ソケッツ、平成を音楽で振り返る 歌は時代を表しているのか?感性メタデータ分析

平成 31 年 4 月 24 日
各位
会社名 株式会社ソケッツ
代表者名 代表取締役社長 浦部 浩司
(証券コード:3634)
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ソケッツ、"平成"を音楽で振り返る
〜歌は時代を表しているのか?感性メタデータ分析〜
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株式会社ソケッツ(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:浦部浩司、以下「ソケッツ」

は、平成という時代 30 年間の日本の音楽シーンについて、オリジナルの「感性メタ(※)

を活用、分析した結果レポートを公開いたしました。時代と音楽の関係性を読み解くことで、
平成を通じた日本という国の感情の移り変わり、世相を読み解きました。

(※)感性メタとは、人間が感じる繊細で曖昧な感覚や感情、嗜好を特徴付け、体系化しデ
ータ化したものです。たとえば音楽においては 1 曲 1 曲を人間の耳で聴き込み、歌詞を全
て読み、膨大な作業により機械には出来ない感性的な解釈を可能とするデータベースです。
ソケッツでは創業以来、感性データベースの開発にこだわり、音楽から始まり映画、書籍な
どのエンターテイメント分野、美容、飲料、食品、消費材などの非エンターテイメント分野
まで、世界でも類を見ない感性メータベースを開発しております。





"平成"の音楽シーンを感性メタ分析で振り返る

〜歌は時代を表しているのか?〜
ついに、およそ 30 年間続いた平成が幕を閉じます。平成のヒット曲や、人気アーティスト
の移り変わりなどについては多くのメディアがすでに取り上げていますが、ソケッツでは
自社 MSDB の感性メタデータを活用して、ソケッツらしく平成を音楽を通じて振り返って
みたいと思います。



▼対象データ
MSDB より、平成元年(1989)〜平成 30 年(2018)にリリースされた邦楽シングル楽曲
を対象(※)とし、各楽曲に付与されているメタデータを抽出、分析
(※) 一般社団法人 日本レコード協会のオーディオレコード 種類別新譜数推移より、
1989 年から 2018 年の演歌、ポップス・歌謡曲の 8cmCD および 12cmCD シングルか
ら換算したシングルリリース数:71,879 曲
MSDB から抽出したシングルリリース対象楽曲数:63,497 曲



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序章〜メタ単位から考察
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まずはメタ単位でいくつか時系列で見ていきたいと思います。ひとつ目はわかりやすく楽
曲メインテーマメタより大きく 4 つに分類した結果をまとめてみました。




Graph1
平成 30 年間でリリースされたシングル楽曲より、楽曲メインテーマのうち「応援」
「心情」
「人生」「青春」に関するメタがついた楽曲を抽出、年次での4テーマごとの割合を算出し
時系列で表したグラフ


まず平成元年(1989)から順に見ていくと、平成 2 年(1990)バブル崩壊の年、「人生」と逆転
する形で「応援」をメインテーマとした楽曲割合が上昇しており、平成最初の変化がこの年
に見られました(Graph1❶)。その後、比較的安定して推移していた楽曲テーマですが、平成
7 年(1995)の阪神・淡路大震災以降、再び「応援」が上昇していきます(Graph1❷)。以降、
「応援」は平成 8 年(1996)以降のオリンピックイヤーで上昇する特徴も確認できました。そ
して、平成 19 年(2007)以降、死者、負傷者、行方不明者を多数もたらす震災、災害に日本
各地は見舞われていきます。それと同調するかのように「心情」が上昇しはじめ、あの平成
23 年(2011)の東日本大震災をきっかけに、楽曲テーマも平成 30 年間の中で最も大きな転換
期を迎えていました(Graph1❸)。個人寄付総額は前年の2倍以上に跳ね上がり「寄付元年」
とも言われている 2011 年、どこに住んで、どんな仕事をして、どんな立場で、そんなこと
は関係なく、多くの人が自分ができることを、と真剣に向きあった年、アーティストやクリ
エイターが音楽に込めた思いがこうした大きな変化を生んだのでしょうか。


次は、J-POP とは切り離せない「恋愛」メタで見ていきましょう。実際には恋愛メタは日
本人の心情を表すよう、非常にきめ細やかな粒度で付与されていますが、今回はその恋愛メ
タをポジティブ、ネガティブ、それ以外の 3 つに再分類しています。




Graph2
平成 30 年間でリリースされたシングル楽曲より、恋愛メタがついた楽曲を抽出、恋愛メタ
各種をポジティブ、ネガティブ、それ以外の 3 つに分類し、年次で各割合を算出し時系列で
表したグラフ


