ユーグレナ社、日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントが完成、 日本をバイオ燃料先進国にすることを目指す『GREEN OIL JAPAN』を宣言

2018 年 11 月 2 日

ユーグレナ社、日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントが完成、
日本をバイオ燃料先進国にすることを目指す『GREEN OIL JAPAN』を宣言
~2019 年夏の次世代バイオディーゼル燃料供給開始、2020 年バイオジェット燃料での有償飛行実現で、
SDGs「GOAL13:気候変動に具体的な対策を」に貢献も~

株式会社ユーグレナ


株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、社長:出雲充)は、横浜市鶴見区の京浜臨海部において日本
初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント(以下実証プラント)を 2018 年 10 月 31 日に竣
工し、横浜市、千代田化工建設株式会社(以下千代田化工建設)、伊藤忠エネクス株式会社(以下伊藤忠
エネクス)
、いすゞ自動車株式会社(以下いすゞ自動車)
、ANA ホールディングス株式会社(以下 ANA ホ
ールディングス)、ひろしま自動車産学官連携推進会議(以下ひろ自連)の協力のもと、SDGs (国連サミ
ットにて採択された持続可能な開発目標)※1 の「GOAL(目標)13:気候変動に具体的な対策を」に貢献
する取り組みとして、日本をバイオ燃料先進国にすることを目指す『GREEN OIL JAPAN(グリーンオイ
ルジャパン)
』を新たに宣言することをお知らせします。
※1:2015 年 9 月の国連サミットにて、国連加盟 193 か国が 2016 年~2030 年の 15 年間で達成するために掲げた、「貧 困 に 終 止 符 を 打 ち 、 地 球 を 保 護
し 、 す べ て の 人 が 平 和 と 豊 か さ を 享 受 で き る よ う に す る こ と を 目 指 す 普 遍 的 な 行 動 」 の 目標。




世界におけるバイオ燃料の普及と日本の状況について
2015 年 9 月に国連サミットで制定された SDGs では、「GOAL13:気候変動に具体的な対策を」が掲
げられています。また、2015 年 12 月に国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)で合意された、2020 年
以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みである「パリ協定」では、2030 年までに CO2 を主とする温
室効果ガスの排出を 2013 年の水準から 26%削減することが日本の目標となっています。
そのような中、日本も加盟する国際民間航空機関(ICAO)では、2016 年総会にて、2020 年以降 CO2
排出量を増やさないことが加盟国間で合意され、その対策として有望視されているバイオジェット燃料
の導入は、米国、EU 主要国、カナダやオーストラリアのほか、シンガポール、タイ、中国やインドとい
ったアジアの国々で進んでいます。一方日本では、バイオジェット燃料を使用した有償飛行は実現して
おらず、世界主要国に対してバイオジェット燃料の導入は遅れているのが現状です。
自動車用バイオ燃料については、米国では 2022 年までに約 18%※2、 各国では 2020 年までに 10%、
EU
自動車用燃料全体の内訳として使用することが目標※3 とされていますが、日本ではガソリンとディーゼ
ル代替のバイオ燃料の導入目標は 2022 年までで年間数%程度※4 に留まっています。


日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントの完成について
世界でバイオ燃料の導入が進む中、当社では、2015 年 12 月 1 日に横浜市、千代田化工建設、伊藤忠
エネクス、いすゞ自動車と ANA ホールディングスの協力のもと、2020 年に向けた国産バイオジェット・
ディーゼル燃料の実用化計画(以下「国産バイオ燃料計画」
)の始動を発表しました。そして、2017 年 6
月 1 日に日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料の実証プラント建設に着工し、2018 年 10 月 31 日に
竣工を迎えました。なお、実証プラントは 2019 年春より本格稼働し、微細藻類ミドリムシ(学名:ユー
グレナ)や廃食油を主原料としたバイオジェット・ディーゼル燃料の製造を開始する予定です。


