【ALBERT】 人の動きの変化と新型コロナウイルス感染状況の関連について東北大学、京都大学との共同論文を発表

報道関係者各位


2021 年 5 月 31 日
ア ル ベ ル ト

株式会社ALBERT

【ALBERT】 人の動きの変化と新型コロナウイルス感染状況の関連について
東北大学、京都大学との共同論文を発表
~「夜の街」のモビリティ変化と感染拡大の強い関連性を確認~

株式会社 ALBERT
(アルベルト、 :
本社 東京都新宿区、代表取締役社長 松本壮志、
: 以下 ALBERT)
は、東北大学大学院環境科学研究科の中谷友樹教授チーム、京都大学大学院医学研究科・医学部の
西浦博教授らと共同で論文「Mobility Change and COVID-19 in Japan: Mobile Data Analysis of
Locations of Infection(日本におけるモビリティ変化と新型コロナウイルス感染症の関係性:モバ
イルデバイスデータに基づく感染地域の分析)を執筆し、 月 5 日付で
」 6 『Journal of Epidemiology』
に掲載される予定です。なお、モビリティ変化は株式会社ドコモ・インサイトマーケティング(以
下、DIM)の「モバイル空間統計®※1※2」をもとに算出しています。

【共同研究の調査サマリー】
・東京、名古屋、大阪の大都市圏を対象に、2020 年 3 月から 7 月における職場、夜の街、居住地
での人の動き(モビリティ)の変化と新型コロナウイルス感染症の感染状況の関連性を分析。
・各都市において、職場や住宅地よりも夜の街でのモビリティの変化の方がより有意に感染拡大
と関連することが観察された。
・緊急事態宣言や外出自粛要請に伴う夜の街におけるモビリティの変化が、新型コロナウイルス
感染拡大の抑制に寄与したことが示唆された。


職場 夜の街




住宅地




各場所におけるモビリティの変化
大都市圏における 1 日あたりの症例数の推移
(特定の時間帯における各場所の人口の比率)


※1…モバイル空間統計®は、ドコモの携帯電話ネットワークの仕組みを利用して作成される人口統計情報です。各基地局はエリア内の
携帯電話を定期的に把握しており、この仕組みを利用して携帯電話の台数を集計し地域ごとのドコモの携帯電話の普及率を加味して、
エリア内の人口を 24 時間 365 日推計。サンプルサイズは、国内居住者約 8,000 万台、訪日外国人は約 1,200 万台であり国内最大です。
※2…モバイル空間統計®は株式会社 NTT ドコモの登録商標です。
■2020 年 4 月の第一波発生時における「緊急事態宣言」「自粛要請」の効果を検証
新型コロナウイルス感染症におけるクラスターの発生を防止することを目的に、厚生労働省が 2020 年
2 月 25 日に新型コロナウイルス感染症対策本部クラスター対策班(以下、クラスター対策班)が設置さ
れ、西浦教授が当時在籍していた北海道大学がデータ解析チームとして、東北大学がリスク管理チーム
として参画しました。さらに、緊急事態宣言直後の 4 月 10 日より ALBERT のデータサイエンティスト
7 名がクラスター対策班に参与として合流し、主に人流データ等を使った感染状況の分析を実施しまし
た。
また、 月 1 日に発表した新型コロナウイルス感染症対策専門家会議における
5 「新型コロナウイルス感
染症対策の状況分析・提言」※3 では、実効再生産数を用いた感染状況の把握や、接触頻度分析による行動
変容の評価等に取り組みました。
しかしながら 6 月下旬に、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の廃止及び新型コロナウイルス
感染症対策分科会が新規発足したことから、クラスター対策班で実施したデータ分析の知見と、DIM か
ら提供された「モバイル空間統計®」のデータをもとに改めて分析を実施し、第一波発生時のモビリティ
と感染拡大の関係性に関する研究を発展させ、今回の論文発表に至りました。
※3…「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」
(2020 年5月1日、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議)
https://www.niph.go.jp/h-crisis/wp-content/uploads/2020/05/20200507112044_content_10900000_000627254.pdf




■モバイルデバイスデータと特定の「場所」の定義
本論文の作成にあたり、
「モバイル空間統計®」を利用し、500m 四方のグリッドでの 1 時間ごとの推定
人口を算出しています。また、特定の時間帯(深夜:午前 3 時〜午前 5 時 59 分、昼間:午後 2 時〜午後
4 時 59 分)の推定人口の中央値をもとに職場、夜の街、居住地と定義しました。



■論文概要
・題名 Mobility Change and COVID-19 in Japan: Mobile Data Analysis of Locations of
Infection
(日本におけるモビリティ変化と新型コロナウイルス感染症の関係性:モバイルデバイ
スデータに基づく感染地域の分析)