恋愛メタについては、阪神・淡路大震災があった平成 7 年(1995)よりポジティブメタ割合が
上昇します(Graph2❶)。その後、緩やかに上昇していきますが、平成 23 年(2011)の東日本
大震災には急上昇(Graph2❷)、直接的ではない恋愛メタにおいてもこうした相関が見られ
るということは、地震大国である日本にとってそこからの復興の道のりには、私たちの生活
に思った以上に音楽が根付いていて、活力になっているのだと感じさせます。


そして、せっかくなので、何か季節性が見えないか、恋愛メタを月単位でまとめてみました。
Graph3
恋愛メタの出現回数を各年・月別でランク、1 番多く出現していた月を 30 年間で集計した
結果


クリスマスに向けた 11 月に、あらゆる恋愛メタ要素が突出しています。ポジティブな恋愛
メタを含む楽曲がリリースされる月はバレンタインデーのある 2 月、夏に向けた6、7、8
月という結果に。ネガティブな恋愛メタを含む楽曲については 11 月についで、少し意外な
ことに 5 月でしたが、梅雨に向けた四季情緒のある日本人の心情を考えるとしっくりくる
結果ですね。


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トピックモデルを使って平成リリース楽曲を分類
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それでは、いよいよ本番。ソケッツのメタデータを使ってまずは以下の手法で分類します。



▼分析手法
潜在的意味を推定するためのモデルであるトピックモデル(LDA)を利用
Latent Dirichlet Allocation (LDA)とは…
・文書がどのような話題(トピック)で構成されているかを解析
・各トピックにおける各単語の所属確率が算出される
・トピック数(いくつのグループに分けるか)は予め決めておく
・どのような意味を持つグループを作るかは予め人間が決めるのではなく、得られた
確率から後で人間が解釈をする


今回は邦楽を 10 トピックでわけることとする
ということで、平成 30 年間でリリースされたシングル楽曲のメタデータから算出したジャ
ンルにとらわれない 10 トピックとその階層構造を可視化した階層クラスタリングがこちら
になります。




この階層クラスタの距離は各トピックの類似度をあらわしています。楽曲ごとに付与され
たメタでの分類上、Topic5 と topic8 は他のトピックより独立傾向にあると解釈できます。
最も近いのが、topic2 と topic3、また topic6 と topic10 ということになります。ここは後
ほど詳しく説明するとして、実際に、各トピックにおける所属確率が高かった楽曲例をあわ
せて見ていただくとかなりイメージが湧きやすくなるかと思いますので、まずはそちらを
ご紹介します。


topic1:切ない恋愛系ソング
楽 HANABI / 浜崎あゆみ 2002/7/24 リリース
曲 ロード / THE 虎舞竜 1993/1/21 リリース
例 Be My Last / 宇多田ヒカル 2005/9/28 リリース


topic2:苦悩、憂鬱系ロック
楽 Wizard CLUB / UVERworld 2013/8/14 リリース
曲 サバイバル / GLAY 1999/5/19 リリース
例 カルマ / BUMP OF CHICKEN 2005/11/23 リリース


topic3:パワフルな励まし系ロック
楽 FANTASISTA / Dragon Ash 2002/3/6 リリース
曲 ねがい / B'z 1995/5/31 リリース
例 空に唄えば / 175R 2003/6/18 リリース


topic4:軽やか・明るい、さわやか系 J-POP
楽 明日があるさ / ウルフルズ 2001/2/16 リリース
曲 HELLO /福山雅治 1995/2/6 リリース
例 波乗りジョニー / 桑田佳祐 2001/7/4 リリース


topic5:励ます、優しい・あたたかい系ソング
楽 崖の上のポニョ /藤岡藤巻と大橋のぞみ 2007/12/5 リリース
曲 おどるポンポコリン / B.B.クイーンズ 1990/7/4 リリース
例 情けねえ / とんねるず 1991/5/29 リリース


topic6:軽やか・明るい、アイドルグループ系ソング
楽 ギンガムチェック / AKB48 2012/8/29 リリース
曲 恋のダンスサイト / モーニング娘。 2000/1/26 リリース
例 E.G.Anthem-WEAREVENUS- / E-girls 2014/7/9 リリース


topic7:温かい・穏やか、感動的バラード/メロウ系ソング
楽 長い間 / Kiroro 1998/1/21 リリース
曲 桜 / コブクロ 2000/3/4 リリース
例 CAN YOU CELEBRATE? / 安室奈美恵 1997/2/19 リリース