2020 年目途の国産バイオジェット燃料有償飛行と 2019 年夏の次世代バイオディーゼル燃料供給開始
今回完成した実証プラントで製造する国産バイオジェット燃料での有償飛行を、2020 年までに実現す
るほか、2019 年夏からは実証プラントで製造した次世代バイオディーゼル※5 燃料の供給を開始します。
次世代バイオディーゼル燃料は、2014 年 6 月より当社といすゞ自動車と共同で取り組んでいる「次世
代バイオディーゼルの実用化に関する研究」の一環で、実証プラントと同様の原料および精製方法によ
り製造した次世代バイオディーゼル燃料
を用いた性能試験を実施し、エンジンに変
更は加えずに含有率 100%※6 で使用するこ
とができることを確認しました※7。この結
果を受けて、いすゞ自動車では 2018 年 12
月より、次世代バイオディーゼル燃料を含
有した燃料を用いて、いすゞ自動車藤沢工
場と湘南台駅間シャトルバスの定期運行
による実証走行を開始します。 いすゞ自動車の『GREEN OIL JAPAN』宣言ラッピングバス


日本をバイオ燃料先進国にする新宣言『GREEN OIL JAPAN』について
世界に遅れを取る日本のバイオ燃料の導入状況に対し、当社
では今回の実証プラント竣工を機に、「国産バイオ燃料計画」
をともに取り組んできた横浜市、千代田化工建設、伊藤忠エネ
クス、いすゞ自動車、ANA ホールディングス、ひろ自連(2018
年 6 月より参加)との連携をさらに進化させ、
「日本をバイオ
燃料先進国にする」を合言葉とする、
『GREEN OIL JAPAN』
を宣言します。
『GREEN OIL JAPAN』宣言では、2020 年までに実証プラ
ントで製造したバイオ燃料を陸・海・空における移動体に導
入し、2030 年までにバイオ燃料を製造・使用するサポーター
を日本中に広げることでバイオ燃料事業を産業として確立す
る こ と を 目 標 に 掲 げ 、 こ の 目 標 実 現 を 通 じ て SDGs
「GOAL13:気候変動に具体的な対策を」への貢献に取り組
みます。そのために当社は、2025 年までに 25 万 KL/年のバ
イオジェット ディーゼル燃料を 100 円/L で製造する商業生

産体制を整え、2030 年までにバイオ燃料 100 万 KL/年を供給することを目指します。
なお、当社では、
『GREEN OIL JAPAN』宣言を支援し、バイオ燃料の利用、原料の供給やバイオ燃料
の普及などをともに実施する協力団体・企業を募ります。
・『GREEN OIL JAPAN』宣言 HP:http://euglena.jp/greenoiljapan


今後も当社は、社会的な課題解決に寄与し、持続可能な未来づくりに貢献してまいります。
詳細は以下の通りです。

※2:米国のバイオ燃料導入目標は、2022 年に 360 億ガロンと設定されており、当社試算によると米国の輸送用燃料全体の約 20%にあたる。
※3:「平成26年度石油産業体制等調査研究 (バイオ燃料に関する諸外国の動向と持続可能性基 準の制度運用等に関する調査)報告書」(株式会社三菱総
合研究所)より。
※4:「バイオ燃料の導入に係る 高度化法告示の検討状況について」(資源エネルギー庁 資源・燃料部 政策課)より。
※5:含有率 100%でも車両のエンジンに負担をかけることなく使用することができるバイオディーゼル燃料。
※6:添加剤(化石燃料でも使用されているもの)は除く。
※7:初期性能としての確認であり、耐久性については、今後の実証走行により確認する予定。



<日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントと『GREEN OIL JAPAN』宣言について>
■バイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントの概要
場所 :神奈川県横浜市鶴見区末広町 1 丁目1(AGC 株式会社 京浜工場内)
敷地面積 :7,787.6 ㎡
製造能力 :日産 5 バレル
製造量 :年産 125KL(試験の実施状況および保守の発生状況等により数量は変動)
製造品目 :バイオジェット燃料、次世代バイオディーゼル燃料、バイオナフサなど
製造技術 :Biofuels ISOCONVERSION Process(通称:BIC プロセス)
※Chevron Lummus Global / ARA 社よりライセンス供与
投資総額 :約 58 億円(神奈川県および横浜市からの助成含む)



