプリ、カジュアル不動産投資アプリを主
力としており、当社の本業でも連携できる。IPO で稼ぐことも狙った。
ヒューマノイドアプリ開発のヘッドウォータース社に投資した。ヒトの形をしたロボッ
トで AI スピーカーの活用を展開していこうとしている。
ヘッドウォータースとの資本・業務提携にみられるように、アクセラレーション・プログ
ラムでは、1)当社のネットワークにいろんなベンチャー企業の情報が入ってくる。2)その
中から双方の事業の相性をみて、事業面でサポートできることを確認する。3)その上で、
資本も 10%前後で提供する。この投資業務、事業育成業務を当社の本業とする。すでに定款
も変更している。
3Q よりセグメントが 2 つになった。New-IT トランスフォーメーション事業と投資事業で
ある。すでに展開している IPO アクセラレーション・プログラムを正式の投資事業と位置付
けた。これは、当社の成長戦略に関連する企業に投資を行い、事業上のシナジーを出すとと
もに、投資によるリターンも獲得していく。
3Q のバランスシートでは、
流動資産の中の営業投資有価証券に 229 百万円が計上された。
固定資産の投資有価証券であったものも、こちらに移った。
AI を活用した不動産テックに強みをもつ GA technologies が 7 月に東証マザーズに上
場した。これによって、当社の投資額に対して一定の含み益が発生している。これを 2019
年 9 月期以降売却する予定なので、投資事業セグメントに売上高(売却額)
、営業利益(売
却益-投資事業部門コスト)が計上される。
評価益は P/L には反映されない。B/S 上で評価益は主に純資産の中で「その他有価証券差

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


額金」として表示される。事業投資は本業であるから、セグメント利益は営業利益に入って
くる。これがもし、本業でない有価証券投資であれば、実現損益は営業外収支で計上される。
ここが違う。


単体のバランスシート
(百万円、%)
2015.9 2016.9 2017.9 2018.9
流動資産 550 1163 1238 2103
現預金 271 751 978 1055
売掛金 243 335 230 478
営業投資有価証券    ー    ー    ー 500
固定資産 243 79 190 165
有形固定資産 32 32 49 54
無形固定資産 7 7 45 27
投資その他 202 39 96 83
資産合計 793 1242 1429 2268
流動負債 314 342 282 493
買掛金 145 167 52 90
純資産 370 850 1088 1655
有利子負債 161 75 77 139
有利子負債比率 20.4 6.1 5.4 6.1
自己資本比率 46.7 68.4 75.9 72.8


GA technologies の含み益は 2018 年 9 月末の B/S に反映されている。また、投資先であ
る Phone Appli の株式は 2018 年 9 月期の 4Q に NTT コミュニケーションズに売却した。こ
れによって、4Q は事業投資による売上、営業利益が発生した。2018 年 9 月期の営業利益の
1 割弱を稼いだ。2019 年 8 月期も、事業投資は営業利益全体の 1~2 割程度は十分稼ぎ出す
ことができよう。
また、4Q に、当社にとって 5 番目の事業投資を行い、AI Cross(旧 AOS モバイル)の株
式の一部を取得した。この会社は AI ベースのビジネスチャットソリューション「In Circle」
やスマホ利用の法人向け SMS ソリューション「AOSSMS」など手掛けている。B to B のモバ
イルコミュニケーションをサービスする。当社はこうしたツールを自治体向けサービスに
応用していく方向にある。
バランスシートでは、M&A への対応がポイントである。2018 年 9 月末で総資産 2268 百万
円、純資産 1655 百万円、現預金 1055 百万円である。通常のビジネスにおいて、増加運転資
金はいらない。ソフト開発費用、人材投資なども費用として落ちていく。




本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
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単体のキャッシュ・フロー
(百万円)
2015.9 2016.9 2017.9 2018.9
営業キャッシュ・フロー 102 56 326 245
税引後利益 83 131 259 387
減価償却 14 9 13 26
売上債権 -60 -91 104 -247
仕入債務 50 22 -115 37
営業投資有価証券     ー     ー     ー 28
投資キャッシュ・フロー 38 154 -110 -243
有形固定資産 -6 -3 -11 -17
無形固定資産 -1 -1 -41 -11
投資有価証券 -30 159 -45 -211
財務キャッシュ・フロー -74 274 10 75
長期借入金 -81 -86 3 61
株式発行 0 349 5 15
現預金期末残高 275 751 978 1055