topic8:人生、ゆったり、ほろ苦い系ソング
楽 夢うぐいす / 天童よしみ 2003/3/5 リリース
曲 プロポーズ / 純烈 2018/2/14 リリース
例 慎吾ママのおはロック / 慎吾ママ 2000/8/18 リリース


topic9:ラップ、R&B、ヒップホップ、ダンサブル系ソング
楽 Chase the Chance / 安室奈美恵 1995/12/4 リリース
曲 traveling / 宇多田ヒカル 2001/11/28 リリース
例 Face Down / 嵐 2012/5/9 リリース


topic10:夢・頑張る、あたたか、さわやか系ソング
楽 Daylight / 嵐 2016/5/18 リリース
曲 二人セゾン / 欅坂 46 2016/11/30 リリース
例 ユメひとつ / 刀剣男士 team 新撰組 with 蜂須賀虎徹 2017/3/29 リリース


いかがでしょうか。10 トピックの楽曲例を見ていくと、具体的なイメージと、そしてなん
となく納得感が得られないでしょうか?
さらに、 楽曲につき約 2,000 項目付与されている感性メタの中から
1 「楽曲テーマ」
「歌詞」
「曲調」「楽器」「ヴォーカルタイプ」の 5 つをピックアップして、各トピックの特徴的メ
タを見ていくと、次のような感じになっています。




先ほど少し触れた通り、左端の topic2:苦悩、憂鬱系ロック、topic3:パワフルな励まし系
ロックというようにロックがかたまっています。同様に隣り合っている類似性が高いのが
topic6:軽やか・明るい、アイドルグループ系ソングと topic10:夢・頑張る、あたたか、
さわやか系ソングです。こちらは前述の各トピックの楽曲例を見るとわかりやすいかと思
いますが、topic6:軽やか・明るい、アイドルグループ系ソングが徐々に topic10:夢・頑
張る、あたたか・さわやか系ソングのよりテーマ性を持ったあたたかさ、さわやか系ソング
へと変化、合流していった流れが汲み取れます。これは後述の時系列での考察でさらに確定
的となります。
また、右端の topic8:人生、ゆったり、ほろ苦い系ソングと topic5:励ます、優しい・あた
たかい系ソングはそのほかのトピックからは独立していますが、この両トピックは年齢層
高めもしくは幅広い年齢層に受け入られやすい楽曲、アーティスト影響の色濃いトピック
のため他のトピックとの距離が遠くなっていると解釈できます。


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平成リリース楽曲の推移
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では、これを時系列でみていきたいと思います (前述の通り、所属確率をもとに出している
ため、楽曲数での影響は受けていません)。




Graph4
平成にリリースされたシングル楽曲を対象とした 10 トピックの推移


これはアーティスト、クリエイターが各時代、その時々で発信したかった、伝えたかった、
届けたかった音楽の傾向と受け取れます。
平成になってから topic5:励ます、優しい・あたたかい系ソングが長らく邦楽界を牽引して
いたことがわかります。しかし、topic5 と同様に主流だった topic8:人生、ゆったり、ほろ
苦い系ソングは、初代 iPod が発売され、同時に違法なファイル共有ソフトでの利用率が一
時期9%を超える事態になっていた平成 13 年(2001)以降、リリースされていく割合は他の
トピックと比べ下火になっていきます(Graph4❶)。
長らく安定していた topic5:励ます、優しい・あたたかい系ソングが下降し始めた 2008 年
にはリーマン・ショッックがあり、世界同時不況を引き起こしました。
そして、先ほどのメタと同様、ここでも平成 23 年(2011)の東日本大震災が起こった年に、
音楽シーンでも大きな変化が起こっていました(Graph4❷)。それまで長らく主流だった
topic5:励ます、優しい・あたたかい系ソングが急下降し、代わりに topic10:夢・頑張る、
あたたか・さわやか系ソングが上昇、翌年平成 24 年(2012)には逆転する形に。平成に入っ
てすぐバブル崩壊、そんな時代を優しくあたたかく励ましてきた邦楽は、震災という出来事
をきっかけに「夢、頑張る」と気力を喚起するあたたかく、さわやかな楽曲制作へと変化を
遂げていました。さらには J-POP の王道イメージがある topic1:切ない恋愛系ソングもこ
の年以降、下降しています。
以降の動きとしては、平成 13 年(2001)以降下降していた topic8:人生、ゆったり、ほろ苦
い系ソングですが、平成 25 年(2013)に上昇に転じています(Graph4❸)。この年の出来事を
振り返ってみると「あまちゃん」が大ブームとなり、1980 年代の既存のアイドル歌謡曲を
中心に多数ドラマ内で使用されたほか、オリジナルソングもいくつか制作されました。こう
した CD 世代の中高年層へ向けた音楽の流れがデータからも読み取れました。
平成 27 年(2015)に入ると、日本での音楽定額制サービスで Apple Music、LINE MUSIC、
Google が参入し本格化しはじめます。さらに翌年の平成 28 年(2016)、日本での利用率 77%
(Google2016 年度調査発表より)と 10、20 代の若い層を中心に普及した YouTube をきっか
けに PPAP が大ヒット、平成 23 年(2011)を起点として上昇しはじめたトピックはさらなる
上昇を、反対に下降しはじめたトピックはさらに下降し、2011 年に起きた変化は一過性で
はなく、より顕著な特徴を表しています (Graph4❹)。
日本の音楽シーンは、2011 年以降牽引してきた topic10:夢・頑張る、あたたか・さわやか
ソングがそのままの勢いで、そして平成終盤、topic8:人生、ゆったり、ほろ苦い系ソング
が再び盛り返す形で、新たな令和という時代へ突入していきます。