①反応装置棟

⑥用役設備
②バイオ燃料タンク



③貯蔵タンク




④出荷場 ⑤事務棟



①反応装置棟:原料(ミドリムシ油脂や廃食油)からバイオジェット燃料とバイオディーゼル燃料を製造する
設備。
②バイオ燃料タンク:製造したバイオジェット燃料、ディーゼル燃料を貯めるタンク。
③貯蔵タンク:バイオジェット燃料、バイオディーゼル燃料をそれぞれ石油系燃料と混ぜた燃料を貯める
タンク。
④出荷場:完成したバイオ燃料を出荷する設備。
⑤事務棟:実証プラント内の遠隔操作や、実証プラント内の管理・運営をするオフィスが入る。
⑥用役設備:実証プラントに蒸気、圧縮空気など供給する設備。


■『GREEN OIL JAPAN』宣言について
「日本をバイオ燃料先進国に」を合言葉に、日本におけるバイオ燃料の実用化普及を目指す活動宣言で
す。なお、
『GREEN OIL JAPAN』宣言は、SDGs の「GOAL13:気候変動に具体的な対策を」に合致す
る宣言として取り組みます。
当社では、
『GREEN OIL JAPAN』宣言に賛同し、バイオ燃料の利用、原料の供給やバイオ燃料の普及
支援などをともに実施、普及する協力企業(輸送関連、飲食関連、地方自治体など)を募ります。

『GREEN OIL JAPAN』宣言に関するお問い合わせ
HP:http://euglena.jp/greenoiljapan 「GREEN OIL JAPAN に関するお問い合わせ」



■各社の今後の役割について
ユーグレナ社 :ミドリムシ油脂の供給、実証プラントの運転、バイオジェット・ディーゼル燃料の供給
横浜市 :横浜市内でのバイオ燃料普及に向けた取り組みへの支援
千代田化工建設:建設現場でのバイオ燃料利用検討、商業プラントの技術検討支援
伊藤忠エネクス:バイオマス原料の調達、同社グループ内でのバイオ燃料利用検討、同社給油所ネット
ワークを通じた次世代バイオ燃料の供給検討
いすゞ自動車 :次世代バイオディーゼルの実証利用による継続評価
ANA ホールディングス:バイオジェット燃料でのフライト実施に向けた開発協力、同社グループ内での
次世代バイオディーゼル燃料の利用検討
ひろ自連 :ひろしま”Your Green Fuel"プロジェクトの実行(広島における自動車用次世代バイオ
燃料の地産地消モデル構築)


■株式会社ユーグレナのバイオ燃料について
バイオ燃料は、既存の化石燃料と比べると理論上 CO2 排出量が少ない再生可能な液体燃料であり、欧
米を中心に世界中で普及が進んでいます。一方、従来型のバイオ燃料は、トウモロコシやサトウキビ、大
豆、パームといった作物を主な原料とするため、食料との競合や、森林破壊にともなう温室効果ガスの増
加といった問題などが指摘されています。
当社が製造するバイオジェット・ディーゼル燃料は、ミドリムシ油脂や廃食油などを主原料とすること
で、食料との競合や森林破壊といった問題を起こさず持続可能性に優れた燃料となることが期待されて
います。また、化石燃料を使用している既存のエンジンに問題なく適用可能であり、水素や電気といった
代替エネルギーへの移行に必要とされる多大なインフラコストもかからないため、石油使用が多い現代
社会において、既存インフラを維持しながら効率的に普及し、利用が拡大する可能性があります。


■株式会社ユーグレナ社について
2005 年に世界で初めて石垣島で微細藻類ミドリムシ(学名:ユーグレナ)の食用屋外大量培養技術の確
立に成功。石垣島で生産したミドリムシ・クロレラなどを活用した機能性食品、化粧品等の開発・販売を
行うほか、バイオ燃料の生産に向けた研究を行っています。2012 年 12 月東証マザーズに上場。2014 年
12 月に東証一部市場変更。経営理念は「人と地球を健康にする」



以上

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