ソケッツ、連続ドラマの視聴率予測シリーズ第3回レポートを公開

平成 29 年7月 10 日
各位
会社名 株式会社ソケッツ
代表者名 代表取締役社長 浦部 浩司
(証券コード:3634)
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ソケッツ、連続ドラマの視聴率予測シリーズ第3回レポートを公開
~ 前クール予測結果 正解率 78%、次クールの初回視聴率を新たに予測 ~
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株式会社ソケッツ(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:浦部浩司、以下「ソケッツ」

は、前回公開した、前クール連続ドラマ最終回チューニング後の視聴率予測結果が正解率
78%であったことを総括したレポートを公開いたしました。
さらに本レポートでは、新たに 2017 年 7 月期の夏ドラマを対象とし、自社のMSDB(※)
より抽出した情報とドラマのあらすじを感情スコア化した情報を分析、初回視聴率予測を
行っております。
ソケッツでは、音楽、映像、書籍をはじめとしたエンターテイメントに関するメタ情報と、
感情分析エンジン(特許出願中)による人の“感情”をキーとした分析予測から、商品開
発・調達、マーケティング支援に向けた実用化を目指し、研究開発を推進しております。



(※)MSDB(メディアサービス・データベース)とは、ソケッツが開発した音楽、映像、
書籍、放送、人物、施設、一般商品情報などを体系的かつ特徴情報を詳細に分類したデー
タベースであり、人の感性や感情を捕捉した「感性メタデータ」をキーとしたプロファイ
リング、アナリティクス、パーソナライズ、レコメンド、マーケティングサービスを実現
します。




2017 年連続ドラマ視聴率を予測する シリーズ第3回



さて、前クール 2017 年 4 月期のドラマもひと通り最終回を迎え、前回レポートでお伝えし
た途中経過から、最終結果が出ましたので、そちらをご報告したいと思います。


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前クール連続ドラマ最終回視聴率予測結果
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では、早速まいります。
その前に、今回の分析対象のおさらいから…



■2003 年 1 月期~2017 年 4 月期までの地上波プライムタイム(19 時~22 時台)全国
ネットの民放 4 局(日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日)の連続ドラマ


■上記に付随する、放送曜日・時間帯、ドラマジャンル、各話視聴率、平均視聴率(※)、
主演、出演者、プロデューサー・監督・脚本などの付帯情報全般、あらすじデータ


■MSDB より抽出した上記データのうち、ドラマあらすじから感情分析エンジンで感情
スコア値を算出



(※)過去視聴率実績出典:「ビデオリサーチ社調べ」


予測モデル構築に関する詳細は、以下の過去シリーズをご参照ください。
視聴率予測シリーズ第 1 回:http://www.sockets.co.jp/kansei/kansei_report03.html
視聴率予測シリーズ第 2 回:http://www.sockets.co.jp/kansei/kansei_report04.html




こちらは、初回に構築した前段のプロトタイプ版予測モデルで、9 話視聴率を予測した最終
結果となります。前回レポート(2017/6/14 リリース)で途中経過時点で外れ値となった要
因を分析、それを元に、予測モデルをチューニングし最終回視聴率予測を出しましたが、
こちらの初期モデルは結果として、4 勝 6 敗 2 引き分けで正解率 40%での着地となりまし
た。そして、本番最終回視聴率予測を行ったチューニング後モデルの予測結果が以下とな
ります。
結果、7 勝 2 敗 2 引き分け、正解率 78%となりました。チューニングで、かなりの精度ア
ップを実現できましたが、±1.0 ポイント以上の誤差が出てしまった 2 敗は、後半じわじわ
と視聴率をアップさせてきた TBS の火 10 時枠「あなたのことはそれほど」と、安定した
視聴率推移を示していた、こちらも TBS の日9時枠「小さな巨人」でした。


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前クール予測結果考察
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予測を外してしまった 2 つについて分析、その考察結果をご紹介します。


●TBS の火 10 時枠「あなたのことはそれほど」 +2.0 ポイント差
こちらは前回のレポートでも触れたとおり、スポーツの生中継や特番などが同時間帯に放
送されることによる影響、つまり、数理モデルにおける変数不足により、予測値にブレが
生じたと言えます。
下記の図は、最終話直前の『移動平均下降度を表したグラフ』ですが、こちらからもわか
るように、最終前話の裏でサッカーのW杯アジア最終予選イラク戦が放映されたことによ
り、最終付近(前週~前々週)における移動平均における外れ値(下振れ)が発生しました。
そのため、一番盛り上がる最終回直前で離脱した誤差 3 ポイント以上の視聴者が、そのま
ま最終に向けての関心度がそられて
しまったのではないか、という仮説
となります。直前の予測であればま
だしも、予測時にイベントが発生す
るかどうかは分かりません。それも
踏まえてこの影響を吸収できるよう、
過去の事例抽出、分析し、次回チュ
ーニング時に変数を組み込み、改善
を図りたいと思います。