・著者 東北大学大学院環境科学研究科博士後期課程 永田彰平 氏
東北大学大学院環境科学研究科 中谷友樹 教授
ALBERT データサイエンティスト 足立侑駿、稲盛徹、中村一翔、有馬大
京都大学大学院医学研究科・医学部 西浦博 教授


・雑誌名 『Journal of Epidemiology』


・DOI https://doi.org/10.2188/jea.JE20200625
■東北大学大学院環境科学研究科 中谷友樹 教授
人の動きと COVID-19 の流行の推移に関連があることは国内外でこれまでにも度々指摘されてきまし
た。テレビ等では駅前の人出といった人の動きの情報(人流データ)が毎日報道されています。ただ、ど
のような場所での人の動きが COVID-19 の感染拡大と強く関連するのかを定量的に議論した研究は、乏
しい状況でした。この論文では、
「夜の街」と呼ばれた歓楽街に相当する地区でのモビリティの増加/減少
が、他の地区のそれと比べて COVID-19 の流行拡大/抑制とより関連していたことを明らかにしています。
これは、既に流行対策に関わって発信されてきた内容と対応していますが、今後の流行対策にも継続し
て有用な知見を提供するものだと思います。また、人流データそのものが感染機会の多寡とも関連した
街のタイプを識別する上で有用であり、感染対策においてきめ細かな対応を考える上で、具体的な地区
の絞り込むことにも役立つことが考えられます。
なお、この論文は、厚生労働省内に設置されたクラスター対策班での分析経験に基づいて、その任務終
了後にデータの再分析を行い、その結果を報告したものです。クラスター対策班は 2020 年の 2 月下旬
に、COVID-19 の流行拡大を受けて、立ち上げられました(正式名称は「厚生労働省新型コロナウイルス
対策本部クラスター対策班」。流行の地理的な分析のために GIS 研究者の参加も求められ、論文の第 1

著者の永田彰平氏など研究室のメンバーが参画しました。GIS チームでは、地理的な拡大経過のモニタリ
ングや人流変化の地域的特徴の分析等などが進められましたが、日々更新される膨大なデータ(陽性者
データや人流データ等)を処理する人的・技術的リソースの不足に悩まされました。そのような状況の
中、株式会社 ALBERT からの技術者の支援により、モバイルデバイスデータの分析基盤が構築され、そ
の高い技術力によって、即応性を求められる現場で的確な分析結果を報告することができました。デー
タ基盤の構築を前提とした人的・技術的リソースの備えが、今後の感染症対策には求められるように思
います。



■株式会社ドコモ・インサイトマーケティング 代表取締役社長 三毛 孝彦 氏
ALBERT 様と今回 COVID-19 の流行拡大と人流データとの関連性を分析する上で、われわれの持つモ
バイル空間統計®による人流データを活用いただくことになりました。モバイル空間統計®は、ドコモの
基地局内にある携帯電話の数を定期的に把握し、そのエリアにいる人口を24時間推計するもので、今
回のような大都市を中心とした調査に限らず、比較的小さな都市においてもサンプル数の多さにより人
流を把握することができます。これを利用すれば、たとえば災害時の避難経路の確保といった社会課題
の解決や都市再開発のための最適な設計等に役立てると考えています。




■考察と今後の展望について
今回の研究結果では、特に夜の街でのモビリティの低下が新型コロナウイルス感染症の感染抑制に寄
与する可能性を示しており、得られた知見は今後の公衆衛生・社会的対策の立案に活用が可能です。ただ
し、今回の研究では①発症データの集計について未公表の自治体もあったため「発症日」ではなく「確定
日」を使用している点、②手作業で確認はしているものの、特定の時間帯の推定人口によってのみ「場所」
を定義している点、③新型コロナウイルス感染症の発生に関連する環境要因として移動性の変化のみを
考慮しており、検査・治療体制の整備、季節的な影響、個人の感染予防意識の高まり等、他の環境要因を
考慮していない点から、モビリティの変化と新型コロナウイルス感染症の関係性をより適切に把握する
ためには、更なる研究が必要と考えられます。
■株式会社 ALBERT

所 在 地 :東京都新宿区北新宿2丁目 21-1
設 立 日 :2005 年 7 月 1 日
代 表 者 :代表取締役社長 松本壮志
証券コード :3906(東京証券取引所マザーズ)
事業内容 :データソリューション事業
AI 活用コンサルティング / ビッグデータ分析 /
AI アルゴリズム構築とシステム開発・運用 / AI を用いた独自プロダクトの提供 /
データサイエンティストの育成支援




【本リリースに関するお問い合わせ先】
株式会社 ALBERT 経営戦略部(鈴木)
TEL:03-5937-1610 HP:https://www.albert2005.co.jp/

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