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平成リリース “ヒット曲”の推移
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次は今まで見てきた平成時代にリリースされてきたシングル楽曲に対して、“ヒット曲”に
絞って同様に時系列で見てみました。
Graph5
平成にリリースされたシングル楽曲の中で音楽ランキングなどにチャートインした”ヒット
曲”を対象とした 10 トピックの推移


前述のシングルリリース全曲をアーティスト、クリエイターが各時代、その時々で発信した
かった、伝えたかった、届けたかった音楽と表現するならば、こちらは国民が共感、支持し
た音楽性ととらえられます。
平成 2 年(1990)のバブル崩壊後、就職氷河期に突入した平成 4 年(1992)、topic5:励ます、
優しい・あたたかい系ソングにおけるヒット傾向が上昇(Graph5❶)、同様に新潟中越地震、
アテネ五輪での日本が躍進(メダル数で国別5位の実績)した平成 16 年(2004)にも上昇して
います(Graph5❷)。先の見えない暗い時代、日本が世界で頑張る姿、そんな背景で、topic5:
励ます、優しい・あたたかい系ソングが支持されたことがわかります。ちなみに、この平成
4 年(1992)、平成 16 年(2004)の topic5:励ます、優しい・あたたかい系ソングのヒット隆
起に対して topic10:夢・頑張る、あたたか・さわやか系ソングは下がっているのも特徴的
です。ところが、ヒット曲においても、東日本大震災があった平成 23 年(2011)を起点に、
先ほどのシングルリリース全楽曲と同様に、変革が訪れます(Graph5❸)。安定して推移し
ていた topic5:励ます、優しい・あたたかい系ソングが下降し、topic5 と同様に推移してき
た topic10:夢・頑張る、あたたか・さわやかソングが上昇しており、シングルリリース全
曲と動向が一致しています。アーティスト、クリエイターの思いが、国民へきちんと届いた
結果がこうしてデータから見て取れました。
そしてシングルリリース全曲でも特徴が顕著化した平成 28 年(2016)、ヒット曲においても
さらなる変化が見られます(Graph5❹)。東日本大震災から 5 年が経過、復興の現状として
はまだまだ多くの人が避難生活を余儀なくされ、福島第1原発では、廃炉作業が続いていま
す。復興への長い道のりに向け、平成終盤、平成 23 年(2011)から下降していた topic5:励
ます、優しい・あたたかい系ソングが再度急上昇、同様に topic8:人生、ゆったり、ほろ苦
い系ソングも急上昇、一見両極端に思えるトピックですが、音楽に励まされ、音楽で人生、
現実と向き合ってこれから新たな時代に進んでいこうという意思を感じずにいられません。


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平成リリース楽曲とヒット曲の差分考察
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最後に、シングルリリース全曲とヒット曲それぞれの各 topic 所属確率における差分を出し
てみました。クリエイティブサイドからの思いやメッセージの詰まった楽曲の提供に対し
て、国民が共感・支持した楽曲の構成要素の特徴、傾向は平成 30 年間を通してどのように
移り変わっていったのでしょうか。




Graph6,7
平成にリリースされたシングル楽曲と音楽ランキングなどにチャートインした”ヒット曲”
を対象にした 10 トピックの差分結果を2種類のグラフで表したもの