●TBS の日9枠「小さな巨人」 -2.2 ポイント差
こちらは、直近のトレンド指数を加味していなかったことでの誤差と考えています。時代
の流れとともに何事も流行り廃りがありますが、ドラマにも時代や時期ごとにヒットの法
則的なものがあるとしたら、本作は大ヒット作「半沢直樹」と同じ、日9時枠で、助演に
香川照之さん、「半沢直樹」「下町ロケット」も手掛けた八津弘幸氏が脚本協力で参加し
ていました。
また、右記の通り、あらすじからの感情スコア値を見
ても、「怒り・苛立ち」が高く、制作側は「半沢直樹」
を意識し、視聴者もそのように認識していたのではな
いでしょうか。実際に、2 つのドラマの感情スコア値
傾向も非常に似ていました。
本作は、初回より高視聴率を維持しつつも、最終以前
の値はそれほど上振れもなく下振れもない状態で推移
していましたが、最終で大きく跳ねたのは過去作品で
の実績を拠り所とした潜在的視聴者の流動における結
果と理解できます。多くの視聴者が「半沢直樹」で共感・評価したであろうポイントの再
来に期待した現れではないでしょうか。
ヒット要因は多数あれど、それがたまたま単発で受けることもあれば、主流になることも、
逆に二番煎じとして不評を買うこともあります。
前回、チューニングで、Twitter コメントからの感情スコアを盛り込みましたが、こちらと
は別にさらに、ドラマに付随した話題性や好感度、またトレンドの共感軸をスコアリング
した重みづけを加味するなど、今後検討していきたいと思います。


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感情スコアからの考察
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また、2003 - 2017 年 1 月期までの過去の連続ドラマデータの事前分析でも、視聴率と最も
影響度が高かったのは「昂ぶり・興味」だったと第 1 回レポートでも少し触れましたが、
そちらを分かりやすく表にした結果がこちらになります。
こちらは、平均視聴率帯ごとに該当するドラマを仕分け、各ドラマで突出していた感情を
カウント、各平均視聴率帯を 100%とした時のそれぞれの割合を出したものです。『ドラマ
ティック』という形容詞(意味:劇を見るように感動的、印象的であるさま。劇的。)が
あるように、全体的に「昂ぶり・興味」が高くなる傾向がありますが、その中でも平均視
聴率 20%以上を記録したドラマでは特に大きな割合を占めています。


また、2017 年 7 月期連続ドラマのドラマキャッチコピー、紹介文から感情スコアを算出し
てみた結果がこちらとなります。




7 月期夏ドラマは全体で見ると「希望」「昂ぶり・興味」「哀しみ」が高めの傾向にあるよ
うです。ちなみに、前クールドラマ全体で見たときの感情スコアは「哀しみ」「昂ぶり・
興味」が高めとなっていました。
このあらすじ感情スコア、また Twitter 感情スコアの傾向については、まだ解明しきれてい
ないことが多いため、もう少しデータ量を増やしつつ、さらに検証・考察していきたいと
思います。
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2017 年 7 月期ドラマの初回視聴率を予測する
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さて、最終回視聴率予測は、前クールで予測しきれなかった 2 つの敗因を改善すべくチュ
ーニングを加え、改めて再度予測したいと思いますが、今回新たに、初回視聴率予測に挑
戦したいと思います。最初か最後か、一見大きな差はないような気がしますが、最終回予
測モデルで加味していた初速実績 1~3 週目視聴率の移動平均などは利用できませんし、ま
さにゼロベースでの予測となり、ドラマ自体の視聴者吸引力(ドラマキャッチコピーや紹
介文、キャスト、プロモーション他)と、それに対する視聴者の期待値と、その動向(視
聴者がそのドラマをリアルタイムに楽しむのか、録画などで楽しむのか)をどう読むかが
ポイントとなってきます。
その前に、事前分析として、直近 2013 – 2017
年期のシーズン別での視聴率を確認してみ
ました。やはり夏休みやお盆の傾向か、レジ
ャーシーズンの夏場は初回~最終回平均の視
聴率が伸びずに下がる傾向があるようです。ただ、初回視聴率に関しては新生活がはじま
り、あわただしい春に比べて夏場はさほど考慮の必要はなさそうです。