営業投資有価証券と投資有価証券の違い
三井物産と当社で、合弁会社ボイスタート(Voistart!)を設立した。シニア世代に対し
て、音声 AI スピーカーを利用したサービスを提供する。鎌倉市と実証実験の協定を 9 月末
に結んだ。2019 年に本番サービスの開始を目指している。ボイスタートは、三井物産の社
内起業制度の第 1 号案件である。
AI スピーカーを使って、シニアの生活の利便性を高めることに狙いがある。高齢者をい
かに外に引き出して、活動してもらうか。元気の源はアクティブに活動することなので、イ
ベント情報などを幅広く提供する。
この事業は AI スピーカーの活用で、先頭を走っているというレピュテーションの広がり
に注目できよう。中長期投資なので、出資分は営業投資有価証券でなく、投資有価証券に計
上している。
GA テクノロジーが 7 月 25 日に上場した。これによって、営業投資有価証券の含み益が上
がっている。2019 年 9 月期も、投資している企業の何社かが上場してくるものと想定でき
るので、引き続き投資の売却益が期待できよう。
IPO アクセラレーションとして投資した会社については、上場や M&A によって上場価値が
顕在化した場合は、その大半を売却する方針である。但し、本業での業務提携は続くので、
一割割合は保有を継続する方針でもある。
バランスシートで営業投資有証が 9 月末で 500 百万円となっている。 月末が 229 百万円

であったが、これにより増加しているのは、GA テクノノロジーが 7 月に上場して時価評価
されたことと、9 月に株式会社識学(しきがく)と資本業務提携した分が入っている。識学

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は人の意識構造学をベースにしたコンサル会社で、組織のパフォーマンスを向上されるサ
ービスを提供する。人材育成という点で当社と連携し、いずれ上場を目指している。


単体の業績
(百万円、%)
2015.9 2016.9 2017.9 2018.9 2019.9(予) 2020.9(予)
売上高 1400 1550 1980 2604 3500 4500


原価 880 944 1183 1591 2020 2500
売上高原価率 62.9 60.9 59.8 61.1 57.7 55.6


粗利益 519 605 796 1013 1480 2000
売上高粗利益率 37.1 39.0 40.2 38.9 42.3 44.4


販管費 384 418 465 499 680 900
売上高販管費率 27.5 27.0 23.5 19.2 19.4 20.0


営業利益 134 186 331 513 800 1100
売上高営業利益率 9.6 12.0 16.7 19.7 22.9 24.5


経常利益 137 175 325 513 800 1100
純利益 82 118 229 343 520 720
(注)トラストバンク買収前ベース



2019 年 9 月期の業績~単体
2019 年 9 月期の単体の会社計画は、売上高 3430 百万円(同+31.7%)
、営業利益 753 百万
円(同+46.6%)、経常利益 752 百万円(同+46.5%)、純利益 512 百万円(同+49.1%)を見
込んでいる。
今期の単体では、営業利益が+240 百万円(+46.6%)となるが、これは人材の強化によ
る人件費の増加+195 百万円、オフィスの増床に伴う賃料の増加+31 百万円(その他に一時
支出+71 百万円)を吸収している。
今期伸びる事業分野は、1)AR/VR(MSA)
、2)IoT セキュリティ(ESI)
、3)音声/AI(A&I)、
4)高度 IT 人材(NLX)で、実績をベースに売上の深耕、拡大を図っていく。


連結業績の見方~IFRS がこれからスタート
TB(トラストバンク)の連結への組み込みはこれからスタートする。IFRS(国際会計基準)
を採用する方針である。まだ、詳細なデータが十分開示されていないので、アナリスト予想
は今後詰めていくこととする。
仮に、2019 年 9 月期は P/L に 12 月以降の 10 カ月分が入ってくるとすると、過去の実績

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をベースに売上高で 33 億円は乗ってこよう。日本方式の会計では、のれんの償却が 10 カ
月分として 6 億円となるので、営業利益では 2 億円程度が上乗せされよう。一方、IFRS(国
際会計基準)なら、のれんは非償却なので営業利益は 8 億円が乗ってこよう。
買収額 48 億円に対して、のれんは 36 億円、5 年償却を見込んで年 7.2 億円である。2019
年 9 月期の連結業績については、IFRS をベースにすると、TB の 10 カ月分を入れて、売上高
80 億円、営業利益 16 億円が見込めよう。
12 月末の連結バランスシートを想定すると、総資産 98 億円、純資産 33 億円、借入金 50
億円、自己資本比率 33.7%、有利子負債比率 51.0%というところであろう。
2020 年 9 月期は、国際会計基準(IFRS)をベースにすると、売上高 100 億円、営業利益
25 億円が想定されよう。