シングルリリース全曲に対して、ヒット曲所属確率が上回っていた特徴を見ると、30 年間
において全般的に安定してプラスで推移していたのは、topic10:夢・頑張る、あたたか・
さわやかソング、ついで topic6:軽やか・明るい、アイドルグループ系ソングでした。また
topic10,6 ほどではありませんが、topic9:ラップ、R&B、ヒップホップ、ダンサブル系ソ
ングと、topic4:軽やか・明るい、さわやか系 J-POP もプラス幅は小さいながらも安定し
て推移していました。
この安定推移とは別に、特徴的なところをピックアップすると、大きく 3 つの期間に分け
ることができそうです。
平成 3 年(1991)から平成 11 年(1999)、topic2:苦悩、憂鬱系ロック、topic3:パワフルな励
まし系ロックにおける、ロックブームが確認できます(Graph7❶)。
次に平成 11 年(1999)から平成 23 年(2011)に入れ替わるようにして、topic7:温かい・穏や
か、感動的パラード/メロウ系ソングが台頭(Graph7❷)。終盤、平成 29 年(2017)から平成 30
年(2018)にかけては、topic5:励ます、優しい・あたたかい系ソング、Topic8:人生、ゆっ
たり、ほろ苦い系ソングがプラスに転じ、ガラッと傾向が変化しています(Graph7❸)。令和
に向けて音楽シーンも新たな時代に突入していく予兆でしょうか。


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最後に
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よく「歌は時代を映す鏡」などと言われますが、こうして日本での出来事と感性メタから傾
向や推移を見ると、生活に根ざした、日本という国や季節、生活に寄り添っている根底が見
えた結果となりました。
また今回は平成の音楽シーンという大枠で概要をご紹介しましたが、今回の結果にとどま
らず、経済状況などとの因果関係や別の切り口、層別で見ることで、今まで目で見ることが
できなかった人の“感性”の移り変わりなどをデータから明らかにしていくことができます。
もちろん、過去や直近の傾向だけでなく、未来予測も可能です。現在、ソケッツではこの未
来予測の精度 UP、実用化に向け積極的に取り組んでいます。
そして、音楽に限らず、映画や本、漫画なども同様に、感性メタを活用した分析で、時代の
移り変わりとともに何が求められ、何が受け入れられ、どのように推移しているのかをデー
タから明らかにすることも可能です。
さらには、この数年でソケッツでは、エンターテイメントにとどまらず、美容・飲料・食品・
消費材・体験など非エンターテイメント分野における感性メタのデータ開発にも取り組ん
でいますので、例えば今回の音楽分析で可能となるように「優しい・あたたかい」から「さ
わやか」に時代が移行していく、さらにいえば同じ「さわやか」でも人や家族によって異な
る、など、その時々、人それぞれで共感力のある“感性”がなんなのかを明らかにすること
で、化粧品、飲料、食品、洗剤など消費材、家電などの一般商材、イベントや旅行などの体
験などにおいてどのような変化・影響があるのかを分析し、エンターテイメント分析で得た
人の感性や感情をを起点に、あらゆるものや場所やサービスを結ぶ、ブランドパートナーシ
ップ、さらにはクロスエクスペリエンスを提供できると考えています。企業やあらゆる商品、
サービスが、感性メタで可視化され、つながっていく。感性という軸で繋がる企業同士が協
力をしながらブランディング、プロモーションを行ってく。これが、ソケッツが目指す『エ
ンターテイメント×テクノロジー発 感性マーケティング行』です。今後もソケッツの技術
開発の取り組みにご期待ください。


「ソケッツレポート」の記事のご利用、また共同研究などに関するご相談はこちらのお問い
合わせフォームよりご連絡ください。
http://www.sockets.co.jp/inquiry/contact/policy.html



●公開日

平成 31 年 4 月 24 日(水)

●ソケッツレポート

http://www.sockets.co.jp/kansei/kansei_report09.html




株式会社ソケッツ:(http://www.sockets.co.jp/)
株式会社ソケッツは、2000 年6月に設立された「人の気持ちをつなぐ」という事業目的を
持ったデータベースサービス会社です。現在、KDDI 株式会社、株式会社レコチョク、楽天
株式会社、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社、LINE MUSIC 株式会社などへの
音楽や映像、書籍などを中心とした検索・レコメンド・ストリーミング・データ提供・
アナリティクスなどのデータ関連技術サービスを行っております。

本リリースに関するお問い合わせ先:
株式会社ソケッツ
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-23-5JPR 千駄ヶ谷ビル3F
Tel:03-5785-5518 Fax:03-5785-5517
E-mail:ir@sockets.co.jp
以上

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