ということで、初回視聴率予測用に新たなモデルを構築していくこととしました。
まず、ベースはもちろんソケッツ感情エンジンで算出したあらすじの感情スコア値です。
こちらはある意味、最終回視聴率予測での利用に比べ、事前に視聴者へ向けて発信する訴
求内容としてさらなる重要性をもっているかもしれません。さらに前回、最終回視聴率予
測モデルのチューニングで精度アップに貢献した過去ジャンル時間平均、また主役、出演
者などの過去視聴率寄与スコア、また視聴者の期待値を反映する意味で、放映前に公式
Twitter アカウントがあるかどうかと、あった場合の放送前「いいね」数を加味したモデル
としました。
さらに、プロモーションや視聴者吸引力という意味では、主題歌における期待度も加味し
たいところではありましたが、こちらは現在、別軸で指標となるスコアリングを構築中の
ため、そちらの完成を待って今後採用を検討したいと思います。他にもまだまだ盛り込む
べき視点、考慮すべき点があがりましたが、まずは重要と思われる要素を柱とし、さらに
根拠や精度が確認されているものを中心としたシンプルなモデルで行くこととしました。
【初回視聴率予測モデル プロトタイプ版】
そして、上記モデルで予測した結果はこちらになります。




本モデル、最終回視聴率モデルのように、過去実績に当てはめての検証はできていません。
なぜなら、今回、放送前の視聴者の興味・期待値を測る手段として、番組公式 Twitter アカ
ウントの有無と、スタート前「いいね」数を加味しているからです。
ドラマ連動型の公式 Twitter アカウントが対象ドラマすべてに揃っているというのは非常
に特徴的でもあり、ソーシャルメディアなど Web 上における話題性や連動性を意識したド
ラマにますます近づいてきていることの現れかもしれません。そうした意味で、ソーシャ
ルインフルエンサーである渡辺直美主演ドラマ「カンナさーん!」がどれだけ数字をとる
のか、今後に少なからず影響を与えるであろう、その動向に注目したいと思います。
また主演クラスの俳優陣が助演として脇を固めているものが多く(黒木瞳、大竹しのぶ、
栗山千明、蒼井優、山口智子、浅野温子、三田佳子、鈴木保奈美)、初回、または初回以
降の伸びなど、どのように視聴率推移に寄与するのかも結果との答え合わせをしながら、
初回視聴率予測モデルや最終回視聴率予測のチューニングで取り込んでいきたいと思いま
す。
まずは、最終回視聴率モデル同様、こちらの結果を元に今後のチューニングを重ねていく
ことを方針として、まずは最初の一歩を踏み出してみたいと思います。
さて、最終回視聴率のようにある程度の結果を出すことができるでしょうか…?!
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最後に
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本シリーズも第 3 回となり、さらに新たな挑戦レイヤーに突入しました。実は今回の初回
視聴率予測こそ、その時代に求められるキャストや構成を事前にとらえ、ヒット予測を行
う、というソケッツが目指す本質があると思っています。ただこちらの予測は、先に少し
触れたとおり、最終回視聴率予測以上にまだまだ加味する点、検討すべきこと、クリアす
べき課題が多々あるのも事実です。最終回視聴率予測も今後まだまだチューニングを重ね
改善していく余地はありますし、こうした様々な研究開発での挑戦、その結果~の分析、考
察、改善の積み重ねが、現在ご紹介しきれていないソケッツの取り組みには重要な要素の
ひとつともなっています。
今後も、人の感情・感性がキーとなるエンターテイメント分野で、データを活用した予測
科学で新たな支援やバリューを生み出していきたいと思います。


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い合わせフォームよりご連絡ください。
http://www.sockets.co.jp/inquiry/contact/policy.html




●公開日

平成 29 年7月 10 日(月)

●ソケッツレポート

2017 年連続ドラマ視聴率を予測する シリーズ第3回

http://www.sockets.co.jp/kansei/kansei_report05.html
株式会社ソケッツ:
(http://www.sockets.co.jp/)
株式会社ソケッツは、平成12年6月に設立された「人の気持ちをつなぐ」という事業目
的を持ったデータベースサービス会社です。現在、KDDI株式会社、株式会社NTTド
コモ、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社などへの音楽や映像、書籍などを中
心とした検索・レコメンド・ストリーミング・データ提供・アナリティクスなどのデータ
関連サービスを行っております。


本リリースに関するお問い合わせ先:
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以上

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