今後の収益性向上の方向
売上高営業利益率については、今後 25%に向けて上昇していこう。収益性では、ビジネ
スモデル(BM)の進化と共に、原価率は現状の 60%が近いうちに 55%へ、長期的に 50%へ下
がっていこう。
販管費は現状の 25%が近いうちに 22%へ、
長期的に 15%に下がっていこう。
これによって営業利益率は近いうちに 25%へ、長期的には 35%に上がっていくことが期待
される。これが New-IT トランスフォーメーションを BM とする当社の収益力向上の 1 つの
KPI であろう。




5.企業評価 M&A のシナジーは十分見込める


ストック効果の追求
上場を機に、顧客を始めとするステークホルダーとの接点が大きく増えており、ビジネス
にはプラスに働いている。東証 1 部上場によってさらに信用力がついている。それによって
顧客との長期のビジネス関係を構築していくことができる。
大手の SI はすでに既存のビジネスを有している。新しい分野に出ていくにしても、先端
のソリューションを機動的にビジネスにしていく人材が十分でない。また、日本企業にみら
れる意思決定の遅さもネックである。そこで、当社のような会社と組んで、お互いパートナ
ーとして、1)供給力を高め、2)迅速な意思決定で、3)具体的なソリューションの提供を実行
していくことができる。ここに当社の存在意義があるといえよう。
福留社長は、これまでフラッグシップパートナー作りの顧客戦略に最も時間を使ってき
たが、これからは、M&A を通して SI 業界に再編をリードし、新しいビジネスモデルを創っ
ていくことに時間を投じていこうとしている。TB(トラストバンク)とのシナジー効果が大
いに期待できよう。

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東証 1 部に市場変更
9 月 3 日に東証 1 部に指定替えとなった。当社は B to B の法人ビジネスを展開している
ので、顧客法人からの信用が最も大事である。受託ビジネス、ライセンス販売において、大
手企業との新規の取引が一段とスムースにいくようになっている。東証マザーズ上場では、
大企業からまだベンチャーとみられていたが、 部上場企業となったことで信用力にはずみ

がついている。
また、採用においても東証 1 部はよい効果が見込める。福留社長は、若い人はコンサバな
ので、1 部上場というと親も含めて安心してくれるという。今回の採用計画は前倒しで順調
に進んでいる。株式市場での出来高も従来の 2 倍に上がっている。
7 月 1 日に 1:2 の株式分割を行い、8 月末には全体の 5%の立会外分売を行った。創業メ
ンバーが株式の約 73%を保有していたが、このうちの 5%を売り出した。これによって、株主
数を増やし、流動性を高めた。
ガバナンスについては、現在、社外取締役が藤原洋氏(ブロードバンドタワーCEO)1 名
であるが、今後増員されることになろう。
配当に関しては、無配である。大型 M&A を実行しているので、成長を優先して内部資金は
使われて行こう。
一方、株主優待制度がスタートした。100 株保有の株主に 1500 ポイント、2 年目以降の保
有継続株主には 1.1 倍の 1650 ポイントがつく。さらに、500 株までは保有数によって、ポ
イントが高まっていく。ポイントは 2 年目まで貯めることができ、ポイントによってさまざ
まな商品と交換できる。ポイントなので単純に金額換算はできないが、100 株で 1500 ポイ
ントなので、1 株 15 円相当とみることもできる。
業績は、従来に比べて断層的に伸びてこよう。従来のコンサルや研修は順調に伸びるとし
ても、急成長というわけにはいかない、一方で、新分野は横展開が本格化すると、売上げの
拡大ピッチは上がり、しかも利益率はさらに上がってくる。投資事業も成果が大きく出る可
能性がある。こうした事業展開の中身をもう少しよくみていく必要があろう。
攻めの IT 分野で、確固たるビジネスモデルを構築しており、今後の新規市場開拓の余地
も大きい。収益基盤は安定しており、収益性の向上も十分見込める。よって、企業評価はA
とする。(企業評価の基準については 2 頁目を参照)
現在の株価(12/20)で見ると、PBR 28.8 倍、ROE 31.4%、PER 91.4 倍(2020.9 期ベースで
66.0 倍)である。成長企業としての評価はかなり受けている。今後 TB(トラストバンク)と
のシナジーがはっきりして、さらなる成長がみえてくれば、期待はより高まってこよう。今
後の成長戦略の展開に大いに注目したい。




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