カゴメとNEC、AIを活用して加工用トマトの営農支援を行う 合弁会社をポルトガルに設立

2022 年 6 月 15 日
カゴメ株式会社
日本電気株式会社


カゴメと NEC、AI を活用して加工用トマトの営農支援を行う
合弁会社をポルトガルに設立
~ 環境に優しく収益性の高い営農を促進し、持続可能な農業に貢献する ~

カゴメ株式会社(代表取締役社長:山口聡 本社:愛知県名古屋市、以下 カゴメ)と日本電気株式会社(代表
取締役 執行役員社長 兼 CEO:森田隆之、本社:東京都港区、以下 NEC)は、AI を活用して加工用トマトの営
農支援を行う合弁会社「DXAS Agricultural Technology(ディクサス アグリカルチュラル テクノロジー)」をポ
ルトガルに設立します。設立は本年 7 月を予定しています。新会社はカゴメのアグロノミーと NEC のテクノロジ
ーの融合により農業革新を起こし、環境に優しく収益性の高い営農を促進することで、世界各国での持続可能
な農業に貢献します。


■ 新会社設立の経緯
加工用トマトの生産は新興国を中心とした人口増加や経済成長に伴い今後も拡大が見込まれますが、持続
可能なトマト栽培には、生産者減少への対応や環境負荷低減など様々な課題に取り組む必要があります。
カゴメと NEC は環境に優しく収益性の高い営農の実現を目指して、2015 年より AI を活用した営農アドバイス
の技術開発や事業検証に着手(注 1)し、ポルトガル、スペイン、オーストラリア、アメリカで実証試験を重ね、現在で
は 7 か国で事業を展開しています。2020 年 4 月には、両社は戦略的パートナーシップ契約を締結(注 2)し、カゴ
メ内に新設されたトップ直轄組織「スマートアグリ事業部」を中心に、NEC の農業 ICT プラットフォーム
「CropScope(クロップスコープ)」を使い更なる営農アドバイスの機能・品質の向上を図るとともに、営農支援事業
のマーケティングと将来の可能性を研究してきました。
そしてこのたび、営農支援事業における技術開発のさらなる加速や営業活動の強化を目的に新会社による事
業を開始することとしました。カゴメのトマト営農に関する知見と、NEC の AI を用いた分析・予測技術を一層融合
させ、主に欧州、米州、オーストラリアの加工用トマト市場における営農支援を加速していきます。将来的には日
本での事業展開も目指して、検証を続けていきます。


■ 新会社の概要 ※ 2022 年 6 月時点
所在地 ポルトガル、リスボン
会社名 DXAS Agricultural Technology
(ディクサス アグリカルチュラル テクノロジー)
事業開始時期 2022 年 7 月(予定)
代表者の役職、氏名 CEO 中田 健吾(現 カゴメ スマートアグリ事業部長)
事業内容 AI を活用した営農アドバイスサービス・圃場可視化サービスの販売、
マーケティング、プロモーション、顧客開拓、サービス企画
資本金 及び 株主比率 3 億円相当ユーロ (カゴメ:66.6%、NEC:33.4%)


■ 新会社のビジョン・目指す姿
「DX ソリューションで、世界の農業に革新を。」
熟練の営農技術を AI に取り込んで作った最適なソリューションをそれぞれの畑にお届けすることで、誰もが、正
確かつ効率的に農業を行える時代へ。私たちは、気候変動に適応するサステナブル農業、Low input high
output、生産効率の向上を実現する新しい農業の確立を目指します。


技術開発の加速
蓄積してきた AI 技術から新たな価値の創出、サービス強化を加速します。今後の取り組みとしては、AI と灌漑
設備等との連携により営農作業をさらに効率化し、トマト加工会社および生産者の負荷軽減に貢献します。さら
に、カゴメの農業研究成果から作物生育に重要となる土づくりから収穫までの栽培手法を改善することで、環境
に優しく収益性の高い営農支援をサービスとして提供することを目指します。


サービス提供体制の強化
新会社にてサービス提供体制を強化します。アグロノミーの知識や経験を持つ要員がユーザーの農業現場を理
解し、最適なサービスの提案やテクノロジーの適用を支援する体制を世界各国で整備します。また、農業業界に
おけるパートナーシップも強化し、さらなる事業展開の加速を行っていきます。


■ 核となるサービス 「CropScope」のご紹介

圃場可視化サービス
AI を活用した営農アドバイスサービス
(センサーや衛星写真を活用)
熟練者のノウハウを習得した AI が、環境に 広大な圃場の状況を「見える化」できること
農家 優しく収益性の高い営農を促進。 で、速やかに異常に気づくことができ、栽
(トマト生産者) また技術継承が容易となり、新規就農者を 培リスクを低減できる。
増やすことが期待できる。

形式知化された営農支援ノウハウを利用す 圃場が広大であっても、異常が発生してい
営農指導者 ることで、生産者への指導や営農指導者の る箇所を的確に特定し、正確なデータに基
育成に要する時間を減らすことができる。 づく指導ができる。
調達リスクの低減や投入資源の最小化が期 客観的なデータに基づいた全体最適な収
トマト加工会社 待できる。 穫調整により、生産性向上を図ることがで
きる。
「CropScope」の機能と提供価値




作物の生育状況や土壌水分量など圃場状態を俯瞰できる 2 / 3
営農指導員がデバイスを使いながら圃場状態をチェック
■ 両社からのコメント
<カゴメ 取締役専務執行役員 渡辺 美衡>
持続可能な環境と収益性の高い営農を同時に実現する「CropScope」を活用したこの事業は、私たちカゴメと同
じように、トマトのおいしさや栄養価値で人々の健康に貢献したいと考える生産者の願いを叶えるものだと考えて
おります。本事業を通じて、環境にやさしいトマト栽培の実現やお客様の食と健康といった社会的価値への貢献
を、新会社ならびに当社の成長に繋げてまいります。


<NEC 執行役員常務 兼 CFO 藤川 修>
温暖化や気候変動、土壌汚染、水・肥料の高騰といった厳しい地球環境の中、消費者に安全な食を届けなけれ
ばならない生産現場に対し、AI などの先進技術を活用することで何か価値を提供できないかと言う想いでカゴメ
と一緒に開発を続けてまいりました。NEC の技術により社会に対し直接的な価値を提供し、世界の食と農に貢
献し続けていくことを新会社とカゴメとともに目指してまいります。


以上


(注 1)
カゴメプレスリリース「NECと共同で最先端トマト栽培技術の開発に着手」
https://www.kagome.co.jp/company/news/2015/002465.html
NEC プレスリリース「NEC、農業 ICT ソリューションのグローバル展開を強化」
https://jpn.nec.com/press/201511/20151111_03.html

(注 2)
カゴメプレスリリース
「NEC と 5 年かけて共同開発した新事業 AI を活用した加工用トマトの営農支援事業を開始」
https://www.kagome.co.jp/library/company/news/2020/img/200331002.pdf
NEC プレスリリース「NEC、カゴメとグローバル加工用トマト市場における戦略的パートナーシップ契約を締結」
https://jpn.nec.com/press/202003/20200331_01.html


CropScope について
https://jpn.nec.com/solution/agri/service/farm_analysis.html





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